ネットショップでジャムの販売に営業許可は必要?資格、保健所の手続きについて解説

2024.10.01(更新:2024.10.11)

今や誰もがかんたんにネットショップを作れるようになり、「自分で作ったジャムを販売してみたい」「仕入れたジャムを販売したい」という方もいるかもしれません。

ところが、ジャムのような加工食品を販売するには食品衛生責任者の資格取得と、密封包装食品製造業許可の取得が必要です。それを知らずに無許可で販売してしまうと、法律に触れてしまう可能性があります。

また、ジャムを販売する際には、食品表示ラベルの貼りつけが必須であることなど、気をつけるべきポイントがあります。

この記事では、ネットショップでジャムの加工販売に必要な許可や資格、そして保健所の手続きについて解説します

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ジャムの加工販売には、保健所の許可が必要 

自分で育てた果物や野菜を、加工せずそのままの状態で販売する場合、許可や届出は不要です。

インターネットや直売所など販売方法は問わず、自由に販売できます。

しかし、ジャムやジュースなどに加工して販売したい場合は、許可または届出が必要となっています。

都内の場合、ジャムの加工販売には「製菓材料等製造業」の営業許可が必要です。

また、びん詰めのジャムを販売する場合は「かん詰め又はびん詰め食品製造業」、びん入りの場合は「食品の小分け包装業」、という許可を取得しなければなりません。

ジャムを自分で製造して販売するような場合は、食品衛生責任者の資格や密封包装食品製造業許可といった許可が必要です。

「びん詰め」「びん入り」の違いは? 

「びん詰め」と「びん入り」の違いは、言葉としては似ていますが、食品の営業許可に関しては、異なる扱いをされます。

びん詰め・かん詰というのは、密封された容器に入っていて殺菌され常温による長期保存が可能のものを指します。

びんに入れてから殺菌処理を行い、年単位での長期保存が可能であれば、びん詰めです。

一方、単純にびんに食品を入れただけのもので、賞味期限が短いもの、要冷蔵のものは、びん入りとなります。

このように、ジャムの製造方法などによって、必要な許可が異なることを覚えておきましょう。わからないときは、保健所に相談することをおすすめします。

参考:新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ

地域によって届出や許可の条件が違うので、かならず確認を! 

さきほどお伝えしたとおり、ジャムの加工販売には、許可や届出が必要ですが、地域によって条件が異なります。

かならず許可を必要とするところもあれば、届出のみでいいところもあるのです。また、なかには届出すら不要な自治体もあります。

ですので、ジャムなどの加工販売を行う場合は、まず保健所に相談することからはじめてください。

保健所に行けば、専門の職員さんが対応してくれますので、許可が必要なのか、届出だけでいいのか、を確認しておきましょう。

仕入れ販売の場合は? 

ジャムを仕入れて販売する場合も、食品の種類に応じた、保健所の営業許可が必要になることがありますので、保健所に相談しましょう。

また、あわせてこのあと解説している「食品表示」に関しても、知っておく必要があります。

ネットショップでジャムの販売に営業許可は必要?資格、保健所の手続きについて解説

営業許可を得るために必要なこと 

ジャムの加工販売をするためには、「製菓材料等製造業」に加えて「かん詰め又はびん詰め食品製造業」または「食品の小分け包装業」の許可が必要です。

そして、これらの許可を取得するための要件として、「人的要件」と「設備要件」を満たす必要があります。

人的要件について 

まず、人的要件として、許可を受ける施設ごとに「食品衛生責任者」という資格が必要です。

食品衛生責任者の資格を取得するためには、地方自治体で行っている「食品衛生責任者養成講習会」を受講しなければなりません(受講料は、1万円前後)。

また、食品衛生責任者の資格を取ったあとも、定期的に保健所が行う講習の受講を推奨、もしくは義務、となっています。

参考:食品衛生責任者の資格取得の方法|東京都福祉保健局

食品衛生責任者 

「食品衛生責任者」は食品衛生に関する資格で、食材の管理や設備の衛生管理、従業員の健康管理などの役割を担っています。食品衛生責任者の資格は、食品衛生責任者養成講習会を受講した後、保健所に申請を行うことで取得可能です。

