サブスクリプションとは?実際のサービス事例をもとに、ビジネスモデルやメリットに迫る

2020.10.21(更新:2024.04.09)

月額料金などを定額支払うことでサービスの利用が可能になる「サブスクリプションサービス」。

省略して「サブスク」と耳にする機会が多くなりましたが、そもそも、サブスクとはどういったものなのでしょうか。

そこで、この記事では、サブスクリプションサービスがどういったものなのか、実際のサービス事例を踏まえつつ解説していきます。

 

サブスクリプションとは?

サブスクリプション(Subscription)とは、英語で「予約講読」や「年間購読」といった意味を持ち、最近では、定額制サービスを表すことばとして使われるのが一般的です。

つまり、サブスクリプションサービスは、定額料金を支払うことによって、一定期間サービスが受けられることを保証する仕組み、ということができます。

サブスクと聞くと、最近身近になったサービスのように感じますが、新聞なども毎月定額料金を支払って受け取っていることを考えると、昔から私たちはサブスクサービスを利用していた、とも言えます。

一般的に認識されているサブスクリプションサービスとしては、動画配信サービスや音楽配信サービスなどが挙げられます。

このほかにも、さまざまな業界がサブスクを導入しており、今注目されているサービス、といえるでしょう。

 

サブスクリプションが普及してきた背景

現在では、日常に深く浸透しているサブスクリプションですが、なぜここまで一般的になったのか、その背景を解説していきます。

サブスクリプションサービスが注目されるようになった背景には、2つの社会現象が関係しています。

  • – 消費スタイルが「所有」から「利用」へと変化した
  • – ネット環境が整い、スマホが普及した

 

モノを所有するためには、大きな初期投資が必要です。

ところが、2008年のリーマンショック以降、所有することに執着しない消費者が増えました。

サブスクリプションサービスでは、モノを所有できないぶん、ローコストで利用できるので、節約志向の消費者の間で、注目を集めるようになったのが一因と考えられます。

消費者庁のデータでは、市場規模は2018年で5,627億円、2023年には8,623億円、と予測させれており、急激に拡大しつつあります。

なお、レンタルも「物を持たない」という点では同義ですが、レンタルとサブスクの大きな違いは消費者心理に与える金銭的負担にあるのではないでしょうか。

一般的に、大きな金額を払う場合、人はストレスを負いますが、サブスクのように小さな額を定額で支払う場合、そのストレスが小さくなります。

それによって消費者の心理的負担が軽減され、レンタル以上に普及したのではないかと考えられます。

また、サブスクリプションが普及した背景には、消費者の価値観の変化が影響しています。

同じ消費者庁の調査によると、モノよりも心の豊かさを重視する消費者が増えている、という結果が出ています。2018年では、モノよりも心の豊かさを重視する消費者が2倍以上、になっています。つまり、モノを持たない人が増えているのです。

2020年3月に発行された「映像メディアユーザー実態調査2020」によると、サブスクリプションサービスの利用率は29.3%で、「DVD・ブルーレイ レンタル」と「TVOD」をあわせたレンタルサービス(27.6%)を上回っています。

 

サブスクリプションのメリット&デメリット

上記のような社会的背景もあり、広く普及してきたサブスクですが、その普及には、もちろん多大なメリットがあったからにほかなりません。

とくに、サブスクは利用者にとっても、サービス提供者にとっても、メリットが大きいのがポイント。

ここからは、サブスクリプションサービスの提供側とサービスを受ける側に分けて、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

サブスクリプションのメリット

【サービス提供側のメリット】

  • – 継続的な売り上げの確保
  • – 顧客の囲い込み
  • – サービスの品質を上げやすい
  • – 新規ユーザーを獲得しやすい

企業がサブスクを取り入れるメリットは、継続的な売り上げを確保できる点です。

サブスクは、定額料金を支払ってもらうことで一定期間サービスや商品を提供する仕組みなので、顧客を囲い込み、持続的にサービスを提供しつつ、長期的に収入を上げていく、というストックビジネスが実現します。

