セミナーレポート:[CAMPFIRE|BASE共催] 「ものづくりにおける資金調達のコツとファンコミュニティの作り方」2019年4月開催

2019.05.17(更新:2024.04.09)

近年、Eコマースの発達によって、「ものづくり」を行う法人・個人がより気軽に「販売」を行うことができる環境が整いつつあります。SNSの普及など情報発信の手段が多様化したことで、「宣伝・販促」の領域についてもよりチャレンジしやすい状況になっています。

 

Eコマースを活用し、本格的に事業展開する中で避けて通れない話題。それは「資金調達」。その手段も多岐に渡るなか、それぞれの活用を工夫することで、純粋な資金獲得の域を超えた取組に成功するケースが出てきました。

 

2019年4月、クラウドファンディングを提供する「株式会社CAMPFIRE」、ネットショップ作成サービスを提供する「BASE株式会社」の担当者に加え、実際にこれらのサービスを活用してビジネスを推進している「70seeds株式会社」岡山代表をお招きし、「ものづくりにおける資金調達のコツとファンコミュニティの作り方」というテーマでトークセッションを実施いたしました。

 

そこで語られた具体例や成功への秘訣を再録します。

 

会場風景

ゲスト   :70seeds株式会社 岡山史興

モデレーター:BASE株式会社 佐藤新

スピーカー :株式会社CAMPFIRE 畠山牧子

       BASE株式会社 前田崇之

 

資金調達+マーケティング=クラウドファンディング

 

佐藤:それでは早速、本日のテーマである資金調達についてお話を伺いたいと思います。まず、どんな資金調達方法があるかを整理してみましょう。

 

スライド1

 

従来の資金調達の方法は、金融機関や行政機関など黄色の部分が一般的だったかと思います。会社を作ったり商品を作る為に、融資を受けたり補助金を活用する方法ですね。そして、近年新たに使われている方法にクラウドファンディングがあります。これが赤色の部分。従来の方法と比較して、クラウドファンディングはどういった特徴がありますか?

 

畠山:まず、BASEショップオーナーさまで例えるなら、試しにクラウドファンディングに新商品をあげることでテストマーケティングができることです。パトロンと呼ばれる支援者が集まれば、商品化する価値がある。そして支援される方は意見をくださいます。「こういう形がいい」「こういう色があればいい」など。

 

佐藤:なるほど、支援者が商品開発のアドバイザーとも言えますね。

 

畠山:また、CAMPFIREのユーザーはSNSをよく活用されている方が多いので、「こういう商品もありますよ」という情報をくれることもある。ものづくりを考えた時に、それがブラッシュアップに繋がり、確実性を高めてリリースすることができる。マーケティングと資金調達の2つがポイントかなと思います。

 

スライド2

 

そして、様々なメディアとの提携やCAMPFIREの運営するSNS・HPなどでもでプロジェクトを公開・拡散できるので、PRやブランディングにも活用できると思っています。

 

顧客の顔がみえる資金調達

 

佐藤:ここで岡山さんに伺います。ユーザーの立場から、なぜクラウドファンディングという手段を選択されたのでしょうか?

 

岡山:ひとつは「リスク少なく挑戦するためにクラウドファンディング」という考え方です。もうひとつは、自分たちが一緒にやりたい人とやりたいことを形にしていくために、お金をもらう仕事よりお金を作っていく仕事に魅力を感じたからです。個人的なものも含めて、今まで10回ほどクラウドファンディングを活用しましたが、お金の作り方を変えるための手段としてクラウドファンディングがマッチしました。

 

佐藤:従来の方法とはどのように違いますか?

 

岡山:会社の運転資金のような大きなお金は、従来の方法やビジネス収支で資金調達をしています。一方でクラウドファンディングは「そもそもこの商品はいけるのか」を見定める時に使います。大きな元手を作るという目的の場合は少ないですね。また、PRの観点で顔の見える資金調達が出来る点もポイントです。

 

佐藤:顔の見える資金調達とは何でしょうか?

