【YELLの先には vol.3】「商品はすべて自宅のミシンから」ハイキングブランド<Gコ山>が語る、非売上至上主義なショップ運営

2019.05.31(更新:2024.04.09)

「BASE」を利用する数多くのオーナーズ。オーナーズがいる数ほど、ブランドとそれぞれのストーリーがあるはず。

「YELLの先には」では、「BASE」が提供する、リスクなく即時で資金調達できる金融サービス「YELL BANK」を活用したオーナーズからブランド運営に関するリアルを探ります。

第三回はアウトドア好きのための日本最大のアウトドアブランドの展示会  Off the Grid に第一回から出店する、ハイキンググッズブランド<GREAT COSSY MOUNTAIN>大越智哉さん。自らもハイカーとして活動する大越さんに新しいハイキングブランドのあり方についてお訊きしました。

大越 智哉(オオコシ・トモヤ)  

<GREAT COSSY MOUNTAIN> 代表。高校時代に山岳部に入部して以降、山登りの道にのめり込む。ハイキンググッズをDIYするMYOG(マイオグ)のカルチャーに魅了され、自身でもブランドを立ち上げ、第一回 「Off the Grid」にも出店。以降、ショップ内でバックパックのMYOGキットやブランドTシャツを出品し、人気を集める。 @tomoya_okoshi    

 

好きなものを、好きな人へ。好きだからこそ続けられるブランド運営。

——大越さんはハイキングのブランドを運営していますが、ずっとハイキングが好きだったのですか?

高校生の時に山岳部に入部したのがきっかけで山登りに夢中になりました。学生の頃は数日間かけて山にこもるような登山を中心に活動をしていました。逆に、社会人になってからはそういった体力を使う山登りではなく、日帰りや2~3日で体験できるハイキングをするようになって、その時に出会ったのが「MYOG(マイオグ)」と呼ばれるカルチャーです。MYOGとは、Make Your Own Gear という言葉の略で、ハイキングに使用する道具を自分でミシンを使って作ったり、市販品を自分用にカスタマイズすることで、ハイキング中の持ち物を軽量化していくことを目的としています。

——既製品ではなく、自分に合ったグッズを作っていくんですね。

登山グッズのブランドには有名なブランドがいくつもあります。どのブランドも質は高いのですが、100%自分にマッチしているかと言えばそうではないことも多くて。例えば、リュックでは金具のフックやプラスチックの留め金が多くついていたり。便利すぎるがゆえに重くなってしまっていることがあります。

——<GREAT COSSY MOUNTAIN>を立ち上げたきっかけもMYOGですか?

そうですね。10年程前から自分に合ったギアのグッズがほしくて、リュックやバックパック、シェルターなどを作り始めたのがきっかけかな。最初は既製品の余分なものをカットしていったり、改良していって。そこからとにかく「軽い」を追求するMYOGにどハマりして、<GREAT COSSY MOUNTAIN>略して<Gコ山>のブランドができました。グッズを極限まで軽く・シンプルにすることが目的です。

——なぜ軽いことが大切なんですか?

なぜ軽量化を重視しているのかというと、もともと北米で、数か月~半年単位でハイキングをする文化があるんです。長期間歩いていても疲れにくくなる工夫としてMYOGして軽くて自分に合ったグッズを作る人が多くて。

逆に、日本では長期間のハイキングはなじみません。でも、ハイキングする本当の目的って、北米のハイカーでも日本人でも根本は同じで、歩くことで自分のことを見つめなおす機会を作るためものなんです。半年間歩くハイカーでなくても、シンプルで軽量なものを身に着ければ、自分の思想や行動もシンプルで軽やかになっていくはず。自分の意識に集中しやすくなる手助けをすること、それがぼくのショップの意義だと考えています。

——ブランドはどのように広まっていきましたか?

まずは自分で作ったものや改良したものをSNSで発信することからスタートしましたね。周りの友人たちに「俺にも作ってよ」と言ってもらえるようになって。知り合いレベルでグッズを作っていたのが、お客さんの輪を広げようという思いでネットショップを始めました。SNSを見たり、商品を購入した人のSNSを見たりして、お客さんが徐々に増えていって。ハイキングの雑誌に掲載されたのも、ブランドが認知されたきっかけになったかもしれません。

Off the GridというMYOGや軽量化を追求するウルトラライトハイキングに即したブランドが集まるイベントにも声をかけてもらって、五年前の第一回から参加しています。

——ブランドを運営するうえで転換期はありましたか?

独立したタイミングでしょうか。ぼくは社会人になってからは建築系の設計事務所やIT企業で働いていたのですが、<Gコ山>のお客さんが増えていったこともあり、2年前に独立しました。

——ブランド運営一本にしたんですね。

<Gコ山>のようなブランドで難しいのは、より多くの方をターゲットにしようとすると機能を追加した「シンプルでない」製品を作成しなければいけないし、工場に生産をお願いすることになってしまう。利益を追うためには、新商品を無理に追加したり、大量生産したりとやり方はあるかもしれないけど、僕はそういうのはいやなんです。機能性は少ないけれど、シンプルで軽いことが自慢の<Gコ山>の商品に共感してくれる方に届けたい。そのためにも、独立して商品製作の時間を作る必要がありました。だからこそ、今でも自宅のミシンで一人で商品を作ることを大切にしています。正直サラリーマン時代より給料は減りましたが、自分が健康に生きていける売上は立っていいます。今は、それで充分です。

売上至上主義でない、目の前の一人を喜ばせるという、「オーナーズ」としてのありかた

——<Gコ山>の人気商品を教えてください。

バックパックやTシャツも人気ですが、一番人気の商品はガサゴソバッグ。ヨットの帆にも使われるような、薄くて軽いキューベンファイバーという素材でできています。単体でも使えますし、軽くてコンパクトにもなる上に繰り返し使えるのでハイキングでは重宝されます。

ガサゴソバッグはもちろんのこと、<Gコ山>の商品はTシャツなどのノベルティ商品を除き、100%お手製です。僕の自宅のミシンで作っています。

人気商品のガサゴソバッグ。大越さんの自宅で作られている。

——「YELL BANK」で資金調達したお金も製作費に?

調達した資金は主に商品の生地の仕入れに利用しました。MYOGするための素材が日本にない場合が多くて。今回は、ハイキング先進国であるアメリカやヨーロッパなどから仕入れました。

——一番売上を左右する要因は何ですか?

正直僕の体力かも。体力的に余裕がある月は在庫をたくさん作ることもできるし。ただ、毎月在庫を増やせば売上が伸び続けるかと言われればそうでもないし、お客さんとのやり取りをする中でコントロールするように心がけています。

急に支払いが必要になったときのような、いざという保険のような位置づけで「YELL BANK」があれば心強いなと思いますね。

——大越さんの行動がそのままショップに反映されるんですね。

そうですね。逆にぼく個人の使える時間はどんどん減っているように感じています。個人でブランドの運営をしているので、製作からお問い合せ対応、仕入れや経理まで一人で業務をしていて。ブランドを始めるきっかけになった大好きなハイキングにも、最近はあんまり行けていません。いいバランスを見つけていきたいですけどね。

——これからの目標などあれば教えてください。

これからも、無理に売り上げを伸ばそうとしたり、大量生産はしたくありません。こんな大きなブランドにするぞ!みたいな野望はなくて、MYOGやメロウハイキングを好きになってくれるきっかけになればいいなと。お金の面では、自分が生きてさえいければいいと思っています。

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