日常に、海の文化を。海を身近に感じる、<うみはく>のオリジナルグッズ

博物館や美術館、画廊を鑑賞、観覧したあとに思わず寄りたくなる、ミュージアムショップやグッズショップ。
じつは、現地だけではなく、ネットショップでも購入することができるんです。

今回、BASE Uでは「ネットショップで触れる 文化の秋」と題し、BASEでネットショップを運営いただいている博物館や美術館、画廊へインタビューをおこないました。

今回、お話をうかがったのは、<うみはく>こと、<鳥羽市立 海の博物館>事務局長の石原 真伊さん。


<海の博物館>ミュージアムショップにて、うなぎのぬいぐるみを持つ石原さん

<海の博物館>は、海女や漁、木造船など海に関わる民俗資料を所蔵する博物館です。ミュージアムショップでは、博物館オリジナルで作られたグッズを中心に、海の文化にまつわる商品や書籍を扱っています。

ネットショップをはじめるか、迷いがあった」と石原さん。<うみはく>のオリジナルグッズのこだわりや、ネットショップをはじめられた経緯についてうかがいました。

手づくりの海の道具をはじめとする、海の文化を後世に

ーーまず、<海の博物館>について教えてください。<うみはく>は、石原さんのお父様により、民間の博物館としてスタートしました。

<海の博物館>は、海女や漁師、漁村で生活する人たちが使用してきた漁撈(ぎょろう)※用具や木造船、生活道具類などを幅広く収集し、展示している博物館です。
おっしゃるとおり、わたしの父が、昭和46年に立ち上げました。

※ 魚貝や海藻などの水産物を採ること。


海の博物館玄関。建物自体も、日本建築学会賞や全国公共建築百選に選ばれるなど、価値の高い建造物となっている

父がこの<うみはく>を立ち上げた昭和46年ごろは、ちょうど漁村で使う道具類が、プラスチック製に変わりはじめたころなんです。
そのため、プラスチック製の道具や生活用品が、昔ながらの手づくりのものと、ちょうど世代交代しつつありました。
そこで、失われつつあった、天然素材を使った手づくりの道具を、伝統的な文化として後世に残していく・保存するための博物館でもあるんです。

2018年からは、鳥羽市立の博物館として、引き続き多くの方にご来訪いただいています。


博物館内部。木造船など、昔ながらの海と人間の営みを感じることができる

ーー石原さんは事務局長であると同時に、ミュージアムショップの運営もご担当されています。運営を担当されるようになった、いきさつを教えてください。

父が館長を務めていた博物館、というのもありますが、もともと子どものころから博物館や美術館が好きで。
以前は東京の美術館のミュージアムショップに勤めていたこともあるんです。
なので、その経験も生かしつつ、ミュージアムショップの運営をしていますね。


博物館内にある、ミュージアムショップ。海にまつわるグッズや関連商品が多く並べられている

オリジナルグッズで、「海の文化」を持ち帰ってもらいたい

ーー<うみはく>のミュージアムショップには、三重県の海の文化にまつわるオリジナルグッズが数多く販売されています。
こうしたグッズは、どのように生まれたのでしょうか?

基本的には、ショップの運営メンバーのアイデアから生まれたものが多いですね。
ミュージアムショップ自体、30年ほど前から続いていますが、「ショップのオリジナルグッズに力を入れたい」というのは、ずっとありますね。
なので、オリジナルグッズのなかで、ずっと販売しているものや最近新しく開発したものもあります。

たとえば、うなぎのぬいぐるみ。

TwitterなどのSNSで取り上げるたびに、リツイートなどでよく話題にしていただく商品ですが、じつは30年前からあるんです。


実店舗でも人気のうなぎのぬいぐるみ

30年前の当時はすべて手づくりで作られていて、目がぎょろぎょろ動くデザインだったんです(笑)。
いまでは、ロングセラー商品となっています。

また、大漁旗※を使ったサコッシュや、がま口の財布は、大漁旗という大きな布を「いかに無駄なく商品化できるか」を考えて制作しました。


ショップでも人気の大漁旗を使ったサコッシュ

※ 大漁旗(たいりょうばた)とは、新造船の進水祝いなどに贈られる、漁船が大漁で帰港するさいの印として掲げる旗のこと。
また、お正月や祝日にも掲げられる縁起物としても扱われる。

ーー大漁旗は、実際に使われていた旗なんですか?

