自身のブランドやショップのECサイトを検討しはじめたとき、数あるプラットフォームのなかから、どれを選べばいいのかと頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
「BASEで作ったショップは、私のホームのような存在。販売と情報発信の両方を、ここで叶えています」
こう語るのは、台東区にある<台東デザイナーズビレッジ>の一室にアトリエを構え、雑貨ブランド<kin.iro.hitode(きんいろひとで)>を運営する、クリエイターの浜口麻里奈さん。
多摩美術大学で油彩画を学び、在学中から個展の開催や絵画販売などの画家活動を続け、2016年には雑貨の制作、販売をスタート。
「私の絵を、もっと手に取りやすい形にして届けたい」と、自身が描く絵を元にしたデザイン図案で、レターセットやハンカチなどの雑貨を作り、BASEで作成したショップとハンドメイドマーケットプレイスで販売をおこなっているそうです。
そのクリエイター活動の背景と、BASEで作ったショップを“ホームページ”と語る真意を訊いてみました。
ブランド名:<kin.iro.hitode>
クリエイター名:浜口 麻里奈さん
BASE登録日:2016年
ショップURL:https://www.kinirohitode.com/
目次
10年間の画家活動の末にはじめた、雑貨ブランド
――<kin.iro.hitode>を立ち上げた背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
私は「絵を描くことを仕事にしたい」という夢を叶えるため、大学在学中から約10年間、油彩画を描いて販売してきました。
ところが、その活動を通して、「絵画を買う」ということが、一般の方にとっては敷居が高いことなのだと感じるようになったんです。
そこで、「もっと身近に、私の世界観を伝えられる方法はないだろうか」と考え、雑貨制作に着手。2016年にブランドを立ち上げ、私が描いた絵を、手に取りやすいアイテムにして販売することにしたんです。
――現在は、水彩画をメインに描かれていますね。華やかで、やさしいタッチが魅力的です。
透明感や、さわやかな色味を表現したかったので、雑貨のパターン作成は、水彩に限定しています。作品の多くに、ドレス姿の女性を登場させていて、絵本のワンシーンのような物語性を感じてもらえるよう、意識して描いています。
――EC開設当初の反応はいかがでしたか?
BASEでECサイトを立ち上げた当初は、水彩で描いたイラストを印刷した、5種類のペーパーを販売していました。
でも、「ほしいけれど、紙をどのように使っていいかわからない」という声を多くいただき、レターセットなどを作るように。お客様の声を反映しながら、少しずつ商品を増やしていきました。
その後、ハンドメイドマーケットプレイスにも登録。さらに、SNSの活用や、デザインフェスタへの参加なども影響してか、立ち上げから2年後の2018年ごろには固定ファンもついて少しずつ軌道に乗ってきました。
「特別売れる、ってわけじゃない」BASEをメインに据える理由とは?
――現在は、BASEとマーケットプレイスの2つのプラットフォームを活用していて、新作は優先的にBASEで販売しているそうですが、それは、やはり売上がいいからですか?
いえ、BASEで作ったショップを“ホームページ”として考えているからです。
BASEは、デザインやページの見せ方などの面でも、独自性が高いので、ブランドイメージを反映させやすいですし、機能も豊富。
オリジナルのドメインでショップを作れるのも、ホームページらしさが出せていいですよね。私は、BASEで作ったショップをkin.iro.hitodeのWeb Shopとして位置付けています。
また、作品販売だけでなく、SNSなどのリンクやイベント情報などのお知らせも、BASEに集約させ、情報発信の場として確立させています。
そのためか、リピートのお客様が多いイメージです。
一方で、マーケットプレイスでは、大きなマーケットのなかにお店を構えているイメージです。フォーマットも決まっているため、自由度は高くなく、ホームページとして見せるにはむずかしいかなと思います。
ただ、ブランドを立ち上げたばかりの知名度が低い時期でも、マーケットプレイス内で商品を見たお客様が「いいな」と思ってくれれば、購入につながるので、集客のしやすさはメリットとしてある、と思います。
――どちらにも違ったよさがあるということですね
はい。SNSやイベントでkin.iro.hitodeを知って気に入って下さったお客様が、どちらのショップにも遊びに来て下さっています。
お客様には、好みのプラットフォームから購入していただければと思いますが、やはりホームページとして活用するなら、BASEで作成するのが最適かな、と思っています。
――最初のECサイトにBASEを選んだ理由は、当初からそういう“ホーム的な役割”を求めていたことにあったのでしょうか?
はい、「自分の店」としての独立したサイトづくりをしたかったので、マーケットプレイス型のECサイトではなく、BASEにしました。
豊富なデザインテンプレートのなかから、自分のブランドカラーに合ったものを選べたのも、理由のひとつです。
当初は、無料のテンプレートで作成しはじめましたが、「もっとデザインにこだわりたい」と思い、すぐに有料のテンプレートを購入しました。利用料が月額制ではなく、一度払えばずっと使える、というのもよかったです。
そして、なにより大事なのが、「使いやすさ」。
BASEは、立ち上げもかんたんでしたし、その後の更新作業など、運営の面でも、制作時間の合間を使って手軽におこなえています。
私の場合、新作ができたら、1日以内に登録して販売をスタートするようにしているため、スムーズに更新作業をできるかが、重要なポイントなんです。
――ホームページとしての役割を持たせるために、なにか工夫されていることはありますか?
