ECサイト運営の基本スキル。知っておきたい基本業務や運営ノウハウを解説

2020.10.23(更新:2024.04.09)

昨今の社会的背景もあり、ECサイトの競争は激化を続けています。

そんなEC業界にこれからチャレンジしたい、取り組んでみたいと思う方は多いはず。一方でEC運営というのは幅広く、「どんなスキルが必要なの?」と不安もあるかと思います。

そこでこの記事では、EC運営において最低限おさえておきたい基本スキルを、運営から集客までまとめてみました。

個人でも法人でも関係なく必須となる視点をまとめていますので、足りない部分があれば、積極的に改善してみてください。

ECサイト業界の現状

ECサイト市場(BtoC)が伸びている昨今、さまざまな業界で、ECサイト市場に参入する企業や店舗が増えています。

経済産業省が実施した市場調査によれば、2018年のECサイト市場は17兆9,845億円、前年比8.96%増でした。

 

2017年

2018年

伸び率

A.物販系分野

8兆6,008億円

9兆2,992億円

8.12%

B.サービス系分野

5兆9,568億円

6兆6,472億円

11.59%

C.デジタル系分野

1兆9,478億円

2兆382億円

4.64%

統計

16兆5,054億円

17兆9,845億円

8.96%

参照元:我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備|経済産業省 商務情報政策局 情報経済課

さらに、ここ最近では、ショップASPなどの登場によって、ネットショップの開設がかんたんになり、ECサイトは急増しています。

ECサイトの作成方法は、ほかにもいろいろあるので、もしまだどういった方法でECサイトを作ろうかと検討中の方は、下記の記事も参考にしてみてください。

通販サイトの作り方。4つの方法の解説とメリット・デメリットを比較

 

ECサイト運営に必要な7つの基本スキル・業務

では、ECサイト運営における基本的な視点と、具体的なアクションについて、お伝えしていきます。ECサイト運営はマーケティングから顧客対応や配送まで多岐に渡るスキルが必要となります。

スキル1.商品企画

下記のネットショップのはじめかたの記事でも解説していますが、ECサイトを成功させるために必要なのは、他社との差別化です。

その差別化の最たるものが、コンセプト作りや、コンセプトに沿った商品企画となります。(ただ差別化といっても奥は深く商品や価格による差別化、ストーリーによる差別化など多岐にわたります)

ネットショップ経営で生き残るために必要な、差別化の6つの方法

自分がネットショップオーナーとして立ち上げるのであれば、まずはコンセプトの立案が必要ですし、プレイヤーとして参画する場合は、コンセプトに沿いつつ、トレンドや顧客の属性をふまえた商品企画が必要です。

商品企画に関しては、実際に制作する商品を企画する場合もあれば、既製品を仕入れる場合もあります。

いずれの場合にも必要なのは「顧客の需要」「自社の方向性」「収益計画」を元に、必要な商品を必要なタイミングで提供できるようにすることです。

商品企画に関しては以下の記事を参考にしてみてください。

最適な「販売価格」の決め方。価格を決める6つのSTEPと計算方法を解説。

【オーナーズインタビュー/Bull.Tokyo】ブランド作りにはコンセプトワークが重要

また商品を企画するさいには、そもそもそれらの商品はどこから仕入れられるのか?ということも把握しておく必要があります。

仕入れ・製造の方法については下記の記事を参考にしてみてください。

ネットショップの8つの仕入れ方法を、仕入れ手順とあわせて解説!

 

スキル2. サイトデザイン(購入動線の設計)

ECサイトの売上が伸びないボトルネックとして、サイト設計が適切な状態でない場合があります。

商品がどこにあるのか、どんな商品なのか、など、デザイン自体の見やすさはもちろんのこと、操作性や、購入までのフローが簡易的かどうか、といった部分を意識したサイトを設計が必要です。

使いづらい、わかりづらい、見づらいサイト設計になっていると、ページの離脱や売上ダウンにつながります。

いわゆるUI(ユーザーインターフェイス)デザインなどと呼ばれるものになります。いいUIというのは、ユーザーが目標を達成しやすく、悪いUIというのはユーザーが目標を達成しにくいと理解できます。

