ネットショップ経営で生き残るために必要な、差別化の6つの方法

2020.08.30(更新:2024.04.08)

総務省が公表した「家計消費状況調査(2020年5月分)」によると、生活様式の変更にともなう「巣ごもり消費」の拡大により、ネットショップ利用者が急増しています。

そこをビジネスチャンスととらえ、ネットショップの新規開設を検討している方もいるかもしれません。

しかし無数にあるネットショップの中で勝ち残っていくためには「差別化」が必要不可欠。

この記事ではネットショップ経営で生き残るために必要な「差別化」について、抑えておきたいポイントを解説します。

ネットショップにおける「差別化」とは?

差別化という言葉は、ネットショップに限らず何らかの事業を経営する場合によく語られる言葉ですが、差別化とはなんでしょうか?

それは「ほかではなく、自分のお店・商品を選んでもらうための理由作り」と言えると思います。

差別化というと少しフワッとしてしまいますが、理由作りと考えるともう少しイメージしやすいのではないでしょうか?

有名企業の差別化事例

ハンバーガー業界の<モスバーガー>が取った戦略が、例としてあげられます。低価格競争に陥った時代において、<モスバーガーは>唯一、高価格を維持し続けました。

そこには、ハンバーガー業界の最大手である<マクドナルド>の低価格路線とまったく異なる、差別化の戦略があったのです。

<モスバーガー>は、<マクドナルド>との差別化戦略として、「メニュー数をおさえて、高品質なまま価格を維持」「長時間滞在したくなるような店舗作り」という2点に注力しました。

多くのメニューを、安く回転率を上げて販売する<マクドナルド>とはまったく異なる独自化をおこない、それによって価格維持に成功したのです。

このように、ネットショップでも、競合との差別化戦略を取ることにより、競争優位性を得るようにしていきましょう。

ではネットショップ経営において、どんな差別化ができるのかそれを解説していきます。

 

コンセプトによる差別化

差別化のもっともオーソドックスな考え方がコンセプトです。コンセプトとは「あなたのお店はどんな特徴を持つお店か?」といった、お店全体の基本方針のようなもの。

たとえば、お茶を扱うお店の場合、以下の2パターンであれば、どちらが差別化できそうでしょうか?

・幅広く日本茶を扱うお店
・贈答品に最適な日本茶だけを、100種類以上取り扱うお店

例えばあなたが贈答品のお茶を探している場合、どちらのショップに惹かれるでしょうか?

このように、コンセプトだけでも、他店との違いを見せることができれば、十分な差別化要素となりえます。

【オーナーズインタビュー/Bull.Tokyo】ブランド作りにはコンセプトワークが重要

 

商品による差別化

ネットショップの中身は商品なので、もちろん商品による差別化も可能です。

商品についての差別化で、もっともわかりやすいのはオリジナル商品かと思います。

ほかのお店にも売っているものではなく、あなたのショップにだけ置いてある商品であれば、問答無用で差別化できます。

しかし、なにもオリジナル商品だけが差別化要素ではありません。

たとえば「海外から日本でほとんど売られていない商品を仕入れる」「OEMで海外製品をマイナーチェンジして売る」「商品名を魅力的なものにする」「セットにして付加価値を提供する」

など、商品による差別化の方法はいくらでもあります。

また商品自体でなくともパッケージなどで差別化も可能ですね。例えば同じリンゴジャムでも、普通のビンではなく、リンゴ型のビンに入っている方が魅力的に見えるかもしれません。

 

価格による差別化

価格による差別化も、わかりやすいポイントです。

もちろん、他店に比べて価格が激安であれば、差別化できることは言うまでもありませんが、実際にはそれは難しいと思います。

ですが、たとえば「期間限定で安くする」「なにかとセットで購入した場合に安くする」など、工夫次第で他店との差別化も可能です。

また、同業他社の平均よりも高い価格を設定し、「値段は高めだが、質のいい商品」を探しているお客様にアピールすることもできるかもしれません(もちろん品質は必要ですが)。

 

伝え方による差別化

あまり聞いたことがないかもしれませんが、あなたの商品が持つ魅力をどのように伝えるか?でも差別化は可能です。

たとえばあなたの商品が、顧客にとってほかに代替のきかない商品だと思ってもらうことができれば、それは購買行動につながっていきます。日本ではごく一部でしか栽培されていない、希少な種類のお茶を販売する場合を考えてみます。

この場合、たしかにそのお茶には希少価値があるのかもしれませんが、競合するほかのお茶に比べて、顧客にとってのメリットがなければ、購入していただくことはできません。

ネットショップで売れるために重要なのは、その商品やサービスを購入する顧客に対して、「どのような価値を提供することができるのか」を考え、伝えることが大切です。

価値の伝え方

とはいえ、どのようにして価値を伝えればよいのでしょうか?

