マネタイズとは?4つの具体的な手法と5つの成功のポイントを解説

2020.10.15(更新:2024.04.09)

マネタイズ」は、ビジネスモデルや新規事業でよく使われる言葉です。

この記事では、マネタイズとはなんなのか?という用語解説に加えて、具体的なビジネスモデルもふくめて解説します。

マネタイズや、そのためのビジネスモデルを理解することで、より具体的にビジネスを発展させるための施策を考えることができます

マネタイズを成功させるポイントもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

マネタイズとは?

マネタイズとは、英語の“monetize”からきている、ビジネス用語です。

直訳すれば、「収益化」という意味ですが、とくに“事業を”収益化する、という意味で使われることが多いです。

ただし、このマネタイズというキーワードですが、もっとも多く使われる業界はWeb業界では、すこし違う意味で使われている場合があるので注意が必要です。

Web業界における、マネタイズの使われ方

Web業界で、マネタイズは、「無料サービスから収益を生む」という意味で使われる傾向にあるようです。

これは、たとえばSNSでフォロワーを集めて、ファンの人たち向けになんらかの有料のサービスを提供する、といったイメージで使われます。

Web業界では、サービスそのものが無料、というケースが多いため、一般的な「事業を収益化」とはすこし異なる意味で使われるようです(とはいえ、広義では同じですね)。

無料のものから収益を得る、という考え方は、Web業界ならではの思考方法ですが、現実に多種多様な企業が、無料サービスからのマネタイズで成功を収めています。

マネタイズって、具体的にどのようなこと?4つのビジネスモデルで見るマネタイズ手法

さて、そんなマネタイズですが、たんに言葉だけが一人歩きしてしまって、「実際はどういうことを指すのか?」をいまいちイメージできていない方もいるかもしれません。

ここでは、Web業界におけるマネタイズのビジネスモデルを、大きく4つにわけて解説します。

それぞれの手法のマネタイズ方法を知ることで、より具体的にマネタイズをイメージできると思いますので、参考にしてみてください。

 

ECモデル

ECモデルとは、インターネットでの通信販売にともなう手数料などで収益をあげるビジネスモデルです。

事業者は、ECをおこなうことができる場を提供する対価として、出店料や売り上げ手数料を得ています。

出店者が増えて、取引額が大きくなればなるほど、出店料や手数料などで、ECモデル事業者の売上が増えていくことが特徴のビジネスモデルです。

代表例1:ショッピングモール型(<Amazon><楽天>など)

多くのネットショップが商店街のように集まっていることから、ショッピングモール型ネットショップと呼ばれています。

大手のECサイトである<Amazon><楽天>などが、このモデルに該当します。出店者が支払う出店料や、販売手数料、広告掲載料などで収益をあげるマネタイズ手法です。

強みは、その強力な集客力。

集客力があるために、少々高い手数料設定をしても出店者が集まるため、ショッピングモール型のネットショップは、手数料などの諸経費や初期費用が高い傾向にあります。

代表例2:ASP型ネットショップ

ASP型ネットショップとは、ネットショップをASPサービスとして提供し、出店者から出店料やランニングコストを徴収するモデルです。

「BASE」や<カラーミーショップ><shopify>などが該当します。

ショッピングモール型と同様に、おもな収益源は、出店者からの出店料や販売手数料です。

ショッピングモール型よりも低コストに設定されていることが多いかわりに、どちらかというと、集客力は各ショップオーナーの自助努力による、というのが特徴です。

初期費用やランニングコストが安いため、新規に事業を立ち上げる場合や、大きなリスクを取れない場合に重宝されるECモデルです。

BASE」でのネットショップ立ち上げについては下記のようなインタビュー記事を見て想像してみてください。

未経験からの”ブランド立ち上げ”を成功に導いた秘訣とは?人気アパレルブランドの作り方

ECショップを利用した代表的なビジネスモデルが「D2C」。D2Cについては、「D2Cとは?特徴や、メリットとデメリット・成功のポイントについてわかりやすく解説」をご覧ください。

