ネットショップで商品を販売する場合、商品によっては販売の許可や資格などが必要となってきます。
しかし「自分が売ろうと思っているものは許可がいるのだろうか?」と不安な方も多いはず。
そこでこの記事では販売する商品ごとに、必要な許可や資格、その取得方法までくわしく解説しますので、参考にしてみてください。
目次
ネットショップ開業に必要な許可や資格一覧
まずはじめに、ネットショップで販売される代表的な商材と、それぞれに必要な許可や資格をまとめてみました。くわしくは後半で解説していますので、参考にしてみてください。
商材 | 必要な許可や資格 |
---|---|
お酒 | 許可:通信販売酒類小売業免許 資格:なし |
農産物 (加工なし) | 許可:不要 資格:不要 |
魚 | 許可:食品衛生法に基づく営業許可 資格:食品衛生責任者 |
加工食品 | 許可:食品衛生法に基づく営業許可 資格:食品衛生責任者 |
衣類 | 許可:不要 資格:不要 |
古物 | 許可:古物商許可 資格:不要 |
化粧品 | 許可:化粧品製造販売業許可 資格:不要 |
お酒のネット販売に必要な許可や資格

お酒は、自分で製造する場合はもちろんのこと、未開封のお酒を仕入れて販売するだけでも許可(免許)が必要です。
ネット通販の場合も例外ではありません。「通信販売酒類小売業免許」というものが必要となります。
「通信販売酒類小売業免許」を取得する手続きは、税務署の管轄です。くわしくは下記の記事をご確認ください。
なお「通信販売種類小売業免許」の取得には、蔵元に書類を用意してもらう必要があるなど、準備期間も必要です。
実現可能なのかどうか含めてしっかりと事前に確認しておきましょう。
農産物(加工食品)のネット販売に必要な許可や資格

農産物を加工せず、そのまま販売する場合には、許可や資格は必要ありません。
ただし農産物を漬物やジャムなどに加工して販売する場合には、許可が必要になる場合があります。くわしくはこのあと記載している「加工食品」の項目を参照してください。
※たとえば野菜ジュースや漬物などに加工して販売するさいは、食品衛生法に基づく許可が必要。
とはいえ加工品であっても、自分で加工するのではなく、すでに加工されていてパッケージ済みの商品を販売する場合には、許可を取る必要はないとされています。
魚のネット販売に必要な許可や資格
魚の販売に関しては基本的に食品衛生法に基づく営業許可が必要です。
ただし、一口に魚介類の販売といえど、鮮魚なのか加工したものなのか、など、その販売形態によって「魚介類販売業」「魚介類加工業」「食品の冷凍または冷蔵業」「そうざい製造業」など必要な許可が異なってきます。
そのため、まずは管轄の保健所にご相談いただくことをおすすめします。
加工食品のネット販売に必要な許可や資格
加工食品のネット販売に関しては基本的に、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。営業許可が必要となる業種は下記の34種あり、商材に応じて許可が異なります。
大分類 | 小分類 |
---|---|
製造・加工業 | 菓子製造業 あん類製造業 アイスクリーム類製造業 乳処理業 特別牛乳搾取処理業 乳製品製造業 食肉処理業 食肉製品製造業 魚肉ねり製品製造業 食品の放射線照射業 清涼飲料水製造業 乳酸菌飲料製造業 氷雪製造業 食用油脂製造業 マーガリンショートニング製造業 みそ製造業 醤油製造業 ソース類製造業 酒類製造業 豆腐製造業 納豆製造業 めん類製造業 そうざい製造業 缶詰または瓶詰食品製造業 添加物製造業 食品の冷凍または冷蔵業(冷凍食品の製造) |
販売業 | 乳類販売業 食肉販売業 魚介類販売業 魚介類せり売営業 氷雪販売業 |
調理業 | 飲食店営業 喫茶店営業 |
運搬・保管業 | 集乳業 食品の冷凍または冷蔵業 |
また食品衛生法に基づく営業許可の取得には食品衛生責任者を1名設置することが義務づけられているので、その点も注意が必要です。
くわしい内容は下記の記事で解説していますのでご確認ください。
ここではさらに深掘りして「手作りスイーツ」「ジャム」「ドレッシング」「お茶」の場合について解説します。
手作りスイーツのネット販売に必要な許可や資格