また、継続的にサービスを利用してもらうことによって、ユーザーデータの収集が可能です。そのデータをもとに、サービス品質を向上させていくことができます。

さらに、新規ユーザーを獲得しやすい、といったメリットもあります。

たとえば、数万円する商品を購入することに抵抗があるユーザーも、月額980円で利用できるサービスなら、「試したい」と思う可能性があるでしょう。

 

【サービスを受ける側のメリット】

  • – 定額制でコスパがいい
  • – 所有の必要がない
  • – いろんなサービスにチャレンジしやすい
  • – 気軽に契約&いつでも解約できる

サブスクリプションサービスの最大の特徴は、定額制という点です。

どれだけサービスを利用しても定額なので、利用するほどにおトクさを実感します。頻繁に利用するケースでは、コストパフォーマンスに優れたサービスとなり得るのです。

また、所有するにはコストがかかるという商品も、サブスクであれば、所有することなくリーズナブルな料金で商品やサービスを利用できるのも、大きなメリットとなります。

そのため、気になる商品やいろんなサービスにチャレンジしやすい、という側面もあるでしょう。

さらに、パソコンからはもちろん、スマートフォンがあれば、かんたんに申し込みと解約ができます。一昔前のように、申込用紙に必要事項を書き込んで郵送、といった手続きが不要、という点もサブスクの魅力です。

 

サブスクリプションのデメリット

【サービス提供側のデメリット】

  • – 価格設定が難しい
  • – 解約防止のための工夫が必要
  • – 小売店のビジネス衰退につながる可能性がある

企業がサブスクを導入するデメリットとしては、まず、価格設定が難しいのが実際のところでしょう。

サブスクリプションサービスにおいては、価格を高く設定してしまうと、利用につながらない可能性があります。需要が予測を上回る場合は、採算が合わなくなるケースもあるでしょう。

そしてユーザーが短期間で解約してしまった場合も、元が取れない場合が多いです。

そのため、解約率を上げないために、新しい商品やコンテンツの提供など、つねに飽きられない工夫が必要となります。

また、サブスクリプションサービスによっては、商品を購入せずに利用できるため、小売店で商品が売れなくなる可能性もあるでしょう。場合によっては、業界自体の衰退につながる場合もあります。

 

【サービスを受ける側のデメリット】

  • – 解約の手間が生じる
  • – 買い取りができない
  • – 不要なサービスになる可能性がある

サブスクリプションサービスは、一度申し込むと、不要になったさいに、自分から解約手続きをおこなわなければならない、という手間が生じます。

基本的に更新日が設けられており、自動更新であるケースがほとんどのため、解約のタイミングを逃してしまう可能性もあるでしょう。

また、レンタル型のサブスクリプションサービスとなると、どれだけお金をかけても、コンテンツを買い取ることはできません。場合によっては、購入したほうがコストをおさえられることもあります。

 

サブスクリプションのサービス事例紹介

ここまで、サブスクのメリット・デメリットについてご紹介しましたが、実際にサブスクリプションサービスにはどういったものがあるのか、事例をもとに解説します。

音楽系サブスクリプションサービス▶︎Apple Music

<Apple Music>は、<Apple>が提供する音楽配信サービスです。

従来のレコードやCDを購入して音楽を聴く形態から、サブスクリプションで音楽を聴く形態に変化しつつあります。

消費者庁の調査でも、音楽配信売上に占めるサブスクリプションの比率は、年々増加傾向にある、との結果が出ています。

近年では、<Amazon>や<LINE>も音楽配信サービスをはじめており、さらなる市場の拡大が予測されます。

料金:980円/月(学割、ファミリープランあり)
配信楽曲数:6,000万曲
無料トライアル期間:3ヶ月
URL:https://www.apple.com/jp/apple-music/

 

動画系サブスクリプションサービス▶︎Hulu

<Hulu>は、サブスクの動画配信サービスのなかでも、豊富な作品ラインナップが魅力となっており、60,000本の作品が視聴し放題です。

スマホやパソコン、タブレットなど、さまざまな端末で視聴できます。

消費者庁の調査では、有料動画配信サービス利用者のうち、86.5%もの人が定額制の動画配信サービスを利用している(2018年)、との結果が出ており、市場は伸びを見せています。

