「ネットからリアルへ」では、「BASE」の常設店舗「SHIBUYA BASE」の出店オーナーズにその魅力をおうかがいし、ネットショップがリアルの場へと挑戦する意義をお伝えしていきます。
第8回は、<FUIUCHI>のオーナー・柏木さんにお話をうかがいました。
<FUIUCHI>は、女の子の気持ちに寄り添うオリジナルハンドメイド・セレクトアクセサリーを販売しているブランド。
Shop:https://fuiuchi.official.ec/
Instagram:https://www.instagram.com/fuiuchi_official/
目次
女の子の“不意”の可愛いをお手伝いしたい、<FUIUCHI(不意打ち)>
ーーブランドのコンセプトを教えてください。
いろんな感情があふれている、女の子のふとした瞬間ってとてもかわいいなと思っていて、そういう瞬間のなかに<FUIUCHI>のアクセサリーがあったらいいなと思っています。
かわいく着飾って「不意打ちを狙う」という意味でとらえていただくこともありますが、それも一つのかわいい瞬間だと思うので、間違ってはいないですね。
マイナスなことも肯定的にとらえ、自分に肯定的に生きてほしい、という思いがあるので、そんな女の子の気持ちを肯定するブランドでありたいです。
自分のセンスがどこまで通用するのか、挑戦してみたかった
ーーブランドを立ち上げたきっかけや、経緯について教えてください。
もともと大学では理系の勉強をしていて、アパレルの知識があったり物づくりが得意だったわけではありません。
でも、当時からInstagamに歌った動画を載せたり、<WEAR>などのSNSにコーディネートの写真を載せたり、自分を表現することが好きでした。社会人一年目のときに、自分の趣味やセンスがどこまで通用するのかチャレンジしてみたいとふと思い立ち、アクセサリー作りをしてみることにしました。
当時<WEAR>にコーディネート写真を載せていて、フォロワーが1万人ほどいたので、そこからアクセサリーを見て購入してくださった方が何人かいて、今考えるとそれが<FUIUCHI>の最初のお客様だったと思います。
思い切って会社を辞め、ブランド一本で生きていくことに
ーー社会人一年目のときにはじめたとのことですが、別のお仕事もされながらブランド運営も並行しておこなっていたのですか?
はい、広告代理店で働きながら、副業としてブランドを運営していました。
ちょうどそのころ、いろいろな理由で体調を崩してしまったのですが、それでも<FUIUCHI>の仕事は楽しくて続けられたことと、一人暮らしをしていて自分で生活を成り立たせる必要があったので、一度極限の環境に自分を置いてみようと思ったこともあり、思い切って会社を辞めることにしました。
ーー社会人一年目にして会社を辞めてブランド一本で生活していこうと決めたのは、すごく大きな決断ですよね。
そうですね。そのころはたくさん売れているという訳でもなく、会社からいただいていたお給料とちょうど同じくらいになったころだったので、ブランドだけで生きていこうと決めたのは、かなり大きな決断でしたね。
学生時代から対人関係が苦手で、社会人になってからは会社で働くことがすこし苦手でした(笑)。でも、会社で働いてから文章を書くことが好きになり、どうやったらお客様に商品をよいと思ってもらえるかを考えることも得意になったので、ウェブで物を売る仕事はわたしに合っているのかな、と思っています。
伸び悩んでいた時期も乗り越え、地道にやってきた
ーーブランド立ち上げから現在までに、なにかターニングポイントになるようなできごとはありましたか?
一度、モデルの方が購入してInstagramに掲載してくださって、そこからフォロワーがバッと増えました。当時、Instagramのフォロワーが5,000人くらいで伸び悩んでいましたが、一気に1万に近づきました。ファンの方がかなり熱狂的なので、そのモデルさんが身に付けているなら自分もほしい、と思ってくれたのではないかと思います。
1万フォロワーを超えてから現在までは、とても早かったです。インスタ広告などを活用して、ここまで地道にやってきました。
流行よりも、<FUIUCHI>ならではの世界観を大切に
ーー手作りのアイテムはどのようにデザインを考えていますか? インスピレーションを受けているものなどはありますか?
とくにこれと言ってインスピレーションを受けているものはなくて、直感で気になったパーツを買って、季節感や実際に女の子が身に付けるシーンを想像しながらデザインを考えていて、最近だとワクワクするようなカラー展開にこだわっています。
世の中の流行を入れるというよりも、<FUIUCHI>ならではの世界観をいちばん大切にしています。基本的にはわたし自身の好みを軸としていて、それをどうしたらお客様に気に入っていただけるかを考えています。
ーー柏木さんの好みを軸としているいうことですが、商品製作をふくめ,そのほかの作業などは、すべてご自身でおこなっているのですか?
