GA4の探索レポートとは?ネットショップ向けの5つのレポートの作り方を解説

2023.10.30(更新:2024.04.08)

GA4の探索レポートとは?ネットショップ向けの5つのレポートの作り方を解説

GA4の標準レポートに慣れると、「もっとこんなデータを見れたら」と思うようになります。そんなときは、「探索レポート」機能で、オリジナルのレポートを作ってみましょう。

今回は、Webサイトをより深く調査していきたい方向けに、GA4の探索レポートの特徴や使い方を紹介します。
 

探索レポートとは?標準レポートとの違いや、できること

GA4には、「レポート(通称:標準レポート)」と「探索(通称:探索レポート)」という2種類のレポートがあります。

標準レポートは「定期的な数字の確認」に向いており、探索レポートは「特定のデータの分析」に向いています。

GA4の標準レポートと探索レポートの違い

種類特徴できること
標準レポート全体的な基本情報を見られる最初から設定されている項目を使って、基本的な情報
(例:訪問者の情報・どうやってサイトに来たか・Webサイトでどれくらいの時間を過ごしたかなど)をかんたんに知ることができる
探索レポート自分で設定やデータをカスタマイズできる標準レポートの情報をくわしく調査したり、特定のユーザーの情報に絞り込んだり、もっと見やすく変えたりするなどのカスタマイズをできる

関連記事:標準レポートの使い方については、「GA4、どこをチェックすべき?ネットショップの売上改善につながる数字の見方」をご覧ください。

探索レポートでできること

たとえば、こういった分析をしたい場合、探索レポートを使いましょう。

  • データの日次や月次表示
  • 自分の見たいレポートへのカスタマイズ
  • ファネル・経路など、標準レポートにはないフォーマットの作成
  • セグメント(条件の絞り込み)の設定

 

探索レポートの特徴を知る

探索レポートには、6つのテンプレートが用意されています。まずは、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

6つのテンプレートの特徴

テンプレート名どんなときに使うといいのか
自由形式おもに表形式でデータを見たいとき
ファネルデータ探索トップページ→商品一覧→商品詳細のようにWebサイト内の動きを知りたいとき
経路データ探索トップページ→次のページのようなユーザーの動きを知りたいとき
セグメントの重複特定のユーザーの重なりを知りたいとき
コホートデータ探索ユーザーの長期間の行動を知りたいとき
ユーザーのライフタイム個別のユーザーの動きを知りたいとき

このうち、よく使うのは「自由形式」です。

たとえば、標準レポートよりも深く知りたいデータ(例:毎日のユーザー数の推移)や特定の条件でのデータ(例:Instagramからのユーザーが見ているページ)を調べるときに活用します。

テンプレートの使い方の前に、まずは「探索レポートの基本の操作方法」を紹介します。
 

探索レポートの基本の操作方法

 
1. GA4の管理画面にログインして、左メニューの「探索」をクリック

 
2.利用するテンプレートを選ぶ

一から自由形式のレポートを作成する場合は、「空白」を選んでください。過去に作った探索レポートは、画面下部に表示されます。

 
3.変数・タブの設定・データ探索名を登録する

左側の「変数」の列の「ディメンション」と「指標」を登録していきましょう。ディメンション・指標の隣の「+」を押して、必要なディメンションと指標を登録してください。

※後で管理しやすいように、左上の「データ形式名」の下のレポート名を、わかりやすい名前に変えておきましょう。

あらかじめ設定されている情報が不要な場合は、「×」ボタンを押して削除してください。


 

GA4の用語についてわからない方は、「これだけはおさえましょう!GA4の基本用語ベスト5を、わかりやすく解説」の記事も参考にしてください。

 
補足:ディメンションと指標とは

変数の種類変数の説明
ディメンションデータの属性参照元・ページパス(URL)・デバイスカテゴリ
指標結果として出力される数字セッション・アクティブユーザー数・購入数

たとえば、ディメンション(参照元)× 指標(セッション)なら「参照元別のセッション数」を表示できます。

 
4.変数を、設定の「行」と「値」に登録する

条件は、左の「変数」列に登録すると、右隣の「設定」列の「行」「列」「値」として設定できるようになります。

「ディメンション(例:日付)」に登録したものは「行」に、「指標(例:アクティブユーザー数)」に登録したものは「値」に入れる、と覚えておくとよいでしょう。


 
ポイント

  • 変数のディメンションや指標は、1つずつ設定しなくても、まとめて選択して設定できる
  • セルタイプを「書式なしテキスト」にすると見やすい
  • 並び替えは、ディメンションや指標の横をクリック

次に、自由形式のレポートの作り方を4つ紹介します。

 