すでに調理師や栄養士といった資格を持っている場合は、養成講習会を受講しなくても保健所に申請するだけで資格が取得できるため、取得しやすい資格といわれています。 

設備要件について 

次に、設備要件ですが、ジャムを加工販売する場合、自分がふだん使っている自宅のキッチンで作ることはできません。

つまり、キッチンとは別の専用調理室が必要になります。

さらに、その調理室も、専用の手洗い設備や器具・容器の保管庫、耐水性の床・内壁などを設置しなければならないなど、詳細に決められています。

加工販売できる設備環境になっているか、保健所に相談・確認しましょう。

くわしくは、以下の記事をご確認ください。

参考:施設基準(一般営業)|東京都福祉保健局

製菓材料等製造業許可 

「製菓材料等製造業許可」は、パンやケーキ、餅菓子、飴菓子などを製造して、販売したりショップを営業したりするときに必要な許可で、野菜や果物を使って製造したジャムを販売するときも「製菓材料等製造業許可」を得る必要があります。

都道府県知事が定めた製造施設、製造設備などの基準を満たしたうえで、所轄の保健所に申請することで許可を得られます。自治体によって基準が異なるので、所轄の保健所に要件を確認してから申請しましょう。

密封包装食品製造業許可 

「密封包装食品製造業許可」とは、常温で一定期間保存することを目的とした、びんや缶、パウチなど、密封されたものを製造するときに必要な許可で、所轄の保健所に届出をします。

ただし、食品衛生法施行規則第66条の10で規定されている、はちみつや食酢などの食品は届出の対象となっているので、許可を申請する必要はありません。

ジャムを販売するさいには、食品表示ラベルの貼り付けが必須 

保健所からの販売許可を得たら、ネットショップでジャムの販売が可能となります。

もちろん、ネットショップに限らず、直売所での販売も可能です。ただし、販売するさいは、食品表示ラベルの貼り付けが必須、となります。

原材料や製造場所などの必要事項を、商品のパッケージ上に表記しておかなくてはなりません。みなさんがふだん手にしている加工食品にも、かならずこの食品表示ラベルが貼り付けられているはずです。

たとえば、以下のようなラベルを見たことがあるのではないでしょうか。

名称

ジャム

原材料名

◯◯、◯◯、◯◯

内容量

100g

賞味期限

2024年◯月◯日

保存方法

要冷蔵(10℃以下)

製造者

◯◯◯◯

販売者

◯◯◯◯

商品によって定められた表示内容を記したラベルを作成する必要がありますが、テンプレートなどを使って、かんたんに作成することが可能です。

ラベル印刷を行っている専門業者があるので、商品を作成するさいは、事前に確認しておきましょう。

ジャムの賞味期限はいつ?  

賞味期限は開封前の食品について、味や色、香りなどの品質特性を十分に保持しておいしく食べられる期間を意味します。

ジャムについては、糖度、容器などに応じてガイドラインが定められていますが、製造者が製品ごとに理化学的根拠などをもとに設定することが推奨されています。

ジャムの賞味期限についてのガイドラインは以下のとおりです。

  • びん詰(高糖度・中糖度):2ヵ年以内
  • びん詰(低糖度):18ヵ月以内
  • 紙カップ入り:1ヵ年以内
  • ポーションパック:6ヵ月前後
  • 小袋入り:6ヵ月前後
  • 缶詰:3ヵ年以内

参考:日本ジャム工業組合

ジャムの保存方法はどう書いたらいい? 

ジャムをおいしく安全に食べてもらうためにも、保存方法を記載する必要があります。一般的な保存方法の記述は以下を参考にしてみてください。

  1. 開封後は必ず冷蔵庫(10℃以下)に保存し、なるべく早くお召し上がりください。
  2. ご使用の際は、清潔なスプーンを使用し他の食べ物が混ざらないようにしてください。
  3. ご使用後はできるだけ早く冷蔵庫へお戻しください。

