BASEでは、たくさんのオーナー様が自由な発想で商品やショップを展開されています。
今回は「溶けない○○」をテーマに、氷やチョコレートなど「暑さで溶ける」食品やものをモチーフにして商品を展開されているオーナー様にインタビューしました。
猛暑のなかでも「溶けない」アイテムを、商品デザインの発想やショップへの想いとともにお楽しみください。
今回お話をうかがったのは、<キッサ・ティールームス>の徳永 美子さん。
チョコレートの長財布を紹介する、徳永さん
上品で、高級感がありながら、どこかユーモアのあるチョコレートやワッフルを模した革小物を手がける徳永さん。
アイディアの源泉と、これから目指す<キッサ・ティールームス>の形をうかがいました。
目次
ネットショップをお客さんにとっても「喫茶店」に
ーー<キッサ・ティールームス>のショップコンセプトは「架空の喫茶店」。コンセプト設定のきっかけを教えてください。
わたし自身の趣味である、喫茶店めぐりが高じて、いまのコンセプトになりました。
昔ながらの純喫茶へいって、お茶をしたり、甘いものを食べたりするのが趣味なんです。
そうしたところを巡っているうちに、レトロな喫茶店に置いても違和感なく溶け込む、かわいい小物が作れたらいいな、という想いから、作品づくりがスタートしました。
最初は、イベントに出店して作品を販売していたんです。
お客様からも喜んでいただいていたんですが、コロナ禍で、販売の場がなくなってしまいました。
外に出られないなかで、作品を届けていくにはどうすればいいだろう、と悩んでいたとき、BASEのことを思い出したんです。
じつは、知り合いのデザイナーやハンドメイド作家さんで、BASEを使っている方が多くて。
その話を思い出して、ネットショップを開設したのが、<キッサ・ティールームス>のはじまりです。
BASEでネットショップを開いてみると、かんたんに、しかも自由度が高く、ショップがデザインできると気づきました。
ながめるだけでも楽しい、お皿に載せられたチョコレートのお財布
そこから、小物を販売するだけでなく、ネットショップ自体をお客様にとっての憩いの場にしよう、と思ったんです。
それが、「架空の喫茶店」というコンセプトが生まれたきっかけです。
おいしそうな、そして長く愛される革小物
ーーまさに「喫茶店」で食べられるような、本物のようなチョコレートの財布やワッフルの小物入れなど、お菓子を模した革小物を販売されています。
作品作りでのこだわりを教えてください。
作品づくりでたいせつにしていることがあります。
それは商品を見て、触ったときに「おいしそう」と思えるか、を判断基準に置くことです。
見た目がお菓子、というだけじゃなくて、革のツヤ感や質感から、香りや味を想像できるか。そこにこだわっていますね。
革にもこだわった、ワッフルの小物入れ
また、チョコレートやワッフルなどは、デザインによっては、どうしても子どもっぽくなってしまいがちなモチーフで。
でも、ツヤ感や質感にこだわれば、おのずと高級感や大人の方が持っても違和感のない仕上がりになるので、大事にしている基準ですね。
とくにチョコレートのシリーズは、上品さと、また革小物の醍醐味である「経年」も楽しんでいただけるように、「箔押し加工」にもこだわっています。
箔押しとは、印刷に「箔」を使用したものを指します。箔とは、金・銀・銅などの金属を薄く叩き伸ばしたもので、チョコレートの包み紙を表現するのにぴったりなんです。
銀色の箔が美しい、ミント色のチョコレートの財布
この箔は、使い込んでいくうちに摩擦で薄れて、落ちていきます。
経年変化することで、それだけ愛用した年月が、目に見えると考えていて。そうした変化を楽しんでいただきたいです。
実際に徳永さんが長年使われている財布。箔の部分が変化している
あとは、使いやすさも、作品を作る上で大事にしていますね。
たとえば、チョコレートの長財布は、見た目だけではなく、中の作りにもこだわっています。
ポケットがたくさんついているので、収納力もばつぐんですし、なにより軽いんです。
収納がたくさんある、長財布の内部
革のお財布って、どうしても「重い」といったイメージを持たれがちですよね?
ですが、このチョコレートのお財布は「軽くて使いやすい」というお声をよくいただきます。
見た目でも、使いやすさでも、長く愛される、「昔ながらの喫茶店」のように楽しんでほしいです。
お客さんと「好き」の気持ちでつながりたい
ーー「愛着」も設計されている、想いのつまった商品ですね。
ショップのSNSでは、ショップの商品だけでなく、徳永さんが実際に行かれた喫茶店のお写真や、ほかのショップの商品も紹介されています。
SNSは、どのような基準で投稿されていますか?
先ほどお話ししたように、ショップのコンセプトが「喫茶店」なので、SNSも「お客さんとのコミュニケーションの場」にしたいと考えているんです。
投稿の内容は、ショップ情報だけでなく、<キッサ・ティールームス>の商品を好きなお客さんが、興味をもっていただけるものを心がけています。
たとえば、わたしが行った喫茶店の情報や、おいしかったお菓子の話、またほかのショップの商品なども投稿するようにしています。
インスタグラムでは、商品やショップのお知らせとともに、喫茶店のスイーツ写真が並ぶ
「これ、わたしも好き!」と共感いただけて、思わずDMを送りたくなるような、そんな投稿を心がけているんです。
もともと、リアルで販売していた経験もあって、対面でない部分をSNSで少しでも補いたい、と考えていて。
やっぱりお客様も、「小さなブランドから物を買う」って、不安な気持ちがあると思うんですよ。
リアルだと、商品のこだわりを直接お伝えして、納得して買っていただける。
どんな人が作ったのか、お話ししているうちに伝わりますしね。
でも、ネット上だとそれがむずかしい。
なので、安心して気持ちよく買ってもらうためのコミュニケーションの場に、SNSがなればいいな、という想いがあります。
細部のこだわりが伝わるよう、商品の細やかなところまで商品写真として掲載されている
実際に、お客さんから、喫茶店や商品の投稿に関して「わたしも行きました!」「ここもおすすめです」と、ご連絡いただくこともあってとてもうれしいんです(笑)。
商品を売る・買うだけじゃない、「同じ好きなものでつながる」きっかけになっていると感じています。
来るだけで楽しい「喫茶店」のようなショップを目指して
ーー最後に、今後やりたいことについて教えてください。
もっとショップを「喫茶店」のような、楽しい場になるように作りこんでいきたいですね。
じつは、<キッサ・ティールームス>は、猫が店主のお店なんです(笑)。
この店主のモチーフは、実際にわたしが飼っている猫です。
徳永さんの飼い猫・長谷川さん
猫の店主や、ほかにも羊のメイドもいるので、その人たちが更新するブログやコラムなど、商品といっしょに楽しんでいただけるコンテンツを増やしていきたいですね。
インタビューを終えて
チョコレートやワッフルなど、おいしそうなモチーフの長く愛される革小物を製作されている徳永さん。
「架空の喫茶店」として、ショップを作りこんでいきたい、という構想は、うかがったこちらも思わずわくわくしました。
商品を売ることだけでなく、「いかにお客様に楽しんでいただくか」ということを、ご自身も楽しみながら、ショップ運営されていることが印象的です。
徳永さんの「喫茶店好き」のように、ご自分の「好き」からショップをはじめた方も多いはず。
お客様と「同じ好きなものでつながる」ための、ショップ設計やSNSの使い方を真似してみると、より楽しくショップ運営ができるかもしれません。
ショップ情報
ショップ:キッサ・ティールームス
Instagram:@trooms_t
Twitter:@trooms_t
facebook:Trooms