ネットショップの運営において、もっとも手間がかかる作業の一つが商品の発送作業。
各社ともさまざまなサービスを展開しているうえに、料金なども異なっているため「どの宅配業者を選べばいいのか?」と迷われる方も多いと思います。
そこでこの記事では、日本国内の配送業者大手の日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運という5つの事業者について、特徴や料金をまとめつつ価格も比較してみました。
また、最後に配送業者を選ぶさいのポイントも掲載していますので、あわせてご確認ください。
↓配送に関するおすすめ記事はこちら↓
・「BASE」ではオリジナルパッケージ印刷の「canal」と連携しています
・梱包で満足度を高めるためにしておきたい工夫
大手配送会社5社を徹底比較
ではさっそく、国内の大手5社について、特徴や料金などを比較してみたいと思います。
ちなみに、ここで紹介している価格は、あくまでもホームページに掲載されている通常価格です。
多数の配送物が見込まれる場合には個別契約をして、通常価格より安価で配送を行える可能性もあります(ただ最初はどれくらいの出荷数を見込めるかわかりませんので、通常価格を参考にしていただくといいと思います)。
なお、のちほどくわしく紹介しますが、ヤマト運輸は「BASE」とサービス連携しており、非常にスムーズに商品の発送作業を行うことができますので、ぜひ検討してみてください。
日本郵便

日本郵便は、郵便局と日本郵便事業者が統合して2007年に設立された会社。日本郵便では「ゆうパック」という名称で配送サービスを提供しています。
サイズは縦・横・高さの合計が60cm以内の60サイズから、170cm以内の170サイズまで、7段階にわかれており、サイズと配送地域によって値段が変わります。重さは25キロ以下に限られます(60サイズの最低価格が630円)。
「ゆうパック」の公式サイトで、実際の条件を入力して運賃を見積もることも可能です。
「ゆうパック」だけでなく、さまざまな配送手段がある
日本郵便が提供しているのは「ゆうパック」だけではありません。
A4サイズの荷物を全国一律370円もしくは530円で配送できる「レターパック」や、生鮮食品などに使える「チルドゆうパック」、25kgを超え30kg以下の「ゆうパック」を届ける「重量ゆうパック」
など、用途に合わせてさまざまな配送方法があります。
ゆうゆう窓口やコンビニエンスストアを利用すれば、24時間発送可能
「ゆうパック」は基本的に郵便局から発送するものですが、ローソンやミニストップなどでも「ゆうパック」の差し出しが可能です。
そのため、集荷に来てもらうほどでもない荷物や、土・日に発送したい荷物があっても、スムーズに発送業務が可能。
このほか、「ゆうパック」には損害賠償制度などさまざまなサービスがありますので、公式ホームページで詳細を確認してみてください。
ヤマト運輸

ヤマト運輸では、発送荷物のことを「宅急便」と呼びます。
こちらも「ゆうパック」と同様に、縦・横・高さの合計のサイズと配送地域によって料金が異なります。価格については、ホームページで見積もることが可能です。
クロネコメンバーズ割引が非常にお得
ヤマト運輸にはクロネコメンバーズという会員制度があり、この会員であればさまざまな割引制度が受けられます(たとえば、クロネコメンバー割で10%OFF、直営店への持ち込みで150円割引など)。
これらの割引を上手く活用すると、他社よりも安く配送できる場合もありますので、ぜひ確認してみてください。
「宅急便」以外にも、さまざまな配送方法
ヤマト運輸では、「宅急便」以外にも用途にあわせて使いやすい配送サービスが用意されています。
とくに「宅急便コンパクト」という、60サイズよりも小さな荷物を送るさいに利用できる発送方法は、非常に安価に商品の発送が可能です。その他にも「ゆうパック」と同じような配送方法が網羅されています。
コンビニから送ることも可能
