指先から肘まで真っ青に染まった腕。“染色現代アーティスト”の安野広大さんは、初めて対面した瞬間から、アーティストらしい異色の雰囲気を醸していました。
安野さんが手掛ける「KODAI YASUNO」は、全アイテムが1点ものの染色アパレルブランド。藍染やろうけつ染め、絞り染めなどの日本の伝統的染色技術を用いた、唯一無二の先進的なデザインが特徴です。
安野さんは大学でマーケティングを学んだ後、人を幸せにするミッションを追求し続けています。個人で立ち上げたアパレルブランドがいかにして“唯一無二”と呼ばれるようになったのか。安野さんの志について話をうかがいました。

安野広大さん
染色アパレルショップ「KODAI YASUNO」オーナー。マーケティング学科を卒業後、Webマーケティング会社への勤務などを経て、“染色現代アーティスト”として染めの技術を施したファッションアイテムの製作・販売を手掛ける。
ショップ名:KODAI YASUNO
取扱商品:洋服、ファッション小物
運営体制:5人
「自分を変えたファッションで人を幸せに」夢見るも、業界の闇を知った

「このために生まれてきたんだ」と思ってるんです。だから「仕事」や「好きなこと」みたいな感覚はよくわからなくて、自動運転みたいに身体が動きます。
――そんな使命感を感じたきっかけから教えてください。
ファッションを仕事にしようと思いだしたのは、大学4年生のときでした。就活の時期に本を作るバイトをしていて、そのときに携わった本に「やりたいことがあるのにやらずに諦めるのはもったいない」と書かれていたんです。
それを見て、自分は何がしたいのかを深く考えました。結果、お金持ちになって自分の欲を満たすことに僕はあまり興奮しなくて、人を幸せにするために行動すると幸福感が得られるということがわかったんですね。
ではどうしたら人を幸せにできるのか。僕自身の人生がファッションによって変わったので、デザイナーになってファッションで人を幸せにしようと思ったんです。一度ダメ元でも挑戦してみようと決めました。

――ファッションによって人生が変わった経験とは、どんな経験だったんですか?
僕がまだファッションに興味がなかった中学2年生のときに、いとこが服を買ってくれたんです。いとこがコーディネートしてくれた服を着て塾に行ったら、「今日かっこいいね」「すごいいいじゃん」って友達や先生にすごい褒められて。そのとき初めて「俺、イケてるかも!」みたいな、自信がつく感覚があり、それ以来ファッションが好きになりました。
大学はマーケティング学科だったので、デザイナーになろうと決めてからは大学と同時に週1回の専門学校に通いました。
ファッションの勉強をしていて、アパレル産業が人を不幸にしている側面があると知ったとき、とてもショックでした。ファッション業界は服の大量廃棄や劣悪な労働環境などの問題を抱えていて、世界で2番目に汚い産業だと言われていたんです。
僕にとってのファッションは、自分を変えた神のような存在でした。それなのに現実は課題だらけだということがとても悲しくて、変えなきゃいけないと強く思いました。そのときに、ファッション業界に革命を起こす画期的なアイデアが浮かび、「これを実現するために俺は生まれてきたんだ」と思うようになりました。

――染色を始めた背景には、ファッション業界の課題があったということですね。
そうですね。最初は服のリメイクをしようと思っていたのですが、縫製のスキルが僕にはなかった。ではどうすれば服の廃棄をなくせるか? と考えた結果、クローゼットに眠っている服を捨てるのではなく染め変えればまた着てもらえるようになり、廃棄を減らせるかもと思ったんです。
実際、友人の古い服を染め変えたり、今も持ち込みの服を染めたりすることがあります。
貯金ゼロ、売上ゼロ、睡眠時間30分。前に進めたのは使命感があったから

