いざ、自社ブランドを立ち上げようとする場合、最初に決めなければいけないのがブランド名です。
ブランド名は、一度決めるとそうかんたんには変えることができません。「やっぱり違う名前にしておけばよかった……」と後悔しないためにも、慎重に選択する必要があります。
では、後悔しないブランド名をどのように決めたらいいのか?
この記事では、人々の記憶に残るブランド名を決めるさいに役立つ発想法、また決定するさいに押さえておきたいポイントなどをご紹介します。
目次
なぜブランド名が重要なのか?
ブランド名とはその名の通り、ブランドを表す名前です。
ブランド名が重要である理由は、ブランドの価値観を広く消費者に伝える役割を持っているから。
たとえば、ブランド名によって指名買いを獲得することができれば、売上の向上につながります。ブランド名を覚えてもらえれば、SNSや口コミも広がりやすいです。

このように、ブランド名はただの名前ではなく、ブランドの将来を左右するかもしれない重要な要素なのです。
ブランド名を考える6つの発想法

ブランド名の重要性はわかりましたが、ではどのようにブランド名を決めればいいのでしょうか。
こちらの段落では、ブランド名を考えるさいに役立つ6つの発想法を、事例を交えてご紹介します。
連結法
連結法とは、2つ以上の言葉をつなげる、いわゆる「造語」によるネーミングの方法です。
それぞれの言葉を省略・変形させず、そのままつなげることがポイント。造語にすることで名前にブランドの価値を込めたり、語感のよさを表現したりすることができます。
連結法でブランド名をつけた例として、ファッションブランドの<H&M>や牛乳ブランドの<メグミルク>などが挙げられます。
<H&M>はブランド設立当初、「Hennes(スウェーデン語で「彼女」という意味)」という婦人服専門店でした。その後、ブランドが成長し、紳士服を扱っていた<Mauritz Widforss>という店を買収したことから、2つの名前をつなげて<Hennes & Mauritz>としたのが由来です。
また、「自然の恵み」と「ミルク」をつなげた「メグミルク」も、広く認知されています。
擬人法
擬人法とは、商品やサービスを擬人化してブランド名をつける方法。
擬人法の特徴は、商品やサービスをより身近に感じることができる点。モノやサービスを、まるで人のように扱うことで、親近感を持って接することができるのです。
擬人法を用いたネーミングでは、お米の「あきたこまち」が有名です。
秋田県出身の小野小町から名付けられたというブランド名は、秋田美人も連想できることから、おいしいお米のイメージを広く消費者に植えつけることができた成功例となっています。
また、ラーメンの「一平ちゃん」も、人の名前に「ちゃん」の呼称を使用することで、さらに親しみやすさを感じられる名前となっていますね。
語頭・語尾法
語頭・語尾法は、ある特定のキーワードを選択した後、そのキーワードの頭文字や語尾を省略したり変形したりして新しい言葉を作る方法。
キーワードには、ブランドの価値や特徴を表すものを選ぶのがポイントで、もともとのキーワードの意味を残しつつ、新しい価値を表現できるのがメリットです。
お茶ブランドの「爽健美茶」は、「爽やかに、健やかに、美しく」の頭文字を取って組み合わせた名前。ジュースの「ファンタ」は、素晴らしいという意味を持つ英単語「fantastic」の語尾を省略したものです。
オノマトペ法
オノマトペとは、「わんわん」「パラパラ」「ゴロゴロ」など、自然界に存在する音や物事の状態、人の感情、動物の鳴き声などを模倣した擬態語・擬音語のこと。
オノマトペ法を使用することで、人の感覚に直接働きかけることができる効果が期待できます。
たとえば、アイスの「ガリガリ君」は、実際にアイスを食べるときの擬音をブランド名に採用したケースで、さらに「君」をつけることによって擬人法も採用しています。
ダジャレ法
ダジャレ法とは、その名の通りダジャレを使ってブランド名をつける方法です。
ダジャレを活用することでインパクトがあり、消費者に覚えてもらえる効果が期待できます。
紳士靴下のブランド「通勤快足」は、発売当初「フレッシュライフ」という名前でしたが、ダジャレ法を使用した遊び心のある商品名に変更しました。
なんとなく漠然とした「フレッシュライフ」よりも、「通勤快足」は記憶に残りやすいネーミングですよね。
さらに、事務用品の通販会社<ASKUL(アスクル)>は、「注文したら明日来る」という、商品のお届けのスピードの速さをブランド名に採用した例です。こちらもとても覚えやすく、いいブランド名の例でしょう。
アルファベット表記法
アルファベット表記法は、日本語の言葉をそのままアルファベットで表記する方法です。
パッと見た感じはあたかも英語のようですが、日本語なので音の響きは日本人に親しまれやすいのが特徴。たとえば、「英語」を英語表記すると「English」ですが、あえて英語表記にせず、「Eigo」とアルファベットで記すイメージです。
不動産情報サイトの「スーモ(SUUMO)」や、果汁飲料の「ゴクリ (Gokuri) 」なども、アルファベット表記法を使用してつけられた名前です。
ブランド名の決め方のポイント
ここまで、ブランド名の発想法について解説しました。ぜひいろいろな発想法を使って、自分だけのブランド名を考えてみてください。
ただし、直感で思いついたブランド名をそのまま採用するのは、すこし危険です。冒頭にもお伝えしたとおり、ブランド名はあなたのブランドの将来を左右するかもしれません。
そこで、最後にブランド名を決定するさいのポイントについて解説していきます。重要なのは、次の5つのポイントです。