 

岡山:従来の資金調達をして従来の販売方法を行うと、何が評価されたのかがわからなくて、顧客がなぜ買ったかがわからないということがよくあります。それがわからないので、商品を改善しようにも改善しづらいし、仮説が的外れになる可能性がある。それに対してクラウドファンディングでは、購入した方に刺さったポイントまで見えてくるという点が大きいなと思います。「なぜこの人が買ってくれたのか?」「なぜこのリターンを選んだのか?」などのヒントをつかみ、売り方を変えていけるのが大きいですね。

 

畠山:確かにその通りですね。CAMPFIREの目線で付け加えると、単に「お金が欲しいから」「商品を売りたいから」だけではなく、想いの強さを打ち出しているプロジェクトが成功にいたっていることも多いです。プロジェクトを立ち上げて、ページを作って、周知して…と、一言でクラウドファンディングを実施するには多くの時間の投資が必要です。成功している方は、物語があって、想いが強くて、それを行動に移している人が多いですね。そして、それが共感を得ているかを知ることができる。ただの資金調達ではなく、共感者の存在を感じながら良い繋がりを作っていけるのも、クラウドファンディングならではの良さかなと思います。

 

前田:今の話はBASEにも繋がることですね。BASEショップオーナーさんから「何を自分のネットショップで書けば良いかわからない」と相談されることがあります。クラウドファンディングで得られた、商品や想いについて評価されたポイント、もしくはサクセスしたこと自体もネットショップに盛り込むネタになります。このようなことを盛り込んでいるネットショップは売上を上げている傾向もありますね。

 

クラウドファンディングで成功するのは「🔴🔴が強い人」

 

佐藤:なるほど、クラウドファンディングが商品開発や販売にも繋がることが見えてきました。それでは、資金調達までのスピード感についてはどうでしょうか?

 

岡山:モノによると思っているのですが、自分の会社で国金(日本政策金融公庫)から上限一杯の金額を借りた時には、申請から入金まで2ヶ月くらいでした。これは金額の大小問わず、そんなに差はありませんね。この場合だと、入金までの期間はクラウドファンディングとさほど変わりません。でもクラウドファンディングは、募集期間を自分で決められるのと、自分の行動次第で集まり方が変わります。期間も金額も自分の大小に合わせて設定ができる。その分責任は降りかかってきますが、リスクなくチャレンジできるのは大きいですね。

 

畠山:最近は各地方銀行とCAMPFIREの提携も進めているのですが、地方銀行の方から事業を立ち上げようとする方に対してクラウドファンディングを勧められることも増えています。クラウドファンディングでの達成率を以降の評価要素とするためにまずはクラウドファンディングを…という実験的な使い方も出てきています。

 

スライド3

 

佐藤:興味深いお話をありがとうございます。ここで改めて岡山さんに伺います。様々なクラウドファンディングサービスがある中で、なぜCAMPFIREを選んだのでしょうか?

 

岡山:CAMPFIRE代表の家入さんとお会いして、考え方に共感したことで「これは良いな」と思ったのが初めて利用したきっかけでした。他社含め、それぞれの強みが各サービスにありますが、CAMPFIREはジャンルというより「想いの強い人」が成功しやすいと感じます。何か突出した技術やモノがあるというよりも、アイデアや想いを持った人に相性が良いと思いますね。

 

畠山:岡山さん、ありがとうございます(笑)CAMPFIRE個人の思いに寄り添ったサービスという考え方を根底に持っています。現在代表の家入はCAMPFIREを立ち上げた後、一度運営から退いていましたが、2016年2月に代表取締役として戻ってきました。

 

その際に過去手数料を一度大きく下げたんです。勝ち組がさらに勝っていくのではなく、インターネットの本質である個人が声をあげられるように、たった1人でも立ち上げられるように。基本的に審査はありますがプロジェクトを極力断らず、必要に応じて専門のスタッフがヒアリングを行なってアドバイスをさせていただいております。個人の想いに寄り添ったサービスを心がけています。

 

複数人のアイデアを集合させたヌカモフプロジェクト

 

佐藤:ここからはより具体的な話に迫ってまいりたいと思います。こちらのヌカモフプロジェクトはどのように関わっていたのでしょうか?

 

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岡山:福島県と石川県で農家をされている杉原さんという方とお話をする中で、「米ぬかを使ったカイロってめちゃくちゃ面白いんじゃないかな?」と思ったので、株式会社オールユアーズの木村さんとMUKUの松田さんを巻き込んで商品化していったという流れです。僕は発起人という形で、あれこれ色々とつなげていきながら、どうやったら成功するかな?と動いていました。

 

杉原さんはもともと無農薬の野菜や特Aランクのお米など、こだわりの詰まったものを作っている方です。「玄米がユメヲミタ」という甘酒の製造・販売も好調ですが、「食べ物だけだと限界があるよね」ということで米ぬかのカイロを思いついたそうです。それを聞いて大きな可能性を秘めているんじゃないかと。

 

佐藤:食べ物ではないお米商品、面白いですね!どのような商品なのでしょうか?