ECサイトにおいて「目標達成」するために必要なのは「見やすさ」「購入しやすさ」の二つで語ることができるでしょう。

「使いやすいデザイン」

・シンプルで見やすい
・全体の色合いが統一されている
・スマホ表示でも見やすい

「使いにくいデザイン」

・商品情報がすくない
・購入ボタンがわかりづらい
・情報が多すぎて、ゴチャゴチャしている

商品が見やすくても、実際に購入までの手順がわかりづらいと、購入に至らない可能性もあります。購入までの手順がわかりやすいかどうかも、忘れずに確認しましょう。

具体的には、次のようなポイントです。

「購入までがわかりやすいデザイン」

・購入ボタンがわかりやすい
・購入完了までの流れが、一目瞭然である
・購入完了までのページ推移がすくない

サイトデザインについては、下記の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。

売れるネットショップのデザインの本質は2つの視点!具体的に解説します

UIについては資格もある

UIデザインについて学びたい場合は、「Webデザイナー検定」という検定もあります。Webサイトのデザインに特化した検定で、コンセプトメイキングからUIまでカバーしており、体系的に知識を得ることができるでしょう。

実際に検定を受けなくても、対応書籍などを読むことで、WebサイトやECサイトにおいて基礎となる知識を得られるでしょう。

Webデザイナー検定はこちら

 

スキル3. 商品登録・撮影

素晴らしいコンセプトと素晴らしい商品があったとしても、その魅力を十分に伝えられなければECサイトで売上をあげることはできません。

商品を魅力的に見せる「商品撮影」、そしてお客様の不安を取り除きつつ商品の魅力を伝える「商品説明文」の作成はECサイト運営に必須です。

特にこの業務で重要なのは、商品画像と商品説明を相互に補完させることでお客様に「買いたい」と思わせること。

下記の記事でくわしく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

商品説明はどんなふうに書けばいいの?売れているショップの傾向

商品撮影に関しては以下の記事もご覧ください。

商品写真が誰でもスマホでかんたんに撮れる5つのポイント!初心者向け「商品写真講座」

「売れるショップ」になる!活用したいオーナー向けの商材10選

 

スキル4. WEBマーケティング/集客

ECサイトを作成して出品すれば売上が見込める、というわけではありません。

ショップ開設をしたあとは、集客や販売促進活動をおこなわなければ、安定した売上やその向上は期待できません。

ECサイト運営においてもっとも重要であると言っても過言ではないのが、このWebマーケティングの領域です。

ただWebマーケティングといっても内容はさまざま。ECサイトの集客・Webマーケティングにおいて最低限知っておきたいのは下記の3つの内容です。

・SNSによる集客
・SEOによる集客
・広告による
・集客経路の分析

▶︎SNSによる集客

SNSの活用は、ECサイトの集客アップにおいて、有効的な手段です。

SNSは非常に拡散力があり、口コミなどによって評判が広がりやすいです。ECサイトの商品やブランドを広めるうえでは、欠かせない存在と言えます。

InstagramやTwitter、note、さらにはYouTube、TikTokなど多岐に渡りそれぞれで特性が異なります。自分のショップに合う媒体を活用するのが成功への近道です。

もし今からSNS運用を始めるのであれば、Instagramがおすすめ。画像を使って多くの情報を与えられることに加え、検索機能も充実してきたため多くのユーザーにリーチさせることができます。

特に最近では、画像だけでなくテキスト情報も合わせて発信することで雑誌のように活用するアカウントも少なくありません。

またInstagramは、ECサイトへの動線も非常にとりやすいメディアとなっているので、第一に選択したいSNSです。

インスタグラムでフォロワーを増やす14の施策!「発見」タブの攻略がカギなワケとは?

 

▶︎SEOによる集客

SEOによる集客ができると、お金をかけずに大きな売上アップを狙うこともできます。

SEOとは「Search Engine Optimization」の略で、googleなどの検索エンジンで上位表示されることを目的とするものです。

たとえば、「黒毛和牛 お歳暮」などのワードで上位表示することが出来れば、お歳暮を探す膨大な数の人に「無料で」自社のショップに来てもらうことができます。

ただ、SEOは成功すれば大きな売上を挙げられるため競合との争いも熾烈になりますし、かなり専門的なスキルも必要になるため、長い目線でチャレンジする必要があります。

なお「BASE」には、「SEO設定 App」という拡張機能があります。このAppをインストールすることで、ショップのトップページや各商品ページに「keyword(検索キーワード)」や「description(説明文)」を設定することができます。

下記の記事も、参考にしてみてください。

SEOとは?初心者向けのSEO解説とBASEにおけるSEO設定。

 

▶︎広告による集客

SNS以外にも、Web広告によって集客や販売促進をおこなうのも、一つの方法です。Web広告は、広告費をかければ流入につながるため、即効性が高く効果検証がしやすいのが特徴です。