ヤマト運輸でも、もちろんコンビニから荷物を送ることも可能です。とくにヤマト運輸の場合は、店舗数の多いセブン・イレブン、ファミリーマートから宅急便を送れるため、非常に便利です。
発送方法に関してはこちらをご確認ください。
「BASE」との連携で非常に使いやすい

また「BASE」にはヤマト運輸と連携した発送支援アプリ「かんたん発送 App」があります。
安心追跡・保証付、全国一律の配送料金、面倒な宛名書きは一切不要。ファミリーマート店頭端末やヤマト営業所の端末で、発送のさいの送り状をQRコードから発行し、その場で発送することができます。
「ネコポス」「宅急便コンパクト」「宅急便」の3つの配送方法を選択することができ、送料を売上金から自動で引き落としが可能なので、お支払いの手間が省けます。
時間をかけずにかんたんに配送を済ませるなら、「BASE」で「かんたん発送 App」の利用がおすすめです! くわしくは「発送にかかる手間をなくす支援アプリ、「かんたん発送(ヤマト運輸連携)App」って?」という記事をご確認ください。
佐川急便

佐川急便では、発送荷物のことを「宅配便」と呼びます。
「宅配便」は縦・横・高さの合計が60cm以内の60サイズから、260cm以内の260サイズまで、11段階にわかれています。重さは2〜50キロまで対応しています。このサイズ・重さ・配送地域によって値段が変わります。
詳細については、<佐川急便>のホームページで確認することができます。
多様な配送手段
佐川急便は他社よりも配送手段の多さが目立ちます。「宅配便」以外にも、衣類をハンガーにかけて輸送できる「ハンガー便」や、北海道から沖縄に翌日届けられる「飛脚航空便」など。
また、車一台を貸し切って輸送できる「チャーター便」などもあり、非常に柔軟に荷物を配送することが可能です。精密機器輸送サービスなどもあるので、配送に気をつけたい方は<佐川急便>を検討してみるとよいかと思います。
コンビニ発送は対応していないので注意
ここまで紹介した日本郵便とヤマト運輸の場合、コンビニでの配送受付も可能でしたが、佐川急便は集荷に来ていただくか、営業所に持参するかのどちらかの方法しかないので、注意が必要です。
営業所に関しては、こちらで検索可能です。
西濃運輸
西濃運輸は「カンガルー便」と言えばイメージがつく方も多いと思います。西濃運輸では発送荷物のことを「カンガルー便」と呼びます。
「カンガルー便」には「ミニ便」と「特急便」があり、1個口で20kg以下の荷物は「ミニ便」、20kg以上や2個口以上の荷物は「特急便」、という扱いになっています。
「ミニ便」の運賃は縦・横・高さの合計のサイズと配送地域、重さによって異なります。くわしくはこちらからご確認ください。
「特急便」に関しては大きさの指定はなく、重さと配送距離で値段が決まります。重量はなんと1,500kgまで対応可能で、他社とは比較にならないくらい大型荷物にも対応できる点がポイントです(価格表はこちら)。
基本的に法人向けのサービスメイン
実際にWebサイトをみていただくとわかりますが、西濃運輸のサービスは、基本的に法人を想定したサービスが多いです。コンビニなどでの配送受付もできません。
一方、法人であれば、物流改善サービスや商業施設への配送など、さまざまな支援を用意していますので、他社と合わせて一度見積もりや相談をしてみるとよいかと思います。
福山通運
福山通運は、2018年で創業70年を迎えた運送会社です。同社では発送荷物は「フクツー便」という名称で呼ばれています。
「フクツー便」は他社と同様、荷物のサイズ・重さ・配送先の3点で料金が決まってきます。サイズは160サイズが最大で、重さは30kgまで(価格表はこちら)。
法人向けサービスメイン
先ほど紹介した西濃運輸も法人メインでしたが、福山通運に関しても、法人向けがメインの商材となっています。たとえば、法人向けに「スペースチャーター便」
などがあり、パレット単位での輸送などが可能になっています。
また「ジェットオーバーナイトサービス」では、翌日の朝8時までに納品できるなど、ビジネスシーンで役に立つ輸送サービスが目立っています。
各社の配送料を比較!どこが安い?

