「ECサイトを作りたい」と思っても実はその方法はさまざま。
実はECサイトの作り方というのは大きく6つあります。そして一概にどれがいいと言うことは難しく、個々の状況によっておすすめの作り方が変わってきます。
この記事では、検討手順なども解説しますので参考にしてみてください。
目次
ECサイトの作成方法は6つ
まず最初に6つのECサイトの作成方法について説明します。
まず最初に6つの選択肢、それぞれがどのような特徴を持っているのか一覧で確認してみてください。それぞれの構築方法についてはこの後くわしく解説します。
構築方法 | 初期費用 | 月額費用 | 構築時間 | 事業規模 |
---|---|---|---|---|
無料ASP | 無料 | 無料 | 1日〜数週間 | 〜年商1億円 |
有料ASP | 〜数万円 | 〜数万円 | 数週間〜3ヶ月 | 〜年商1億円 |
モール型EC | 〜数万円 | 事業規模による | 1〜6ヶ月 | 〜年商数億円 |
オープンソース | 無料 | 10万円〜 | 6ヶ月〜1年 | 年商1〜5億円 |
パッケージ型 | 100〜500万円 | 10万円〜 | 2〜6ヶ月 | 年商1億円〜 |
フルスクラッチ | 数百〜数千万円 | 数十万円〜 | 6ヶ月〜2年 | 年商50億円〜 |
ご覧いただくと分かる通り、構築方法によって初期費用も構築時間も変わってきます。事業規模はあくまで目安ですので、このあとの解説を参考にして、自社の事業に合う形態を選んでみてください。
無料ASP

ASPとは「アプリケーション サービス プロバイダ」を略した言葉で、簡単に説明するとネット上でアプリケーション(ネットショップ機能)を利用することができるサービス。
かんたんに言うと、利用登録すればそのまま使えるサービスをイメージすると分かりやすいです。
ASPには無料と有料のサービスがありますが、無料サービスでもサイトの構築から運営まで必要な最低限の機能はすべて揃っています。
大きく異なるのは「拡張性」という観点で、無料よりも有料のサービスの方が拡張性が広いですが、その分知識が必要になってきます。
無料ASPには「BASE(ベイス)」などがあります。
例えば、「BASE(ベイス)」であれば初期費用は一切かかりません。月額費用も不要・固定費も無料なので、資金面でのリスクを抑えたい方におすすめのサービスです。
「小規模でリスクなくショップをはじめてみたい!」
「ネットショップ初心者なので手軽にはじめてみたい」
という方におすすめのサービスですが、実際にはその手軽さと機能の、個人から大手企業まで幅広く活用されています。
> BASEの導入事例はこちら
主な無料ASPカート
・BASE
・STORES
有料ASP

有料ASPカートとは、無料ASPカートの有料版です。
具体的なサービスには、<Shopify><MakeShop>などがあります。
無料ASPの項目でお伝えした通り、拡張性の広さが特徴です。たとえば<Shopify>などでは、数えきれないほどの拡張機能が用意されており「これをしたい」と思ったことのほとんどは実現できるでしょう。
ただしこれらの拡張機能は、さまざまな外部ベンダーと呼ばれる事業者が開発しているため、互換性がなくほかの拡張機能と干渉が起きたりと、自社で使いこなすのは容易ではありません。
そのため構築にさいしては外部のベンダーに依頼するのが通常です。
その分、費用や時間もかかりますが、無料ASPではどうしても実現できないカート機能やデザインを構築したい場合にはおすすめです。
※デザインに関しては、無料ASPでもHTML編集ができるのでほとんどのことは実現できるでしょう。
主な有料ASPカート
・Makeshop
・カラーミーショップ
・Shopify
モール型EC

モール型ECサイトとは、わかりやすく説明すると<楽天市場>や<Amazon>のようなサイトにショップを出すことです。
モール型ECサイトはモールの知名度が集客につながるメリットがあり、お客様からの信頼度が高いことも魅力です。
ECサイトの作り方としては特段難しくはありませんが、構築には細かなルールが有るのでオリジナリティーを出したいという場合には不向きな面もあります。
また管理画面も煩雑な場合が多く、使いこなすにはマニュアルなどを読み込む必要があるでしょう。
初期費用、月額利用料がかかるサービスもあれば、無料のサービスもありますが、基本的にASPカートを利用するよりも高額になると考えておいた方が無難です。
主なモール型ECサービス
・楽天
・Amazon
・Yahoo!ショッピング
オープンソース