参考:日本ジャム工業組合

手作りジャムを販売する方法 

手作りジャムを販売する方法は、おもに次の4つです。

  • 実店舗
  • ネットショップ(モール型・ストアフロント型)
  • イベントへの出店
  • 道の駅・直売所などへの販売委託

実店舗

フルーツや野菜など、ジャムはさまざまな食品から製造できるので、ジャムの専門店として実店舗を構えるのも一つの方法です。

ジャムはパンや焼き菓子、ケーキなどのスイーツと相性がいいので、自家製ジャムとあわせて販売したり、カフェのメニューに使用したジャムを店頭でも販売したりしているショップもあります。

また、ジャムは保存期間が長いほか、開封前は常温で保存可能な商品です。そのため、無人販売所での販売や自動販売機で販売する方法もあります。さらに、実店舗を持たずに車で移動販売を行うケースもあります。

ネットショップ(モール型・ストアフロント型)

手作りジャムを扱っているプラットフォームには、産直サイトの「食べチョク」をはじめ、ハンドメイドマーケットの「minne」などがあります。そのほか、楽天市場やAmazonといったECモールに出店して販売するのも一つの方法です。

ただし、大型のECモールは集客がしやすい反面、ショップ数や商品数が膨大なので、なかなか注目してもらえないというデメリットもあります。独自のデザインや機能を備えたネットショップを開設したい方は、自社独自のネットショップを運営するストアフロント型の運営がおすすめです。

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食品販売のネットショップ運営で活用できる、便利な機能とは?

イベントへの出店

マルシェや蚤の市、朝市などのイベントに出店すると集客がしやすいのでおすすめです。イベントへの出店は売上アップにつながるほか、認知度アップにもつながります。

とくに青山ファーマーズマーケットのようなイベントはナチュラル志向の顧客が集まりやすいので、地産地消や保存料不使用など、こだわりをアピールすると手にとってもらいやすいでしょう。

また、朝市は定期的に開催するケースが多いので、認知度が上がればリピーターを獲得することもできます。

アンティーク作品からクラフトビールまで!青山ファーマーズマーケットと同時開催の「AOYAMA FOOD FLEA」にBASEが出店!

道の駅・直売所などへの販売委託

実店舗を持たない場合は、道の駅や野菜の直売所で委託販売するのも一つの方法です。

カフェやパン屋など、ジャムと関連性のあるショップに商品を置いてもらうと、販売促進につながるでしょう。カフェやパン屋に商品を卸して、メニューに取り入れてもらうのもおすすめです。

手作りジャムの販売を成功させるコツ 

手作りジャムの販売を成功させるコツはおもに次の4つです。

  • 商品説明・写真にこだわる
  • 旬の時期にあわせる
  • SNSで集客する
  • 口コミを募る

商品説明・写真にこだわる 

ネットショッピングでは実際に商品の現物を確認したり、試食したりができないからこそ、写真や商品説明が重要です。

できるだけ多くの写真を掲載して商品の魅力を最大限にアピールするのはもちろん、顧客が商品購入した後をイメージできるように、使用シーンの写真や動画を掲載するのもポイントです。ジャムであれば、スプーンですくうシーンや、パンに塗っているシーンを入れるとイメージが湧きやすいでしょう。

作り手のストーリーや商品ができるまでのストーリーに共感して、商品を買ってみたいと感じる顧客も多いので、説明文にストーリー性をもたせるのもおすすめです。

購入に直結する、食品写真のポイントとは?

旬の時期にあわせる

マーマーレードやいちごジャムなど、定番のジャムはスーパーでも売られていますが、季節ならではの果物を使用したジャムはいつでも手に入るわけではありません。スーパーにはないレア感と季節の限定感をアピールするため、旬の果物を使用したジャムを製造すると注目してもらいやすくなります。

たとえば、秋のジャムならぶどうや柿などが人気です。また、ドラゴンフルーツやバナナ、ラ・フランスなど、めずらしいフルーツのジャムもおすすめです。複数のフルーツを使ったグラデーションのジャムや、花びらを使ったジャムは見た目が美しいのでギフトとしても人気があります。

SNSで集客する

ネットショップの場合、ショップや商品を知ってもらうためにもSNSの集客は欠かせません。BASEはSNS連携機能が多数あり、各種SNSからショップや商品へ誘導できます

  • Instagram販売App:BASEの商品とInstagramを連携することで、Instagramの投稿に商品をタグづけして、BASEの商品販売ページへ直接リンクできる
  • TikTok商品連携・広告App:TikTokアカウントとショップの商品情報を連携できる
  • YouTubeショッピング連携:BASEで開設したネットショップ上の商品と「YouTube ショッピング」を連携することで、YouTubeのチャンネルや動画上に商品のタグ付けなどができる

また、Google広告と連携して、かんたんに広告を出稿することも可能です。

「BASE」の商品をGoogleに!「Google商品連携・広告 App」でできることとは?

