二重発行に気をつけよう!ネットショップにおける領収書の発行ルールについて

2020.10.20(更新:2021.07.05)

ネットショップ運営での意外な落とし穴、領収書の発行ルールについて、ご存知でしょうか?

ネットショップで領収書の発行をするさいは、二重発行や収入印紙が必要かどうかなど、気をつけておくべきポイントがあります。

そのなかでも、領収書の二重発行は、とくに気を付けるポイント。

そこで、この記事ではネットショップにおける領収書の発行ルールや適切な対応方法について、解説していきます。

ネットショップにおける領収書の発行義務

まず、知っておかなければならないのは、ネットショップであれ何であれ、サービスを提供し、その対価を受け取った場合には、領収書を発行する義務があるということです。

というのも、領収書とは、民法486条に基づき、サービスや商品を購入したさいに、支払いしたことを証明する書類を指し、原則として、購入者から領収書の発行請求があった場合に、領収書の発行義務があるからです。

そのうえで、ネットショップ運営事業者が気を付けるべきなのが、領収書の二重発行という問題です。

二重発行ってなに? 領収書の二重発行がNGな理由

領収書の二重発行とは、その名の通り、一度出した領収書をもう一度出すことを指しますが、なぜこれに気を付ける必要があるのでしょうか?

それは、領収書というものが、税制上の信ぴょう書類にあたり、二重発行した場合、悪意を持った人によって、経費の水増しなど、悪用される恐れがあるからです。

そのため、領収書の二重発行は禁止されています。

このことを知らずに二重発行してしまった場合、ネットショップ側も共犯とみなされ、有印私文書偽造罪などの罪に問われる可能性があるのです。

一方で、購入者側は、当然そのような法律は知らない場合が多いので、「領収書が入ってなかった」など、法律にふれる内容だと知らずに、発行を請求してしまうケースが多いのです。

ですので、ネットショップ運営者側は、しっかりとこのルールを理解し、領収書の二重発行に気を付ける必要があります。

 

ネットショップで領収書の発行を求められた場合、どうすればいいのか?

では、実際にネットショップを運営していて領収書の発行を求められた場合、どう対応すればいいのでしょうか? 大きく、2つの対処法にわかれます。

対処1. 領収書代わりになる書類を案内する
対処2. 各自で判断をして領収書を発行する

このあと解説しますが、領収書を求められた場合に、それが二重発行になるのかならないのかは、決済方法や考え方によって異なり、往々にして判断がむずかしいです。

そのため、できる限り①のような対応をして、領収書を発行しない方向性で対処をするのが安全です。

 

対処1. 領収書の代わりになる書類があることを伝える

購入者から、領収書の発行をお願いされたさいには、領収書の代わりとなる書類があることを伝える、のが一つの方法です。

領収書の代わりになる書類としては、以下のようなものがあげられます。代わりの書類は、決済方法によって異なります。

決済方法領収書の代わりとなる書類
クレジットカード決済カードの利用明細書
銀行振込決済預金通帳、振込明細書
代金引換決済配送業者から手渡される領収書
コンビニ決済店頭で受け取るレシート

※「BASE」では代引きは利用できません。くわしくはこちら

たとえば、「お客様は、クレジットカードにて決済をおこなわれておりますので、お手元にありますクレジットカードの利用明細書を領収書代わりとしていただけます」といった説明をしましょう。

また、事前にショップのページなどで、「領収書の発行はしていない」という旨を記載しておけば、請求があった場合でも、「こちらに記載されております通り、当ショップでは領収書の発行をおこなっておりません」と説明しやすいです。

 

対処2. 各自で判断をして領収書を発行する

領収書の代わりになる書類を案内しても、なお手書きの領収書などを求められる場合は、二重発行になるかならないかを慎重に判断のうえ、各自で対応する必要があります。

二重発行になるかならないかは、決済方法によっても変わってくるため、このあと説明している「二重発行になる?ならない?【支払い方法別】領収書発行時のルール」を参考にしてください。

 

二重発行になる?ならない?【支払い方法別】領収書発行時のルール

先ほどもお伝えした通り、領収書の二重発行になるかならないかは、支払い方法によってルールが異なるため、注意が必要です。

ここでは、銀行振込や代金引換、クレジットカード決済など、支払い方法別に、領収書発行時のルールについて解説していきます。

銀行振込の場合

基本的に、「振込明細書」が領収書代わりとなります。

そのため、かならずしも発行請求に応じなくても、問題はないとされています。

しかし、振込明細書と領収書は異なる文書なので、購入者から「印紙付きの領収書を発行してほしい」といった理由で請求された場合には、発行義務が生じます。

この場合は、領収書の但し書き欄に、「◯月◯日銀行振込分」といった形で記載し、二重発行にならないように対応しましょう。

また、ネットショップ上に「振込明細書を領収書の代わりとします」といった旨を明記しておけば、購入者からの発行請求があったさいの、上記のような対応を回避できる可能性があります。

代金引換の場合

代金引換の場合は、ネットショップの代わりに、運送会社が代金を徴収するという決済方法です。※「BASE」では代引きは利用できません。くわしくはこちら

ネットショップと購入者が直接的に金銭のやり取りを行なっていないため、領収書の発行請求があっても、ネットショップ側は発行できません。

もし、領収書を発行してしまった場合、二重発行になります。なぜなら、運送会社が代金を徴収したさいに渡す受領書が、領収書の代わりとなるからです。

購入者に「ショップ名義の領収書を発行してほしい」といった理由で発行を請求された場合は、運送会社に受領書の原本を送付してもらい、原本を破棄してから発行すれば、二重発行にはならないとされています。