価値の伝え方は大きく2つあります。

・事実に基づく価値の提供
・情緒的な価値の提供

事実に基づく価値の提供の例

この場合は、事実をわかりやすく伝えることが重要ですが、重要なのは、「どうやって伝えるか」というポイント。

たとえば、90%の人がリピートしてくれているのであれば、その継続率をグラフにして示す。ほかのお茶に比べて成分が優れているのであれば、それを比較表にする。

といったように、お客様が価値を受け取れるように、可視化してあげることが重要です。

情緒的な価値の提供の例

もし、客観的な事実にもとづく優位性がない場合は、情緒的に訴えるのも一つの方法です。

たとえば、その希少なお茶がどのようにして日本にもたらされ、どのような歴史をもって現代に受け継がれているのか、そのストーリーを伝えます。

このように、商品にストーリーを付け加えることで、価値を感じてもらうこともできるのです。

もちろん嘘を書くのはだめですが、もしあなたが提供する商品に想いがあるのであれば、情緒的に訴えるのは、そう難しくはないはずです。

このあたりの「どんな価値を提供するか?」については、「BASE」オーナーズのインタビューが参考になると思いますので、ぜひご覧ください。

【これからのブランドとEC/Liquem】愛されるブランドを作るカギは”ブランドをずっと好きでいてくれる人を大切にする”を突き詰めること

 

 

購買体験による差別化

基本的にネットショップでは、商品を選んで購入するという購買体験ですが、そこにひと工夫加えることで差別化になることもあります。

たとえばネットショップの商品の並び順がお客様ごとにカスタマイズされて、好みに合わせて表示されるようになっていると、お客様としては大変大きな特別感を味わうことができます。

またリピーターを狙うのであれば、商品と一緒に手書きメッセージを同封するなど、ちょっとした工夫によって購買体験を特別にし、差別化することも可能です。

きっと少しの工夫で差別化は可能なので、何かできないか検討してみましょう。

 

集客による差別化

ネットショップの集客方法はさまざまですが、多くのショップはSNSや広告、SEOなどによって集客を行っています。

そんな中であなたのショップだけが、とある口コミサイトに力を入れて、そこからの集客動線を作れたとするとそれはもう立派な差別化になります。

それ以外にも、たとえば海外のインフルエンサーと交渉をして、海外のお客様をショップに来訪させることができれば他に競争相手はいないかもしれません。

このように集客においても差別化は可能なのです。

 

はじめてのネットショップで失敗のリスクを抑え5つの視点

ここまでネットショップにおける差別化の方法をお伝えしてきましたが、もちろん差別化だけでは競争を勝ち抜いていくことはできません。

さいごに失敗のリスクを低くするために抑えておきたいポイントをまとめましたので、参考にしてみてください。

 

 

1.  価格設定

ネットショップで商品を売るために避けられないのが、価格設定です。

価格設定方法の考え方には何通りかありますが、原則は「販売価格-原価=利益」となります。

最適な「販売価格」の決め方。価格を決める6つのSTEPと計算方法を解説。

まずは、最低限、ネットショップに必要な原価をしっかりと把握するようにしましょう。すべてのコストを把握しなければ、想定したとおりの収益を上げることが難しいからです。

たとえば、商品には「商品原価」があり、ネット販売には「送料」が発生します。この2点はわかりやすいため、価格設定のときに考慮できます。

しかし、それ以外にもコストは発生しているのです。

お客様が決済に利用したクレジットカードの手数料や、また商品の発送をショップオーナーがおこなっているのであれば、その工数分の費用(人件費)も発生している、といえます。

このように、ネットショップに必要なさまざまな原価を把握して、販売価格を設定しなければいけないのです。そうすることで、想定したとおりの収益を上げることができるのです。

 

2. 固定費の削減

ネットショップをはじめてみたら、「売れているわりに、利益がすくない」ということもよくあります。

利益を増やす方法は、2つしかありません。より売上を増やすか、原価を下げるかのどちらかです。

扱っている商品が、お客様に認知されることで売上につながりそうであれば、広告に先行投資することで、売上を増やすことができる場合もありますが、まずは原価を下げる方が取り組みやすいです。

今かかっているコストに、無駄はないのか、もっと費用を抑えることができないのか、を検討してみましょう。

とくに、経営にかかるコスト(固定費)は極力おさえるべきです。通信費は適切か、毎月支払っている月額費用は適切か、など、検討してみましょう。

「BASE」であれば、月額費用や年会費も無料ではじめることができます

商品が売れたときだけ費用が発生する仕組みなので、ネットショップをはじめたばかりでなかなか売上が上がらないフェーズでも、経営を圧迫することがありません。

BASEでショップを運用するときにかかる費用まとめ

 