広告は難しいもの、と身構えてしまう方もいるかもしれませんが「BASE」を利用されている<LAND>様では、はじめてのInstagram広告運用によって、成果が拡大しました。

まず、一度トライしてみる価値はあるのではないでしょうか。

実店舗とオンラインの同時運営で生まれる相乗効果。 人気雑貨店に訊く、変化する実店舗の役割と、同時運営成功の秘訣

ECサイトでの広告としては「リスティング広告」と呼ばれる検索エンジンに広告を出す方法とSNS広告と呼ばれ、Instagramなどに広告を出すものがあります。

どちらも非常に有効ですが、商材によるところもあるため、まずはどちらも試してみて自分のショップに合う広告媒体を見つけることが成果拡大につながります。

 

▶︎集客経路の把握

どこからお客様を集めるのか、といった集客経路を考えることも大切です。

たとえば、SNSやyoutube、自社のブログ、関連会社のホームページなどからの流入です。広告や口コミサイト、キュレーションサイトなども、ネットショップへの集客経路になるでしょう。

集客経路となり得る媒体をいくつかピックアップし、自身のECサイトにとって、もっとも相性がよい集客経路はどこなのか、考えてみましょう。

なお、「BASE」で集客経路を考える場合には、ショッピングアプリの活用も選択肢に入れましょう。

ショッピングアプリ「BASE」は、さまざまな「BASE」ショップが集まったショッピングモールであり、累計で700万件ダウンロードされています。

自身のショップに登録した商品は、自動的にこのショッピングアプリ上にも表示されます。ショッピングアプリの活用方法については、下記のページをご確認ください。

ショッピングアプリ「BASE」の活用方法

 

とはいえ、どの手法であれその道のプロが存在する難しい世界。まずはどこに注力するかを定めて、一つずつ注力し、効果検証していくい必要があります。

その他広告含め、ネットショップ集客については下記の記事を参考にしてください。

ネットショップで集客する方法と、商品を売るために絶対に必要な考え方

 

スキル5. 受注/在庫管理/顧客管理

もっとも基本的な業務とも言えるのが、受注と在庫管理作業です。

必要な時に必要なものをお客様に届けられるように確実な在庫管理とミスのない受注作業が必要です。

ただし在庫管理はミスが発生しやすい業務の一つ。在庫管理を手入力で行っているのであれば、在庫管理システムや外部の在庫管理サービスを活用することもできます。

ネットショップの在庫管理方法4つ!適切な方法で管理しよう

また、顧客対応として、お客様からの質問対応に時間を取られている場合は、チャット機能の導入や、よくある質問を掲載する、などの対策をしてみましょう。

実際に「BASE」でショップを運営されている<h.u.g-flower>様では、よくある質問を設置したことで、問い合わせ数を劇的に減らすことができたそうです。

「自社ECでは絶対できなかったし、信頼を失っていたかもしれない」 1日2,800本を販売した「チーズテリーヌ」ショップがBASEで目指す姿とは

 

スキル6. 梱包/配送作業

受注データを元に検品・梱包し、伝票を貼りお客様のもとへと配送します。

ECショップにおいてはこの梱包作業が他ショップとの差別化ポイントにもなるので、手を抜くことなく考えていくことが必要です。

というのもECでは、お客様が最初に目にするのが梱包された商品だから。つまり、お客様とショップとの最初の接点が生まれる場所。

例えばそこに手書きのメッセージなどが入っていると嬉しいですし、丁寧に几帳面に梱包されていればお店への高感度も上がります。

このように梱包一つでお客様の満足度を高めることもできるので工夫を考えてみましょう。

ネットショップでの梱包方法!基礎知識から満足度を高める工夫の仕方まで

そのほか、発送は、伝票作成などの業務を簡略化できれば、かなりの時間を短縮することができます。

「BASE」では、ヤマト運輸と連携したサービスや「送り状データダウンロード App」によって、効率的に運用がおこなえるようになっています。

また一定の物量を配送するようになってきたら配送会社と交渉し、価格を下げるなどの試みも必要です。

ネットショップの送料の決め方は?送料の設定パターンや安く抑える方法を解説!