クレジットカードの場合

クレジットカードの利用明細が、領収書の代わりとなります。そのため、領収書の発行請求があっても、かならずしも発行する必要はないとされています。

またクレジットカード決済の場合、商品を提供した時点では、まだお金を受け取っていないため「信用取引」という扱いになります。

そのため、ネットショップ側に発行義務は生じません。

それでも、購入者に領収書を発行してほしいと頼まれた場合は、但し書きの欄に「クレジットカード利用分(カード名称)」と記載しておきましょう。

この但し書きを記載しておけば、名目上「領収書」ではありますが、税制上の領収書(※)にはならないと考えられています。

※第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)参照元:金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁

また、上記の対応をとれば、ネットショップは領収書を発行していないことになるので、購入金額が5万円以上だったとしても、印紙は必要ありません。

一方、但し書きを書かなかった場合は、領収書を発行したことになり、印紙が必要となりますので、ご注意ください。

 

BASE」ではどう案内している?領収書への対応

領収書への対応に関しては、利用しているプラットフォームやサービスごとにも異なります。ここでは、「BASE」における領収書の対応をご案内します。

「BASE」での領収書の対応について

「BASE」では、購入者向けのヘルプページで、以下のように案内しています。

領収書:
クレジットカード会社・キャリアより届く利用明細・コンビニや銀行より発行される受領書・後払い決済でのお支払い時の受領書と、購入時に届く「ご購入いただきありがとうございました」メールをあわせて、領収書の代わりとしてご利用ください。

どうしても手書きの領収書が必要な場合には、購入したショップに発行可能かどうかをお尋ねください。
(ショップによっては対応できない場合もありますので、あらかじめご注意ください)

「BASE」では、上記のとおり、領収書の代わりとなる書類があることを案内し、そのうえで各ショップ様へ問い合わせください、としています。

ですので、領収書の発行を求められた場合は、 まずは領収書代わりになる書類を案内することで、領収書の発行を避けることをおすすめします。

それでも、なお領収書を求められる場合は、各ショップ様での判断が必要となります(判断の基準は、先ほどご説明した決済手段ごとの内容をご確認ください)。

 

ネットショップの領収書について押さえておきたいこと

ここまで、二重発行に関して解説してきましたが、これからネットショップを開設するにあたって、ほかにも、領収書に関しておさえておきたいことがいくつかあります。

ここからは、収入印紙は必要か、領収書の保管期間はどれくらいか、ポイントでの決済の場合に領収書はどうなるのか、といった点について、説明していきます。

ネットショップでも領収書に収入印紙は必要?

領収書の受取金額が5万円以上であれば、収入印紙が必要となり、5万円未満であれば不要となります。

受取金額に応じて、収入印紙の金額も変動します。詳細はこちらをご確認ください。

記載金額税額
5万円未満非課税
5万円以上100万円 以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下600円
300万円超500万円以下1,000円
500万円超1,000万円以下2,000円

電子文書によって領収書を発行する場合は、売上代金が5万円以上だったとしても、収入印紙が不要です。印紙税法で明確に規定されているわけではありませんが、PDFファイルなどの電子文書は、印紙税法上の「文書」に該当しない、とされているからです。

参照元:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁

ネットショップの領収書の発行期間は?いつまでデータを保持しておけばよい?

購入者に対して発行する領収書データは、いつまで保管しておく必要があるのでしょうか。じつは領収書を発行する側は、発行期間に関してとくに規定がありません。

とはいえ不要なトラブルを避けるためにも、購入者向けに発行可能期間をネットショップ上で表記したほうがいいでしょう。

参考として、各ショッピングモールでは、以下のように受注データの保管期間を設けています。

サイト名保管期間
楽天市場2年以内
Yahoo!ショッピング制限無し
Wowma!旧マイページからWow!managerへ移行した場合2年
それ以外は制限なし
ポンパレモール730日以内
Qoo102015年1月1日以降のデータの取得が可能

ポイントでの決済の領収書はどうなる?

ネットショップによっては、ポイントを設けているところがあります。購入者は、「1ポイント=1円」といった形で、ポイントによる割引が利用可能です。

このように、ポイントでの決済の場合、領収書はどうなるのでしょうか。

領収書は、原則として、金銭の授受が完了したことを証明する書類です。そして、ポイント利用分は値引き扱いになるため、値引き分のお金は受け取っていないことになります。

つまり、受け取っていないお金は、領収書に記載できません。

たとえば、5,000円の商品を1,000ポイント利用して購入したとします。この場合、1,000円引きの4,000円で領収書を発行する、ということです。

もし、5,000ポイントを使って、全額値引きとなった場合は、領収書を発行することはできません。

領収書に印鑑は必要?

領収書を発行する場合に気になるのが、印鑑が必要なのかどうか、という点です。

基本的に、領収書は、社判など印鑑が不要となっています。捺しているケースがみられますが、これはあくまで商習慣であり、法で規定されているわけではありません。

実際に、印鑑が捺印されていないレシートに関しても、税務署や国税庁では領収書として扱います。

レシートについては、購入した商品やサービスの明細が記載されているため、金額のみの領収書よりも信ぴょう性が高い、と判断されるのです。

ただし、収入印紙を貼る場合は、割り印が必要となります。PDFで領収書を発行する場合は、そもそも収入印紙自体が不要となるため、印鑑も同様に不要です。

 

まとめ

今回は、ネットショップにおける領収書の発行ルールや、発行する場合の注意点などについて解説しました。

ネットショップでは、購入者から発行請求があった場合に、領収書の発行義務があります。

ただし、請求されたから発行すればいい、というものではなく、二重発行になっていないか、などの確認が必要です。二重発行になると、法律違反とみなされてしまうため、注意しましょう。

また、支払い方法やネットショップによって、領収書の発行ルールが異なる点も、気をつけてください。

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