3. ショップを訪れる仕掛けづくり

ネットショップのコンセプトや商品が決まり、売りたい相手(ターゲット)も決まったら、いよいよネットショップの開店です。

とはいえ、せっかくきれいな画像を用意し、ていねいな解説をしたとしても、それだけでは商品は売れません。まずは、ネットショップへの集客をおこないましょう。

ネットショップの集客方法として、代表的なものは、以下のとおりです。

・SNS
・SEO対策
・リスティング広告
・リマーケティング(リターゲティング)広告
・アフィリエイト広告
・メールマガジン
など

いずれの方法も、集客効果がすぐに出るものから、ある程度の期間が必要なもの、費用がかかるもの、無料のもの、までさまざまです。

早期に売上を拡大したい場合は、広告費を投入する。初期投資をおさえてじっくりやっていきたい場合は、SNSに注力する。

かけられる費用などによって、広告やSNSなどの複数の媒体から、ネットショップに流入させる仕組みを作っていきましょう。

ネットショップで集客する方法と、商品を売るために絶対に必要な考え方

 

4. 購入したいと思わせる仕掛け

ネットショップの売上は、「サイト訪問者数×購入率×客あたり単価」で決まります。

たとえば、1日あたり1,000人が訪れるサイトで、3%の人が5,000円購入してくれた場合、1日あたり150.000円の売上額となります。

つまり、せっかくサイトを訪れてくれても、購入率や客単価が低ければ、売上額も低くなってしまうのです。

売上を増やすには、集客だけではなく、購入率や客単価を上げる仕掛けもおこなっていくことが大切です。

それでは、売れるネットショップの施策には、どのようなものがあるでしょうか?

購入者の目線に立って、次のような工夫をしていきましょう。

デザインからみた施策

・商品の画像を、魅力的なものにする

・商品の説明を、適切でわかりやすくする
→色やサイズ、質感、特徴、メリット、デメリットなどが伝わるようにしましょう。

・人気商品をわかりやすくする
→ランキングや店長のおすすめ、商品の口コミなどを表示するようにしましょう。

・お客が選びやすい決済方法や、手数料の設定をする

・ショップ情報をわかりやすくする
→どのような人、会社が運営しているのか、返品や交換の可否や方法、プライバシーポリシーなどを明記し、安心感を持ってもらうようにしましょう。

商品からみた施策

・品揃えは十分に人気商品をそろえる
→流行や、ニーズのある商品を豊富に取りそろえておくようにしましょう。

・キャンペーンやセール、セット割引などで、購入をうながす企画をおこなう

・ポイント機能や会員機能を使って、お得感を演出する

・定期購入で、リピーターを増やす

これらは施策の一部ですが、大切なことは、ユーザー目線に立って「どうすれば買いたくなるか」を考えて試しつつ、効果が得られる施策をおこなっていくことです。

 

4.また購入したいと思わせる仕掛け

一般的に、新規顧客を獲得するのには、既存顧客を維持するのに比べて5倍のコストがかかる、と言われています。

そのため、つねに新規顧客を集客しつつも、売上が上がった段階で、リピート客の再訪をうながすための仕掛けをおこないましょう。

具体的な施策としては、次のようなものがあります。

ブランド力を向上させる施策

ネットショップの利用者は、そのショップや商品に対して、信頼感や安心感を求めています。

はじめて知ったブランドより、見たことがあるブランドの方が、安心して購入することができますよね。

InstagramなどのSNS広告を活用して、認知を増やしたり、インスタライブなどを用いて、ショップオーナーの言葉でブランドのポリシーを伝えることも、ブランディングに一役買うでしょう。

カスタマーエクスペリエンスの満足度をあげる施策

顧客がネットショップを選ぶ理由は、価格や商品力だけではありません。

それ以外の点でも何らかのメリット(説明や接客がていねいである、返品や交換ができる、注文方法が豊富、など)を感じることができれば、カスタマーエクスペリエンスの満足度が上がり、リピート率や客単価も上がることにつながります。

 

5.継続的な改善

ここまで、さまざまな施策をご紹介してきましたが、これらの施策も「一度おこなったきり」では、なかなか効果を得られません。

定期的に施策の成果を確認して、改善をおこなっていきましょう。

改善のポイントとしては、「今回の施策の目的はなにか?」を明確にすることです。

たとえば、「新規顧客の集客をしたい」のか、「客単価を上げたい」のか、では改善策も変わっていきますし、曖昧な目標でなんとなく施策をおこなったとしても、「どの施策が、どれくらい結果に貢献したのか」の評価が難しくなってしまいます。

まずは、ショップで改善すべき最優先課題を決めて、それを改善するためのアクションを計画し、実施してみましょう。

それでも目標に達しなかったら、再度課題を確認しアクションをおこないます。

このように、継続的に改善をおこなっていくことで、じょじょにクオリティを高めていくことができます。

 

まとめ

以上、ネットショップにおける差別化の方法を解説しました。

ご覧いただいたように、ほかのお店ではなく自分のお店を選んでもらうための理由作りの方法は多岐にわたります。

どの方法が最適なのかは恐らく個々のショップごとに異なってくるはずですので、まずはできることから実施してみましょう。

特に基本となるコンセプトや商品による差別化は十分に検討したいところです。

インタビューのカテゴリでは、「BASE」でショップを開いているオーナーズのインタビューが多数掲載されていますので、参考にしてみてください。

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