近ごろよく耳にする「サステナブル」。
しかしながら、実際になにをすればいいのかわからない・ピンとこない方も多いのではないでしょうか。
BASE Uでは、環境に配慮した商品や、サステナブルな取り組みをされているショップオーナー様にインタビューをおこないました。
この記事を通して、サステナブルな取り組みを実践されているオーナーさんの想いを感じながら、自分の生活やネットショップ運営のなかでなにができるか、考えるきっかけになれば幸いです。
今回お話をうかがったのは、ハンドメイドのみつろうラップを扱う<Sea for me>のshihomiさん。
兵庫県明石市を中心に活動するビーチクリーン団体「WATARIUMI」も主宰されています。
明石市の海を背景に、みつろうラップを持つshihomiさん
「子どもたちに綺麗な海を残してあげたい」と語るshihomiさん。
みつろうラップの作成をはじめたきっかけや、販売に至った経緯をうかがいました。
撮影:en. フォトグラファー・佐藤友希さん@en.yukiphoto
未来の子どもたちのためのクリーンアップ運動
ーーshihomiさんは、クリーンアップ団体主催やみつろうラップの販売など、環境を守る活動に精力的に取り組んでいらっしゃいます。サステナブルやエコを意識しはじめたきっかけを教えてください。
10年ほど前に、オーストラリアに2年間移住したことがきっかけです。
オーストラリアで暮らしてみると、日本と比べてエコやステナブルへの取り組みが早かったことが、印象的でした。
たとえば、買い物のさいにマイバッグや買い物バッグを持つことが、オーストラリアでは10年前から当たり前だったんです。
エコや環境問題に対する意識が、オーストラリアで生活されてる方のなかに強く根付いている、と感じました。
習慣づいている、っていうのかな。みんな、当たり前のようにやっていました。
当時は、サステナブルやエコのたいせつさがよく分かっていなかったんです。
オーストラリアは、 日本みたいに安くて便利なディスカウントショップもないし、「不便でかわいそうやな」とか、「日本って豊かですごい国やな」って思ってたんです。
そう思ってたんですが、自分の住む明石市の海を見たときに、オーストラリアの海と比べて、ゴミの多さにびっくりしたんです。
明石市の海
わたし自身、明石市の生まれで、海のそばで育ってきたんですが、いままで海岸や海に浮かぶゴミについて意識したことがなくて。衝撃でしたね。
日本での豊かな生活も、そのことによって海が汚れたり、自然が破壊されていくことにつながっているなんて、思ってもみないことでした。
そこから、「どないかせなあかんな」と考えるようになりました。
自分の考えがあらためられて、環境問題を意識するようになったきっかけでしたね。
とくに、「自分の子どもたちの未来を守るために、なにかできることないかな」って考えるようになって。
気軽に、また年を取っても継続して続けられることを考えたときに、海のゴミ拾いをしよう、と思いつきました。
まずは身近なところからきれいにしていけば、ちょっとずつでも変わっていくんちゃうかな、って。
そこからクリーンアップ団体「WATARIUM」を主宰して、現在大体80人ぐらいのそのメンバーに参加してもらっています。
エコで便利な「みつろうラップ」
ーー<Sea for me>で販売している、「みつろうラップ」について教えてください。
「みつろうラップ」とは、みつろうを布に染み込ませたラップのことです。
色とりどりの「みつろうラップ」
みつろうはミツバチの巣を構成している「ろう」を精製したものです。
「ろう」なので、冷蔵庫に入れておくとかたくなり、常温ではやわらかくなります。
手のぬくもりで温めることにより、どんな形にもフィットするので、プラスチック製のラップの代わりに使用できます。
さらに、水洗いして繰り返し使えて、毎日使っていただくと、約半年くらいは持ちます。節約になるし、地球にもやさしいエコなラップなんです。
<Sea for me>では、国産のミツバチから採れたみつろうと、オーガニックのホホバオイルを布に染み込ませて作っています。
一枚ずつ手づくりによって作成される、みつろうラップ
また、生地はオーガニックコットン100%にこだわっていて、エコなだけでなく、使い心地もいい商品となっています。
ーーみつろうラップをご存じになったきっかけは、なんだったのでしょう?
