5月6日は、「アクティブシニアの日」。
理美容機器・化粧品・医療機器などを手がけるタカラベルモント株式会社が、2018年に制定したもので、アクティブなシニアを増やすことを目的としています。※
※出典:https://fabo-news.com/articles/344
それにちなみ、BASEをご利用いただいている60~70代のオーナー様にインタビューしました。
ネットショップをはじめられたきっかけや、ネットショップによって、日々の生活、お仕事で起こった変化などをうかがっていきます。
「先輩オーナー」からのショップ運営のヒントや、新たなことにチャレンジする勇気をもらえるはずです。
今回お話をうかがったのは、地元の果物や素材を使ったパンを販売されている<パン&菓子工房 くれよん>の太田 孝子さん。
ご自身の店舗店内で手作りパンを紹介してくれる、太田さん
ネットショップをはじめた経緯や変化、そして今後の商品展開についてうかがいました。
目次
手探りではじめたネットショップ
——ネットショップをはじめたきっかけを教えてください。
きっかけはコロナでした。
30年前から、地元・栃木で移動販売のパン屋を続けてきました。
もともと、実店舗を持ちたいな、という想いがあり、子育てもひと段落ついた4年前に、お店を開いたんです。
移動販売は、決まったお宅、会社にうかがっています。常連のお客様が来てくださいますが、それ以外でもパンを提供する場を持ちたい、という思いがありました。
移動販売は、地元の方にも人気だそう
なので、店舗を持てたことはよかったのですが、お店がこれから、というときにコロナ禍になってしまって。お店への集客も、むずかしくなってしまいました。
幸い、移動販売は続けられて、買い物で遠出しづらい方によろこんでもらえました。
でも、実店舗を開いた想いの原点でもある「多くの方に届ける」ことは、やはりむずかしいと感じました。
「どうしよう」と思ったときに、ネットショップを開くことを思いついたんです。
——現在では、移動販売とお店、そしてネットショップはお一人で運営されているとうかがっています。
そうなんです。
パンの製造や、移動販売の場所へ商品を運ぶための運転、お店の切り盛りは、全部ひとりです。
パンを作る太田さん
いまは、コロナも落ち着いてきて、マルシェにも出店しているので、忙しいんですよね。
なので、業務の合間のすきま時間でできることを考えて、ネットショップをはじめたというのもあります。
——BASEでの開設は、スムーズでしたか?
いまは、商品登録や写真の登録もできるんですが、はじめたときは手探りでした。
とくにアカウント開設のさいは、スマホの入力自体に慣れていないというのもあって、入力エラーになっちゃったりしました(笑)。
とはいえ、時間はかかっても、とにかくやっていればそのうち慣れるだろう、とも思っていました。なので、あきらめなかったですね。
そのおかげか、いまではスムーズですよ。やりながら覚えていきました。
地元の「おいしい」を手作りのパンで届けたい
——ネットショップで人気の商品を教えてください。
期間限定で出品していたアップルパイが人気です。移動販売や実店舗でも、多く買っていただいている商品です。
りんごが旬の10月から、在庫がなくなるまでの期間に販売しているので、今年の分はもう終わってしまいました。
ほんとうは、年間を通して出品できたらいいんですけど、「旬のものを提供したい」という気持ちもあって、期間限定で販売しています。
昔からの人気商品・アップルパイ
——りんごは、どちらから仕入れているのでしょうか?
近くの農家さんです。地元ではあまり生産していない、「紅玉」というりんごの種類を卸してもらっています。
もうその農家さんとは10年来の付き合いで、昔からの定番商品ですね。
——ほかに、地元の果物や素材を使ったパンはありますか?
これからネットショップで出そうと思っているのが、ブルーベリーを使ったパンですね。
こちらも、地元の方から卸していただいているものです。
地元農家さんから仕入れたブルーベリー
ジャムにしたブルーベリーを、パン生地に練りこんで、クリームチーズをその中に入れたものになります。
移動販売や実店舗でお客さんに好評だったので、ネットショップでも出したいですね。
あとは、いちごも仕入れているので、ゆくゆくはいちごを使ったパンも出品したいです。
移動販売と実店舗でも出しているもので、いちごのジャムを牛乳シートとあわせて、パン生地の中に巻いて焼いた、いちごミルク味のパンです。
いちごのジャムパンは、焼いたパンを小さくカットして売っているんですが、ネットショップでは、切る前の大きいサイズの販売も考えています。
「マズけりゃ買わない」が、ネットショップでもはげみに
——お話を聞いているだけで、とてもおいしそうです!