そうです。大漁旗にまつわる企画展のさいに、地元の漁師さんや海女さんにいただいたものです。
もちろん、文化的な価値が高いものや、めずらしい柄の旗は収蔵物として保管しています。そのなかでも、同じ柄が複数枚ある旗は、ミュージアムグッズとして、リメイクして販売しています。


色とりどりの大漁旗

ほかにも、海女さんの生活を描いたメモロールや、海女さんが魔除けとして使う「セーマンドーマン」を用いた手ぬぐいやステッカーなど、海の文化や風習をモチーフにしたグッズを販売しています。


海女さんの暮らしがわかるメモロール


セーマン・ドーマンがモチーフの手ぬぐい

ミュージアムグッズが、<海の博物館>で触れた三重県の海の文化や風習を、思い出すきっかけになれば、と思っています。
そのために、生活に取り入れやすくて、かつ「<うみはく>ならではのグッズ」になるように心がけていますね。

最初は迷いがあった、ネットショップ開設

ーー<うみはく>で触れた海の文化を日常生活に取り入れられるのは、いいお土産になりますね。
ネットショップをはじめられたきっかけはなんだったのでしょうか?

大きなきっかけは、やはりコロナですね。

緊急事態宣言で、この博物館も1ヶ月以上、臨時休館していました。
それ以降、なかなか来館者数も戻らない状態が続きました。

外出しづらい状況のなか、やはりオンラインショップがあれば、お客様も買いやすいだろう、ということで開設を決めました。
開設するか、とても迷ったんですが(笑)。

ーー迷われた理由はなんだったのでしょうか?

博物館の運営自体、ずっとアナログでやってきて、「ほんとうにネットショップが開けるのかな?」と思ったことが大きいです。
また、博物館での決済方法は、クレジットカードを導入していません。その点で、決済についても対応できるのか、不安がありましたね

じつは、ネットショップ開設のきっかけとなったできごとが、コロナ以外にもう1つあります。

2020年の4月に、ミュージアムショップで販売している「アワビ貝ピンバッチ」を新聞で取り上げていただいたことです。


アワビの貝殻を再利用し、真珠の玉をのせたアワビ貝ピンバッチ。売り上げの一部は、三重県鳥羽志摩の海女さんたちに寄付される

それをきっかけに、お問い合わせが急増して。
そのときは、まだネットショップを開設していなかったので、すべてお電話で注文をお受けして、発送していました
時期的に、緊急事態宣言で休館していたので、職員総出で対応していましたね。

お電話でのご注文だと、営業時間のみに限られてしまいますし、職員も通常業務に戻ってしまえば、対応もむずかしくなる。
また、決済方法についても、「クレジットカード決済をしたい」というお声も多くあったので、ネットショップ開設に踏み切りました。

ネットショップが、博物館を知ってもらうきっかけに

いまでは、以前来ていただいた方だけでなく、博物館へ来たことはない方もネットショップを通じて、グッズを購入いただいています。

ぜひ博物館にも行きたい」という声も多くいただくので、ネットショップから博物館のことを知っていただけているようで、とてもうれしいです。

ーー最後に、今後の予定や展望を教えてください。

アーティストの方とコラボして、<うみはく>のオリジナルグッズを出したいですね。
いろんな方に興味をもっていただけるような、発信力のある方といっしょに、多くの方に楽しんでいただけるグッズを作れたら、と考えています。

インタビューを終えて

三重県の海の文化や風習、そして伝統的な漁や海女さんが使う道具を後世に残す<海の博物館>。
ミュージアムショップに置かれるグッズは、うなぎのぬいぐるみといったキャッチーな商品から大漁旗や海女さんの魔除けなど、本格的な海の文化に触れることができるものまで、多種多様です。

そこには、「海の文化・風習を持ち帰ってもらいたい」という石原さん、そして<うみはく>の想いがあります。
その想いは、ネットショップによって、より多くの方に広がっています。

遠方でも、グッズが買える。
グッズが買えることで、よりいっそう、博物館へ行ってみたくなるーーミュージアムグッズを通じた、素敵な「想いの循環」をうかがうことができました。

ショップ情報

この記事の執筆・編集者

BASE U編集部
ネットショップ作成サービス「BASE」が運営しているオウンドメディア「BASE U」の編集部です。 BASEに関する新機能の情報やオーナー様のインタビュー、そしておすすめの商品・ショップ情報を通して、ネットショップ運営に役立つ情報をお届けします。

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