あなたの“専属”農家になりたい!お客さんと密につながるための、有機農家の工夫

2022.07.12(更新:2024.10.11)

BASEでは、さまざまな幅広い年代の方にご利用いただいています。
そこで、BASEをご利用いただいている60~70代のオーナー様にインタビューしました。

ネットショップをはじめられたきっかけや、ネットショップによって、日々の生活、お仕事で起こった変化などをうかがっていきます。
「先輩オーナー」からのショップ運営のヒントや、新たなことにチャレンジする勇気をもらえるはずです。

今回お話をうかがったのは、有機野菜の定期販売とグリーンコーヒーを販売されているやさしい野菜屋さん橋本 俊さん。


ご自身で販売されている商品を手に持つ橋本さん

お仕事を早期退職された後、有機農業をはじめられた思いや、ネットショップを通じて橋本さんが目指している農家の形についてうかがいました。

実家の農地を活用し、有機農業をはじめる

——農業をはじめられたきっかけについて教えてください。

きっかけは、父親の介護のために、実家へ戻ったことです。

父親が認知症を患っており、それが原因でけがをしてしまいました。
その当時、わたしは東京で働いていましたが、58歳で早期退職し、実家の三重県に引っ越しました。

日々介護をしながら、なにかできないかな、と考えるようになりました。

というのも、実家が農家なんです
こちらに帰ってきてから知ったんですが、450年も前から農業をやっている、歴史ある家系で。
高校生のころ、よく農作業を手伝っていたんですが、まったく知りませんでした(笑)。

せっかく由緒ある農地があるなら、それを引き継いで、自分で農業をやってみようと思い立ちました

とはいえ、知識や技術もまったくない状態です。
まずは図書館で専門書を読み漁ったり、ほかの農家の方やJA、農水省の方と直接お会いして、教えてもらったりして、農業について知ることからはじめました。

そこで、有機農業に興味を持ち、農業研修などでいろんな方の協力を得て、現在に至っています。


三重県松阪市の里山のきれいな湧き水と、こだわりの土を使って、有機野菜を栽培されています

コロナ禍での逆境を逆手に、ネットショップ開設へ

——ネットショップをはじめられたきっかけはなんでしょうか?

農業をはじめた当初は、親戚や近所の旅館や居酒屋への卸しが中心でした。

ところが、2年ほど前から、コロナ禍の影響で卸し先が営業自粛となり、売上が立たなくなってしまいました
そこで、作った野菜を一般のお客さんへ販売する方向に、舵を切ることにしたんです


ネットショップで販売されている有機野菜の定期便では、市場に出回らないようなめずらしいお野菜も届くそう

——思い切って方向転換されたんですね。

相手の経営状態に左右される形で、商売を続けていくのは、ちょっと怖いなと、コロナ禍になって思うようになりました。
B to Cの形で、かつネットショップを使えば、日本全国の方を相手にすることができる。そう考えたんです。

そこから、BASEを本格的に使いはじめたんですが、初期費用や月額の使用料など、お金がかからないのも、踏み出せたきっかけとして大きかったですね。
売上が思うように上がらなかったり、なんか違うなと思ったら、気軽に辞められますから。

BASEはいろんな機能がアップデートされていって、どんどん使いやすくなっていると感じています。
料金だけじゃなく、そこも信頼できる。引き続き、これからもお世話になろうと思っています(笑)。

目指しているのは、お客さんにとっての「専属の農家」

——ネットショップをやるうえで目指していること、そのために大切にしていることはなんでしょうか?

目標は、<やさしい野菜屋さん>が、購入いただく方にとっての「専属の農家になること」です。

いま、さまざまな食材、食品が流通していますよね。
生産方法や流通方法が多種多様で、違いもよくわからない部分がある。

そのなかで、安心・安全な、おいしい野菜を手に入れるには、「自給自足」がいちばん確実な方法だと、わたしは思っています。
農作物の育て方や収穫方法まで、自分で管理できるからです。
しかしながら、それができる方は限られています。

では、そうしたなかで、どうやって食材を選んでいくのがいいか?
それは、顔や人柄まで知っている、信頼できる農家から、直接野菜を買っていただくことだ、と考えています。