海でのゴミ拾いの活動のなかで、参加者の方に教えてもらいました。
主宰している海のクリーンアップ活動に参加してくださる方は、やはりサステナブルに興味がある方が多くて。
サステナブルやエコに関する情報交換をするなかで、みつろうラップについて教えてもらいました。
正直なところ、わたし自身、日ごろからプラスチック製のラップをむちゃくちゃ使ってたんです(笑)。
何気なくラップをビリビリッと破いて、使ったらすぐ丸めて捨ててしまうので、もったいないな、とは思っていました。
なので、タッパーで代用するなどして、なんとかラップを使わないようにしよう、と試行錯誤していたんです。
教えてもらったみつろうラップは、プラスチック製のラップと同じようにシート状で使えて、しかも繰り返し使用できるので、「めっちゃええやん!」って感動しました。
カラフルなデザインが、台所に彩りをそえる
わくわく、気分が上がるみつろうラップを目指して
ーーご自身でみつろうラップをハンドメイドするようになったのは、どういったきっかけでしょうか?
市販しているものが高いな、と感じたことと、自分の好みの柄が見つからなかったからです。
おすすめされたみつろうラップをいざ買ってみようと思って、インスタやインターネットで探していたんですが、ちょっと値段が高くて。
持ちがいいとはいえ、毎日使うものなので、できるだけ安価なものがほしい、と思ったんです。
あとは、好みの柄があまりなくて。
金額と見た目の部分で、心から「ほしい」と思えるみつろうラップが見つからなかったんです。
それなら、自分の好きな柄で1回作ってみよう、と思いました。
布や国産のみつろうなど、そういった材料を自分で調達するところからはじめました。
できあがったみつろうラップは、自分の好みの柄なので、もうすごくかわいくて。
キッチンで使うのが、すごい楽しみになったんです。
そこから1年も経たないうちに、 プラスチック製のラップは使わなくなって、完全にみつろうラップのみを使うようになりました。
ーー自分のお気に入りのみつろうラップ、とても素敵ですね! ネットショップをはじめられたきっかけを教えてください。
みつろうラップをキッチンで使う「楽しさ」を広めたい、というのが大きいです。
サステナブルやエコを広めたいという気持ちも、もちろんあります。
あるんですが、それだけではなくて。
自分が体験した、可愛くておしゃれなみつろうラップを使ったときの「わくわく感」を、幅広い世代の方に味わってもらいたいです。
カラフルな花柄がネットショップでも人気
<Sea for me>のみつろうラップは可愛いし、使ってて気分が上がるんですよね。透明なラップが味気なく感じるくらいなんです。
そうした体験をみなさんにシェアしたい、という想いからネットショップでの販売にチャレンジしました。
アイディア次第で使い方が広がる
ーーみつろうラップのおすすめの使い方を教えてください。
わたしのおすすめは、カトラリーやお弁当のお箸を、みつろうラップで包んで持ち運ぶ使い方です。
お弁当の箸やスプーンのケースって、プラスチック製が多くて壊れやすいですよね?
あとは、洗うのがちょっとめんどくさい。
そこで、ケースの代わりに、カトラリーやお箸をみつろうラップで包むんです。
そうすると、ケースが壊れることもないし、かさばらない。そして、洗うときも、みつろうラップを水でさっと流すだけなので、おすすめです。
あとは、みつろうラップって、折り紙みたいに折れるんです。
袋状に折られた、みつろうラップ
なので、袋のように折って、おやつや小物などを入れて持ち運んでいます。
また、<Sea for me>で作っているみつろうラップは、オーガニックのホホバオイルと天然樹脂を混ぜているので、保湿効果が高いんです。
なので、乾燥しやすい葉物野菜を包んで、冷蔵庫で保存していただくと、野菜が傷まずに長持ちします。
みつろうラップで野菜の保存もできる
フードロスを削減する取り組みも活用できるので、おすすめです。
ーー最後に、今後ネットショップを通じてやっていきたいことを教えてください。
リップクリームやハンドクリームなど、みつろうを使用した商品をほかにも販売できたら、と思っています。
また、麻を使った、たわしの販売も考えています。
アクリルやプラスチックのたわしと違って、廃棄のときに土へ還る、エコなたわしです。
販売予定のエコな麻たわし
買っていただいた方が、楽しみながらサステナブルに取り組んでいただけるような商品をそろえていきたいです。
インタビューを終えて
オーストラリアへの移住をきっかけに、地元・明石市の海を守る活動の一環で、みつろうラップの販売をはじめられたshihomiさん。
海のクリーンアップ活動や、みつろうラップについて「楽しくないと続かないから、まずは自分が楽しんでやれることを、みなさんにおすすめしたい」とお話しいただいきました。
shihomiさんが体験された「わくわく感」は、みつろうラップのカラフルなデザインからも感じられます。
ネットショップを通じて、商品やサービスだけでなく、ご自身の「気持ち」も届けていく。それが、ネットショップを楽しんで続ける秘訣かもしれません。
ショップ情報
ショップ:Sea for me
Instagram:@sea_for_me_2022