オープンソースのソースと言うのはソースコードのことを指しているのですが、この構築方法は名前の通りネットでオープンにされているソースコードを利用してサイトを作る方法です。
(※ソースコードとは、プログラミング言語を使って書かれている文字列のことを言い、その文字列はコンピューターに与える指示内容が書かれています。)
オープン=無料でダウンロードできるので費用面を抑えたい場合には最適なのですが、セキュリティのアップデートを実施し安全に管理することが求められるので専門知識が必要になります。
スキルがない場合は避けたい方法です。
オープンソースで作るECサイトは最低限必要な機能はそろっているのでそのままスタートすることもできますし。カスタマイズすることで独自のショッピングサイトを構築する事も可能なのです。
主なオープンソースサービス
・EC-CUBE
・Magent
パッケージ型

パッケージ型は、販売規模が大きいネットショップを作成したいが、構築はかんたんに行いたい場合に向いている方法です。
パッケージ型の特徴はECサイト構築に必要な機能が含まれたパッケージを購入して使用します。
自社サーバーにパッケージをインストールしてECサイトを構築。ASP型に比べて自由度は高いのですが、開発にはプログラム言語の理解やサーバー知識などの専門知識を持った技術者が必要になるので難易度も高いです。
あわせて、保守運用やセキュリティ対策も自社で行なう必要がありますので個人がスタート時点で選択すべき構築方法ではありません。
これらをすべて自社で行うには専門知識のあるスタッフの雇用が必須ですし、外注となっても費用面での負担はかなり大きいです。
主なパッケージ型ECサイト
・EC-ORANGE
・EC-being
フルスクラッチ
フルスクラッチは全く何もない真っ白い状態からサイトを作り上げていく方法です。サイトを作り始めてから完成するまでの時間も資金も莫大です。
例えば、有名企業のネット通販のサイトを例にすると、サイト構築費用は億単位と言われています。
この方法を選ぶメリットは自社ですべてを管理できることです。管理にも資金は必要なので個人や規模の小さい会社が選択できる方法ではありません。
ECサイトの作成方法別にサイト構築の手順を解説

