やってみたら、違う未来が見えてきた。 「じつは、EC専用の商品なんて必要なかった」 リアルでモノが売れない時代、ものづくり企業が「BASE」で成長できた理由。

更新日 : 2020/10/22
投稿日 : 2020/09/17

日本の高度成長期を支えてきた、ものづくり企業。

豊富な経験と確かな技術がありながら、経営危機に直面している企業がすくなくありません。「何か打開策を考えなければ」そう考えたときに、思い浮かぶのがネットショップではないでしょうか。

とはいえ、「まず何からはじめればいいかわからない」「何を売ったらいいのかわからない」という声もあるでしょう

創業約100年の<河野印刷所>も、長年、企業向けの販促物を製造・販売してきました。

ところが、一念発起してECサイト<だいし屋>を開設。既存の事業をそのままスライドさせ、個人のクリエイター向けに台紙や箱を販売して売り上げを伸ばし、B to C事業の売り上げを拡大しています。

老舗ものづくり企業がなぜECをはじめたのか、不安や苦労はなかったのか。<だいし屋>ディレクターの神崎恵美子さんにお訊きしました。

 <だいし屋>ディレクター・神崎恵美子さん

<だいし屋>というショップ名で、おもにインターネット通販でアクセサリーの台紙や値札、ギフトボックスなどを販売。OEMやオーダーメイドも請け負い、ハンドメイド作家や小売店から厚い支持を得ている。運営は、大正13年創業の<有限会社河野印刷所>。

・ショップ名:だいし屋(https://daishiya.theshop.jp/
・運営会社:<有限会社河野印刷所>
・創業:1924年(大正13年)
・従業員数:7人(内うちEC担当: 2人)

廃業寸前の家業を再生!次の一手は「絶対にやりたかった」EC

<有限会社河野印刷所>の印刷機械

ー<だいし屋>の母体は、もうすぐ創業100年となる、かなり歴史ある印刷会社だそうですね。創業当初はどんな事業をおこなっていたのですか?

大正13年に、現社長のひいおじいさんとひいおばあさんが印刷会社をはじめたそうです。

創業当時は、販促物のシール印刷を請け負っていました。その後、当社の周辺に貴金属関連の会社が多かったご縁で、ジュエリーの台紙なども扱うようになりました。

デパートの催事のはじまりや高度成長期に合わせて、事業を拡大していったと聞いています。

ーまさに、下町のものづくり企業ですね。経営は順調だったのでしょうか?

それが、そうでもなくて……先代の時代に廃業しかけていたようです。その噂を聞いた現社長が、当時働いていた海外から戻り、会社を継いで立て直したんです。

そこで、起死回生の策で作ったのが、今では一般的な紙製の台紙と、ピアスやイアリングの台紙につけるプラスチックのフックです。

これを使うことで、今まで平置きだったピアスを棚に掛けて陳列できるようになり、お店の坪効率が格段にアップしました。これが、メガヒットしました。

ピアスやイアリングの台紙につけるプラスチックのフック

ーよく見かけます! こちらが発祥だったとは、驚きました。

このフックと営業の成果で借金返済のめどが立ち、おかげさまでその後は順調に発展してきましたが、満を持して乗り出したのがECでした。

ーそこでECですか? せっかく持ち直したのであれば、そのままB to B事業を拡大していけばいいように思えますが……。

社長のアメリカ留学での経験が大きかったようです。

まだネットが普及しておらず、Amazonもなかった時代、社長はいち早くパソコンを購入し、四六時中ネットサーフィンにハマっていたそう。

そのなかで、たまたまオンラインショップで花を見つけて、日本で入院している祖母に送ってみたんです。日本に送れるかどうかも半信半疑で……。

でも、2週間後に本当に生花が届いて、病院中がざわついたのだとか(笑)。

インタビューに答える神崎さん

ーー看護師さんが驚く姿が想像できます(笑)。

社長はそのときの経験が強く印象に残っていて、日本に帰国後、花がどうやって送られたのかをたどり、そのアメリカのオンラインショップとつながっていた日本の会社に感謝の言葉を伝えることができました。

そんな強烈な体験があって、「ECとともに生きていきたい! いつか絶対にECをやる」と決めていたそうです。

「ECはネットがつながっているエリアで、すべての人を幸せにできる可能性がある」と。

先代のころから「とにかくやってみる」を大事にしながら、つねに新しいことに挑戦してきた会社なんです。

EC専用の商品はない。本業をスライドさせて「BASE」をはじめてみた

<だいし屋>の事務所内の様子

ーECをはじめた当初から、台紙を販売することは決まっていたのですか?

