神山町というITベンチャーのサテライトオフィスが集う里山だったり、最近ではイケダハヤトさんの移住だったり「vs東京」という動画だったり、消費者庁の移転構想だったりでなにかと話題の徳島県。
そんな徳島がなんだか気になり徳島市からハレとケデザイン舎のある徳島の最西端まで横断した際、「藍の里」藍住町でワークウェアブランドを営むある素敵な家族に出逢いました。
—ジョックリックは黒川さんの父親が営んでおられた「つかさ縫製」という会社がベースにあるそうですね
つかさ縫製は80年代に父親が一代で立ち上げた会社で、医療関係の白衣や女性もののシャツなどを下請けで製作していました。
当時はスタッフも10名以上いて日産で200枚以上生産するほどの盛況ぶりで、子どもの頃は学校から帰ってくるとよく兄と一緒に手伝っていましたね。
—そこからどう、ジョックリックの立ち上げに至ったのですか
つかさ縫製は10年ほど前に閉鎖したのですが、ファッションやモノづくりに昔から興味があったので、何か自分にもモノづくりができないかと考えたとき、「人生は仕事に費やす時間が長い。では、もっと様々な仕事場でファッションを楽しめるようなモノづくりができないか」というイメージのもと、100の仕事があれば、100通りのしごと着の形があると考え「しごと着」をコンセプトにしたブランドとしてジョックリックを2013年に立ち上げました。
—公式サイトから伝わってくるヒップなイメージとは別に家族経営されているのがとっても素敵ですよね
両親が長年に渡って培っていた技術を無駄にしたくなかったんですよね。
私がデザインや裁断などを担当して、父も裁断とパターンを担当、母は縫製を担当していて、現在は妻が仕上げなどを担当してくれています。
つかさ縫製時代のミシンも現役で使っていますよ。
—ブランディングにこだわりを感じますが、プロモーションは?
積極的に行なっているわけではなくて、関東方面のセレクトショップや知人のスタイリスト、アパレルブランドなど様々なフィールドで活躍されている人たちとの繋がりがきっかけになっていることが多いですね。
—人との繋がりといえば同じ徳島のブリュワリー(醸造所)「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」のエプロンやラグマットの製作など、ローカルコミュニティ的繋がりもあるようですね
ブランドコンセプトに共感してもらったショップとは縁をいただく機会が多いですね。
徳島は今、人口も減少してきており、昔は活気のあった商店街もシャッター通りになってしまい寂しい状況です。
そうなってしまうと地元の人たちはやはり大型のショッピングモールに集りがちなのですが、その一方でローカルな小商いが集る商店街を活気づけたいと考える建築家やデザイナー、ショップオーナーと共感し合いながら、お互いに無理内程度にゆる〜く長期的に繋がっていけるコミュニティ「CafeBlank」を築けていければと。
私の場合は人脈に恵まれているのかもしれませんが、自分たちが楽しいと感じることを楽しみながら、逆にできないことは無理してやらないようにと自然と共感し合い繋がったり繋げたりするなかでユニークなコミュニティができて、それが刺激となり新しいアイディアが閃く相乗効果が生まれているようにも感じます。
—思想がポートランド的ですね。そういえば徳島とポートランドが似ているなんて話もありますよね
お仕事をご一緒させていただいたRISE&WINのブリュワー(醸造家)がアメリカ人ということもあり、またブリュワリーオーナーがポートランドに精通していることから、私も実際にポートランドに行く機会があり、現地の方にジョックリックを手に取って見てもらったり、ポートランドのDIY精神に触れる機会を得ることができ、かなり刺激になりましたね。
今後は海外に向けてもブランドを発信していきたいと考えています。
(編集後記)
昔からある手仕事を見つめ直し今の時代に寄り添うように再構築する。そしてまずは自分の地元のコミュニティに伝えてみる。ネットショップでブランドを発信する少し前に、まずはじっくりとブランディングすることも大切なのかもしれません。