D2Cとは?特徴や、メリットとデメリット・成功のポイントについてわかりやすく解説

広告モデル

広告モデルとは、自身が運営するWebページやメディア上に、広告を掲載したり、掲載した広告がアクションされたりすることによって報酬を得るビジネスモデルです。

広告モデルには、広告を掲載することを成果とみなすインプレッション型と、エンドユーザーが、クリックしたり商品を購入したりすることによって報酬を得る成果報酬型があります。

代表例1:バナー広告

バナー広告はディスプレイ広告とも言われていて、もっともポピュラーな広告モデル、と言えます。

Webサイトで、画像や動画として掲載されている広告です。最近では、このバナー広告を自社のサイトに掲載したい企業を募集し、その企業から広告掲載料を得るマネタイズ手法です。

バナー広告の多くは、広告がクリックされることで報酬が発生する仕組みとなっています。(一部で表示するだけで課金されるものもあります)

代表例2:アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、一般的に成果報酬型広告をさします。

たとえば、自社サイトにアフェリエイト広告を掲載し、その広告をクリックしたユーザーが広告主の商品ページに移動し、「商品購入」や「資料請求」などのアクションをおこなったとき、報酬が発生します。

バナー広告に比べて、成果地点のハードルが高いため、高い報酬額が設定されることが多くあります。

代表例3: YouTube

YouTubeで売上をあげるのも、広告モデルの一つです。

YouTube動画を閲覧するさいに流れる動画広告が表示されることによって、動画投稿者に報酬が支払われる仕組みです。

YouTube広告のなかには、一定時間以上広告を見なければお金が発生しないものもありますが、多くの場合では、表示されるだけで報酬が入ります。

YouTubeの収益化の条件や種類と、再生数に頼らない収益化の方法とは?

代表例4:Instagram

いま注目度の高いSNSといえば、Instagramではないでしょうか。

そのInstagramでも、収益を得ることが可能です。Instagramのインフルエンサーになれば、企業から広告依頼を受ける場合があります。

広告料は1フォロワー当たり、1〜3円と言われていますが、企業との交渉によって決定します。

なお、インフルエンサーは「フォロワーが非常に多い人」という意味ではありません。

企業がインフルエンサーに期待することは、その影響力の大きさ。つまり、どれだけ人を動かすことができるのか?ということです。

そのため、特定の分野において専門家として認識されている人も、影響力という観点でインフルエンサー として扱われ、広告依頼を受けることがあります。

インスタグラムでフォロワーを増やす14の施策!「発見」タブの攻略がカギなワケとは?

 

課金モデル

アプリやサービスに、便利な機能や特殊な機能をつけることで、課金を促し収益を得る課金モデルです。

このモデルの特徴は、無料サービスに付加価値をつけて収益を発生させる、まさにWeb業界で「マネタイズ」と呼ばれるものを体現しているビジネスモデルです。

代表例1:オンラインサロン

オンラインサロンとは、共通の趣味や目的を持つ人たちが、インターネットの環境下で、小さなコミュニティを展開するサービスです。

オンラインサロンの収益源は、入会金や月額の会費です。

有料コンテンツならではの質の高いサービスを期待して、ユーザーはオンラインサロンに加入します。そのユーザーからの利用料で、マネタイズしているのです。

多くのオンラインサロン主催者は、SNSなどで見込み客を無料で集め、有料コンテンツであるオンラインサロンに誘導しています。

代表例2:スーパーチャット

スーパーチャットとは、YouTubeの機能の一つで、ライブ配信中にユーザーが投げ銭をすることで、配信者に直接的にお金を渡すシステムです。

配信者は、投げ銭という課金を受け取ることで収益を得る、という仕組みになっています。

ユーザーが、スーパーチャットで投げ銭を行う目的はおもに二つ。

一つは、配信者を直接応援するため。もう一つは、投げ銭により、ユーザーがコメントを固定し、配信者や第三者に読ませるため。

YouTube自体は、無料で動画を配信できるため、スーパーチャットも「無料で集客してマネタイズへつなげる」手法である、と言えます。

代表例3:ソーシャルゲームのアプリ内課金

ソーシャルゲームのアプリ内課金は、ゲームユーザーが金額を支払った分だけ特典がもらえる仕組みです。

ソーシャルゲームの運営者は、無料でソーシャルゲームができることをリードにして、ユーザーを取り込んでいます。

また、ユーザーがお金を払ってでもさらに楽しみたい、と思えるような特典や仕掛けを、ゲームに組み込んでいるのです。

アプリ内課金を狙ったマネタイズで、大成功を収めた企業も複数あります。

 