 

岡山:カイロという響きでは「おばあちゃんが使うもの」というイメージにつながる気がしました。そこで、オフィスなどでの冷え対策に、使い捨てではなく、デザインも優れていて、自分も気にいるようなモノが作れないか?という議論をへて、コラボで商品開発をしていこうと話は進みました。そのため、商品開発から一同で関わった企画になります。

 

企画会議や縫製、撮影などかかる費用は一同の持ち寄りで行って、クラウドファンディング達成後に収益を分配する形式をとりました。「みんなで関わったものだから、みんなで成功に向けて頑張ろう!」というスタイルにすることでみんなが本気で関わりたいと思う場を心がけたわけです。ネタやきっかけはもともとあるもの。そこに関わる複数人の想いをどうつなげ合わせて、アイデアを商品に育てていくか。「0→1」よりも「1→10」にする感覚で向き合いました。

 

岡山流「成功の3原則」

 

佐藤:ありがとうございます。このように実際にクラウドファンディングプロジェクトに関わられている岡山さんですが、事前に「成功の秘訣ってどんなことがありますか?」をお伺いしました。

 

スライド5

 

リターンは階段式に設計する

 

佐藤:早速ですが、「綿密に計画を立てる」という秘訣について聞かせてください。細かく3つにわけられています。クラウドファンディングといえば必要になるのがリターン(返礼品)ですね。このリターン設計はどうやって行いましたか?

 

岡山:「1. 原価が回収できる目標額」「2. 関係者への利益還元ができる目標額」「3. プロジェクト単体で利益がでる目標額」を階段式に設定して、この商品をどれくらい売る必要があるのかを考えます。

 

その上で大切なのが、ターゲットの具体的な顔を思い浮かべて「あの人ならこれをこれぐらい買ってくれるだろうな」と考えて設計をすること。商品そのものを買ってくれる人もいれば、思いに共感したから支援だけをしたいという人もいます。また、プロジェクト成功のために単価が高いリターンも必要な場合もあるので、法人向け高額リターンを用意することも。

 

最初に携わったプロジェクトでは作る商品そのものだけをリターンで出していましたが、様々なご意見をいただきながら追加していきました。どんなリターンがあれば支援が集まるか、プロジェクトを走らせながら見つけて行きましたね。

 

 

最初の🔴🔴にすべてをかける

 

佐藤:次に、プロジェクトページを書くときに考えるべき気をつけたことや、具体的な内容を教えてください。

 

岡山:プロジェクトによって違うかと思いますが、最初の3行で惹きつけるということです。この3行に書くことがほぼ全てだと思っています。この文章以降も目を通してもらうためには、ここにすべてをかけると言っても過言ではありません。次に大事なのが、「誰のためにどんな支援を作るのか?」を伝えられるかです。支援者はプロジェクトに共感して初めて支援をするので、「私は誰なのか?」「私はなぜやるのか?」から始めると独りよがりになりやすく、本当に伝わってほしいことが届きづらくなりがちですね。

 

佐藤:本文の書き方で気をつけるポイントはありますか?

 

岡山:画像を文章の間に挟み込むのが重要なポイント。文章が続くと多くの方は読みづらいもの。見出しと画像でどれだけ理解を得られるかが大事です。これらの条件を満たした上で、「➀何をやるのか?」「➁私は誰か?」「➂具体的にどんなリターンなのか?」「➃そこに込めた私の想い」をしっかりと盛り込みます。見出しで興味を持ち、画像に目を止めてくださった方からはしっかりと読んでもらえる傾向にあるので、想いが伝わりやすいと思います。

 

畠山:私も同感で、言うなればNHKのドキュメンタリー番組のように作り込むことが大切だと思います。支援くださる方は心が動いてお金を出してくださるので、「自分は何者でどういう想いがあって何をしたいのか」が伝わるかどうかを大切にしていただきたいです。

 

佐藤:写真や文章について、ネットショップを作る上でも共通するところがあるんじゃないかなと思うのですがどうでしょう?

 

前田:すごい大事ですね。クラウドファンディングでは初めの3行が重要という話でしたが、ネットショップでは1枚目の写真がとても重要です。どれだけ商品の細かい情報を商品ページに書いても、写真で「おっ?」と思ってもらえないことには詳細ページに辿り着かないので。

 

準備にはおおよそ3ヶ月

 

佐藤:ちなみに、準備からプロジェクト公開まで、どれくらいの時間がかかりましたか?

 

岡山:初めて杉原さんとお会いして、実際に農場に行ったり、周りを巻き込んだりしながら試作品を作って行きました。「商品が生産できる体制が整ったな」と確信して、プロジェクトを公開するまで約3ヶ月でした。

 

佐藤:プロジェクトの日程の設定はどう決めましたか?