トップページには、InstagramやTwitterなどのSNSや、2019年からブログ代わりにはじめたnoteをリンク付けしています。
このように、BASE以外に動かしているコンテンツを紐づけられるのがいいですよね。
また、私のサイトでは、支払い方法や送料など、目立たせたい項目を「ピックアップ」欄に位置付けています。商品をただ並べるだけでなく、自分のアイデア次第でショップをカスタマイズできる、自由度の高さも魅力的です。
ブランド運営を支援する多彩な機能に加えて、対面販売の機会もあるのがいい
ーーふだんからよく使う機能はありますか?
「予約販売」機能がお気に入りです。
BASEの「予約販売 App」
「何月何日の何時から」と細かく設定できるので、ほかのサイトと同時に販売するときにも便利です。また、販売時間の前でも、商品をプレビューできるので、お客様にとっても、「どれを買おうかな」と選ぶ余裕を持てるのがうれしいですよね。
また、使いはじめてあらためて便利さに気づいたのが、発送の面。ヤマト運輸の配送料が全国一律料金になる「かんたん発送」機能は、すごくありがたいです。
BASEの「かんたん発送(ヤマト運輸連携) App」
ワンクリックで住所も入力できるので、記入ミスもなくて、安心。集荷もお金はかかりますが、急いでいるときは、利用させてもらっています。
今後は、クーポンの発行や、「コミュニティapp」というファンの方との交流機能も使ってみたい、と考えています。
――2019年10月には、リアル店舗スペース「SHIBUYA BASE」にもご出店されましたね。
それまで、対面での販売は経験したことがなかったのですが、BASEさんのアドバイスで、チャレンジしてみることに。展示方法やラッピング、レジ打ちの方法など、はじめてのことばかりで不安はありましたが、BASEの担当の方に細やかにサポートしてもらい、安心して最終日を迎えることができました。
また「こういうことをやってみたい」という企画の相談にも、快く対応していただき、予約いただいたお客様と対話をしながらイラストを描くイベントも、催事のなかで実施することができました。
その後も、BASEさんからのご紹介で、渋谷ヒカリエの催事に出店させてもらうことができ、ほんとうにありがたかったです。
通常催事では自分1人の力でやらなければいけない事が多いのですが、BASEのスタッフさんが丁寧にサポートして下さるので、これからブランドを立ち上げる方や、対面販売が未経験の方がチャレンジするのに最適だと思いました。
※BASEには、ショップオーナー様のリアル店舗での販売を支援するため、<渋谷マルイ>にある「SHIBUYA BASE」をはじめ、多数の出店スペースを確保し、サポートしています。くわしくは、こちら。
――対面で販売することのメリットは、どのようなところだとお感じですか? Web販売だけでは補えないものがあるのでしょうか?
雑貨店などでの委託販売も多くおこなっていますが、このような対面販売のイベントでは、お客様の顔を直接見て話ができるため、より強い関係性が育っていく、と感じています。
今後も年に1〜2回は、お客様と対面して販売する機会を作っていけたらいいな、と思います。
BASEのおいしいところは、“かんたんなのに、オシャレでオリジナリティあるショップが作れる”ところ
――最後に、「BASEのいちばんおいしいところ」を教えてください!
機能が充実していて、操作性がよく、写真さえあれば誰でもECサイトを作れるところ。それから、オシャレでオリジナリティのあるページをすぐ作れるところです。
とくに「自分のブランドを持ちたい」というクリエイターには、向いていると思います。
私の場合は、自分の世界観を表現できるデザイン性も、こだわりたいポイントでした。マーケットプレイス型のECサイトでは、デザインの選択はできませんが、BASEではそれが叶うので、「自分ならでは」のページをすぐ作ることができます。
BASEは、立ち上げの手順もかんたんで、説明書も必要ありません。私も、ブランド立ち上げから一週間後には、BASEでECサイトをオープンしていました。たいへんだったのは、掲載商品の撮影くらいでした(笑)。
また、過去の注文履歴を検索できる「顧客管理リスト」が作れるのも、ありがたい機能だと思います。
たとえば、別のECサイトで注文が入ったとき、「以前、BASEで買ってくれた方かも?」と気づいたら、BASEの注文履歴で確認して、お礼のメッセージを送ったりすることができます。
このような機能については、使ってみてはじめて気づくことも多いのですが、そのたびに使いやすさを実感しています。
あとがき
「絵を描くことを仕事にしたい」「自分の描いた絵をたくさんの人に届けたい」という、2つの想いを実現した浜口さんは、インタビュー中、何度も「地道に」という言葉を口にされていました。
BASEの立ち上げにはじまり、SNSの活用、対面型のイベントでの販売、マーケットプレイス型のECサイトへの登録。販売が軌道に乗るまでの2年間に積み重ねた、一つひとつの地道な努力のすべてが、現在の浜口さんの成功に結びついているのではないでしょうか。
現在は、ペーパーアイテムや布小物だけでなく、財布などの革小物の販売もはじめた、という浜口さん。BASEを“ホーム”に、今後の展開に期待が高まります。