新型コロナの感染拡大で、時短・休業要請など、苦しい立場にある飲食店。
テイクアウトやデリバリーに活路を見出している例がある一方で、ECサイトを活用して売上を拡大させているお店もあるのをご存じでしょうか?
そのひとつが、東京・新宿区で3店舗を展開している<焼肉ヒロミヤ>。
創業以来、リーズナブルで上質な焼肉が味わえると好評を博し、2年先まで予約が埋まっているほどの人気店です。
そんな超人気店がECサイトを立ち上げたのは、2019年。
店舗営業でたくさんのお客様を集めている「ヒロミヤ」が、あえてネット販売に参入したのはなぜなのか。そして2021年現在も、「BASE」でECサイトの運営を続けている理由とは……?
<焼肉ヒロミヤ>ネットショップ運営担当の石井さんに、お話をうかがいました。
ショップ名:<焼肉ヒロミヤ>
運営会社 :<株式会社広味屋>
創業 :2007年
運営スタッフ数:3人
目次
大人気のお店なのになぜ?<焼肉ヒロミヤ>がECに参入した理由とは
―― <焼肉ヒロミヤ>さんの焼肉は、リーズナブルでおいしいと評判ですね。
当社では、メニューをお一人様7,000円(税別)のコースに絞っています。ドリンクはセルフサービスにするなど、オペレーションを合理化。そのぶん、お肉にコストをかけているのが支持されている要因ではないでしょうか。
<焼肉ヒロミヤ>のメニュー。2時間の「焼肉コース」のみを提供する。※緊急事態宣言中はアルコール提供ができないため、6,500円で提供。
お肉に関しては、脂の融点が低く、肉質のキメが細かい和牛の雌牛を厳選し、一頭まるごと仕入れて、自社で下処理しています。部位ごとにカットの仕方を変えるなど、おいしさのための手間を惜しんでいません。
また、お店のアットホームな雰囲気も親しんでいただけているのではないでしょうか。
店内はこぢんまりと、落ち着いた空間
―― 予約も2年待ちだそうですが、そのような状況でなぜ、ECサイトをオープンしようと考えたんですか?
「2年待ちだからこそ」というのが大きな理由です。
「ヒロミヤ」は、新宿区内で3店舗を展開するのみであるため、たくさんのお客様を迎え入れることができません。
曙橋の3号店を例に取ると、予約をお受けできるのは、平日で最大10組30名様まで。こうした事情もあり、遠方に住んでいたり、予約が取れなかったりして、当店の焼肉をなかなか食べられない、というお客様が少なくなかったのです。
また、日々営業をしていると、どうしても余ってしまうお肉が出てきます。ひき肉などに使用することはできますが、「なんとかしたい」という思いを持っていました。
こういった背景から、2019年の秋に「BASE」でECサイトを立ち上げるに至りました。
「『BASE』の魅力」それは、スピーディーな入金サイクル?
――『BASE』でECサイトを運用されてまもなく2年になりますが、実感しているメリットはなんでしょうか?
実感しているメリットは、入金がとてもスピーディーなところですね。商品が売れて、「BASE」に振込申請をすれば、10営業日で指定の口座に振り込んでもらえるのは、大きなメリットだと思います。
飲食店にとって、売掛金が増えるのは好ましくありません。「当月末締めの翌月末払い」など、入金サイクルが長めの場合、ECサイトでの売上が拡大するほど、売掛金がふくらんでいくことになってしまいます。
その点、「BASE」は安心して利用できますね。手数料はかかりますが、「お急ぎ振込」を利用すれば、翌営業日に入金してもらうことも可能なのも、心強いです。
「BASE」の魅力を語る石井様
――お店の資金繰りを圧迫せず、売上をすぐに受け取れる点がポイントなのですね。サイトの使い心地はいかがでしょうか?
