- この記事を読むことで、ネットショップで海外販売をはじめるために必要な準備から、実際の運用開始までのポイントを把握し、自信を持って海外販売にチャレンジできるようになります
- 海外販売を成功させるためには、禁制品の確認や、自分に合った海外配送方法・関税対応方法を理解し、トラブルを未然に防ぐことが重要です
目次
海外販売には、ショップの「海外対応」が必要
オンラインショップを海外対応するには、以下の3つの要素に対応する必要があります。
- 海外配送
- 海外決済
- 言語対応
この記事では、おもに「海外配送」について、ショップの商品が海外に配送できるかどうか、また売れる前に確認しておくべきポイントを中心に説明します。
「海外決済」と「言語対応」については、別の記事<実践編>のなかで、具体的な設定方法を解説していますので、あわせてご確認ください。
海外配送をはじめるさいのポイント
商品を海外に送り届けるためには、以下の4つのステップが必要です。
1. 海外配送できない商品「禁制品」に該当しないかチェック
「禁制品」とは、法律や条例によって海外輸送が禁止されている品のことです。各国共通で禁止されているものと、特定の国や地域の法令によって禁止されているものの両方があります。知らずに配送してしまうと、税関で没収されたり、関税法などにより処罰される可能性があるため、商品が送り先の国に配送ができるかどうかを確認しましょう。
販売している一部の商品が禁制品の場合は、「送料詳細設定 App」で、該当商品のみ海外配送設定をOFFにすることができます。
<禁制品の一例:航空危険物>
マニキュア |
香水 |
花火 |
アルコール飲料 |
モバイルバッテリー |
電子タバコ |
2. 海外配送の方法を決める
海外販売をするさいの配送手段として、以下の2つの方法があります。
海外向けの配送に特別対応をしたくない場合や、すでに月に数件海外配送をしている場合は、国内の代行事業者と提携した配送をおすすめします。
2-1 国内の代行事業者と提携して配送する方法
国内の代行事業者と提携することで、煩雑な手続きを省略し、よりかんたんに海外配送をおこなうことができます。
代行事業者は、海外配送、通関手続き、問い合わせ対応まで一括して対応するため、初心者や海外対応をする時間がないショップには、とくにおすすめです。BASEでは、海外からの注文受付後の対応をおまかせできる「海外販売代行 App」を利用できるので、ぜひお試しください。
2-2 海外に直接、個別配送する方法
安価で購入者とコミュニケーションできる、個別に対応する配送方法は、海外販売に本格的に対応していきたいショップにおすすめです。
ご自身で海外配送をはじめる場合、「国際郵便」と「国際宅配便(クーリエ)」を比較し、どの配送サービスを使用するか、決める必要があります。
同じ荷物・お届け先でも、配送サービスによって配送料金が大幅に異なるため、各公式サイトを比較して、自分にあった配送サービスを検討しましょう。
- 安さ・手軽さ重視 → 国際郵便(EMS)がおすすめ
- スピード重視・海外出荷件数が多い → DHL、FedExがおすすめ
<国際郵便(EMS)と国際宅急便(クーリエ)の比較>
国際宅急便(クーリエ) |
||
ポイント |
・はじめての海外配送におすすめ |
・海外向けの出荷件数が多く、配送スピードを |
サービス主体 |
日本郵便 |
ヤマト運輸、FedEx(フェデックス) |
配送スピード |
最短2~4日程度 |
最短1~2日程度 |
配送料金 |
比較的安い(1,400円~) |
比較的高い(3,000円〜) |
契約 |
だれでも使える |
個人事業主・法人として契約が必要 |
通関手続き |
基本的には不要 |
かならず必要だが、配送業者の通関士が |
関税の支払い |
受取人が支払う |
発送人か受取人かを選べる |
保証サービス |
・返送された場合、返送料金を支払う必要がない |
・有料オプションで保険適用できる |
参照:日本郵便 料金について-EMSが海外から返送されてきましたが、返送にかかった料金を支払わなくてはいけないのでしょうか?、EMS(国際スピード郵便)損害賠償制度
3. 関税について理解する