自由形式でよく使う、4つのレポートを作ってみましょう

探索レポートの自由形式で、よく使う4つのレポートの作り方を解説します。

  1. 日次のセッション数や収益がわかるレポート
  2. 月次のレポート
  3. サイト内検索キーワードのレポート
  4. 購入ユーザーの閲覧ページ

※テンプレートは、「自由形式」ではなく「空白」を選んでください。

 
1.日次のセッション数や収益がわかるレポート

GA4の標準レポートでは、日次のデータを出せません。日次で分析したい場合、自由形式の探索レポートを作る必要があります。

日次のレポートの設定

  • ディメンション(行):日付
  • 指標(値):アクティブユーザー数・新規ユーザー数・セッション・エンゲージメント率・購入・購入による収益

 
2.月次のレポート

2つ目によく使うレポートは、「月次のレポート」です。

基本の設定手順は「日次のレポート」と同じですが、ディメンション・行の設定に注意してください。

 
月次のレポートの設定

    ディメンション(行):年・月
    指標(値):アクティブユーザー数・新規ユーザー数・セッション・エンゲージメント率・購入・購入による収益


 
ポイント

  • 「月」のデータの前に「年」のディメンションを追加しましょう。GA4の「月」のディメンションには、年がありません。「月」だけの設定では、1年以上のレポート期間の場合、違う年の同じ月の数値が混ざってしまいます。
  • 行の「ネストされた行」の設定を「No」から「Yes」に変更しましょう。

ネストを「Yes」に設定すると、同じ年の情報が見やすくなります。


 
3.サイト内検索キーワードのレポート
3つ目は「サイト内検索キーワード」のレポートです。

サイト内検索を設けているショップは、かならずチェックしておきましょう。人気の商品やSEO、広告のヒントになるはずです。

※BASEショップの場合、「商品検索 App」を利用すると、サイト内検索フォームを設けられます。

 
サイト内検索キーワードレポートの設定

  • 変数(ディメンション):イベント名・検索キーワード
  • 指標(値):イベント数
  • フィルタ(次と完全一致):view_search_results


 
フィルタの設定について

サイト内検索キーワードレポートには、「フィルタ」の設定が必要です。設定列の下部の「フィルタ」欄で「view_search_results」に絞り込む設定をしてください。

「view_search_results」をフィルタに使うには、イベント名をディメンションの変数に登録する必要があります。変数に登録しないと、右の「フィルタ」欄に表示されないので、注意してください。

4.購入ユーザーの閲覧ページ
購入ユーザーが見ているページのレポートです。

GA4の標準レポートは、セグメント(条件での絞り込み)ができません。たとえば、「購入ユーザーが閲覧したページ」がわかりません。

探索レポートでセグメントを設定すると、「購入ユーザーが見たページ」という条件でデータを絞り込めます。
 
購入ユーザーの閲覧ページレポートの設定

  • セグメント:購入者
  • ディメンション(行):ページパス + クエリ文字列
  • 指標(値):表示回数・アクティブユーザー・ユーザーあたりのビュー・合計収益・エンゲージメント率


 
ポイント

購入者の見たページの上位には、決済画面や注文完了画面のURLが表示されます。それらをのぞいた上位のページを確認しましょう。

 
セグメントの設定方法

1.左メニューの「+」ボタンを押すと、「セグメントの新規作成」メニューが表示される

2.「参照を使用する」の「購入者」を選択

3.「保存して適用」を選択


 

「セグメントの重複」で探索レポートを作ってみましょう

自由形式の次に、おすすめしたいテンプレートが「セグメントの重複」です。

「セグメントの重複」レポートとは?

探索レポートの「セグメントの重複」とは、最大3つまでのユーザーセグメント(属性)を比較し、それらの量と重なりを、円で確認できる機能です。

セグメントの重複でわかること

セグメントの重複では、たとえば、「トップページ×特定のブログページを閲覧したユーザー」や「お試し商品を購入したユーザー×人気商品を購入したユーザー」などの重なりがわかります。

標準レポートでも、「よく見られるページ」自体はわかります。しかし、「すべてのユーザーがそのページを見ているのか?一部のユーザーしか見ていないのでは?」などを、かんたんには分析できません。

自由形式でも、セグメントを活用すれば分析できますが、重なりまではわかりません。

セグメントの重複を使うと、ユーザーの行動やニーズをよりこまかく理解できるようになり、購入率を改善させる施策などに活かせます

探索レポート「セグメントの重複」の設定手順

 
1.GA4にログインして、左メニューの「探索」をクリック

 

2.テンプレートから「セグメントの重複」を選ぶ(最初は表示されていませんが、「>」をクリックすると表示されます)


 