仲介モデル

仲介モデルは、ユーザーと提供者を結びつけることで、運営者が仲介料を得るマネタイズモデルです。

これらのマッチングサービスの仲介料は、基本的に成功報酬となるので、提供者やユーザーが利用するだけでは無料です。

無料ゆえに、多くの提供者を集めることができています。提供者と提供するアイテムが、増えれば増えるほどユーザーも増えるのが特徴です。

仲介モデルにおいて、事業者は、提供者とユーザーが満足できるマッチングの仕組みを作らなければなりません。需要と供給のバランスも重要です。

その双方が利益を得れば、マッチングの運営者も、大きな利益を得ることができます。

代表例1:フリマアプリ

フリマアプリは、フリーマーケットのインターネット版で、各個人が不要となったものを、かんたんに出品できます。

フリマアプリ運営者は、アプリ内で売買が成立したときに受け取る仲介手数料でマネタイズをしています。

フリマアプリの利用者を増やし、取引を増やすことが、フリマアプリ運営者の収益の増加につながります。

代表例2:不動産仲介ポータルサイト

不動産仲介ポータルサイトには、全国津々浦々の、あらゆる不動産会社の取り扱い物件が掲載されています。

そして、物件オーナーや不動産会社から受け取る掲載料や仲介手数料でマネタイズしているのです。

仲介サイトは、マッチングしてはじめて手数料が得られるため、「需要に対して的確なサービスを提供するシステム作り」が非常に重要です。

大手の仲介サイトは、これらの仕組みが非常に上手に作り込まれています。

 

マネタイズを成功させる、5つのポイント

ここまでお伝えしてきたように、 Web分野におけるマネタイズには、4つの大きなモデルがあります。

4つのマネタイズモデルには、それぞれ特徴があり、収益を上げる手法は異なっています。

しかし、個性豊かなマネタイズモデルのなかにも、成功のポイントでは共通点があります。ここでは、5つのポイントを解説します。

ポイント1: 無料コンテンツで集客する

4つのマネタイズモデルほとんどすべてにおいて、ユーザーが無料で利用をはじめられたり、無料で楽しめたりすることができるようになっています。

ここで重要なのは、いかに有益な無料コンテンツで集客するか、です。

いずれのビジネスモデルも、人を集めることができなければ収益化はむずかしいものです。

利用するお客さまの数が少なく需要がないときに、値上げやサービスを有料化して、マネタイズしようとしてもあまり成果は見込めません。

無料でも有益なコンテンツ提供を続けて、まずはお客さまの数、集客を増やしていきましょう

ポイント2:ブランド力を育てる

有益なコンテンツのほかに、集客のためにできることは、「ブランド力を高めていくこと」です。

選ばれる商品やサービスには、商品そのものの質が優れていたり知名度があったりするなど、他より優れたところがあります。

そのため、どういう会社やオーナーが、どんな考えや想いを持って販売しているかを、商品やSNSなどを通して知ってもらいファンをつくることが大切になります。

努力を積み重ねた結果、ブランド力が高まり、収益化が可能になるということを知っておきましょう。

ポイント3:収益までの動線を作る

 

優れたマネタイズモデルでも、集客から収益までの動線がしっかりできていなければ、成功は難しいでしょう。

動線とは、ユーザーをマネタイズにつなげやすくするための、仕組み作りや工夫のことです。

たとえば、ソーシャルゲームのアプリ内課金です。たんに無料と有料のコンテンツをわけても、意味がありません。

ユーザーが「課金したくなる」ような仕組みが必要なのです。

ソーシャルゲームであれば、ゲームの進行において、大いに有利になるアイテムを期間限定などで販売すれば、ユーザーもほしくなりますよね。

こういった、マネタイズまでの動線や仕掛けが重要なのです。

ポイント4:あからさまな収益化は実施しない

マネタイズのためには、収益までの導線が必須ですが、今まで無料で使えていたものを急に有料にするなど、あからさまな収益化はかえって逆効果になることが多いです。

お客様から「お金を稼ぐことを優先している」と思われると、せっかくできたファンが離れてしまう可能性があります。有料サービスへの露骨な勧誘や、極端な広告を掲載するのは避けましょう。