巨額な番組制作費で有名な<Netflix>ですが、このことからも、市場規模が巨大であることが理解できます。

そのほか、サブスクリプション型の動画配信サービスには<ひかりTV>や<dTV>などがあります。

料金:1,026円/月
配信動画数:60,000本
無料トライアル期間:3ヶ月
URL:https://www.hulu.jp

 

書籍系サブスクリプションサービス▶︎dマガジン

<dマガジン>は、ファッション誌や芸能週刊誌、ホビー誌など、200誌以上の人気雑誌が飲み放題で楽しめるサービスです。

レパートリーが豊富で、メジャーな雑誌の取り扱いもたくさんあります。

サブスクリプションの浸透とは反対に、紙媒体の書籍は衰退の一途をたどっています。全国出版協会の調査によると、紙媒体の書籍は2015年から4年連続で販売金額が減少。

一方で、電子書籍は4年連続で増加している、というデータが出ています。

料金:440円/月
取扱商品数:200誌以上
無料トライアル期間:31日間
URL:https://magazine.dmkt-sp.jp

 

洋服系サブスクリプションサービス▶︎MECHAKARI

<MECHAKARI>は、洋服レンタルのサブスクリプションサービスです。すべて新作新品のアイテムを利用できる点が特徴となっています。

消費者庁が実施したアンケート調査では、今後利用してみたいサブスクリプションサービスとして、14.6%の人が「ファッション定額サービス」と回答しております。

衰退傾向にあるファッション・アパレル業界においても、サブスクリプションが注目されていることがわかります。

料金:2,980円〜/月(※別途返却手数料380円/1回)
取扱商品数:163ブランド・13,000種類
無料トライアル期間:なし
URL:https://mechakari.com/

 

香水系サブスクリプションサービス▶︎SCENTPICK

<SCENTPICK>は、香水の定期購入サービスです。

月額会員に登録後、好きな香水やライフスタイルを入力することで、毎月1ヶ月分のおすすめの香水や、自分が選んだ香水を届けてくれます。

<株式会社富士経済>の調査によると、香水(フレグランス)の市場は、2019年で前年比2.6%増の432億円、2022年には465億円、と予測されており、拡大が見込まれています。

市場の拡大とともに、サブスクリプションのサービスも増えていくでしょう。

料金:税込1,848円/月
取扱商品数:500点以上
無料トライアル期間:なし
URL:https://scentpick.jp/

 

車系サブスクリプションサービス▶︎KINTO

<KINTO>は、<トヨタ>の新車を月々諸費用込みの定額で利用できる、車のサブスクリプションサービスです。頭金0円で、ガソリン代や駐車場代以外が定額料金にふくまれます。

ほかにも、<ホンダ>のサブスク<Hondaマンスリーオーナー>、<日産>の<クリックモビ>など、各メーカーが定額利用サービスをはじめています。

料金:選択する車種・グレード・オプションによって月額利用料が変動
取扱商品数:24
無料トライアル期間:なし
URL:https://kinto-jp.com/

 

おもちゃ系サブスクリプションサービス▶︎Toysub

<Toysub>は、「日本サブスクリプションビジネス対象2019」のグランプリを受賞したレンタルサービスです。0〜3歳を対象に、成長に合わせて、おもちゃや知育玩具を届けてくれます。

少子化が進むなかであっても、市場の売上は維持しており、とくに男性向けのおもちゃ(玩具)は好調。

一般社団法人日本玩具協会の調査では、2019年には、前年比103.2%の519億円の売上を記録しており、サブスクリプションサービスについても、大きな期待がよせられます。

料金:税込3,674円/月
取扱商品数:1回あたり6点
無料トライアル期間:なし
URL:https://toysub.net/

 

まとめ

以上、サブスクリプションに関して解説しました。

事例を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、サブスクサービスには大きく分けて「個別のコンテンツをまとめて提供する」ものと、「1つのコンテンツを切り分けて提供する」ものの2つがあります。

サブスクビジネスを検討するさいには、この点も含めて考えてみると、よいアイデアが思い浮かぶかもしれません。

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