移動販売や実店舗のお客さんの反応を参考にして、ネットショップへ出店できるのはいいことですね。
ありがとうございます! 出品したさいには、ぜひ買ってみてください。
実際に買いに来られる方は、常連さんだからか、感想を直接いただく機会は少ないんですけどね。
毎週買われる方に、「うちのパン、どうですか?」って聞いたことがあるんです。
そしたら、「マズけりゃ買わないよ(笑)」って言われて。「ああ、たしかに」と納得しました。
地元の方に愛され続けるパンが並ぶ、お店のショーケース
その言葉は、ネットショップを続けていく上で、はげみになりましたね。
ネットショップだと、買ってくれる方の反応がわかりにくいなあ、と不安だった部分があったんです。でも、その言葉を聞いて吹っ切れた、というか、安心しました。
いまでは、お会いすることや、感想を聞くことはなくても、ご購入いただけること自体がお客さんの反応だと思って、多くの方に買っていただけるよう、試行錯誤しています。
お客さんに伝わる、おいしそうな写真と魅力的な商品名
——ネットショップに出品する商品や掲載内容について、気をつけていることはありますか?
「マズけりゃ買わない」はもちろんそうなんですが、ネットショップだと、商品の実物が見えないので、写真が大事だと思っています。
やっぱり、写真がいちばん目を引くし、見てもらえるじゃないですか。「おいしそう」と思ってもらえるような写真を心がけています。
また、写真を撮るうえで気をつけているのは、商品の背景に余計なものが写りこまないようにすることですね。
パンの製造過程で撮っているので、作業道具や素材などが入らないようにしています。
今後は、パンを乗せるお皿や什器もそろえて、より「おいしそう」な写真になるように、ほかのショップさんを見て、研究していきたいです。
あとは、商品名ですね。
さきほどネットショップで人気、とお話ししたアップルパイですが、最初は思うように売れなかったんです。
どうしよう、と悩んでいたときに、商品名をもっとわかりやすく、買いたくなるような名前にしてみよう、と思い立ちました。
はじめは、商品名はシンプルに「アップルパイ」で出品していました。でも、それだと商品のよさや、食べた感じがどうなのか、いまいち伝わらないですよね。
なので、「紅玉を使ったうんまいアップルパイ」に変えてみたんです。
そしたら、売れるようになって。商品名は大事なんだな、って痛感しましたね。
ネットショップは「新しいことにチャレンジする場所」
——ネットショップをはじめて、お仕事や生活のなかで変わったことはありますか?
ただパンを作るだけじゃなくて、さきほどの商品名のように、思うように売れなかったり、アクセスがないときに、「どうすれば改善されるか」を考えて、いろいろ試すようになりましたね。
ネーミングなんてやったことなかったので、小さなことですけど、自分にとってはチャレンジでした。
新商品のパンも、このキッチンから形となっていきます
小さなことでも、自分なりに考えた試みに反応があったり、それが購入につながったりすると、「顔は見えないけど、ちゃんとお客さんがいるんだ」と思えて、やっぱりうれしいですよね。
パン作りも、ネットショップも、自分の好きなことではじめたので、楽しみながらやっていきたいです。売れないときはやっぱり苦しいけれど、つらいだけだとつまらない。
せっかくはじめたネットショップなので、新しいことや思いついたアイデアには、どんどん挑戦していきたい、と思っています。
——最後に、今後の目標について教えてください。
やはり、地元の果物や素材で作ったパンをどんどん開発して、商品数を増やしていきたいですね。
移動販売、実店舗との両立はたいへんですが、ネットショップを通じて、多くの方に召し上がっていただきたいです。
インタビューを終えて
コロナの影響でネットショップをスタートして、地元の素材を使ったパンを販売されている太田さん。
実店舗とネットショップの運営のギャップや、そのなかで苦労されている点をうかがうことができました。
しかしながら、「楽しみながらやりたい」というお言葉のとおり、その違いさえも楽しみとして試行錯誤されている姿が印象的でした。
どんなチャレンジでも、最初からうまくいくことはありません。小さなことでも、積み重ねて実行していくことで、目標や夢は達成されるのだ、と感じました。
太田さんの作ったおいしいパンが、ネットショップを通じて、さらに多くの方へ届くことでしょう。
ショップ情報
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