最近では、若い方が脱サラをして農家をはじめる、というケースをよく耳にします。そういった方の中には、ネットショップをうまく活用して野菜を販売している方も多いです。
ふだん、野菜を育てて直売所などで販売している方は、「ネットショップで儲かるの?」と疑問に思うかもしれません。
そんな野菜のネット販売の実情と、はじめるにあたって必要な許可や送料などについて、まとめてみました。
野菜のネット販売が人気らしい

じつはいま、野菜のネット販売が人気を集めています。※参考資料:※青果物のネット通販の実態と動向
というのも、農家の方の場合、基本的に直売所で野菜を販売するケースが多いと思いますが、いわゆる「B品」が多く採れてしまうと、販路に困ることもあり、最終的に廃棄しなければならない場合もあります。
そういったとき、ネット販売という方法であれば、遠く離れた場所にいる日本中の消費者の方に野菜を見てもらえるため、購入につなげることができるからです。
また、ネット販売は、自由に売り方を決められるのも、魅力の一つ。
どの野菜をいくらでどのくらい売るのか、などを自由に決められるため、B品でも「わけあり野菜」として、値段を下げて安く販売したり、「◯個入りセット」として、複数個を売ったりできます。
これまで、味は変わらないのに、形が少し崩れているだけで廃棄していた野菜を販売できるうえ、販路拡大=売上向上も期待でき、野菜のネット販売で成功する例も出てきています。
野菜のネット販売をおこなうメリットとは?
野菜のネット販売をおこなうメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 1. 余剰分の野菜や、わけあり商品が販売できる
- 2. 価格を自由に設定できる
- 3. すくない費用ではじめられる
1. 余剰分の野菜や、わけあり商品が販売できる

野菜のネット販売をおこなうメリットとしては、作りすぎてあまった野菜や、規格外の野菜を販売できる、という点です。
すこし形が崩れた野菜を収穫した場合、見た目が悪いというだけで、出荷が難しく、販売に至りません。
そういったわけあり商品も、ネット販売することが可能です。
「安い値段でおいしく新鮮な野菜を食べられるならお得」という消費者もいるため、通常よりもすこし値段を下げて販売すれば、利益になるでしょう。廃棄分も無駄なく販売することができるのです。
2. 価格を自由に設定できる

野菜のネット販売をする魅力の一つとして、価格を自由に設定できるという点があります。
収益アップを目指すのであれば、野菜を高単価で販売するか、たくさん販売するか、という方法があるでしょう。
その年の野菜の出来具合に合わせて、価格を設定してもOKです。
おいしい野菜をリーズナブルに食べてほしい、という場合は、安いものをたくさん販売する、というのもひとつの方法といえるでしょう。
ネットショップによっては、クーポン機能がついているものもあるので、消費者によろこばれるお得な野菜のネットショップを目指すこともできます。
3. すくない費用ではじめられる

野菜のネット販売をはじめることには、さまざまなメリットがありますが、販路拡大によって、コストがかかってしまうのは避けたいところです。
コスト面に関しても、サービスによっては初期費用・月額費用無料のところもあります。
ネット販売をかんたんにおこなうことができるサービスは、のちほどご紹介しますが、こういった無料のサービスをうまく利用することで、コストを下げることができます。
野菜のネット販売をおこなう、3つの方法

実際に野菜のネット販売をおこなうには、大きくわけて、以下の3つの方法があります。
- 方法1. ショッピングモール型ネットショップで販売する
- 方法2. 独自のネットショップを立ち上げる
- 方法3. 「食べチョク」などの販売プラットフォームを利用する
それぞれの方法について解説していきます。
方法1. ショッピングモール型ネットショップで販売する

ショッピングモールの例を挙げると、<楽天市場>や<Yahoo!ショッピング>があります。こういった、インターネット上のショッピングモールに出店することで、ネットショップの開業が可能です。
これらのサイトは、信頼性が高く、利用者数も多いため、利用者の購入ハードルが低い、といったメリットがあります。
また、独自ポイントを用意しているため、各ショッピングモールのヘビーユーザーも多いです。
ただし、初期費用や維持費用がかかるうえに、販売手数料が高い傾向にあるのがデメリット、といえます。
たとえば<楽天市場>の場合、「スタンダードプラン(1年契約プラン)」だと、以下のような費用がかかります。
<楽天市場>「スタンダードプラン」の出店にかかるコスト |
|
初期費用 |
60,000円 |
月額出店料(税別) |
50,000円/月 半年ごとの2回分割払 |
システム利用料(税別) |
月間売上高の2.0〜4.5% |
楽天ポイント |
楽天会員が購入した代金の通常1.0% |
モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料(税別) |
月間売上高の0.1% |
楽天スーパーアフィリエイト(税別) |
アフィリエイトを経由した売上の2.6%〜 |
R-Messe(チャット接客ツール・税別) |
会話数に応じての従量課金+月額固定費:3,000円〜 |
楽天ペイ(楽天市場決済)利用料 |
月間決済高の2.5〜3.5% |
<Yahoo!ショッピング>での出店にかかるコストは、以下になります。
<Yahoo!ショッピング>の出店にかかるコスト |
|
初期費用 |
無料 |
月額システム利用料 |
無料 |
売上ロイヤルティ |
無料 |
ストアポイント原資負担 |
1〜15%(1%は必須) |
キャンペーン原資負担 |
1.5%(必須) |
アフィリエイトパートナー報酬原資 |
1〜50%(1%は必須) |
アフィリエイト手数料 |
アフィリエイトパートナー報酬原資の30% |
上記の通り、モール型ネットショップは、単純な手数料や月額費用以外にも、さまざまな項目でお金が必要となってくるため、慎重な出店判断が必要です。
方法2. 独自のネットショップを立ち上げる

