【飲食店の新たな挑戦 vol.1】「楽しみながらやる」が原動力。<海鮮ふじ>が突き詰める“個性”とは

2020.08.14(更新:2024.04.09)

2020年初頭より新型コロナウイルス感染拡大の脅威が日本中を襲い、そして4月7日の緊急事態宣言の発令によって、われわれは外出自粛をせざるを得ない状況となりました。これによって、大きな打撃を受けた業界は数知れず。その一つが、飲食業界でした。

「飲食店の新たな挑戦」では、新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛、という危機的状況の中、新たな道を模索し、挑戦する飲食店オーナーズにお話をおうかがいし、新たな挑戦の舞台としてのECの魅力をお伝えしていきます。

第1回は、「海鮮が安いだけの店」という、いさぎよすぎて逆に気になってしまうキャッチコピーを打ち出し、大阪天王寺を中心に6店舗の居酒屋を経営する<海鮮ふじ>の白井(しらい)さんにお話をうかがいました。

海鮮ふじのネットショップ:https://sushicenter.thebase.in
海鮮ふじのInstagram:https://www.instagram.com/happyfuji22/

キャッチコピーは、「海鮮が安いだけの店」

ーーまずは、お店をはじめたきっかけを教えてください。

もともと、父親が興した鮮魚卸業が成り立ちで、そこから兄とともに飲食店の経営もはじめました。今も朝市で毎日仕入れていて、お客様の口に運ばれるまでを一貫して提供していることから、「海鮮が安いだけの店」とうたうように、朝水揚げされてきたばかりの新鮮で質の高いお魚を、お求めやすい価格で出しております。
だから、結果がすべて。期待値が下がったところから、「おいしいやん!」と言わせたいし、それを得意にしています。

「この機会だからこそできることを」。テイクアウトをはじめたきっかけ

ーー「テイクアウト」はいつから、なぜはじめるように?
今年(2020年)4月の緊急事態宣言が大きなきっかけになりました。当時、外出自粛にともない家で自炊をする方が増えた影響から、スーパーで売られているお魚はかなり売れていましたが、ふぐ、のどぐろといった、おもに飲食店で食べられるような高級魚は、市場ではあまっているのが現状でした。魚は、3日で傷むんです。そんなわけで、ふだんお世話になっている魚市場の方々が苦しんでいる状況を、とにかく何とかしたいという一心ではじめました。

ーー高級食材を詰め合わせた「おうちでHappy体験セット」を、10,800円というお値打ち価格で提供された理由は?

最初はランチ用のテイクアウトや店頭でのすし販売などもやっていたのですが、それではほかと変わらないですよね。なので、「この機会だからこそできること、食べてほしいものを提供しよう」と考えました。根幹には「自分たちがやっていて楽しくて、将来性があることをやろう」という思想があったので、お店で食べたら30,000円以上するような高級食材を詰め込み、ハッピーな体験を提供しよう、という気持ちで提供しはじめました。

手が回らない!それでも自慢の品質は絶対落とせない

ーーそんなテイクアウトに、なぜネット注文サービスを取り入れることにしたのですか?

そもそも圧倒的に品質のいいものである、という自信はありましたが、知り合いづてに声をかけて食べてもらうところからはじまった「おうちでHappy体験セット」が、口コミの拡大に加えて天王寺界隈のインフルエンサーの方々などにも取り上げていただたことで、電話注文が殺到するようになったんです。スタッフ一名が一日中電話につきっきりになってしまうような状況で。
もともとはお客さんと魚市場をつなぐべくはじめた試みだったのですが、ただの消費に変わってきてしまって。スタイルを変える必要性を感じたんです。そこで、「売上が下がってもいいから電話注文をいっさい止め、オペレーションとルールを確立し、一つの商品をていねいに作り、おいしさを追求することにこだわろう」と。そんなことから、ネットでの注文をはじめました。
その甲斐あって、苦情が一つもなく、「おいしい!」という声をたくさんいただいたり、初期に購入されたお客様がが再度注文してりと、リピーターも獲得できるようになってきました。

ーーさまざまなテイクアウトサービスがあるなかで、なぜ「BASE」をお選びいただいたのでしょうか?

インターネットにくわしい人間ではないので、「自分が使ってみてわかりやすいかどうか」が大事でしたね。その点、「BASE」さんは検討時に立ち上がってきていたほかのテイクアウトのサービスと比べて手数料面での導入のハードルが低く、手軽にスタートしやすかったのと、とにかくシンプルで使いやすい、という部分に助けられました。

また、現金受け取りはどうしても管理が煩雑になりますし、予約だと急なキャンセルの心配もあるので、クレジットカードでの事前決済ができるのはとても安心でした。

ーー「テイクアウト App」を使われた感想はいかがですか?

