赤字を出さない「集客」の考え方と予算設定

更新日 : 2021/10/27
投稿日 : 2021/10/27

「集客」の前にまずは知っておきたい、「マーケティング」の考え方については、こちらの記事で説明いたしました。
さて、今回のテーマは、いよいよ「集客」です。

概念的な説明やフレームワークを見て目を背けたくなるかもしれませんが、わかっているようできちんとわかっていないことが多いと思います。「集客」についてきちんと理解しましょう。

その上で「広告」に取り組むわけですが、時間もお金もかかることから何としても効果を出したいですよね。そして赤字は避けたいもの。

そのためにも「集客」の考え方と、予算設定のやり方に関して学んでいきましょう。

「集客」とは

集客とは、売り手側(=ショップ)の視点であり、買い手側(=顧客)が「ほしい」と思わなければ、商品は売れません。そして、顧客が気持ちよく購入体験をしてもらわなければ、次の購入にはつながりません。そのため、広告のクリエイティブだけを改善したとしても、売上が上がらないことがあります。

これは、新規顧客の売上の貢献度は、だいたい全体の2割ほどとなるため、大きく売上を上げるためには、固定客化が重要になるからです。

そこで言えることは、集客とは、購買活動をうながすことであり、顧客を魅了すること、でもあります。ここで重要になるのは、ベネフィットです。

ベネフィットとは、商品が持つ「価値」であり、顧客が購入に至る、決定的な要因のことです。「強み」との大きな違いは、ベネフィット、はたんなるほかの商品に比べた優位な要因ではなく、顧客が求めているもの、であることです。

なにを魅力的に感じるのかは、顧客の思考や趣向によって違います。そのため、こちらの記事でお伝えした、セグメンテーションとターゲティングが重要となります。

固定客の客数を増やす努力をしよう

誤解されやすいのですが、集客は、新しいお客様を獲得することを目的としておこなうわけではありません。ショップの運営戦略の一部である以上、利益の最大化を目的におこなうものとなります。

利益の観点で言えば、先ほどお伝えしたとおり、固定客、つまりリピーターの獲得はとても重要です。それを示す法則が、実際に存在します。

・「2:8の法則」と呼ばれるパレートの法則によれば、全体の売上高の7〜8割は、固定客2〜3割に支えられている、とされています。

・マーケティングの法則の1つ、「1:5の法則」によれば、新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかる、とされています。

・マーケティングの法則の1つ、「5:25の法則」によれば、顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善できる、とされます。

1人あたりの利益で比較すると、固定客の方が、新規顧客よりも圧倒的に大きくなります。ゆえに、固定客は、ショップの利益を最大化する上で重要であり、固定客の客数を増やすための努力を積み重ねていくことが大切になってきます。

ところが、固定客の客数は、新規顧客の集客がうまくいっていることが前提となります。なぜならば、同じ商品をずっと使い続ける人はいないからです。いずれは離れていってしまうため、新規顧客をつねにに集客していかなければいけません。

固定客は、以下の条件をそれぞれ満たすことで、増やすことができます。

・初回の購入体験が、期待を上回っていた
・再購入のきっかけが、とても多い

ご自身の経験の中で、“あのお店の商品はよかった”と感じつつ、もう一度行くきっかけがなかった、気がついてみれば、前回行ったのは2年前の話だった、という経験はありませんか?

何度も利用している商品は、購入がしやすい、利便性がとても高い、などのきっかけがあることが多かったりします。そのため、固定客化していくためには、きっかけをできる限り多く作ることが必要です。

そして、当たり前の話ですが、最初の体験が期待外れだった場合、2回目の利用はありません。事前に期待していたものほど、落胆したときの評価は低く、期待していなかったものほど、よかったときの評価は高くなります。

ここで重要になるベネフィットは、主観のため、まったく同一の商品を提供したとしても、顧客によって、感じ方は異なります。そして、その評価は、ベネフィットから事前の期待値を差し引いたもの、となります。評価が高ければ、次回の購買につながります。

評価=ベネフィットー事前の期待値

今は、Instagramのハッシュタグ検索で商品の見た目や感想を把握したり、Google検索でレビューを事前に知る時代です。いい評価を持っている顧客をどれだけ生み出せるのかが、のちのちの新規顧客の集客にも強く影響してきます。

つまり、集客とは、新規顧客の獲得から固定客化までの一連の流れすべてを指すものであり、ベネフィットを提供することで固定客の人数を増やし、利益を最大化することが目的、となります。