安心できる栽培方法や収穫方法をとっている農家から、その農家が見極めた、ときどきの旬の野菜を、いちばんいい状態で届けてもらう。

お客さんには、そうした「信頼の農家」に、ぜひ<やさしい野菜屋さん>を選んでいただきたいです。
そうした関係を、ネットショップを通じて、お客さんと築いていきたいと思っています。


地元で開催される青空市場や、軽トラマルシェにも出店されるそう

——生産者の顔や人柄から生産過程までわかったうえで購入できると、安心感が違いますよね。

そうおっしゃってくれるお客様も多いです。

<やさしい野菜屋さん>では、野菜の育て方や発送方法について、ホームページにくわしく掲載しています。
また日々の活動や、作業の様子については、FacebookInstagramで発信しています。


ホームページでは、写真・文章だけでなく、動画も掲載されています

安心・安全だとご納得いただくには、まず「知ってもらうこと」が重要だと考えているんです。
ネットショップをやるうえで大事にしていることは、そこかな。

ほんとうは、お客さんと直接顔をあわせて会話したり、説明したりしたいんですけどね。
対面でできない部分を、いかにネットのツールで補っていくか、日々試行錯誤しています。

とくに、写真の撮り方がむずかしいですね。
野菜の鮮度やおいしさを伝えられる撮り方、照明の具合なども、日々の投稿のなかで研究しているところです。

ネットショップを通じたコミュニケーションの工夫

——お客さんとのコミュニケーションという点では、ネットショップ内の商品説明も大事な ツ ールとなっていると思います。文章を作る上で、気を付けていることはありますか?

誰でもそうだと思うんですが、やっぱり長い文章だと読んでもらいづらいですよね。どうしてもななめ読みになってしまう、と思っていて。

なので、短く、簡潔にまとめるように気を付けています

あとは、食品を扱っているので、正確な言葉を使うように気を付けていますね。誤った情報が伝わることがないように、ていねいな文章を心がけています。


商品発送に同梱されるお野菜の保存方法や調理法の説明

——ネットショップには「お客様の声」がたくさん掲載されています。お客様からの感想などは多く届くのでしょうか?

はい、たくさんいただきます。

お子さんがいらっしゃるご家庭を中心にご購入いただいて、そうした方からの感想をいただくことが多いです。


多くの方から「おいしかった」「また食べたい」の声が寄せられています

メールでいただくことが多いですが、ときには実際に出店しているマルシェへ、直接来てくださる方もいます。

どんな形であれ、お客さんの声が聞けるとうれしいですね。

野菜嫌いだった子どもが、もりもり食べられるようになった」「人参嫌いの娘が、生で食べられるようになった」など、野菜を「おいしい」と思えるようになった方のエピソードを聞くと、とくにやりがいにつながります。

商品の説明などもそうですが、お客さんの感想やご要望なども、さらに聞いていきたいと思っています。
対面での会話に近い形で、どうにかお客さんとスピーディーにコミュニケーションを取りたいと思っていて。
LINEの公式アカウントを使った情報発信も、現在準備を進めているところです。


農作業をされる橋本さん

——より密に、お客様とコミュニケーションができそうですね!

そうですね。
現在リピートして購入いただいている方の多くが、感想をひんぱんに送ってくださる方たちなんです。
なので、双方向のコミュニケーションがより密になることで、リピーターの方も一層増えるのでは、と思っています。
お客さんによろこんでもらえるよう、いろいろなことを試していきたいですね。

インタビューを終えて

早期退職後、有機農家へと転向し、コロナ禍の逆境に負けずにネットショップを開設された橋本さん。

インタビューでは、ご自身の有機野菜にかける思いをうかがうことができました。
こうした「自分の作った、おいしい野菜を食べてほしい」という思いを、いかにお客様へ届けていくか、真剣に考え、行動に移されています。
そうした姿を発信しつづけることで、ご購入者様からのたくさん感想が届いたり、リピーターにつながったり、といういい効果を生んでいるのではないでしょうか?

橋本さんのまっすぐな思いと、おいしいお野菜が、これからもネットショップを通じてより多くの方へ広がっていくんだろうな、と強く感じました。

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