はい。商品制作、商品写真の撮影、梱包、発送など、すべて私一人でおこなっています。
以前は1週間ごとに新商品を出しているときもありましたが、現在はありがたいことにかなり多くの注文をいただいていて、発送するまでに時間が掛かるようになってしまったので、新商品を出すペースがすこし遅くなっています。
かなり限界のところを走り続けているので、泣きそうになってしまうこともありますが、商品制作の部分は母にも頼りつつ、これからも家族のサポートのもと、一人で続けていく予定です。
ーー数あるプラットフォームのなかで、なぜ「BASE」を選んだのですか?
もともと「BASE」以外のサービスを知らなかったので、最初から今まで、ほかのサービスと比較することもなく使い続けています。
たくさんの機能やサポートがあり気に入っていますが、そのなかでもとくにポップアップショップの支援がいちばんの魅力だと思います。
以前出店させていただいた<渋谷マルイ>の「SHIBUYA BASE」や、<ラフォーレ原宿>の「BASE Lab.」では、出店手数料が安いことに加えて、什器がそろっていたり「BASE」の担当の方のサポートが手厚かったりと、ポップアップの経験がなかったわたしでも、安心して出店することができました。
ブランドだけでやっていくという気持ちを固められた「SHIBUYA BASE」
ーー「SHIBUYA BASE」に出店しようと思ったきっかけはなんですか?
「SHIBUYA BASE」に出店したのは、ちょうど会社を辞めたころでした。自分の中で「これからちゃんとブランドだけでやっていかなきゃ!」と思っていたときに、偶然募集しているのを見かけて、会社を辞めた年にオフラインでの販売に挑戦してみたい、と思い、申し込みました。
その当時、売上がまだそんなに高くなかったので、まさか審査に通るとは思わず、出店できることになって、とてもうれしかったです。
ーー出店してみて、いかがでしたか? なにか変化などはありましたか?
これからブランドだけでやっていく、という自分の気持ちを固められたイベントでした。
はじめてお客様にリアルで会えたことにとても感動して、これをきっかけに、もっといろんなお客様に会ってみたいと思うようになり、その後のオフラインでの販売につながりました。
今までの努力が報われた、あこがれの<ラフォーレ原宿>での「BASE Lab.」
ーーその後、<ラフォーレ原宿>の「BASE Lab.」にも出店されましたが、出店しようと思ったきっかけはどんなものだったのでしょうか?
以前、<ラフォーレ原宿>でアクセサリーブランドが商品を販売しているのを見たときに、ブランドの世界観がしっかりと出ていて、店内がかわいくていいな、と思っていました。
もともと<ラフォーレ原宿>という施設にあこがれがあったこともあり、出店のお誘いを受けて、すぐに出店を決めました。
ーーーー出店してみて、いかがでしたか?
ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大が問題になっているときだったので、お客様が全然来ないものだと思っていたのですが、実際にオープンしてみると、列ができるほどたくさんのお客様が足を運んでくださっていて、かなり驚きました。
今までの地道な努力が報われたような気がして、うれしかったです。こんなに楽しみに待っていてくれる方がいるなら、全国各地さまざまな場所で開催してみたい、と思うようになり、今後のモチベーションにもつながりました。
そして、今までは個人事業主としてブランドを運営していましたが、「BASE Lab.」出店後に税理士の方と相談のもと、法人化することになりました。
これからもがんばるぞ、という決意の法人化
ーーそうなんですね、おめでとうございます! 法人化して、なにか変わったことはありますか?
もともと、会社というのは自分にとって遠い存在だと思っていたので、法人化を目指していたわけではないのですが、税理士さんと話し合って決めました。
これからもがんばってやっていくぞ、という自分自身の決意でもありますし、前職を辞めたときに心配を掛けた両親や会社の方々に、目に見える形で成長を見せることで感謝の気持ちを伝えるというか、ここまでできたよ、という報告をしたかったという気持ちですね。
そして、ほんとうはこういうブランド運営を目指している女の子の目標にもなれたらいいな、という気持ちもあって、ゆくゆくは女の子のサポートなどもできたらいいな、とひそかに思っています。
オフラインでの販売も続けながら、新しいブランドにも挑戦
ーー個人として、またブランドとして、今後の目標や計画はありますか?
ポップアップについては、半年に1回ほど開催していけたらいいな、と思っています。今後も都内だけに限らず、名古屋や大阪、福岡など、全国各地で開催していきたいですね。
そしてじつは、夫といっしょに<FUIUCHI>のテイストのインテリアショップを、姉妹ブランドとしてオープンしようと計画しています。
アクセサリーの販売は今後も継続していくつもりですが、新しいことにも挑戦してみようと思っています。
<FUIUCHI>としては、今後も自分の見える範囲で、自分のペースで続けていきたいです。昨年はコロナ禍でポップアップの開催が叶わなかったので、今年は落ち着いたらいろんなところで開催していきたいです。