いえ、私が提案しました。

私は以前、当社の取引先で働いていたんです。そのとき、海外にアクセサリーの台紙を発注しても、なかなか届かなかったり、粗悪なものが届いたりすることが多くて……。

そんなときに当社に頼むと、かならず高品質なものを最短で仕上げてくれたんです。その経験が、頭にずっと残っていて。そんな同じ思いをしている人たちが、もっといるんじゃないかと思いまして。

ーそれで、台紙に需要があると見込んだんですね。本業と同じものを販売するのであれば、ECはグッとはじめやすくなりますね。

その通りです。EC用にわざわざ商品を開発する必要はなくて、本業をそのままスライドさせればよかったので、私たちもECをはじめることに不安はありませんでした。

ーECは、最初から「BASE」を使われたんですか?

最初は、ハンドメイド通販サイトやオンラインショッピングモールを使っていました。

でも、モールはルールが決まっていて、モールの外にはなかなか広がっていきませんでした。

「やっぱり自社サイトがほしい」という話になったとき、たまたま「『BASE』がかんたんでいい」という話を聞いて、自分たちでもやってみることにしたんです。それが、2017年の終わりごろです。

ー自社サイトを作るとなると、ホームページ制作会社に頼むのが一般的ですが、なぜ「BASE」を選ばれたのでしょうか?

当時はまだオリジナル商品もすくなく、凝ったサイトは必要なかったんです。

「BASE」はすでに実績があったので安心できましたし、初期投資が最小限ですむのも魅力的でしたね。

ーはじめてのECとなると、HTMLなどいろいろなことを勉強されたんじゃないですか?

いえ、全然! 「BASE」は必要なものがすべてパックになっているので、すごくはじめやすいんです。

ネット関連の本を読みあさらなくても大丈夫でした。

当社では最初にウェブデザイナーにデザインを依頼しましたが、こみいったページを求めなければ、誰でもすぐサイトが作れますし。

ともかく使い勝手がいいので、EC未経験でも操作しやすいと思います。

 

離島や道の駅からも注文が! EC好調でB to C事業の売上が拡大

パソコンを操作する神崎さん

ー実際「BASE」を使ってみて、どんな効果がありましたか?

お客様がすごく増えました! 

日本全国、北海道や石垣・宮古島など、各地の離島からも注文が来ます。個人や企業のほか、真珠の養殖場や道の駅からもオーダーがあり、おどろいています。

ーほんとうに、北から南までですね! B to B事業だけだったら、ぜったい出会えなかったお客様ですね。

そうなんです。しかも、B to B事業と違って、お客様の貴重な声が直接聞けます。

実際、お客様の声を受けて、今までだったらぜったいに作らなかったような商品を作って、メガヒットしたこともあります。

クライアント数百社の声しか聞けないのと、数万人の購入者の声が聞けるようになるのとでは、ぜんぜん違いますよね。

ーたしかに! 「BASE」でマーケティングができちゃうんですね。

それがすごいところだと思います。

本業をスライドさせればかんたんにはじめられて、データがとれて、商品開発にもつながる。自分たちの商品が売れるのか、どうやったら買ってもらえるのか、リサーチのために使う、という方法もあります。

B to B企業が「BASE」でB to C事業に乗り出すのは、とてもチャンスがあると思いますよ。

商品倉庫で在庫を確認する神崎さん

ーお客様の声が聞けるようになって、ほかにプラスの影響はありましたか?

いただいた意見は職人にも共有しているので、モチベーションアップにつながっていると思います!

今まで何十年と仕事をしていても、じっさいに使っていただいているお客様の声を聞けることはなかったですからね。

ーでもお客様とのやりとりって、大変そうなイメージもあります……。

たしかに、そういう面もあります。届くメッセージの数が膨大なので、すべてに対応するのはむずかしいですし、予想外の事態が起こることもあります。

でも、コミュニケーションを重ねることで、信頼関係が生まれますし、何よりお客様との新しい接点が生まれることを考えたら、必要なことだと思います。

商品撮影の様子。

ー大変なぶん、プラスになることも多いのですね。実際、ECの売り上げはどうですか?