かんたんで分かりやすい
ブランド名には、かんたんでわかりやすい名前をつけましょう。韻を踏んだり2つの単語を組み合わせたりと、消費者の記憶に残りやすいものを選ぶのもおすすめです。
また、ブランドのコンセプトや価値観、どういった商品やサービスを扱っているのかが一目でわかるようなブランド名も適切です。
発音がしやすい
ブランド名そのものに意味があるのはもちろん、名前が発音しやすいこともポイントです。
人は、発音しやすい言葉に対して親近感を抱く傾向があり、クオリティが同じブランドであれば、名前が発音しやすいほうを選びやすい、とも言われています。
とくに、立ち上げてすぐのブランドは、より広く認知してもらうことが重要ですので、ブランド名が読めなければ意味がありません。
<無印良品>が海外展開を行ったさいに<MUJI>としたことは、海外の人にも広く受け入れられた要因の一つではないでしょうか。
他社との差別化
たくさんの商品やサービスの中から自分のブランドを選んでもらうためには、他社との差別化が必要です。
商品やサービスの品質、デザインなどの違いはもちろん、ブランド名でも差別化を図ることで、自社の強みを消費者にアピールすることができます。
同業他社と同じような名前になっていないか、言葉から連想するイメージが似ていないか、など、差別化ができているかをチェックしましょう。
オリジナリティ
世の中にはじつにたくさんの商品やサービスが存在するため、ほかのブランドに埋もれないようにするためにも、ブランド名にはオリジナリティが必要です。
とくに重要なのが、ネット検索。他社が似たような名前を使っていないか、候補のブランド名をネット検索してみてください。
また、あわせて、使いたいブランド名がすでに商標登録されていないかもチェックしましょう。日本の商標登録は先願順なので、たとえ長く使用していたとしても、先に商標登録をおこなった人に権利が与えられます。
選択したブランド名を登録せずに使用していると、ある日突然使えなくなった、というケースもあるので、注意が必要です。
商標登録の確認はこちら:特許庁
時代に左右されない
せっかくなら、長く愛される商品やサービスを提供したいですよね。
流行や時流を取り入れたブランド名をつけてしまうと、そのときはいいのですが、時代が経つにつれて、どこか時代遅れな名前に感じてしまうことがあります。何十年も使えるように、時代に左右されないブランド名をつけましょう。
まとめ
ブランド名の発送方法と、決めるさいのポイントについて解説しました。
たくさんの要素をお伝えしましたが、何よりも大切なのは、創業者自身がブランド名に愛着を持って育んでいけることだと思います。
ぜひいろいろと思考を巡らせて、唯一無二のブランド名を検討してみてください。