さてここまで解説してきたようにECサイトの作り方にはさまざまありますが、定量的に見えないものの実は一番重要なのが「どれくらいかんたんに作れるか?」ということ。
そこでここからは、各作成方法でECを立ち上げる場合にどのようなプロセスが必要なのかを可視化したいと思います。
無料ASPで実際にECサイトを構築する手順
まずは無料ASPで実際にECサイトを構築する手順について説明します。
無料ASP型でECサイトを構築する流れ(BASEの場合) |
サイトで会員登録 ↓ サイト運営に関する情報の登録 ↓ ストアデザインと商品登録 ↓ 決済方法の利用申請 ↓ 完成 |
無料ASP は その名の通り構築に費用がかからないことが大きな魅力です。ネット上で会員登録をするだけでかんたんにショップを作ることができます。
専門知識や事前の準備がほとんど必要ないため、すごく手軽にサイトを構築することができます。また商品の画像や説明文を事前に用意しておくとサイト構築がスムーズです。
有料ASPで実際にECサイトを構築する手順
有料ASPサイトでのサイト作成方法を紹介します。
有料ASP型でECサイトを構築する流れ(Shopifyの場合) |
サイトで会員登録 ↓ ショップURLを決定し仮登録が完了 ↓ サイト運営に関する情報の登録 ↓ ストアデザインと商品追加 ↓ 決済方法の利用申請 ↓ ショップを公開する ↓ 完成 |
有料 ASP でサイトを構築する方法は無料 ASP とほとんど同じと考えて良いでしょう。
無料 ASP との違いは会員登録時点で初期費用や月額費用がかかることです。また設置したい機能によっては別途有料で費用がかかる可能性があります。
加えて導入する機能やデザインによっては、外部ベンダーを頼る必要があるなど、無料ASPと同じに見えて実際にはもう少し煩雑になるので、有料ASPを検討するさいには、無料ASPと比べてどれくらい工数がかかるのか?を事前に調べておきましょう。
なお、初期に外部ベンダーに依頼するということは、つまりその後の運用にさいしても外部ベンダーの力を借りる必要性が高くなるので、金額なども含めて慎重に検討しましょう。
モール型で実際にECサイトを構築する手順
モール型でECサイトを構築する流れ(楽天の場合) |
サイトで出店申し込み ↓ 出店許可がおりる ↓ ページ作成 ↓ ページ審査 ↓ ページ審査合格後ショップ公開 ↓ 完成 |
モール型 EC は、ASPとは違って、<楽天市場>や<ヤフーショッピング>などで申し込み手続きをする必要があります。
申し込みの際に必要な書類や初期費用を用意することもあります。
すぐにサイトを構築できる無料 ASP や有料 ASP と違って、ショップを開店するまでに数ヶ月要する場合が多いです。
契約や準備が必要になる為です。
モール型 EC はたくさんの人に商品を見てもらう目的であれば大変おすすめできますが、月額費用がすごく高い、サイトの管理の操作に慣れる必要があるため、ショップ運営初心者にはおすすめできません。
もちろん月額費用が高い分、ショップごとにコンサルタントがついたり、カスタマーサポートが充実していますが、Webの知識は最低限必要だと考えておきましょう。
オープンソースで実際にECサイトを構築する手順
オープンソースでECサイトを構築する流れ(WordPressの場合) |
WordPressをダウンロード ↓ サーバー・ドメインを契約 ↓ サーバーにWordPressをインストール ↓ サイト構築 ↓ カート機能の追加 ↓ 決済方法の追加 ↓ 完成 |
オープンソースはモール型、パッケージ型と違って無料で作成することができます。
ただし、その名の通り「”ソース”コード」を使ってサイトを構築する必要があるため高度な技術が必要になります。
また、オープンソースを使ったサイト構築を代行してくれる会社もたくさんありますが、代行費用はパッケージ型モール型と並ぶ高額な費用がかかる場合もあります。
オープンソース自体は無料&低価格で利用できますが、構築・運用の技術がないと結果的にお金がかかってしまう事を理解しておきましょう。
パッケージ型で実際にECサイトを構築する手順
パッケージ型でECサイトを構築する流れ(ecbeingの場合) |
ecbeingにてパッケージを購入 ↓ ecbeingにてECサイト構築 ↓ 決済会社の導入 ↓ 完成 |
パッケージ型は無料 ASP や優良 ASP と比べるとさらに独自性の高いサイトを構築することが可能です。
パッケージ型は年商1億を超える会社にお勧めするサイト構築方法とも言われます。それと同時にサイトの管理もより高度なものを求められます。
例えば サーバーの管理、システムが古くなって動かなくなったとしても、ベンダー(パッケージ型などのECサービスを販売する業者)が対応することはなく、導入した側でですべて対応する必要があります。(もちろん高額な費用を払えば対応してくれる会社もあります)
小規模でサイトを始めたいという人には向いていないと認識しておきましょう。
また決済に関しては決済会社と個別に契約をする必要があるので、かなり手間がかかります。このあたりはASPであればすぐに導入できるので、ASPを選択する方がベターでしょう。
フルスクラッチで実際にECサイトを構築する手順
フルスクラッチでECサイトを構築する流れ |
サーバー・ドメインの準備 ↓ サイト構築 ↓ カート機能の契約・導入 ↓ 決済会社の契約・導入 ↓ ショップ公開 ↓ 完成 |
最後にフルスクラッチ型について説明します。
フルスクラッチ型は、オープンソースなどの用意されたパッケージソースコードからサイト構築するのではなく、まっさらな状態からサイトを構築する方法です。
この中で一番高度な技術を要すると考えてよいでしょう。要件定義からはじまり、決める事項が多岐にわたり時間もお金も膨大に必要です。
社内に複数人の専門家がいて、なおかつ十分な資金がある場合にのみ検討できる方法です。
ECサイト作成方法を検討する際に確認しておきたいことチェックリスト