じつは、「BASE」を使いはじめたのは「テイクアウト App」がリリースされる前だったんです。配送されるものと間違えられてしまうおそれもあり、メニュー部分に「受け取り専用」と記載したり、注意書きに「何月何日にお受け取りに来られるかを、備考欄に記載してください」と記していたのですが、じっさいは書いていただけないこともあり、そのさいは電話で一件ずつ確認していました。
テイクアウト App」がリリースされ、すぐに導入したのですが、商品を選択するときに「テイクアウト」ということがきちんと伝えられるとともに、決済のさいに受け取り日時をかならず入れてもらう形になっていたことで、確認の手間を大幅に減らすことができました。

自分たちの“個性”をつきつめる。そして、正しい努力をする

ーー飲食店を営まれている立場として、今後の飲食店はどうしていくべきと思われますか?

もともと、ありがたいことに平日でも行列ができる店舗でした。しかし、今ではそれが悪になります。店内飲食は間引く形にしているので、さらにお客さんをお待たせしてしまう可能性があります。ただ、けっして自分たちだけが得をするやり方はしたくないですし、善の存在でありたいと考えています。つまり、当たり前のことですが、

・来ていただいたお客様を一生懸命よろこばせる
・衛生基準を守る

といったことを、高いレベルで徹底することに尽きるのではないかと思います。

ーーでは、飲食店のECはどうなっていくべきだとお考えですか?

「自分たちの個性をどう出していくか」、この追求であると考えています。
われわれの場合はテイクアウトのみをECで提供していますが、自分たちが追求する「朝市で仕入れた新鮮な魚介をおいしい状態で食べてもらう。それをとっておきの価格で提供する」となると、どうしても物販ではむずかしいのです。
技術の進歩によって、冷凍物でもおいしさを保てるものが増えてきてはいますが、われわれが納得できる味を届けられなければ、まったく意味がありません。
正しい努力をすることが大切だと考えています。

中食の常識を変えていきたい。5年後に根付くようなことをやる

ーー今後、チャレンジしていきたいことを教えてください。

中食の常識を変えていきたい、と考えています。そのためにやりたいことはたくさんあります。雛祭りセットやクリスマスセットなど、イベントに応じた商品を提供したり、「時間に余裕がある方以外はお断り」といった変わり種商品を作って、一つひとつの具材に説明動画を設け、それを観て味わっていただいたり。魚って、「ここを意識して食べてください」と言われて食べるのと、何も考えないで食べるのとでは、味がまったく変わりませんか?そんな「すごい!」「面白い!」「おいしい!」といったハッピーな体験をもっともっと作りたいんです。そんな新しいことをやりたいし、それが5年後とかに根付くといいな、と思いながら、日々試行錯誤しています。

編集後記

初のリモートでの実施となった、今回のオーナーズインタビューの、記念にパシャリ。白井さんの笑顔、とっても素敵でした!
「楽しみながらやる」原動力がここにあるからこそ、新型コロナウイルスによる逆風の中でも、前を向いてチャレンジし続けられているのだな、と感じました。

そしてインタビューの最後に、ご自身の原動力の源である、仲間の存在について語ってくださっていたことがとても印象に残りました。こういうときだからこそ、自分一人で思い悩むのでなく、仲間と知恵を出し合うことが新たな価値を産む力になるのだな、と気付かされました。

(正面右奥が白井さん。右手前から奥田さん、河嶋さん、大宮さん。左手前から駒崎さん、坂中さん、宮本さん)
※この写真は緊急事態宣言明けに撮影されたものです。

「楽しみながらできるのはやはり、このメンバーがいてくれるからだ、と本気で思っています。
所属は違えど、魚の仕入れからメニュー考案、ポップや広告、そして拡散まで、をそれぞれのプロフェッショナルが集まり、お互いに意見を出し合い、ゴールをすりあわせています。一つの想いに向けて、それぞれの得意な分野で知恵を出し合うこの時間が何よりも楽しくて。そして、それを形にできることがすごく幸せです。
広報・デザイン・プログラミング・代理店展開などのさまざまな方たちとの取り組みも、一度立ち止まり、考える時間を新型コロナウイルスが与えてくれたからこそ、実現できたことだと思っています」

ネットショップ作成サービス「BASE」では、初期費用・月額費用無料でネットショップを作成できます。
物販はもちろんのこと、今回ご紹介させていただいたようにテイクアウトのオペレーション簡略化が可能な「テイクアウト App」もご利用いただけますので、新しいチャレンジを考えられている飲食店オーナーの皆様も、この機会にぜひご検討ください。

2022年4月より、新料金体系「グロースプラン」が登場。

決済手数料2.9%+月額費用16,580円/月※という料金体系で、ショップの売上規模が大きくなっても使いやすいプランとなっています。くわしくはこちらをご確認ください。

※2024年1月16日より料金を改定しました。表記は、年払いで支払った場合のひと月当たりの料金。年払いでの総額は、198,960円/年。

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