スイーツの種類によって必要な資格が異なることがありますが、基本的に食品衛生法に基づく営業許可の中でも「菓子製造業営業許可」が必要とされます。
許可の取得のためには「食品衛生責任者」も必要となります。
くわしくは管轄の保健所にお問い合わせください。
手作りジャムのネット販売に許可について

手作りジャムについては都道府県ごとに対応が異なりますが、東京都の場合には「製菓材料等製造業」の許可を取得することが求められています。
ジャムは都道府県によって扱いが大きく異なることがあり、届け出が不要な場合もあります。
ジャムについては下記の記事でくわしく解説していますのでご確認ください。
ドレッシングのネット販売に許可や資格について

手作りのドレッシングを販売する場合、住所を管轄する保健所によって扱いが異なることがありますが、多くの場合「かん詰又はびん詰食品製造業」の許可が必要です。
すでに飲食店を経営していて、お店で出していたドレッシングのネット販売を始めるという場合でも、改めて許可が必要になることが多いので注意しましょう。
かん詰又はびん詰食品製造業の許可を取得するには、管轄する「保健所」に届け出をします。
お茶のネット販売に必要な許可や資格について
オリジナルのお茶ではなく、すでに包装済みのお茶を販売するだけなら、許可を取る必要はないとされています。
コーヒーやスナック菓子など、すでに梱包されている商品を、開封したり表示を変えたりせずに、そのまま販売するだけなら、基本的に許可は不要とされる場合が多いので覚えておきましょう。
ただし、詰め替えやパック包装で販売する場合は、加工食品の扱いになり許可が必要になるケースもありますので、管轄の保健所に確認するようにしましょう。
洋服ネット販売に必要な許可や資格

新品の洋服を仕入れてそのまま販売するだけなら、特に許可や資格は不要です。
ハンドメイドの洋服をネット販売する場合でも、許可や資格は必要ありませんが、家庭用品品質表示法に従った「品質表示」を付ける必要があります。くわしくはこちら。
品質表示には「綿100%」など繊維の成分と、「洗濯表示」「会社名(個人名)」「連絡先」の記載が必要です。
また古着をネット販売する場合については次の「古着」の項目をご確認ください。
古着のネット販売に必要な許可や資格

古着に限らず、「古物」とみなされるものを販売するには「古物商許可」を取得する必要があります。
時計や家電、楽器、書籍、金券など、さまざまな商品の中古品が対象です。
ネットショップでの販売はもちろん、オークション・フリマアプリで売るさいにも、利益を得るために商品を仕入れて販売する場合などには、古物商許可を取得しなければなりません。
古物商許可には13品目あり、その中から必要な品目を選んで許可を取得することになります。
衣類
時計・宝飾品類
写真機類
事務機器類
機械工具類
道具類
皮革・ゴム製品類
書籍
美術品類
金券類
自動車
自動二輪車及び原動機付自転車
自転車類
古物商許可を取得する窓口は、管轄の警察署となりますので、心配な方は一度相談してみましょう。
香水や化粧品のネット販売に必要な許可や資格

化粧品をオリジナルで製造して販売するには許可が必要ですが、単に化粧品を仕入れて加工せずにそのまま販売するだけなら、許可や資格は不要とされています。
なお国内で製造された化粧品ではなく、海外の化粧品を個人で直接輸入して販売する場合にも、許可を取得しなければなりません。
ちなみに香水や手作り石けんなどの簡易的なものであっても、「肌」「顔」など薬事法に規定された単語を使った商品説明があると、化粧品とみなされるため「化粧品製造販売許可」の取得が求められるようです。
化粧品製造販売許可を取得するには、都道府県の「薬務課」に必要書類を提出し、申請手数料を支払う必要があります。(とはいえ個人で取得するにはハードルが高いです)
その後、事務所の訪問調査などを実施し、審査を受けてから許可を取得するという流れです。くわしくは下記の記事をご確認ください。
まとめ
以上、ネットショップの販売に必要な許可や資格についてまとめました。
ネットショップではさまざまな物を販売することができますが、身体に影響を与える物の場合は、多くの場合で許可が必要になってきます。
お客様のためにも、自分自身のためにも、しっかりと許可や資格について確認して、ネットショップにチャレンジしましょう。