自分自身でネットショップを立ち上げて、野菜を販売する方法もあります。この方法では、ネットショップ作成サービスを利用します。
ネットショップ作成サービスとしては、「BASE」や<MakeShop>などが有名で、「BASE」であれば、初期費用も月額費用も0円でスタートできます。
大手モール型サイトに比べると、集客力がやや劣りますが、たとえば「BASE」であれば、ショッピングアプリなどもあるため、初心者でも比較的集客しやすいサービスとなっています。
コストをおさえてネット販売を開始したいなら、ネットショップの立ち上げがおすすめ、といえます。
ネットショップ作成サービスにかかるコストを以下にまとめました。
サービス名 |
「BASE」 |
<MakeShop> |
初期費用 |
無料 |
10,000円 |
月額費用 |
無料 |
10,000円 |
販売手数料 |
3% |
0円 |
決済手数料 |
3.6%+40円 |
3.5〜3.6%+0〜4,750円/月 |
方法3. <食べチョク>などの販売プラットフォームを利用する

<食べチョク>や<ポケットマルシェ>などの販売サイトで野菜を売る、という方法もあります。
<食べチョク>とは、全国の生産者と消費者を直接つなぐ、オンラインマルシェのことです。野菜セット以外にも、単品野菜や果物、お米、肉、魚介類などさまざまな商品を販売できます。
ポケットマルシェも、農家や漁師の方が直接ネット販売をおこなえるオンラインマルシェとなっており、野菜や果物はもちろんのこと、魚なども産地直送で配送することができます。
<食べチョク>や<ポケットマルシェ>は固定費無料となっていますが、販売手数料が20.0%になっていて、ネットショップと比較すると、かなり高めに設定されています。
販売手数料が収益の圧迫につながることもあるため、こちらもメリットデメリットを考えながら選んでいく必要があります。
サービス名 |
<食べチョク> |
<ポケットマルシェ>< |
初期費用 |
無料 |
無料 |
固定費用 |
無料 |
無料 |
販売手数料 |
20% |
15% |
野菜のネット販売の疑問Q&A
ここでは、野菜のネットショップ販売におけるいくつかの疑問にお答えしていきます。
パソコンが使えなくても大丈夫?

まず、PCやスマホの扱いに慣れていない方でも、ネット販売はおこなえるのか?という点ですが、さきにあげた「BASE」や<食べチョク>などであれば、スマホでも対応できますが、PCがあるに越したことはないと思われます。
ただ、操作はどちらも非常にかんたんですので、使っていくうちに慣れていく、と思っていただいて大丈夫です。
開業届や許可は必要?

これから野菜のネット販売をおこなうのであれば、開業届は出しておきましょう。
また、必要な許可は、販売する商品の種類によって異なります。
自分の畑で育てた野菜をそのまま販売する場合、申請や許可は必要ありません。
ただし、野菜ジュースや漬物などに加工して販売するさいは、食品衛生法に基づく許可が必要です。また特定商取引法に基づく表記をショップ上に明記しなければなりません。
このほか、容器包装された加工食品においては、卵や乳などのアレルギー物質の表示が義務付けられていますので、注意してください。
必要な初期費用はどれくらい?

ネットに商品を出品するだけであれば、お金がかからないサービスは「BASE」<食べチョク>など、複数あります。
しかし、実際には梱包材なども必要になりますので、そういった初期費用は別途考えておく必要があります。
「BASE」は操作もかんたん!スマホでの出品も可能

今回お伝えしたように、野菜をネットで販売する方法はいろいろありますが、「ブランディングしたい」「リピーターをつけたい」という場合は、「BASE」でのネットショップ作成がおすすめ。
モール型ネットショップや販売プラットフォームでは、お客様は“あなたのショップで購入した”というよりも、“楽天やヤフーで購入した”という認識になってしまいます。
そのため、なかなかリピーターやファンになりにくい、という特性があるのです。
一方、「BASE」などのネットショップであれば、お客様は明確にあなたのショップで購入したことを認識します。
さらに、販売手数料がショッピングモールや<食べチョク>などの販売サイトと比較すると安い点も、魅力の一つです。
ただし、「集客」という面においては、SNSなどを活用して自分で工夫していく必要がありますので、メリットデメリットを考えていく必要があります。
とはいえ、「BASE」は登録するのもお金は不要ですので、まずは試しに登録してみるのもよいかもしれません。
まとめと参考事例

今回は、野菜のネット販売のメリットやはじめ方についてご紹介しました。農家の方で、これまで直売所などで野菜を販売していたという方は、ネットショップを通じて、販路拡大を目指してみてはいかがでしょうか。
参考事例もご紹介しておきますので、こちらもご覧ください。
▶︎手数料の安さが決め手?安田農園がネットショップ立上げに『BASE』を選んだワケとは?
また、「BASE」で野菜を販売している方々は、下記のページにたくさん掲載されていますので、あわせてご覧ください。