口コミを募る

実際に商品を確認できないネット販売の場合、口コミは、商品の購入を決定するための重要な判断基準です。とくに第三者の発言は信頼してもらいやすいので、SNSでの口コミを促す施策を行ったり、商品ページに顧客からの声を掲載したりなど、口コミを有効活用することで販売促進につながるでしょう。

また、顧客の年代や性別、口コミ内容といったデータを収集することで、集客がしやすくなるのはもちろん、商品やサービスの改善につながります。

BASEなら、レビューAppという機能を使うことで、ネットショップに商品のレビューを表示することが可能です。さらに投稿されたレビューに返信もできるため、顧客とコミュニケーションを取ったり、レビューを見た顧客に安心感を与えたりすることもできます。

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「BASE」でジャムを販売するときに必要なこと 

BASEでジャムの加工販売をするさいも、これまで解説した内容と同様、保健所の許可、届出が必要となります。

スムーズに販売を開始するためにも、準備できることは、前もって進めておくようにしましょう。

たとえば、「人的要件」で解説した食品衛生責任者は、取得までに一定の期間が必要です。

また、食品衛生責任者養成講習会は、自治体によって、開催日などが異なります。早めに動いて、準備することが大切です。

「設備要件」においても、施設工事の着工前に図面などを持参して、保健所に相談・確認してもらうことをおすすめします。

ジャムの加工販売といっても、許可や届出など、やるべきことが多いので、リストを作って一つずつ確実にこなしていきましょう。

<やることリスト一覧表>

  • 食品衛生責任者の資格取得
  • 密封包装食品製造業許可の申請
  • 製菓材料等製造業許可の申請
  • 開業届の提出
  • ジャムの製造
  • 販売方法の決定
  • ネットショップの開設(ネット販売する場合)
  • 商品の梱包
  • ラベルの貼り付け
  • 集客(SNS運用やWeb広告出稿、チラシ配布など)

「BASE」でジャムを販売するショップの事例

実際にBASEでジャムを販売しているショップの事例を紹介します。

タツタジャム

大阪府池田市で家族が営むジャム専門店です。家庭の味として長年親しんできたマーマレードをもとに、無添加の体にやさしいジャムとして販売しています。英国のデールメイン国際マーマレードアワードで金賞に選ばれたほか、メディアでの掲載事例も数多くあるショップです。柚子やすだち、甘夏などさまざまな柑橘のマーマレードをはじめ、いちごやブルーベリーなど、常時豊富な商品ラインナップを取り揃えています。

下村農園

高知県にある夫婦二人で営む農園のネットショップです。無農薬で栽培したブルーベリーとしょうがを扱っていて、ブルーベリージャムをはじめとする加工品も販売しています。ジャムに限らずブルーベリーは非常に人気の商品で、入荷するとすぐに完売してしまうようです。

mitsukoji

美大出身のジャム作家が手がけるネットショップです。果樹園から旬の時期にこだわりの果物を仕入れ、一つひとつ手作りしています。「金柑&キャラメルジャム」「プラムとオレンジにラム酒のジャム」など、他ではなかなか味わえない組み合わせの商品が多く、2016年にはデールメイン国際マーマレードアワードで金賞・銀賞・銅賞を受賞しました。一度に作れる数に限りがあることから、ネットショップではBASEの機能を活用して抽選販売を行っています。

まとめ 

今回は、ジャムの加工販売をするさいに、必要な手続きなどについて解説しました。アクセサリーなどの小物と違って、加工食品特有の必要な許可や届出があります。

基本的に保健所の許可、届出が必要となりますが、地域によって許可の条件が異なるため、かならず確認するようにしてください。

許可、届出に関してわからないことがあれば、地元の保健所に問い合わせて、相談するようにしましょう。

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