ECはとても伸びています。はじめは売るものもなく、どうなることかと思っていましたが、おかげさまで2020年7月度は過去最高益を出しました。

ハンドメイド通販サイトやオンラインモールなど複数のサイトにも同時出店していますが、他サイトでの売り上げが停滞しているなか、「BASE」は順調に伸びています。

ーそこまで売り上げがアップするとは、何か秘訣があるんじゃないですか?

Instagram連携は大きいと思います。

「BASE」に出品するだけでは、なかなかお客さんの目にとまりません。Instagramに商品を投稿して「BASE」にひもづけることで、問い合わせにつながっています。

ECから、本業のB to B事業の仕事につながることもたくさんありますよ。

ーほかのショップと違って、商品動画も多いように思えます。

紙の質感は画像では伝わりにくいので、動画を使って台紙の厚みや素材感などがわかるように工夫しました。ブログも活用しています。

ー自社の商品の魅力を伝える場所があるのは、大きいですね。

弊社の商品は純日本製で、日本では誰も作れない最高のモノを作っている、という自負がありましたが、その背景などもふくめた“よさ”をあまりお伝えしてきませんでした。

それを積極的に伝えるようになってからは、売り上げも上がりましたね。

日頃の更新作業はスマホでもできる。「BASE」はとても効率がいい


<だいし屋>のホームページ

ーものづくりへのこだわりが、お客様にも伝わったんですね。でも、そこまでするとなると、サイト運営にかなり時間がかかるんじゃないですか?

そうでもありませんよ。

商品の登録は時間がかかりますが、ページの修正やブログの更新であれば、1時間くらいですみます。作業の多くは、スマホでやっていますし。

インタビューに答える神崎さん

ースマホだけでサイト更新しているんですか?

写真の加工や受注作業はパソコンでしますが、それ以外の更新作業は、スマホで十分です。

動画はスマホでYouTubeにあげて、それをサイトに貼っています。

「BASE」は、更新作業のかなりの部分をスマホで作業ができることが、他と違うところだと思います。

ー<だいし屋>さんのサイトはとてもキレイで見やすいので、かなり手をかけられているものだと思っていました。

商品の検品や発送など、やらなければならないことはたくさんあって、サイトにかけられる時間は限られています。

「BASE」は更新にかける時間が短くすむので、効率がいいんです。

おかげさまで、ほかの作業やお客様対応に時間を使えるようになりました。しかもアップデートが早いので、どんどん使い勝手もよくなっています。

実店舗でモノが売れない時代、ものづくり企業はECをやるべき

<だいし屋>で販売をしている商品

ー今はどんなことに力を入れているのでしょうか?

当初は、サービスとして商品への「箔押しの名入れ」をはじめたのですが、これが予想以上に好評です。

当社では、高級ブランドの箱を手掛ける職人が、個人のお客様のためにも同じクォリティで制作していますが、とくに最近、今まで以上に妥協せずオリジナリティを追求する作家さんが増えているので、もう一段進んで、より難易度の高いものを作ってご満足いただけるようにしていきたいです。

また、動画コンテンツなど新しい試みをはじめて、ECでもより楽しくお買物していただけるよう工夫していきたいですね。

ー御社のようなものづくり企業は、やはりECに取り組むべきなのでしょうか?

以前から、実店舗ではモノが売れなくなっていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、この傾向にさらに拍車がかかったように感じます。

製造業は、「BASE」を使ってECへの参入を本格的にしていくべきだと思います。

インタビューに答える神崎さん

ーものづくり企業と「BASE」の相性はどうですか?

「BASE」なら初期投資がいらないので、失敗のリスクが低いです。

しかも、操作がかんたんなので、どんな人にも会社にも対応できる適応力があります。あまりむずかしく構えず、いろいろな方にまずは「BASE 」で挑戦してほしいと思いますね。

まとめ

ものづくり企業のEC成功例とも言える<だいし屋>。

「やってみる」からはじまったECは、SNSや動画の活用といった工夫、そしてたしかな技術に支えられて、事業の柱に成長していました老舗印刷所が時代の変化に合わせてこれからどんな展開を見せてくれるのか、楽しみです。

 

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