近ごろよく耳にする「サステナブル」。
しかしながら、実際になにをすればいいのかわからない・ピンとこない方も多いのではないでしょうか。
BASE Uでは、環境に配慮した商品や、サステナブルな取り組みをされているショップオーナー様にインタビューをおこないました。
この記事を通して、サステナブルな取り組みを実践されているオーナーさんの想いを感じながら、自分の生活やネットショップ運営のなかでなにができるか、考えるきっかけになれば幸いです。
今回お話をうかがったのは、<BALIISM Japan株式会社>代表の長谷川 真之さん。
バリ滞在中の長谷川さんを収めた1枚
ショップ名のとおり、「バリ」の暮らしをテーマにした、プラスチックフリーの歯ブラシやタンブラー、ストローなどの生活雑貨を中心に展開されています。
実際に、バリで生活された経験をお持ちの長谷川さんが考える、自然にも、使う人にもやさしいサステナブル製品の形についてうかがいます。
目次
バリで体感した「人と自然にやさしい暮らし」
ーー<BALIISM Japan株式会社>はいつ設立されたのでしょう?
BALIISMというブランド自体は、2015年にバリで立ち上げました。
最初は、バリの職人さんに依頼して、BtoBでカフェやレストラン向けの家具の製作をおこなっていました。
そこから、日本に向けて、BtoCのサステナブル製品の輸入販売を行うために、2016年に<BALIISM Japan株式会社>を設立しました。
ーーバリの魅力を教えてください。
いちばんの魅力は、仕事よりも、家族や友達を大事にする価値観が根付いていた点です。
たとえば、親戚や友人の結婚式はもちろんのこと、友達の看病でも会社を休むのが当たり前のことなんです。
バリでは、仕事でお金を稼ぐことよりも、人間関係だったり、日々の生活を充実させることに重きを置いているのです。
そうした考え方に、心地よさを感じました。
バリの職人さんと長谷川さん
ーー人や日々の生活を大事にするバリでの生活のなかで、環境問題へご興味を持たれたきっかけは、なんだったのでしょう?
バリって、観光資源となるくらい、自然がとても多いんですよね。そのためか、「自然と共存する」という意識が強くありました。
たとえば、日本の生活だと、暑いとすぐエアコンや扇風機を点けるじゃないですか?バリだと、涼しい場所に人が移動するんです。
川のそばにカフェがあって、テラス席になっているので、滝からの風が通る。なので、暑いときはそこへ涼みにいくんです。バリでは、日本のように、電気や機器を使って、環境を人間に都合のいいように変えるのではなく、川や風など、自然のものをうまく使って、人間が心地よく過ごせるように工夫します。そうした工夫や姿勢が、バリでの暮らしの至るところで活かされていました。
必要なものを必要なだけ。ミニマムなバリのスタイル
ーー日用品や消耗品についても、自然の素材をうまく取り入れられていたのでしょうか?
はい、そうです。
生活のなかで必要なものを買うのではなく、自生している竹や木を使って、自分で作ったり、職人に依頼して作ってもらうことが主流なんです。
いわゆる「オーダーメイド」ですね。
日本だとぜいたくですが、バリだとそれがふつうなんです。
竹ストローを製造する、バリの職人さん
ーー必要なものを、必要なだけ作るスタイルなんですね。
そのとおりです。
そのため、バリには日用品や家具を作る職人がたくさんいます。
木工だったり、鉄加工だったりと、村ごとに得意な職人さんが集まっている。
必要なものは、そこに頼みに行くんです。
工場を建てたり、作ったものを保管する場所が必要となる、大量生産ではないので、環境に影響が少ないやり方です。
また、必要以上に作りすぎるといったロスがないので、廃棄物やゴミも少なくすみます。ミニマムで、環境への負担が少ない自然に寄り添った形で、日常の必要なものが手に入るようになっています。
サステナブルを「手軽に、気軽に、心地よく」
ーーBALIISMでは竹を使った歯ブラシや、麦わらのストローなどを販売されています。
こちらも、バリの職人が作られているのでしょうか?
