【YELLの先には vol.4】続けるだけではたりないと気づいた。アクセサリーショップ<flemington>が明かす「愛が伝わるコンセプト作り」

2019.06.07(更新:2024.05.10)

「BASE」を利用する80万人のオーナーズ。80万人のオーナーズがいれば、80万のブランドと、ストーリーがあるはず。

「YELLの先には」では、「BASE」が提供する、リスクなく即時で資金調達できる金融サービス「YELL BANK」を活用したオーナーズから、ブランド運営に関するリアルを探ります。

第四回は、数あるBASEで作成されたショップのなかでも、じわじわと人気を高めているヴィンテージアクセサリー・ブランド、<flemington>のサトウ・アカネさん。2018年末を転機に急成長を遂げる<flemington>に、ショップが変わったきっかけとなったコンセプト作りについてお訊きしました。

サトウ・アカネ  

オーストラリア・メルボルン出身。2016年に来日し、同年夏にヴィンテージアクセサリー・ショップ<flemington vintage>を設立。ヴィンテージ アクセサリーの話をしだすと止まらないほどのヴィンテージ好きで、アクセサリーによって個人の美しさが広がることを、日本の女性に発信する方法を模索しながら<flemington>を運営している。@akanesato39    

 

ヴィンテージショップのオーナーさんに囲まれていた幼少時代

——<flemington>を立ち上げた経緯を教えてください。

私は大人になるまでのほとんどの時期をオーストラリアですごしました。特に幼いころにはよく、教会のチャリティショップでボランティアをしていました。日本でいうバザーに近いもので、古いアクセサリーなどを出品していたんです。そこには、ヴィンテージショップのオーナーさんが仕入れのために来てくれることも多くて。だから、私がヴィンテージ作品を好きになったのは自然な流れだったかもしれません。ただ、当時は仕事にする未来がやってくるとは思ってもいませんでしたけどね。

——オーストラリアと日本でのギャップはありましたか?

東京に引っ越してきたときは、ヴィンテージのグッズのレベルがとても高くて感動したのを覚えています。状態のよさ、サイズの豊富さ、どれをとっても日本のヴィンテージは一流です。でも、当時日本で多く流通していたのはヴィンテージアパレルだけで、それに合うアクセサリーがなかったんです。「ヴィンテージの服にはおおぶりのアクセが似合うのに!」ってしばらくやきもきしてましたね。そしてふと、自分でやってみればいいじゃないかという気になって。チャリティショップでヴィンテージのものを販売していたころから、質や状態などを見るのが得意だったので、自分でセレクトした商品のネット販売をはじめました。現在は私ともう2人で<flemington>を運営しています。

 

商品やコンセプトについて

——<flemington>の商品へのこだわりを教えてください。

<flemington>では1940年~90年代のアクセサリーを扱っています。ヴィンテージの魅力はなんといっても年代や地域ごとの歴史を感じられること。たとえば、1950~60年代には落ち葉など繊細なモチーフが多く使われているので秋冬に人気になっていたり、1970年代はボヘミアンな雰囲気のアクセサリーが多く、夏の涼しげなファッションにマッチします。ほかにも地域によってピアス・イヤリングがわかれていたりと、とにかく種類は歴史の数だけ存在するんです。<flemington>では60年も前の商品も置いているので、長年愛されてきただけでなく、現代まで使える技術を持った当時の職人さんにも頭が上がらない気持ちです。

——ショップの雰囲気が以前に比べてかなり変わったように感じますが、何か意識して変更した点はありますか?

これまで運営をしている3人の中で、<flemington>のコンセプトって言語化できていなかったんです。2018年末に、もう1名のスタッフとコンセプトの見直しを行いました。といっても簡素なものではなく、何日も3人で話し合いを重ねて。

3人で決めた新しいコンセプトは「色鮮やかなセピア」です。

——相反する言葉のようにも聞こえますが、なんだかわかる気がします。

最近は、大量生産のものではなく、誰かの手の込んだものをお金をためて購入するような、物を大切にする方が増えていると感じてきています。ヴィンテージアクセサリーが愛されている理由は、長年にわたっていろんな人に使われてきたという歴史や、それによって生み出される「味」だと思います。一方で、デザイン面でも現代の女性から見てもかわいい商品でなければ、ただ味があるだけでは手に取ってもらえないでしょう。「色鮮やかなセピア」は、ヴィンテージの味わいを保ちつつ、流行にも敏感にな、現代の女性像にピッタリな言葉ではないかなと感じています。

——コンセプトを変えてから、ショップの運用面でも変更した点はありますか?

Instagramの投稿やショップページの商品写真を、コンセプトに沿ったものに変えました。「色鮮やかなセピア」というコンセプト通り、古き良きものを愛する現代の女性にマッチするようなページになったと思います。具体的には、Instagramの投稿で、商品だけではなく景色や着画を載せるようになったりと、より<flemington>の雰囲気を感じてもらえるように意識しています。実際コンセプトを設計してからInstagram上でのエンゲージメントも、ショップでの売上も約2倍になるなど、驚くほど増えていったので、ブランディングやコンセプトメイクの大切さを身に染みて感じました。お客様がこのコンセプトに共感して、楽しんでくれている証拠だと思っています。

(左:コンセプト設計前、 右:コンセプト設計後)

——では、YELL  BANKから調達した資金は何に使いましたか?

YELL BANKから調達したお金は、今まで「重要度は高いけど、緊急度は低い」と後回しにしてしまっていたことに使いました。

まずは、撮影時に利用するアンティーク調のイスなど、撮影用のグッズ。これまで、<flemington>の商品写真の撮影場所にはいつも悩んでいました。撮影用のレンタルスペースを借りても、アンティーク調がわざとらしくなりすぎてしまったりと思い通りにいかないことが多くて。今回は思い切ってグッズを購入し、さっそく撮影時に大活躍しています!

また、梱包に使う小物の作成にも利用しました。今まで梱包は「壊れないこと」という最低ラインを守ることが優先事項で、プチプチに商品をくるんで発送をしていました(苦笑)。でも、それってお客様の体験としてはインパクトがないものだったと思うんです。

そこで今回、麻でできたレトロ調のピンクの巾着を作成。このほかにもドライフラワーでできたタグや、封筒を作成し、お客様が商品を開封したときから体感できるアンティークな世界観の提供をはじめました。余裕ができたぶん、ずっと試したいと思っていた細部への工夫に、取り組みやすくなりました。

 

<flemington>のこれから

——<flemington>の運営において、なにか目標にしていることはありますか?

そもそもファストファッションのブランドでは、<flemington>で扱っているものと似ているデザインの、ヴィンテージ風の商品が300円程度で売られていることも多くなってきました。そんな状況のなかで、<flemington>から6,000円前後もかけて商品を購入していただいていることにすごく感謝しているんです。<flemington>のお客様になるような方たちは、ただデザインが好きなだけじゃなくて、歴史のあるものや、ストーリーのあるものに魅了されている方なんだなと感じています。

<flemington>では、今はアクセサリーを中心に商品を販売していますが、ヴィンテージの魅力はアクセサリーだけにはとどまりません。そういったお客様には、カップやお皿などのアンティーク雑貨、アパレル、家具など、商品の範囲を広げて、ヴィンテージライフスタイルをどっぷり体感してもらいたいなと考えています。

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