2022年4月より、成人年齢の引き下げが実施されます。そこで「Z世代のショップオーナー」へのインタビューを実施いたしました。
18, 19歳をはじめとする「Z世代」のショップオーナーが、どのような思いで、なにを考え、ショップ運営をされているのかーー創業の背景、商品や集客の工夫について、お話をうかがっていきます。
お話をうかがったのは、ヴィーガンカヌレやクッキーを販売されているGypso(ジプソ)の萩原 万葉(はぎはら まよ)さん。
現在大学3年生で、栄養学を学んでいるそうです。
「SNSネイティブ」と呼ばれる世代の萩原さんですが、「ファン」になってもらうきっかけ作りは、意外にもアナログな方法でした。
はじまりは「卵や乳製品を食べられない人のために」
——ブランドのコンセプトを教えてください。
植物性の食材のみでスイーツを作っていて、ヴィーガンカヌレをメインに、焼き菓子を販売しています。
ヴィーガンの方だけでなく、アレルギーなどで「卵や乳製品を食べられない人」のためのお菓子を作りたいという思いがあるので、そういった方々にお菓子を届けていきたいです。
購入者の声を聞くきっかけ作りは「手書きメッセージ」
——実際にカヌレを食べたお客様の声を聞く機会はありますか?
はい。ショップのインスタアカウントへ、DMで感想をよくいただきます。
購入いただいた方には、かならず手書きのメッセージをお付けしています。
そこに「感想やメッセージをお待ちしています」の文言を添えているので、そのおかげか、多くの方が感想をくださっています。
——手書きのメッセージはうれしいですし、オーナーさんとの距離も近く感じるので、「感想を送ってみようかな」という気持ちになりますね。
でも、購入された方全員に対応するのは、たいへんではないですか?
製造や梱包もすべて1人でやっているので、たいへんです(笑)。
ですが、直接DMでいただいた感想や意見が、商品のヒントになることもあるので、ありがたい限りですね。
お客様の声が、商品展開のヒントに
——購入された方とのやりとりで、印象的なことはありますか?
じつは、現在のカヌレの味の展開についても、お客様からの声をヒントにしました。
月ごとにカヌレの味を変えたかたちでの提供は、購入いただいているリピーターの方からの感想をヒントにしました。
現在、Gypsoでは、3種類のカヌレを1セットとして販売しています。
基本の味として、プレーン(ラム酒・バニラを使ったカヌレ)、抹茶味のカヌレをお届けしています。この2種類は、定番の味として、毎月かならず入れています。
あとの1種類は、そのときどきにあった季節の味を、月ごとに変えて提供するようにしています。
——月ごとに味が変わると、毎月買いたくなりますね。
販売当初は、毎月3種類とも同じ味の提供を考えていました。
ところが、いざ販売をはじめてみると、毎月欠かさず買ってくださるお客様もいて。
そうしたお客様から、DMを通じてカヌレの味のリクエストをいただくようになりました。
そこで、リクエストに応えるために、セットのうち1種類はカヌレの味を変えてみることにしたんです。
はじめは、いただいたリクエストに応えるための試みでしたが、継続することで、毎月買ってくださるリピーターの方も増えていきました。
お客様からいただいた感想を商品へ取り入れたおかげですね。
——最後に、今後の目標を教えてください。
いまは月に1回の販売ですが、製造のキャパシティを増やして、より多くの方にカヌレを届けていきたいです。
カヌレだけでなく、ケーキなどの生菓子を作ることも好きなので、ヴィーガンケーキのレシピや、冷凍での発送方法などの知識を増やして、ゆくゆくはケーキも売りたい、と考えています。
インタビューを終えて
「SNSネイティブ」と呼ばれる世代の方ということもあり、SNSやネットなどバーチャルに重きを置いたショップ運営や展開をされている、と勝手ながら思っていました。
しかし、お話をうかがうなかで、「購入者に向けた手書きのメッセージを作成する」「DMでの感想を柔軟に取り入れた商品展開をおこなう」など、購入された方一人ひとりと向き合う、ていねいな姿勢が強く印象に残りました。
SNSがショップの集客や宣伝の重要なツールとなるなかでも、こうしたオーナーさんの「ぬくもり」を感じられる取り組みが、リピーターをはじめとするファンを増やすために大事なことであり、これからのネットショップの運営に欠かせない要素なのではないかと感じた取材となりました。