お客さまを不快にさせず、マネタイズしていくためには、経緯の説明やタイミングが重要です。「自分だったらどう思うか?」と、サービスを使うお客さまの目線で考えるようにしましょう

ポイント5:お客様の反応を見ながら、PDCAサイクルを回す

収益化につながるための、お客さまにとって有益な情報やニーズのある商品をつくるためには、お客さまの反応を注視し続けることが大切です。

商品やサービスの提供者側になると、消費者側の視点で見ることが難しい場面があります。そのためお客さまの反応は、サービスの改善点がわかる貴重な材料となります。

お客さまの反応を確認しながら、価格やサービス内容の改善を繰り返していくと良いでしょう。

そのためにやってほしいことが、「PDCAサイクル」です。

PDCAとは、Plan / Do / Check / Actionの4つの頭文字をとった、ビジネス用語です。

マネタイズに置き換えると、集客から収益までの動線はPlan(プラン)であり、実際の集客はDo(行動)にあたります。そしてWebのアクセス解析などで分析をおこなうことが、Check(チェック)です。

集客、動線、取り分(手数料)のどこにボトルネックがあるのかを分析し、最終的な利益を増やしていくために、分析/改善します。

たとえば、オンラインサロンで収益がすくないのであれば、集客がすくないのか、それとも見込み客は多いけどうまく誘導できていないのか、それとも月額料金が安すぎるのか、など、ボトルネックを改善することで、マネタイズを加速させるのです。

 

マネタイズ成功の5つのポイントは、ネットショップ運営にも生かせる

じつは、マネタイズ成功の5つのポイントは、ネットショップ運営にも応用することができます。

無料コンテンツで集客するという視点

たとえば、ネットショップ運営においては、「集客」が大きな課題の一つですが、「無料で有益なものを提供して人を集める」ということを意識してみると、すこし視点が変わります。

たとえば、何となく投稿しているInstagramの投稿。

それを「どうすれば、見ている人に有益になるだろうか?」と考えてみてください。

お花屋さんであれば、たんに綺麗な写真を掲載するのではなく「花が長持ちする方法」などを教えてあげると、どんどんと人が集まってくるかもしれません。

収益までの動線という視点

これも、ネットショップ運営にあてはめると、とても考えやすいです。

たとえば、Instagramで集客はできているけど、なかなか購入までつながらない場合、いくつか「動線」の原因が考えられます。

・Instagramの投稿から、ショップに飛べるようになっているか?
・投稿を見ている人に、行動をうながしているか?
・ショップ内で、すぐにお目当ての商品を見つけられるか?

このように、動線、という観点でも、ネットショップの改善につなげられます

PDCAという視点

こちらも、ネットショップ運営で大いに生かすことができる視点です。

もし、あなたのショップの利益がなかなか出ていない場合、「集客」「動線」「取り分」のどこにボトルネックがあるのか、Checkしてみてください。

何となく原因がつかめたら、改善策を考えて実行してみましょう。

この一連の流れを繰り返すことで、きっと今よりも前進していくはずです。

お客様目線の商品・サービスでマネタイズを成功させよう

以上、ここまでマネタイズの意味や手法について、またマネタイズで成功する5つのポイントについて解説いたしました。

マネタイズを成功させるためのポイントは5つ。

  • ポイント1:無料コンテンツで集客する
  • ポイント2:ブランド力を育てる
  • ポイント3:収益までの動線を作る
  • ポイント4:あからさまな収益化は実施しない
  • ポイント5:お客様の反応を見ながら、PDCAサイクルを回す

以上のポイントは、ネットショップ運営で売上を上げるうえでも大事なポイントです。ぜひ実践してみましょう。

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