さて、ここまで各社の特徴などをご紹介しましたが、ここでは一定の条件下で料金を比べてみて、どこがお得なのか、一覧で見てみたいと思います。
※なお、基本的にはホームページに記載された料金となっていますので、定期的に物量があり、個別契約などを結んだ場合は変わる可能性があります。
60サイズ料金比較
今回は、配送荷物の一つの基準ともなる、60サイズ荷物の価格を比較してみました。※配送先は同一都道府県内
配送会社名 | 重さ | 料金 |
---|---|---|
日本郵便 ゆうパック | 25kg以下 | 630円 ※持込 |
ヤマト運輸 宅急便 | 2kg以下 | 622円 ※持込、クロネコメンバー割 |
佐川急便 宅配便 | 2kg以下 | 770円 |
西濃運輸 カンガルーミニ便 | 2kg以下 | 847円 |
福山通運 フクツー便 | 2kg以下 | 990円 |
ご覧のとおり、今回の条件で算出すると、価格に関してはヤマト運輸と日本郵便がもっとも安い結果となりました。
とくに日本郵便に関しては、重さが25kgまででこの価格ですので、他社より圧倒的に安い価格感となっていることがわかります。
ただ、何度もお伝えしているとおり、物量や個別の交渉によって値段は変わってきますので、定期的に一定の物量が見込める場合は、連絡して交渉してみてください。
また、今回は同一都道府県内の配送料金を調べたものになりますので、配送先によって価格が変動します。その点もご留意ください。
ゆうパック 宅急便 どっちが安い?
よく聞かれる質問に「ゆうパックと宅急便どちらが安いのか?」というものがあります。そこでここでは、もう少し詳しく「ゆうパック」と「宅急便」を比較してみたいと思います。
※下記の料金は2021年4月時点での料金です。最新情報は「ゆうパック」「宅急便」それぞれの公式サイトでご確認ください。
またこちらの料金は割引などを計算せずに正規の値段で表示しています。実際には持ち込みなどによりさらに料金は安くなりますので、各社の公式サイトをご確認ください。
60サイズの料金
まず60サイズの料金ですが、両者の間にほとんど差はありません。すべての区間においてゆうパックの方が若干安くなっています。
60サイズ | ゆうパック | 宅急便(ヤマト運輸) |
---|---|---|
東京→東京 | 810円 | 930円 |
東京→北海道 | 1300円 | 1370円 |
東京→東北(宮城) | 870円 | 930円 |
東京→関東(栃木) | 870円 | 930円 |
東京→中部(愛知) | 870円 | 910円 |
東京→近畿(大阪) | 970円 | 1040円 |
東京→中国(広島) | 1100円 | 1150円 |
東京→四国(愛媛) | 1100円 | 1150円 |
東京→九州(福岡) | 1300円 | 1370円 |
東京→沖縄 | 1350円 | 1370円 |
120サイズ
120サイズも同様に、ゆうパックの方が割安の料金になっています。特に沖縄地方は料金差が大きいので十分に注意する必要があります。
120サイズ | ゆうパック | 宅急便(ヤマト運輸) |
---|---|---|
東京→東京 | 1530円 | 1610円 |
東京→北海道 | 2020円 | 2050円 |
東京→東北(宮城) | 1590円 | 1610円 |
東京→関東(栃木) | 1590円 | 1610円 |
東京→中部(愛知) | 1590円 | 1610円 |
東京→近畿(大阪) | 1690円 | 1720円 |
東京→中国(広島) | 1800円 | 1830円 |
東京→四国(愛媛) | 1800円 | 1830円 |
東京→九州(福岡) | 2020円 | 2050円 |
東京→沖縄 | 2170円 | 3040円 |
配送業者を選ぶさいのポイント