関税とは、輸入品にかかる税金のことで、おもに輸入国(配送先の国)の産業や農業を保護するために導入されています。
関税は、HSコード、商品の種類や数量、原産国などに基づいて計算され、配送先国の税関で請求金額が決定されます。
HSコードは、同じ商品であっても、国や地域によって違うHSコードを使用する場合があるため、判定がとてもむずかしく、高い専門知識が必要です。そのため、クーリエの通関士や代行サービスを活用したり、販売する国を制限することで、適切に対応していきましょう。
※なお、HSコードを使用しない国もあるため、HSコードの使い回しには、十分な注意が必要です(例:アメリカではHTSコード、ブラジルではNCMコードなど)。
また、通関手続きの違いによる、関税発生への影響についても、理解しておきましょう。
国際郵便(EMS)では、通関手続きがかんたんなので、同じ配送先国・同じ商品であっても、関税が発生する場合・しない場合があります。
一方で、国際宅急便(クーリエ)では、通関手続きがかならず発生し、通関士により詳細に確認されるため、関税が発生する可能性が高い傾向があります。
- 税関で没収されたり、修正申告の手間が発生しないように、商品情報はくわしく記入しましょう
- 例:商品の原産地・使用している素材・材質
- 日本郵便-「内容品の日英・中英訳、HSコード類」主要な品目のHSコードを掲載しており、日本語なのでかんたんに検索できます
- 日本税関-関税分類検索税関提供のデータベースで、HSコードの検索に活用します
※輸出先国の「事前教示制度」を活用すると、より確実なHSコードを特定できます。 - WorldTariff FedEx Trade Networks 社提供の関税率データベースで、日本居住者は無料利用できます
※JETRO経由以外から登録してしまうと、有料となってしまうため、ご注意ください。 - RULES OF ORIGIN FACILITATOR(英語のみ)WTOや世界貿易センターが開発したツールで、HSコードを用いて原産地規則や関税率を確認できます
関税が発生した場合の対応
関税が発生した場合、受取人が関税を支払う配送方法を選ぶさいは、受け取り拒否のトラブルを事前に回避するため、あらかじめアナウンスしておきましょう。
「海外発送において、関税が購入者負担で発生する可能性がある」という内容の文面を英文でご用意いたしましたので、参考にしてみてください。
Guidance on tariffs
If you purchase Japanese products from overseas, customs duty may be incurred. In that case, please note that any customs duties incurred will be borne by the purchaser.
日本語訳:関税に関するご案内
海外から日本の商品を購入される場合、関税が発生する可能性があります。その場合、発生した関税などはご購入者様負担となりますのでご了承ください。
4. 海外配送に対応した梱包準備を整える
海外配送は、配送品を手荒に扱われる可能性があるため、商品が破損しないよう、梱包には注意が必要です。
頑丈な箱を使用し、緩衝材をしっかりと詰めて商品を固定し、ガムテープはH字に止めることをおすすめします。
また、税関検査に備え、対策をおこなうことも重要です。
具体的には、検査のさいに開封しやすいよう、発送用ラベルは開封口にかからないように貼りましょう。
また、誤って検査されないよう、内容物に関係のない食品や家電のイラストがプリントされた資材は使用せず、無地のダンボールを使用しましょう。
<梱包方法の参考>
- 商品は水に濡れないように、中身が見える透明のビニールで包む
- 緩衝材で、商品が箱の中で動かないようにする
- 頑丈で無地のダンボールを使用し、ダンボールの封はH字にガムテープを貼る
基礎編のまとめ
基礎編では、海外に商品を販売する前に知っておきたいことをご紹介しました。まずは、扱っている商品が購入者の国に送ることができるかどうかをチェックしてから、配送準備を進めましょう。
実践編では、実際にBASEで海外販売する方法をご紹介していきます。