 

岡山:結果的にヌカモフは45日間のプロジェクトだったんですけど、冬向けの商品なので1月中には届けたいなと思っていました。ただ実際に動くと、年末年始があったので動ける日数が限られてしまって。もう少し早く始めたかったなと後で思いましたね。

 

前田:岡山さんに聞きたいんですが、相談されたんだけど「これは無理だな」と思ったこととか、その上でお手伝いをする基準って何かありますか?

 

岡山:共感すれば基本的にお手伝いさせていただきますよ。でも相手が本気じゃないと成功できないんです。なので本人の熱量次第。形になるかならないかは本人の熱量次第だと思っています。

 

そのプロジェクトの主催者は誰か

 

佐藤:反対にうまくいかなかった事例も伺いたいと思います。

 

岡山:以前携わったプロジェクトで、目標金額100万円に対して達成率20%ほどで終了してしまったことがありました。ですが問題だったのは達成率ではなくて、この100万円という金額を「ただキリが良かった」という根拠のない数字で設定してしまったことです。リターンの設計も「食品詰め合わせ」など通り一遍のものにしてしまったことで、そのプロジェクトで本当に実現したいことに共感するターゲットがどのようなリターンを求めているか、そこまできちんと設計できていなかったという反省があります。

 

「本当に必要な金額がいくらなのか?」を突き詰めきれずに実施をしたことでクラウドファンディングとしては失敗してしまった例でした。

 

スライド6

 

「“協力”している関係者」は危険信号

 

佐藤:岡山さん、ありがとうございます。1つめの原則「綿密に計画を立てる」について伺いました。次にいただいているのが「いかに泥臭くやるか」です。スライドにも「関わった仲間」と書かれていますが、複数人でプロジェクトを動かすことに苦労されたことはありますか?

 

岡山:ヌカモフには計4社が関わり、大人数でのプロジェクトでした。人数が多い場合には、関係者間で責任感の差が生まれやすくなることがあります。原因は、プロジェクトの中心人物以外が「協力している」という意識になってしまうこと。これを放っておくと後々苦労することになりますね。それを解決するためには、関係者一人ひとりに対して「どうやって自分ゴト化してもらうか」「巻き込みながらやっていくか」が大切になります。効果的な方法は、中心人物が率先して動き、まずは背中を見せるということ。そこで本気度が伝わると「自分もやらないといけないな」と周りも思うようになることが多いですね。

 

喜んでほしい人に直接伝える

 

佐藤:なるほど、プロジェクトを進行させる中でのお話をいただきました。ここで実際に公開されてからのことを聞かせてください。公開直後には思うように支援金が集まらないケースもあるかと思いますが、どのように解決されているのでしょうか?

 

岡山:プロジェクトはCAMPFIREで公開されても、そのまま放置していては見てほしい方に見てもらえません。ここが「泥臭く」の部分で、関係者の身近な方々に支援を直接お願いすることが大事です。直接連絡するということはとても大切で、公開日が決まったら前もって連絡をしています。具体的に支援してほしい人の顔を思い浮かべて考えるようにしています。ただ、いわゆる営業活動と違うのは、「売りたい」というよりもプロジェクトが成功したりリターンを受け取ったら「この人だったら喜んでくれるんじゃないか?」という気持ちでお願いする方を選ぶこと。相手も自分も嫌な気持ちがしないというのが前提にあるので、積極的にお願いして欲しいです。

 

佐藤:岡山さんはポップアップイベントなどもされていましたよね?

 

岡山:はい、ポップアップイベントでリターン商品と直接触れ合う機会を作りました。ヌカモフの関係者からも「直接触らないと良さが伝わらないかも」という意見もあって。クラウドファンディングはインターネットを介して広がる部分が強いのは確かなものの、モノの場合は手触りや肌触りなど実際に触れることのできる展示会だったり、交流会も効果的だと思いますね。

 

畠山:おっしゃる通りで、CAMPFIREとしても、オフラインとオンラインをセットで考えていただくのが大切だと思います。オフラインの経験は口コミにもなりやすいので、オススメです。

 

スライド7

 

支援者はまだ見ぬ支援者に広めてくれる

 

佐藤:今まさに口コミが広がっていくというお話をいただきました。ここで岡山さんからいただいた3つ目の原則「プロダクトが越境していく」について伺います。越境していくとは、実際にどんなことが起こるのでしょうか?