「BASE」はムダな情報がなく、誰でも使えるシンプルな操作性も魅力だと思います。
毎日、午後3時ごろに管理画面をチェックし、注文を取りまとめていますが、受注内容やお客様の氏名・住所など、必要な情報にすぐアクセスできるのがいいですね。
特にその日仕入れたお肉をスマホで撮って、商品説明を記入するだけで、すぐに販売できるところは「BASE」の最大のメリットですね。
ページの更新もかんたんで代表をふくめ、ほかの社員も使いこなしていますよ。
――シンプルな操作性が手伝って、ECサイトが「担当者任せ」にならず、みなさんで運営できているのですね。お気に入りの機能はありますか?
個人的に気に入っているのは、レビュー機能です。
ときにはお叱りをいただくこともありますが、「今まで食べたどんな肉よりも、やわらかくておいしかった」「月に1回は食べたい」「コロナ禍が終わっても、通販は続けてほしい」など、お客様からの喜びのコメントを見るのはうれしいですし、モチベーションになります。
お客様からのコメントを通して、「ECサイトをはじめたのは正解だったんだ」と実感しています。
高評価が並ぶレビュー
コロナ禍前から準備していたEC。「BASE」を選んだのは、「固定費ゼロ」が決め手
――ショップの開設に向けて、いろいろと準備することがあったかと思いますが、「BASE」を選ばれたのは、どのような理由だったのでしょうか?
代表が、最初から「BASE」に決めていました(笑)。
Googleで検索して上の方に出てくるのが「BASE」だし、著名人がCMに出ている安心感もあった。と聞いています。
ただ、決め手になったのは、「固定費がかからない」ということだったそうです。
ECサイトの開設ははじめてでしたし、「売れるかどうかわからない」という不安を抱えながらのスタート。
このような理由から、月額費用・初期費用がゼロで、取引が成立したときにだけ手数料がかかる仕組みなのは、大きいですよね。
―― サイト作りには、どのくらいの手間と時間がかかりましたか?
時間にすると、1時間くらいだったと思います。スマホで写真を撮って、情報を入力して……。
とくに説明なんかも読まずに、触りながら操作を覚えていった感じです。代表も当初から、「『BASE』、ええでー」と気に入っていた様子でした(笑)。
「BASE」で作成したECサイト
ただ、ショップの作成よりも大変だったのは、商品を準備するところでしたね。
―― ECサイトがオープンしたのは、2019年の秋ということでしたが、どういった準備が必要だったのでしょうか?
まず、店舗とは別に、仕込み専用の厨房スペースを確保。真空包装機などの設備も導入し、2019年10月ごろに仕込み場が完成しました。
同時に、食肉販売業の営業許可証の取得など、保健所への諸々の申請もおこないました。これは非常にスムーズで、1週間ほどだったと記憶しています。
趣のある店内
商品に関しては、お客様に最高の状態で味わっていただくため、適度な大きさでカットするのはもちろん、肉同士がくっついて変色しないように包装する、冷凍の状態で発送しても、変色や味の劣化が少ない肉を選ぶなど、さまざまな工夫を重ねました。
“待っているお客様のために” お店のコースを再現したセットが、コロナ禍の売上を支えた
―― 販売の滑り出しは好調だったそうですね。
ECサイトオープン時には、2万人以上のフォロワーさんがいる公式Twitterやホームページで告知しました。おかげさまで、商品情報をアップするたび完売する状況が続きました。
単品の販売好調を受けて、2020年春、店舗で提供しているコース焼肉を再現したセットの開発に着手することになりました。
お店の味を再現したコース焼肉セット
――販売するたびに、数分でなくなるような人気商品になったそうですね。
はいありがたいことに、商品が間に合わないくらいの人気商品になりました。ただ、開発は試行錯誤の連続でした。
というのも、店舗で炭火を使って肉を焼くと、脂が自然に落ちていきますが、家庭でのフライパン調理ではそうはいきません。
できるだけ脂身の少ない肉を使用して、味付けの仕方も工夫。実際にフライパンで焼いて試食し、ベストな形を探りました。
「タレに漬けてから焼いて」「さっと炙(あぶ)って」など、焼き方や味わい方を肉ごとに解説した説明書も添付。1ヶ月の開発期間を経て、家庭でもおいしく召し上がっていただけるセット(2人前・10,800円)が3月に完成しました。
――3月というと、コロナ禍がはじまる少し前だったのでしょうか?
