「ネットからリアルへ」では、「BASE」初の常設店舗「SHIBUYA BASE」の出店オーナーズにその魅力をおうかがいし、ネットショップがリアルの場へと挑戦する意義をお伝えしていきます。
第7回は、<TAYUMi>のオーナー・森田さんにお話をうかがいました。
<TAYUMi>
一つひとつ手作業で作り上げたガラスアクセサリーを販売しているブランド
Shop:https://tayumi3.thebase.in/
Instagram:https://www.instagram.com/tayumi__/
目次
心にゆとりを持つことができるように、自分だけのアクセサリーを
ーーブランドのコンセプトを教えてください。
光を身に纏(まと)い、気を抜くスイッチに。
ただ一つしかない、長く使える自分だけのアクセサリーを。
光を取り込む透明度を持つ強度の優れたガラス素材を使用し、機械ではかなわない手で作る温かさを残すために、一つひとつ自分の手で創り上げています。
何かとストレスのかかる時代に、気をぴんと張りすぎて千切れないように、心にゆとりをつくれるように。
そんな思いを込めて、「張りつめていたものがゆるむ。心がゆるむ。」という意味の「弛(たゆ)む」という言葉から、<TAYUMi>と名付け、緩んだ糸をそのままブランドロゴにしました。
手仕事をしたくて、高校卒業後からガラスを学ぶ
ーーブランドを立ち上げたきっかけや、経緯について教えてください。
高校卒業後、大学に進学するのではなく、なにか手仕事を職業にしたいと思い、もともと興味があったガラスについて学びはじめました。
吹きガラスなど、さまざまな技法を試しているうちに、今の技法に出会い、3〜4年ほど勉強したのち、2020年3月にブランドを立ち上げるにいたりました。
現在は、月に数回アルバイトをしながら、ブランドの活動をメインでおこなっています。
機械的に作られたまったく同じもの、ではなく、すこしずつ個性を持たせたい
ーー販売されている商品は、すべて手作業で作られているとのことですが、どういったこだわりがありますか?
同じ商品でも、すこしずつ違うものにすることにこだわっています。
もともと、機械的に作られた同じものが並んでいるよりも、一つひとつ形が違うものが好きで。そういったあこがれが強かったこともあり、まったく同じものにはならないように製作しています。
自分の部屋を改造して、ガラスを溶かして製作
ーーガラスのアクセサリーを製作するのには、火を使いますが、工房などで製作しているのですか?
工房などは使わずに、自分の部屋を改造して、ガラスアクセサリーを作ることができる環境にしました。酸素バーナーと酸素発生器を使って、2,000度くらいの熱でガラスを溶かして製作しています。
ーー1つのアイテムを作るのに、だいたいどのくらいの時間がかかりますか?
いちばんかんたんに作れる、細くてシンプルなリングだと、1時間ほどでできます。
形を作るのに30分、そこから「徐冷(じょれい)」という、ガラス内のひずみを除去するための熱処理作業に30分ほどかかります。製作にいちばん時間がかかる商品は、最近販売をはじめた太めのバングル(TAYUMi glass bangle)です。
どの商品の製作でもそうですが、やけどしてしまうことがあるので、近くに氷を置いて作業しています(笑)。
ちなみに使用しているガラスの素材は、イギリスのガラス棒を作る職人さんから輸入しています。
ーー製作は、森田さんがご自身でおこなっているということですが、そのほかの作業もすべて一人でおこなっているのですか?
はい、商品製作・梱包・発送など、ブランドの運営に関わることは、すべて自分一人でおこなっています。
商品写真に関しては、友人に協力してもらったり、知り合いを通じてお願いしたカメラマンさんにお願いして、スタジオで撮影してもらったりしています。
ーー数あるプラットフォームのなかで、なぜ「BASE」を選んだのですか?
いろんなサービスを試そうと思っていて、たまたま最初に使ったのが「BASE」でした。
ネットの操作が得意じゃないわたしでも、かんたんにデザインのカスタマイズができたり、わからないことがあったときに連絡すると、すぐに返答がいただけるカスタマーサポートの対応が気に入っていて、そのまま使い続けています。
直接見てもらう機会がほしいと思ったとき、偶然見つけた「SHIBUYA BASE」
ーー「SHIBUYA BASE」に出店しようと思ったきっかけはなんですか?
偶然、募集しているのを見つけて。手数料が15%とかなり低かったのもあって、応募しました。
一度もお客様と会える機会がなかったので、はやくそういう場を作りかったのと、販売している商品が一つひとつ違うものなので、直接見て購入してほしい、という思いがありました。
ネットで販売するときは、「個体差があります」と記載したうえで、あまり大きな差をつけずに制作していますが、自分の手にとって選んでいただけるポップアップでは、大きくゆがませたり、デザインに違いを出して販売しました。
ーー出店してみて、いかがでしたか?
とにかく、楽しかったです。
それまで、直接お客様に会ったことがなかったので、「見てました!」と声をかけてくださる方がいたり、はじめて見てくださった方に「かわいい」と言われたのがうれしかったですね。
期間中ご来店くださったお客様は、元から知ってくれている方と新規の方の割合が半々くらいでした。
友達に聞いて来た、という方も何名かいらっしゃって、驚きました。クリスマス時期だったので、ギフトとして購入してくださる方が多かったです。
それから、ポップアップははじめてだったので、大変なことも多くありましたが、相談に乗ってくれたり準備を手伝ってくれた周りの友人たちに、とても感謝しています。
今後もオフラインでの販売を続けていきたい
ーー出店前後で、なにか変化はありましたか?
直接お客様の声を聞けたことで、商品製作やブランド運営に対するモチベーションが上がりました。
今回の出店を見てくださった、ほかの百貨店の方からも、何軒かポップアップや委託販売のお誘いもいただき、今後の可能性も広がった気がしています。
直接商品を見てもらえる機会をもっと増やしたいので、東京だけでなく、ネットでの購入者が多い地域や地方、そしてたまに海外の方からメッセージをもらうこともあるので、海外でもオフラインで出店していきたいです。
ネットだと、東京の方からの注文が多いのですが、基本的には日本全国各地から注文をいただくので、そういったお客様にも直接見て選んでいただけたらな、と思っています。
自分のできる範囲でブランドを運営して、いつか東京で実店舗を持ちたい
ーー今後の目標や計画はありますか?
やはり、自分の目で見ていただくのがいちばん、と思っているので、将来的には東京で実店舗を持つことが目標です。
それまでは、いろんな地域を回って、いろんな場所でのポップアップ開催をしていきたいと思っています。
それから、今後はただ販売するだけでなく、ガラスが割れてしまった方に、お直しの制度も作ろうかと考えています。
今のところ、割れてしまったというお問い合わせはいただいていませんが、サスティナブルという面からも、お直しをして長く使ってもらえるようにしていきたいですね。
ブランドとしては、ただ大きくしていきたい、というのはあまり考えていないです。
なにより作ること自体が好きなので、今後も一つひとつ手作りで、自分ができる範囲でやっていきたいですね。