2022年4月より、成人年齢の引き下げが実施されます。そこで「Z世代のショップオーナー」へのインタビューを実施いたしました。
18, 19歳をはじめとする「Z世代」のショップオーナーが、どのような思いで、なにを考え、ショップ運営をされているのかーー創業の背景、商品や集客の工夫について、お話をうかがっていきます。
今回お話をうかがったのは、金属アレルギー対応のハンドメイド・アクセサリーを販売されているEZMÉ(エズメ)のトラウト凜(リン)さん。
現在大学2年生で、教養学を学んでいます。
自分の「欲しい」は、きっとだれかも欲しいもの
——ハンドメイド・アクセサリーをはじめたきっかけを教えてください。
もともとアクセサリーを作ったことはなかったんですが、夏休みやコロナの影響で授業がオンラインになったこともあり、時間ができたので「やってみよう」と思い立ちました。
じつは、わたし、金属アレルギーなんです。
通常のアクセサリーだと、ネックレスの留め具やピアスの軸に金属が使われているので、肌に触れると荒れてしまい、つけることができません。
なので、ステンレスや非金属を使用している「金属アレルギー対応」のアクセサリーを、ネットやお店で買うようにしています。
でも、なかなか自分の好みのデザインや色味のものがなかったり、対応していても、値段が高かったりと、探すのが大変で。
そこで、せっかくアクセサリーを作るなら、自分の体質でもつけられる、金属アレルギー対応のアクセサリーを作ることにしたんです。
——ご自身の欲しいものからハンドメイドをスタートされたんですね。ネットショップで販売しはじめたきっかけはなんだったのでしょう?
アクセサリー作りの参考にしようと、ハッシュタグ検索で「金属アレルギー対応」「非金属アクセサリー」と調べてみると、思っていた以上に投稿が多くて。
自分と同じような金属アレルギーを持っている方や、非金属アクセサリーを専門に販売しているアカウントをたくさん見つけて、自分の作るアクセサリーに「需要があるかも」と思ったんです。
「好みのデザインが少ない」「価格が高い」といった、非金属アレルギーのアクセサリーに対する悩みも、わたしと同じく多くの方がお持ちだとも思いました。
こうしたニーズに応えるような、流行のデザインを取り入れた金属アレルギー対応のアクセサリーデザインを、手頃な値段で販売したことがはじまりです。
お客様に伝わる、アクセサリー細部へのこだわり
——反響はいかがですか?
やはり、金属アレルギーの方に購入していただくことが多いですね。ネックレスの留め具がステンレスだと、肌が荒れずらいので、よく買っていただけています。
留め具が非金属でなければならないので、そこがアクセサリー製作の制約にならないように、T字や引き輪など、種類豊富に仕入れるようにしています。
ネックレスの雰囲気やデザインに応じたものを使い分けているので、好評です。
最近では、金属アレルギーのお悩みを持つ方だけでなく、男性のお客様も増えてきました。
——男性のファンもいらっしゃるんですね! どういったデザインを買われるのでしょうか?
スマイリーやダイスの大きなチャームがついた、ユニセックスなデザインのパールネックレスをよくご購入いただいています。
色味はシンプルだけど、ちょっと変わったチャームを使った、古着に合わせやすいデザインを心がけているので、男性の方のご購入はとてもうれしいですね。
自分の思う「かわいい」を大切に、流行を取り入れる
——古着とパールのネックレスの組み合わせは、よくInstagramでも見るような気がします。
流行をチェックするために、海外のアカウントをよく見るのですが、わたしもそう感じています。
EZMÉで販売するネックレスは、3つの方向性のもとで作っています。
1つ目は、古着に合わせやすい、パールをメインで使ったもの。
古着は派手な色味が多いので、そうした色と調和するような「控えめだけど、一癖ある」デザインを心がけています。
こちらは、自分も古着好きということもあり、自分の好みの感覚を大事に、製作しています。
2つ目は、どんな系統の服装にも合わせられるような、シンプルで、チャームも控え目なビーズのネックレス。
3つ目は、Y2Kファッション※に合うもの。
レトロな色味のビーズを主役にした、シルバーアクセサリーに重ね付けできるようなデザインで製作しています。
Y2Kは、現在の流行ということもあり、インスタで、デザインやチャームとビーズの組み合わせ方を参考に作るようにしています。
※「Year 2000」の短縮形で、2000年ごろに流行したスタイルのこと
——コンセプトに沿ったアクセサリーを製作するさいに、気をつけていることはありますか?
流行を取り入れることも大事ですが、そのなかでも自分が「かわいい」と思ったものを取り入れるようにしています。自分の肌感を大事にしていますね。
アクセサリー作りの出発点は「自分がつけたいもの」なので、その感覚を大切に、これからも商品展開していけたらと思っています。
——最後に、今後の目標を教えてください。
いま展開しているパールやビーズだけでなく、チェーンのネックレスも作りたいと思っています。
夏などは、シンプルなチェーンのネックレスも付けたいので、材料費をおさえられる仕入れ先を探して、販売できるようにしたいです。
インタビューを終えて
「着けたいと思える、非金属アクセサリーを作りたい」という思いからハンドメイドをはじめ、ネットショップを展開しているトラウトさん。
ネックレスのパールやチャームの配色から、留め具といった細部にまで、ご自身の「かわいい」と思う感覚をとことん大事にされていることが、インタビューからひしひしと伝わってきました。
商品を作ったり、商品展開を考えたりするとき、流行や「売れること」も大事な要素です。
ですが、いちばん大切にすべきことは、ご自分の「好き」の感覚なのかもしれません。
トラウトさんのアクセサリーへの細部にわたるこだわりは、これからもファンを増やし続けることでしょう。