 

岡山:これもヌカモフの話ですが、支援してくれた方が自分から周りに告知をしてくれるんです。関係者の知らないところで勝手に。「ヌカモフを使ったらめちゃめちゃ喜んでくれそう」という人ほど「こんな方に使ってもらいたい」と僕らが思うターゲットに近い方に向けて「これめっちゃいいよ!」と言ってくれるんです。そしてSNSだったりとか、友人に直接リアルな場で広めてくれたりして。関係者の知っている枠を越えて広がっていくんですよ。それを「越境」と言っています。

 

スライド8

 

佐藤:岡山さん、ありがとうございます。ここまでで「クラウドファンディング成功の3原則」についてお話しいただきました。実はCAMPFIREさんにも「成功の書」というものがあるそうですがお聞かせいただけますか?

 

畠山:はい、CAMPFIREでは成功の書というものを作っていて、大きく10項目くらいあります。岡山さんにお話しいただいた内容も含まれていますね。一部ご紹介すると、「支援者1/3の法則」とは、成功したプロジェクトの支援者構成を表しています。1/3は「自分の直接の友人・知人」、1/3は「友人・知人の友達」、そして1/3は「サイトなどを通じて知る全く知らない人」。プロジェクト計画の時点で、それぞれの支援金額を想定して目標金額を考えると良いですね。

 

佐藤:先ほどの岡山さん原則にあった、階段式のリターン設計とも合わせられますね。

 

畠山:また、SNSやリアルな場で積極的に告知することが大切です。岡山さんもおっしゃってましたが公開するだけで成功は難しいので、直接メールしたり、プレスリリースを使った配信も有効ですね。それと、プロジェクトにもよりますが、平均支援単価は1万円前後と言われています。目標金額が50万円なら、おおよそ50名の方の支援が必要です。仮に、お願いして実際に支援をしてくれる人が5人中1人としたら、大体250人を目安として積極的に伝えていく必要があることがわかります。

 

スライド9

 

ファンコミュニティで繋がる「クラウドファンディング|ネットショップ」

 

佐藤:今回の最後のテーマになるのが「ファンコミュニティの作り方」です。これまで「資金調達」というテーマでお話を伺ってまいりましたが、実際に売上・利益を作っていくのは「販売」のフェーズかと思います。まず前田さんに聞きたいのですが、クラウドファンディングがネットショップ運営に影響することは何でしょうか?

 

前田:今の時代、BASEを使ってネットショップを開くことは、誰でも簡単にお金をかけずにできるようになりました。でも、どこでつまづくかと言えば「買ってくれる人をどう集めるか?」という、いわゆる集客の部分です。ここで注目したいのが、クラウドファンディングを通じてできた「ファンコミュニティ」。支援者がリピーターとして戻ってきたり、越境したところから、まだ知らない誰かを連れてきてくれます。クラウドファンディングで「作りたい!」が「作れた!」に変わって、ファンコミュニティができることで「作り続けられる」継続的な事業になっていく。そんな流れを生み出す、効果的な組み合わせだと思います。

 

プロダクトを想う人の集まりがファンコミュニティ

 

佐藤:岡山さんは実際にどんな形でファンの方と向き合われていますか?ファンコミュニティをどのように作っていますか?

 

岡山:これもヌカモフですが、facebookメッセンジャーグループを作成して、その中でヌカモフの活用法やこちらからの質問を送ったりしました。今では50名くらいになっていて、参加者が自分たちの名前に「モフ」を付けた愛称に変えたりしています。ちなみに僕は「おかモフ」です(笑)

 

初めは、コミュニティグループの中でちゃんと反応があるかどうか怖かったです。でも結果的には、自然と活発にそれぞれが発言し合っている空気ができてました。むしろ、場所を作りすぎないで、「見るだけの人が8割」という意識で、気軽にコメントできるような使い方がいいんだなと感じましたね。ビジネスのような利害関係じゃなくて、好きなものが同じ人同士が集まってる感じですね。「一緒に成長させたら楽しいよね」っていうような、インディーズバンドを応援している感覚に近いかもしれません。

 

前田:僕もヌカモフを愛用しているのでその仲間の1人なんですけど、ファンコミュニティに参加するぞー!というよりも、好きなものが一緒な人たちが集まってて居心地良い場所っていう感覚です。それがファンコミュニティなのかも知れないなと思いました。

 

佐藤:岡山さん、最後に伝えたいことはありますか?

 

岡山:ファンコミュニティについて大切にしていることがあって。それは「自分のファンではなく、自分のプロダクトのファンである」という意識でいることです。ある種、自分とプロダクトを切り離して考えないと、「自分が評価されているんだ」って勘違いをしておごりを生んでしまう危険がありますね。「モノができて、もっと良くするために、そのモノが好きな人たちが集まっているのがファンコミュニティ」という意識を常に持つことが大切なのかなと思います。

 

佐藤:岡山さん、畠山さん、前田さん、本日はありがとうございました。

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