 

 スキル7. 分析と改善

ECサイトの売上アップには分析も必要です。

たとえば集客であれば、どの集客経路からユーザーが来ているのか、どの時間帯に訪問されることが多いのかなどを分析します。

訪問の多い時間や曜日がわかれば、タイムセールや新商品入荷のタイミングなどに活用できるからです。

そのほかにも、購買単価の高い顧客属性を分析することで新商品の仕入れなどにも活用することができるため、ECサイト運営者にとっては必須とも言えるスキルです。

また広告を実施した時に見るべきポイントは、「どこからの集客が多いか?」ではありません。見るべきポイントとしては、まず「かけたコストに対する売上(ROAS)」を見るといいでしょう。

ROAS

ROASとは(Return On Advertising Spend)の略で、投じた広告費から得られる売上のことを指します。

たとえば1,000円広告を出して1,000円の売上であれば、ROASは100%になります。売上が10,000円であれば1,000%になります。

つまりROASが高いほど、効率のいい広告となります。ECサイトにおいては集客することが目的ではなく、あくまで売上をあげることが目的なので、こういった指標を見ることが重要になります。

SNSやSEOは時間がかかる施策のため、単純にROASでは測れない

注意すべきなのはSNSやSEOの効果検証です。これらの集客方法は、やればすぐに成果が出るモノではなく、効果がでるまでに時間を要します。

そのため、単にROASで評価すると「パフォーマンスが悪い」となってしまいますので、媒体や施策に合わせた評価が必要ということも頭に入れておきましょう。

 

ECサイトに必要なスキルはECの形態によっても変わる

ここまでECサイト運営に必要な基本的スキルをご紹介してきましたが、実際に必要なスキルはECの形態によって変わります。

ECの形態というのは、<楽天>などのモール型ショップなのか、「BASE」などのネットショップ作成サービスを使った物なのか、独自で複雑なシステムを作っているECなのかということ。

たとえば「BASE」であれば、基本的にプログラミングスキルなしで、デザインの編集や機能の追加などができますが、そうでない場合はプログラミングのスキルや知識なども必要になってくる可能性があります。

また自社でECを作っている場合は、セキュリティに関する担当者など必要になるなどさまざま。

こちらに関しては下記の記事も参考にしてみてください。

通販サイトの作り方。4つの方法の解説とメリット・デメリットを比較

 

 

 

ECサイト運営のスキルを高めるには自分で運営してみること

ECサイト運営のスキルは多岐に渡りますが、もっともかんたんに早く習得するには、実際にECサイトを立ち上げて運営してみることです。

実際に課題に直面することで、その都度熱量の高い学びを得ることができます。これは、どんなに座学で学んでも学べない領域。

「BASE」であれば初期費用も月額費用も無料でECさいちを立ち上げることができますので、まずは「BASE」でECサイトを立ち上げてみましょう。

「パソコンすらろくに触れない」という方も安心してください。

「BASE」でショップを開いている方の中には、全然パソコン分かりませんという方も多数いらっしゃいます。

そういった方でもかんたんに使えるのが「BASE」の魅力。下記の記事もぜひ参考に、ECサイト運営にチャレンジしてみてください。

実店舗とオンラインの同時運営で生まれる相乗効果。 人気雑貨店に訊く、変化する実店舗の役割と、同時運営成功の秘訣

▶︎インタビュー記事一覧はこちら

 

ネットショップ運営に関する資格や検定もあります

EC業界が未経験な方にとっては、「知識を体系的に学習したい」という方もいるかもしれません。

そんな場合は、ECに関する資格や検定も検討してみてください。

ネットショップやEC運営に関する資格や検定おすすめ9選!

くわしくは上記の記事で詳しく解説していますが、例えば以下のような資格や検定が存在します。

・ネットショップ実務士
→今回紹介したようなネットショップ運営にまつわる全体の知識を3つのレベルに分けて受験することができます。かなり実務的な内容となっているため、体系的に学びたい方にはぴったりです。

・通販エキスパート検定
→通販業務における業務や法律、マネジメントなど実務よりももう少し上流部分に重きを置いた検定となっています。

・ITパスポート試験
→「EC」というよりは、ITスキル全般に関する知識を問われる国家試験です。

・Webデザイン技能検定
→Webサイトのデザインに関するスキルや知識の国家試験で、コーディングなども含めた実践的な試験となっています。

・Webデザイナー検定
→Webデザイン専門の方だけでなく、マーケティングなどの業務に関わる方にも必要なUIやコンセプトなども含めた検定となっています。

※このほかにもさまざまな検定や資格があります。

 

まとめ

以上、ネットショップ運営に必要なスキルについて解説しました。ご覧いただいたように、ネットショップ運営には、マーケティングの知識や小売り、顧客対応など広範な知識が必要です。

これらの領域を、一から学んでいくのは非常に骨のおれる学習となりますので、実際にネットショップを作って、運営しながら学んでいくのが近道でしょう。

「BASE」であれば、初期費用も月額費用も無料なので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

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