ここまでの記事を読んで、「結局どの作り方を選べばいいの?」と迷う方もいらっしゃると思います。
実際にECサイトの制作を検討する場合は、確認しておきたいチェックリストを準備しておくといいでしょう。
チェックリストをもとにサービスの機能・固定費を見比べたり、制作会社に問い合わせることでより希望に近い構築方法が見つかります。
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ECサイト作成の課題は整理できているか |
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サイト上で必要な機能は何があるか(不要な機能はあるのか) |
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サイト利用に必要な費用はいくらまで出せるか? |
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運用方法はどうする予定か?(知識があるのか、ないのか、複数人なのか) |
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受発注方法はどうする予定か(発注頻度や在庫有無) |
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ショップの更新頻度はどれくらいで行うか(商品の入れ替えが多い場合は、かんたんなショップがおすすめ) |
このほかにも、「どやって集客をするのか?」「ショップ外のデータベースなどと連携が必要なのか?」など、事前にどういったEC運用を行なっていくのか検討しておくことで、間違いのない選択をすることができるでしょう。
ECサイト作成方法の選択でミスしないためにおさえておきたい知識
最後にECサイトを作成し、運営していくにあたっておさえておきたい知識について解説します。
この4つもECサイト作成方法を決めるために重要な部分となるため、必ずチェックしておきましょう。
①モール型以外では集客力は基本変わらない

モール型のECサイト以外は基本的に集客は自分で行う必要があります。
これは実生活でも同じことが言えますが、モールの中にあるショップとモール以外の場所で営業しているショップでは、モールの中のショップのほうが人の目に触れる機会は多いです。
モール以外は集客力に大きな差はないので、どのように集客するのかはスタート前にある程度は決めておきたい部分です。
※モール型は集客する方法が多数あるため、その分運用費や固定費が高くなる傾向にあります。
②サービス利用以外にかかる費用を見込んでおく
ECサイトを作成するにあたって費用面にも注意していただきたいです。スタートする前にECサイト構築サービス以外の部分で費用がかかることを全て把握しておきましょう。
商品の仕入れはもちろん、梱包費用もかかります。商品を入れる袋や箱、テープや固定バンドなど備品も必要になります。
あわせてモール型に出店する場合はモール内での露出を増やすために利用する広告費用も考えておきましょう。
構築がかんたんなASP型であっても、外部ベンダーへの依頼が必要なサービスなどは、外注費もばかになりません。
「月額費用が安いから」という理由だけで選んでしまい、ほかの費用に悩まされないようにしたいので、かかる費用については可能な限り事前に把握しておきましょう。
とにかく余計な費用をかけたくない場合は「BASE」がおすすめ。専門知識がいらないので、どんな方でも自分の思い通りのネットショップを作ることができます。
③決済方法の導入に費用がかかる場合も

クレジットカード決済やコンビニ決済などの導入を検討している方は、ECサイトのサービスに、決済サービスが付属しているかを知っておくことも重要です。
例えば、フルスクラッチなどで一からECサイトを構築する場合、クレジットカート決済などを導入るさいは決済代行会社に依頼するのが通常です。
導入にあたっては、導入の審査や初期費用の平均が5万円前後、月額手数料の平均は5千円前後、決済ごとにかかる決済手数料も必要になります。
決済手数料は、クレジットカードの手数料が3~10%、コンビニ決済の手数料が2~5%を目安に考えるといいでしょう。
ASPである「BASE]や<Shopify>などは決済サービスが、準備されているので決済代行会社を探して契約する手間や初期費用はかかりません。
決済方法を充実させたいけど、導入の手間を省きたい方は、決済をかんたんに導入できるサービスを選ぶと良いでしょう。
④運用できないと意味がない

ショップを運営していくにあたって、いかに操作方法が簡単か・自分で修正ができるかも大事なポイントです。
例えば、フルスクラッチでECサイトを構築したとして、修正には高度な技術が必要になる、もしくは修正費用が追加でかかる可能性があります。
ショップ運営では、値段の変更、商品の変更・追加、顧客対応などをご自身で行う必要があるため、
「ショップの修正方法がわからない!」
「修正する際に費用がかかるなんて聞いていなかった!」
とならないように、「そもそも運用できるのか?」ということも考えておきましょう。特にECでは頻繁に商品の入れ替えなども発生するため、運用できるかは非常に重要です。
まとめ
ECサイトの作り方を6つご紹介しました。
安易にネットに書いてある情報で判断せず、ご自身の予算・目的にあわせてECサイトの構築方法を選びましょう。