「集客」の戦略作りの流れと、予算の決め方

ここからは、顧客の購買行動に基づいた、「集客」の戦略を立てる方法を紹介していきます。以下の流れで戦略を考えていきましょう。

1.ターゲットを明確にする
2.達成したい目標(売上など)を設定する
3.予算を決める
4.ターゲットに合う「集客」の手法を選択し、施策を実施する
5.「集客」目標に対する実績を確認する
6.PDCAサイクルを回し、目標達成を目指す

このうち、この記事では1.「ターゲットを明確にする」2.「達成したい目標(売上など)を設定する」3.「予算を決める」までを紹介します。
続きはvol.3記事にて(2021/11/1週公開予定)

1.ターゲットを明確にする

1回目の記事で「ターゲティング」に関して触れていますが、ここで決めたターゲットを、さらに「ファネル」に見立てて考えていただきたいです。

「ファネル」とは、漏斗(じょうご)を意味する言葉で、アピールしたい商品の購入に対して、ターゲットがどのような“段階”にいるのかを分類し、モデル化する考え方です。
購入に近くなればなるほど、ターゲットの数は少なくなっていくことから、図にしたさいは逆三角形の漏斗のような形になります。

こちらの図は、ある商品が購入にいたるまでのファネルを、商品認知もしくは商品に対するニーズの有無で、潜在層・準顕在層・顕在層と分けた図です。

一番上にいる潜在層は、まだ商品のことを知らず、ニーズがあるのかも不明な層。準顕在層は、ニーズはあるものの、自社製品が検討に入っていない層です。一番下の顕在層は、すでに商品を知っており、ニーズもある層、競合他社の商品もふくめて検討段階にいる、購入にもっとも近い層、と定義しています。

この定義づけは、多くの商品に当てはめることができますが、つねにこのファネル通りになるわけではありません。たとえば、同じ「購入」と言っても、家と服では、購入の重みが違います。多くの場合、家は生涯において顧客1人1回の購入で終わりますが、服は、日々身に着けるものですから、顧客1人1回の購入では終わりません。

「BASE」の多くのショップの場合、生涯1回限りの購入を前提とした商品を販売しているわけではないと思いますので、上記の通り、ゴールがファネルの1番下の「購入」ではなく、繰り返し購入してくれる「固定客化=ファン」がゴールとなります。

それぞれの段階にいるショップのターゲットがどのような特性を持っているを想像し、現状の集客状況を踏まえ、どの段階にいるターゲットを獲得していきたいかを決めていきましょう。

2.達成したい目標(売上など)を設定する

適切な目標を立てることは、よい結果を生むための近道、となります。
この目標は、ノルマとしてチームや自身を圧迫するのではなく、モチベーションの源となるような、どうやって達成しようか、と具体的にイメージできる、達成することによって自身やビジネスの成長につながる、といった目標が適切と言えます。
こういった適切な目標を設定する方法の1つに、「SMART」というフレームワークがあります。

「SMART」とは、適切な目標設定のために必要な要素の頭文字からとった、目標設定の考え方です。

Specific(具体的な)
Measurable(測定可能な)
Achievable(実現可能な)
Relevant(関連した)
Time-bound(期限を定めた)

という、5つの要素で成り立っています。以下に、それぞれの条件について、くわしく説明します。

Specific(具体的な)

目標を立てるときは、具体的なものにしましょう。人によって、解釈にぶれが出たり、なにを目指せばいいのかわからなくなったりしないために、具体的な目標が必要です。

Measurable(測定可能な)

目標が実際に達成できたかどうかが明確にわかるように、測定可能な目標を立てましょう。達成度合いを認識することで、今後の分析や改善に役立てます。

Achievable(実現可能な)

達成可能な目標を立てるようにしましょう。現実的に不可能な数字を立ててしまうと、目標へのモチベーションは上がりません。

Relevant(関連した)

事業や日々の業務と関連しない目標を立てるのは、やめましょう。直結する目標でなければ、取り組む価値のある目標だとはいえません。

Time-bound(期限を定めた)

目標の達成期限が明確で、適切な期限が設定されているかどうかも重要です。適切な期限を設けることで、適度な緊張感を持って、目標にチャレンジできるようになります。

この「SMART」の要素を意識して、目標を立てましょう。

3.予算を決める

次に、立てた目標を達成するために、必要な予算を決めましょう。以下に、3パターンの予算の決め方をお伝えします。自身のショップや商品の特性に合わせて、方法を選択しましょう。

