最適な「販売価格」の決め方。価格を決める6つのSTEPと計算方法を解説。

2019.06.25(更新:2023.04.01)

ネットショップをふくめ、何らかのビジネスで利益を上げるためには、「販売価格」を入念に考えて設定することが必要不可欠です。

ただ販売価格というのは、単純に原価に希望の利益額を乗せればいいわけではありません。

あなたのお店の競争力や市場環境、さまざまな要因によって適切な販売価格は変わってきます。

この記事では、ショップ運営に欠かせない適切な「販売価格」の決め方や計算方法を6つのSTEPで解説していきます。

 

STEP1. 販売価格の基本を知ろう

販売価格を決めるには、さまざまな要素を考慮する必要がありますが、まずは基本を理解しておくことが重要です。

販売価格の基本は「販売価格ー原価=利益」になるということです。

「原価」とは

「原価」とは、仕入れ価格や材料費、配送費、梱包材代、人件費など、商品を作るのにかかった費用の合計のことを指します。

なお商品を仕入れた上でさらに加工をする場合は、加工にかかった費用も原価にふくめて計算します。

原価の計算

たとえば、オリジナルトートバッグを販売する場合の原価の計算方法はこちらです。

<原価の例>
・仕入れ価格:1,000円 × 10点
・仕入れ時の商品の配送費:500円
・梱包材代(ラッピング袋:100枚で500円):1枚あたり5円 × 10点
・人件費:1時間1,000円 × 2時間(加工作業と梱包に掛かった時間)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◯合計:10,000 + 500 + 50 + 2,000 = 12,550円
◎原価:10点で12,550円、1点で1,255円
※今回の例では、場所代や光熱費など間接的な費用はのぞいています。
 

この場合、1点あたりの原価は1,255円となりました。

仮に商品の仕入れ価格だけを考慮して1,200円で販売してしまうと、1点あたり55円、10点で550円の赤字となります。

販売価格を考える前に、まず大前提として「原価 = 商品の仕入れ価格」ではないということを覚えておきましょう。

BASE」で販売する場合は「手数料」も考慮する必要

BASE」で商品を販売するさいには、販売した商品に対してかんたん決済手数料サービス利用料の2つが掛かります。

そのため、販売価格を考えるさいには、利益から手数料が引かれる、ということも考慮しておく必要があります。

※「BASE」で商品を販売するさいに掛かる手数料(送料も対象です)
・かんたん決済手数料……(販売価格 + 送料) × 3.6%~ + 40円
・サービス利用料……(販売価格 + 送料) × 3%

詳細については「BASEでショップを運営する時にかかる費用まとめ」という記事をご覧ください。

 

STEP2.販売価格の基本的な計算方法を知ろう

続いて、販売価格の基本的な計算方法をご紹介します。

一般的に、販売価格は先ほどご説明した「原価」を元に計算します。なぜなら原価を元に計算すると「計算上は赤字になることがない」からです。

実際にはその他の要素も考慮する必要がありますが、まずはこの基本を理解してください。

計算方法①原価率で求める

代表的な販売価格の計算方法が、原価率をもとに計算する方法。かんたんに言うと「販売価格の何割を原価にしうようかな?」という思考法です。

仮に、原価が1,000円の商品を原価率3割で販売したい場合は、下記のように計算します。

※余談ですが、飲食店の一般的な原価率が30%、と言われるなか、某ステーキ屋さんは原価率50%、ということで話題になりましたね。

 

計算方法②予定利益率から求める

もう1つの方法が、予定利益率から求める方法。これは「利益がどれくらいほしいか」から逆算する考え方です。

仮に、1,000円の商品を販売する場合に利益が70%ほしい場合は、以下のように計算します。

ここでお気づきかと思いますが、どちらの場合も販売価格は同じになります。要するに、計算方法の違いは考え方の違いであって、どちらを使っても問題ないのです。

 

その他にもある、販売価格の計算方法

上記でご紹介した2つの方法以外にも、販売価格の計算方法というのはいくつもあります。ここでは詳細を省きますが、何となくこういう方法もあるんだな、と知っておいてください。

方法内容
コストに利益を乗せる方法

コスト(原価)に利益をプラスして決める方法。
原価+利益=販売価格

競合を見て決める方法

競合の価格に対して、同程度または高く、低く設定する。

商品のライフサイクルに合わせて変動させる方法

商品がで始めた頃は低価格で提供し、後に上げるなど。

需要で決める方法

ユーザーが商品にいくらのお金を出すかを想定して決める方法。

他の自社商品との兼ね合いで決める方法

目玉商品を低価格で設定し、他の商品で利益を稼ぐといった価格設定。

名声価格法

消費者が価格の高低で商品の良し悪しを判断する場合に、あえて高く設定する(化粧品や高級商材など)。

 