はい、この商品を発売した後すぐ、新型コロナウイルスによる一度目の緊急事態宣言が発令され、店舗の営業ができなくなり、休業期間はECサイトに注力することにしました。
店舗のスタッフに作業を手伝ってもらったりして、EC用商品の生産体制を増強。ダンボールやシールなど、梱包・包装資材も確保しました。
ピーク時は、150~200セットがわずか3分で完売になる日も。宣言解除後も、店舗でグループのお客様のキャンセルが続出する中ECサイトは、事業の柱の一つになっていきました。
おかげで、そのあとの度重なる飲食店への時短・休業要請、アルコール提供の自粛要請などがあっても、ECサイトが収益の一助になっています。
とくに、SNSで影響力のある方の目に留まると、急激に販売が伸びることもあり、ネットのパワーを感じていますね。一方、商品が足りなくなり、お客様をお待たせしてしまうのがうれしい悩みのひとつです。
飲食店にとってネットショップは、より多くの人にお店の味を伝える大切なツール
―― ECサイトで商品を購入してくださるのは、どのようなお客様ですか?
やはり、Twitterのフォロワーさんが中心だと思います。当初思い描いていたとおり、「<焼肉ヒロミヤ>は知っているし食べてみたいが、予約がとれない」という方にご好評いただいています。
店舗のある都内のみならず、北海道から沖縄まで、日本全国から注文がありますね。ご自宅用はもちろん、贈答やプレゼント用にお求めになる方も少なくありません。
一度購入してリピートしてくださる方や、店舗に何回も訪れていて、通販でもヘビーユーザーになってくださる方も多いですね。そういうお客様がいるから、継続できていると思います。
―― 当初掲げていた「待っている方にお届けしたい」という想いが、ECによって実現されているんですね。そんな<焼肉ヒロミヤ>さんから見て、ECサイトはどんな飲食店に向いていると思いますか?
飲食店にとってECサイトは、実店舗のおいしさを伝えるための大切なツールだと思うんです。
そのため「より多くの人に食べてもらいたい」「お店の味を知ってほしい」という想いを持っている飲食店なら、どんなジャンルでもチャレンジしてみる価値はあると思います。
とくに、スイーツや餃子などのテイクアウトに適した商品、行列になるような商品は向いているかもしれません。
「並んでいる」ということは、それだけ「待っている方」がたくさんいるので、ECサイトを活用することで、より多くの方に自慢のおいしさを届けられるのは、お店にとってもプラスになると思います。
―― 最後に、ECサイトのこれからの展望を教えてください。
新しい商品を開発して、利用いただいているお客様を飽きさせないことが大切だと思っているので、アイデアが浮かんだら、すぐ実行に移したいですね。
たとえば、日々の生活に追われているワーキングマザーの方々に向けた、「ちょっとした贅沢」を味わえるような商品。
今よりリーズナブルな価格で、値ごろ感のある肉を提供して、幅広いお客様にアプローチしていきたいと思っています。
■あとがき
押しも押されもせぬ人気店、<焼肉ヒロミヤ>。ECサイトを立ち上げた背景には、「多くのお客さまに<焼肉ヒロミヤ>の味を届けたい」という思いがありました。
活用したのは、「固定費ゼロ」「短い支払いサイクル」の「BASE」。飲食店にとって大切な、キャッシュフローのバランスを崩さずにECサイトを運営できる安心感が、続けられる理由の一つ、と言えそうです。
また「お店の味を伝えるツール」とおっしゃっていたように、ECサイトは多くの人に、おいしさを届けることができます。それは、きっと飲食店のビジネスチャンスを拡大させるはず。
「まずはやってみる」、「BASE」ならそれが可能です。無料で、シンプルでわかりやすい「BASE」を活用して、あなたのお店の味を、ぜひ全国のみなさんに知っていただきましょう。
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※2024年1月16日より料金を改定しました。表記は、年払いで支払った場合のひと月当たりの料金。年払いでの総額は、198,960円/年。