 
3.あらかじめ設定されている「セグメントの比較」を削除

 
4.セグメントの「+」をクリックし、「カスタムセグメントを作成する」の「セッションセグメント」を選択

 
5.セグメントを設定する

たとえば、「トップページの閲覧ユーザー」のセグメントを作成するには、「新しい条件を追加」をクリックして、以下のように設定します。

  • イベント:ページパス+クエリ文字列
  • フィルタ条件:完全一致・「/」

設定に問題がなければ、右側の「サマリー」に数値が出てきます。問題がなければ、右上の「保存して適用」をクリックしてください。セグメント名は、「トップページ閲覧」など、わかりやすい名称を登録しましょう。

 
6.比較したいページのセグメントを設定する

比較したいセグメントを2つ以上、合計3つまで追加してください。

トップページ閲覧との比較では、カテゴリページやABOUTページ、返品・交換説明ページ、主力商品ページなどがおすすめです。

ほかのページのセグメントの追加方法は、トップページとほとんど同じです。フィルタの条件で、比較したいページのURLを入れてください。

例:カテゴリページのURLが「sample.com/categories/5414355」なら「/categories/5414355」で設定

※フィルタ条件には「ドメイン」はふくめないようにします(例:「sample.com/」なら「/」)。


 
7.セグメントの重複の結果を分析する

以下の例では、「トップページ閲覧」「storeページ閲覧」「yourinfoページ閲覧」の3つのセッションの重なりを設定しました。以下のように、3つのユーザーの重なりが表示されます。

この場合、3つのページをすべて見ているユーザーが、意外と少ないことがわかります。バナーやボタンのデザインを見直すと、Webサイト内の回遊が増えるかもしれません。


 
8.購入者セグメントの重複を比較する

少し目線を変えて、購入ユーザーのセグメントを追加してみます。購入したユーザーが、どんなページを見ているのかを分析するためです。

※セグメントの重複は、3つのセグメントまでしか設定できませんので、セグメントを1つ削除してください。

変数のセグメントの「+」から、「参照を使用する」の「購入者」を選択し、「保存して適用」をクリックしてください。


 

「トップページ閲覧」「storeページ閲覧」「購入者」の3つのユーザーの重なりが作れました。

以下の重なりを見ると、「トップページ」と「storeページ」の片方しか見ていないユーザーの購入が多いのがわかります。

無理にいろんなページを見せなくても、購入につながっているのかもしれません。「トップページは見なくて問題ない」ということもわかります。

今度は、「トップスカテゴリのページ閲覧」と「購入者」を重ねてみました。こちらの例だと、購入者のほとんどが「トップスカテゴリのページを見ていない」ことがわかります。

セグメントの重複は、数値ではなくて、円の重なりで分析できるのがよいところです。作成したセグメントのボリュームもすぐにわかりますし、重なっているボリュームもわかります。

自由形式のレポートでも作成したセグメントを、セグメントの重複で分析し直してみると、新たな気づきを得られるかもしれません。
 

まとめ

  • 探索レポートでよく使うテンプレートは「自由形式」と「セグメントの重複」
  • 探索レポートの操作方法は、「変数にディメンションと指標を登録」から「タブの設定で、行と値に変数を設定」
  • 日次、月次の基本レポートを作って探索レポートに慣れよう
  • セグメントを使うと、より細かい分析ができる
  • 「セグメントの重複」テンプレートを使うと、より細かいユーザー分析ができる

探索レポートの設定は自由にカスタマイズでき、ディメンションと指標は、それぞれ100個以上あります。あらかじめ見たいデータを決めていないと、「何をすればいいのかわからなくなってしまう」方が多いです。

まずは、今回紹介したレポートを真似して作ってみましょう。操作に慣れたら、自分の見たいレポートに調整してみてください。

全5回にわたり、BASEでの基本的なGA4の使い方を説明してきました。

 
1.「うちのショップって、GA4導入しないといけない?」アクセス解析のプロが、初心者向けにわかりやすく解説
2.これだけはおさえましょう!GA4の基本用語ベスト5を、わかりやすく解説
3.GA4導入のはじめの一歩!ネットショップが、やっておくべき4つの初期設定
4.GA4、どこをチェックすべき?ネットショップの売上改善につながる数字の見方

GA4を活用すれば、「Instagramとメルマガを見てくれているけど購入していないユーザー数」「10回以上もショップに来ているが購入していないユーザー数」「Aという商品とBという商品が売れたときに見られたページ」などのさまざまなデータを見ることができます。

みなさんのネットショップ運営の手助けになるデータがたくさんあるはずなので、ぜひGA4を使ってみてください。

BASEでの「Google アナリティクス 4(GA4)」の移行方法&「HTMLタグ管理 App」の設定方法

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