基本的には、バリで作っています。
製品のクオリティについては、現地スタッフと連携して、コントロールしています。
ストロー製造の最終行程の様子
いくら環境にいいからといって、すぐ壊れてしまうものや、質があんまりよくないものだと、やっぱり使いたくないじゃないですか。
品質やデザインなどの「製品のよさ」で選んだものが、じつは環境にやさしい、くらいの手軽さで商品を選んでもらいたい、と思っています。
ーー竹の歯ブラシの取っ手が丸型のものもあって、デザインも素敵だなと思いました!
竹の歯ブラシは、リピートして買ってくださる方も多い、人気商品です。
ネットショップだと、1本から買っていただけるので、「ちょっと試してみようかな」と、気軽な気持ちで商品を購入いただけるのがいいですよね。
カタログみたいな感じで、ネットショップを展開しています。
竹でできた、平型歯ブラシ(左)と丸形歯ブラシ(右)
ライフスタイルは人それぞれです。「こうした方がいいですよ」っていうのが、当てはまらない人もいる。
なので、「これがエコですよ」とか、極端に「プラスチックは使っちゃダメ!」とか、価値観ややり方を押し付けられると、やっぱり苦しいじゃないですか?
なので、自分の生活の中で取り入れられる、「サステナブルな選択肢」の一つとして、BALIISMの商品を提供したい、と考えています。
竹ストローは、洗って繰り返し使用できます
ネットショップでできる、サステナブルな取り組み
ーー商品発送時の梱包についても、ミニマムで環境に配慮した方法を取られています。
せっかく環境に配慮した商品を買ったのに、プラスチックの梱包資材が使われていたり、クッション材がすき間なく詰められた状態で送られてきたりすると、ちょっとがっかりしますよね。
そうした声を受けて、BALIISMでは現在、おもに2つの取り組みをしています。
1つ目は、クッション材を使わないことです。
商品がぴったり入るサイズの、再生紙を使用した箱で梱包しています。
箱と商品の間に空間ができないような箱を用意しているので、クッション材がそもそも必要ないため、ゴミが少なくすみます。
BALIISMのYoutubeでも紹介している、ゼロウェイストな梱包
2つ目が、段ボールのリユースです。
段ボールはリサイクル可能なんですが、そもそもリサイクルをすること自体、多くのエネルギーを使います。
CO2の排出などにつながるため、リサイクルよりも、リユース・再利用することをBALIISMでは選択しています。
リユースする段ボールは、おもに業務上で輸送に使われた、傷みの少ない外箱を使っています。
使い終わったものをお客様へ提供するのは、失礼に当たると思われるかもしれませんが、再利用に取り組む背景や、想いをお伝えすると、納得感を持って買っていただけています。
再利用されたリユース外箱は、ラベルが貼り付けられた状態
ーーネットショップの商品を作ったり、仕入れる過程で使われた梱包材を、再利用する方法はかんたんに取り入れられそうです。
そう思います。エコに関心の高いお客様に、よろこんでいただけると思います。
また、よりかんたんに取り組める梱包のやり方として、クッション材を使わずに、箱のなかで商品をテープで固定するやり方もあります。
BALIISMでは、商品にぴったり合う箱を発注しているんですが、それだと少しコストがかかってしまいます。
テープで固定すれば、商品と箱の大きさが合っていなくても、クッション材なしに商品が固定できるので、梱包材の準備も少なくできる、おすすめのやり方です。
ーーどちらもすぐにはじめられそうな、サステナブルな取り組みですね!
そうですね。
「サステナブル」という言葉に、ちょっと堅苦しい印象を持たれる方も多いと思うんです。
でも、むずかしく考えずに、生活や暮らしのなかの「ちょっとした無駄を減らす工夫」だと思って、いろんな方に気軽に取り入れてほしい、と思っています。
インタビューを終えて
バリでの生活を経て、手軽に生活へ取り入れられる、サステナブルな製品の開発と販売をされている谷川さん。
選択肢の一つとしてサステナブル製品を提供したい、というお話が印象的でした。
ネットショップでできるエコな梱包についても、さっそく真似したくなったオーナー様も多いのではないでしょうか?
身近にできることから少しずつ。
人にも、環境にもやさしい取り組みを、BALIISMの商品とともに、ぜひみなさんもはじめてみてはいかがでしょうか?
ショップの情報
ショップ:BALIISM
ウェブサイト:https://www.jp.baliism.asia/
Instagram:@baliism_japan
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