――独立後、ずっと染色ファッションブランドに集中してきたのでしょうか。
独立当初は、指輪などのシルバーアクセサリーも作っていました。でも、まったく売れなくて(笑)当時はきつかったですね。
独立半年ぐらいで貯金がすべて尽きたんです。売上もゼロ。本当に追い込まれて、日中はアパレルショップでマネージャーとして働き、その後居酒屋にバイトに行って、さらに翌日は朝8時に単発の現場仕事に行くみたいな。30分しか寝られない生活をしていた時期がありました。
さすがに気持ちも落ちていて、何のために独立したのかわからず、やる気もなくなっていましたね。世界を変えるために独立したのに、お金のために働くばっかりで、何やってるんだろうって。
当時、友人の依頼で服を染めて得た売上は1万円程度だったのですが、その時もまだ「いける」「今年こそ絶対いける」っていう感覚があったんですよ。根拠のない謎の自信というか。追い込まれていましたが、最終的にはさらに本気で取り組もうと決意しました。
ほんと、使命感というか。このために生まれてきたから当たり前にやるという感じです。結局そういう生き方が僕は好きなんですね。
実店舗も一眼レフもないが、規模を着々と拡大中

――ネットショップでお店を始めるという点について、戦略的な理由はありましたか?
はじめから実店舗を持つのは難しかったので、固定費のかからないネットショップで小さくはじめました。
うちの商品写真って、未だにスマホで撮影したものを加工して使っているんですよ。一眼レフカメラとかが本当はあった方がいいんでしょうけど、持っていなくて。スマホでも全然十分なんですよね。
最初から派手に投資しすぎず、まずは小規模ではじめてみるのがいいんじゃないかなと思います。
――独立当初、フリマサイトなどの利用は検討しませんでしたか?
考えなかったですね。フリマサイトを使うと集客はできそうですが、どうしてもチープなイメージがついてしまうというか。ブランドイメージを大切にしたかったので、はじめからBASEのような自社ネットショップのみでいこうと決めていました。
当初は他社のネットショップ作成サービスを使っていたんです。でも手数料の高さと使いにくさが気になって、BASEに切り替えた結果、“秒”でサイトもできてすごく楽でした。
――チームを増やそうと考えたきっかけはありますか。
一人で作れる商品の数には限界があるので、売上を増やすには人手が必要だと思いました。受注生産の商品が多く、一人だとオーダーされた分を作るので精一杯になっちゃって。新作が出せないと売上が頭打ちになってしまうので、スタッフを増やしました。
おかげさまで規模がだんだん大きくなってきています。ネットショップを足場にしながら、他ブランドとコラボしたポップアップなどの出店もできるようになりました。
「染色ファッションといえば『KODAI YASUNO』」と言われる未来へ

――『KODAI YASUNO』の今後のビジョンを教えてください。
ブランドとしては、うちの服の魅力をさらに広めていきたいというのが一つ。認知度を高めて、ブランドを確立していきたいですね。
その後はもう少しハイエンドな別のブランドラインを作りたいです。染色アパレルの世界最上級といえばうちだよねって言われるようなブランドを作っていきたい。これが直近のビジョンです。
さらに先ではもちろん、ファッション業界の課題を解決して負の側面を解消し、世界を変えていきたいです!
編集後記
人生を変えたファッションに魅了され、産業の負の側面を解消したいというビジョンを持つ安野さん。ファッションで人を幸せにするという使命に燃え、従来の仕事や生きがいなどの価値観を超えたライフワークに取り組んでいました。
BASEは安野さんのような、自分の使命を果たすために事業をはじめる人を応援しています。
BASEなら初期費用・月額利用料が無料で、ブランドイメージを表現した自分のお店をつくれます。ポップアップ出店のご支援も。安野さんのように、‘“秒で”お店をはじめてみませんか。
本記事は、BASE公式YouTubeチャンネル「ECのカクシゴト」の動画をもとに記事化しています。
動画でご覧になりたいかたは、ぜひ「【1日密着】貯金ゼロから唯一無二と称賛されるアパレルブランドができるまで」をチェックしてみてください。