最後に、配送業者を選ぶポイントをお伝えします。単純に価格だけで選ぶのではなく、個別の条件に沿って検討していくことが重要です。
ポイント1:送るものによって使い分ける
今回各社の特徴で触れたとおり、配送方法にはさまざまな手段があります。
たとえば日本郵便では、小さくて軽いものを送る手段として、「クリックポスト」というものがあり、全国一律で198円で荷物を配送することが可能です。
一方で、大きいものや大量輸送をするさいには、西濃運輸や福山通運などにも相談してみるなど、送るものによって配送業者を柔軟に変えていくことが、料金を安くおさえるコツになります。
ポイント2:配送にかかる工数も考慮する
ここまで、料金の話ばかりしてきましたが、仮に料金が安くなったとしても、発送業務の工数が増えたのでは意味がありません。
もちろん料金が安いことは重要なことですが、「宛名書き」や「一個ずつ違う送料の計算」など、発送に関わる業務に時間を取られては本末転倒です。
たとえば「BASE」で連携している「かんたん発送(ヤマト運輸連携) App」を導入すれば、下記のように時間短縮も可能です。
・QRコードを使うことで、配送伝票を書く手間が省ける
・送料は売上金から引き落とされるため、発送時に送料の支払いが不要
・集荷依頼(+80円)※を行えば、指定住所へ集荷に来てもらえる
・離島もふくめ、全国一律で配送することが可能※2023年8月より料金改定しました。
このように、配送にかかる料金だけでなく、それに要する工数も合わせて配送業者を考えるのが重要です。
ポイント3:梱包サイズを見直してみる
配送業者を選ぶさいに、そもそも今の梱包サイズが最適なのか?を再検討してみてください。
たとえば、今回ご紹介したように、小さいサイズのものは各社ともにさまざまな配送プランを用意していますし、サイズの大きなものも、少しでも小さい方が配送料が安く済みます。
1個あたりの金額の差は小さくても、それが100個や200個と積み重なると大きな差になりますので、梱包サイズの見直しも重要なポイントです。
ポイント4:配送業者の業界シェアは頭に入れておこう
これは直接的には関係ありませんが、各配送業者の業界シェアは頭の片隅に入れておきましょう。業界シェアを知ることで、各社の強みなどを理解することができます。
なお、今回ご紹介する数字は「国土交通省平成30年度 宅配便等取扱個数の調査」からの引用です。
宅配便(トラック)取扱個数
配送会社名 | 構成比(シェア) |
---|---|
ヤマト運輸 | 42.3% |
佐川急便 | 29.3% |
日本郵便 | 22.1% |
福山通運 | 3.3% |
西濃運輸 | 2.8% |
宅配便(航空等利用運送事業)取扱個数
配送会社名 | 構成比(シェア) |
---|---|
佐川急便 | 19.5% |
ヤマト運輸 | 15.5% |
福山通運 | 1.3% |
日本通運 | 0.9% |
その他 | 62.8% |
メール便取扱冊数
配送会社名 | 構成比(シェア) |
---|---|
日本郵便 | 72.7% |
ヤマト運輸 | 24.1% |
ポストウェイ | 1.9% |
中越運送 | 0.7% |
佐川急便 | 0.5% |
まとめ|こんな記事もおすすめ!
以上、ネットショップ運営において重要な課題の一つである、配送業者について、比較しながら各社の特徴などをお伝えしました。
今回ご確認いただいたとおり、配送業者を選ぶさいには単純な価格だけでなく、さまざまな条件を加味して検討する必要があります。ぜひ、この記事を参考に検討してみてください。
\配送に関して知っておきたい情報!/
・ネットショップの送料の決め方決定版
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また、上記以外にも「BASE U」では配送に関する課題に関しても多数の記事を掲載していますので、あわせてご確認いただければと思います。