1.売上目標金額から予算を逆算する

売上のなかから、広告費にあてる一定の割合を決めます。月にいくら売り上げたいか、という目標金額にその割合をかけて、広告予算を算出します。

たとえば、広告費にあてる割合を10%と決めた場合、売上目標を月200万円に設定すると、広告費用は20万円(月額)になります。
ちなみに、通販業界の広告費用の平均は、15〜20%と言われているそうです。ただ、もちろんそれぞれのショップによって、利益率は大きく異なってくることから、あくまで参考数値としてとらえていただければ、と思います。

この予算設定方法は、利益率が安定的に高いショップにおすすめできるやり方です。また、簡易的に予算上限を決めることができ、ベースとしてとらえ、下記の2, 3のやり方で、最終的な予算を決めることもできます。

2.損益分岐点から予算を逆算する

売価から商品原価をふくむ販売コストを引いた金額を損益分岐点とし、損益分岐点を超えないように、広告予算を設定する考え方です。

たとえば、売価が2万円の商品で、1個につき8,000円の販売コスト(人件費や材料の仕入れ費用、物流費(荷造り費、発送費、倉庫保管料など))がかかるとすると、1個あたりの損益分岐点は、1万2,000円になります。つまり、1個につき1万2,000円を超える広告費を使うと赤字になるので、広告費の上限を1万2,000円とするのです。この場合、目標販売個数を100個と想定すると、最大120万円まで予算組みが可能です。ただし、これでは利益が出ないため、あくまで最大値として考えます。

こちらは、損益分岐点から利益を加味した上で、上限を決める予算設定方法、となります。多くのショップにおすすめすることができるやり方です。

3.LTVの考え方から予算を逆算する

LTV(ライフタイムバリュー)は、顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、ショップにもたらす利益を意味する言葉であり、顧客がリピーターになることに対する、ショップにとっての価値を表します。ここでは、リピート利用される回数(平均)を、1回あたりの広告費にかけて予算を出します。

たとえば、1個につき1,000円の利益が出る商品が、年間で平均5回リピートされていたとします。これが月に50個売れるとすると、1ヶ月あたりの広告費用の上限は、1,000円×50個=5万円です。1人の新規顧客が年間5回リピートする分の利益も広告費に振り分けられる、と考えると、広告費は最大で5万円×5回=25万円(月額)まで使えることになり、新規顧客獲得のチャンスを増やすことができます。

先ほどお伝えしたとおり、固定客を増やすことの重要性がおわかりいただけると思います。もちろん、新規の顧客獲得にも、いい影響を及ぼします。

定期通販などリピートが前提で、利益を創出するビジネスモデルのショップにおすすめすることができる予算設定方法、となります。

最後に、広告費用を適正に保ち、高い費用対効果を生むためのコツを説明します。

広告費用は上限を決めておく

出稿する広告には、それぞれに費用の上限を決めておきます。予算を大枠でしか決めていないと、成果が出ない広告にも、費用を出し続けてしまう可能性があります。それぞれの広告に使える上限額を決めておくと、その金額までに結果が出なければ、別の方法を考える、撤退する、といった柔軟な対応が可能になります。

日々データを検証し、運用に反映させる

Instagram広告やGoogle広告といったデジタル広告は、リアルタイムでの詳細な効果検証が可能です。そのため、広告を出稿するごとに得られるデータの動きを日々確認し、次に生かします。つねに仮説を立て、運用、検証、実行のPDCAを回すことで、広告費用の適正化が早く進みます。

次の記事では、「これさえおさえれば大丈夫。広告集客の核心的なポイント」と題し、適切な広告媒体の選び方やそれぞれの媒体の特徴、おさえるべきポイントについて説明します。

\ ショップの開設実績 No.1 /
みんなが使ってるショップ作成サービス「BASE」

関連記事

運営ノウハウ

ショップ運営で知っておきたい情報を
フェーズにわけてまとめています

商品を売る

商品を魅力的に見せるための説明文の書き方から、仕入れに関する情報、配送ノウハウについてまとめています。

売上を伸ばす

売上を伸ばすために必要不可欠なマーケティング知識や、SNS運用のコツ、BASEアプリの活用方法などについてまとめています。

売上を管理する

決済に関する情報や、売上申請の方法などについてまとめています。