STEP3.実際に自分の商品に当てはめて販売価格をみてみよう

では、ここまでの内容をもとに、一度自分の商品に当てはめてみましょう。

ただし、ここで出す販売価格というのはあくまで「売り主目線」での目安価格ですので、ここで出る数字をそのまま販売価格に設定しないように気をつけてください。

目安は原価率3割ほどで計算

業界によっても異なりますが、アパレル業界の原価率は、一般的に30%程度とされていますので、まずはこの価格を目安に計算してみるのがいいでしょう。

もちろん、お客様に購入してもらえる金額であるかどうかも重要なポイントですが、ここではまず「基準となる販売価格と、ショップの利益を理解すること」に焦点を当てて考えてみましょう。

今回は、原価を1,200円、販売価格を原価率3割に設定して計算してみます。

<例>
販売価格=原価1,200÷0.3=4,000円 + 送料300円 = 4,300円
・手数料(かんたん決済手数料 + サービス利用料):324円
 かんたん決済手数料:4,300円 × 3.6% + 40円 = 195円
 サービス利用料:4,300円 × 3% = 129円
・利益:4,000円(販売価格)− 1,200円(原価) ー 324円(手数料) = 2,476円

商品を4,000円(別途送料:300円)で販売すると、そのうち2,476円がショップの利益となります。※実際には、ここに人件費や販管費も追加して実質の利益を出す必要があります。

さらに、以下の計算式をもとに利益率を計算してみると、ここでの利益率は61.9%となりました。

<利益率の計算式>
利益率 = 利益 ÷ 販売価格 × 100
2,476円 ÷ 4,000円 × 100 = 61.9%

 

STEP4.市場のニーズと他社の販売価格を比べてみる

STEP3で、実際に販売価格を算出してみましたが、算出した価格をそのまま販売価格に設定するのはNGです。

というのも、STEP3で設定した価格というのは、あくまで「売る側」の希望であって、それがお客様のニーズに合っているかは何も検証していないからです。

どれだけ緻密に販売価格を計算したとしても、それが市場のニーズと合っていなければ、売れる商品を作ることは難しくなります。

類似商品、競合商品の価格を調べる

市場のニーズを調べるために、まずは類似商品や競合他社の商品の価格を調べてみましょう。

競合などの価格を見ることで、市場の相場感を知ることができます。

なお、このとき、各商品のセールスポイントやターゲット層などを一緒に調べておくことで、自社の商品と比べたときに、どこで差をつけるのかが見えてきやすいです。

 

STEP5.商品の特長から戦略と価格を考える

STEP4でお伝えしたとおり、競合や類似商品の価格を確認すると、商品によっては価格にばらつきがあるかと思います。

それは、各社の戦略によるもの。

あなたの商品も、その特長に合わせて戦略を変えていく必要があります。

たとえば「世界で唯一無二の製品」「高いブランド力」「たくさんのファンがいる」といった場合、価格を高く設定しても購入してくれるかもしれません。

一方、そうでない場合は、安くしなければならないかもしれません。

安く売る方法

仮に価格戦略として、競合よりも安い価格で商品を販売するとした場合、取れる手段としては、たとえば以下のようになります。

・原価を下げる
・販管費を下げる
・利益を下げる
・仲介者を減らす

このように、あらゆるところでコストカットをすれば、価格を抑えることはできますが、反対に製品の満足度が落ちたり、販管費が嵩んだりといった可能性もあります。

たとえば大手企業のように、最初から多数の商品を製造販売する場合、原価の仕入れ価格や配送費などを交渉次第で圧縮できるかもしれませんが、そうでない場合はかなり厳しい戦略です。

そのため、できるだけ付加価値を付けて、価格競争に巻き込まれないようにしましょう。「安売りではなく、付加価値をつけてあなたのショップで買う理由を作ろう。」という記事なども参考にしてみてください。

 

STEP6.最後に、より買われやすい価格に調整する

STEP3〜5を経て、ある程度販売価格が決まったら、最後に販売価格にもうひと工夫を凝らしてみましょう。

代表的なのが、「価格を端数にして割安感を出す」という方法。

これは、スーパーなどでよく見る「500円ではなく498円」として販売する割安感の演出です。

こうした価格設定をすると、消費者的には「2円」お得になったという感情が生まれるので、購買のハードルを若干ながら下げることができます。

逆に502円にすると500円に上乗せされた感じが出てしまい、購買のハードルになってしまいます。

実際には4円の差でしかありませんが、売上には大きな差が出る可能性もありますので、ほかのお店の価格戦略なども参考に、価格を調整してみてください。

 

まとめ

以上、最適な販売価格の決め方について解説しました。

販売価格を決めるさいにもっとも重要なのは、「顧客目線」で考えるというポイント。仮にあなたが「この商品はこの価格なら売れる」と思っても、お客様がそう感じなければ、商品を売ることはできません。

しっかりと客観的な視点と市場調査を行い、適正価格を探っていくことが重要です。

とくに、付加価値を付けるためのブランド作りは必要不可欠です。このあたりのことは、「BASEオーナー」のインタビュー記事などが参考になると思いますので、ぜひご一読ください。

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