食品のネット販売には許可や資格が必要!開業前に知っておきたい知識を紹介

2024.10.23

食品をネット販売するには、さまざまな法律や条例で指定された条件をクリアする必要があります。食品の調達方法にもよりますが、設備を整備しても保健所に営業許可が認められず、ショップのオープンが遅れてしまう可能性もあります。ネット販売をはじめるにあたって、事前にしっかり理解しておきましょう。

今回は食品のネット販売を始めるために必要な知識を紹介します。食品を作って販売する場合と、仕入れた食品を販売する場合とに分けて許可や資格を得る流れも解説しますので、ネットショップの開設準備をするための参考にしてください。

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食品のネット販売には営業許可が必要な場合も

ネットで食品を販売するには、食品の製造方法や仕入方法に応じて、保健所の「営業許可」が必要になる可能性があります。

そもそも営業許可とは?

営業許可とは、食品を扱う環境が衛生基準を満たすことを証明することで取得できるものです。営業許可は全部で32種類あり、以下の4つに分類されます。

  1. 調理業:飲食店・自動販売機での調理に関する許可
  2. 販売業:食肉・魚介の販売に関する許可
  3. 処理業:乳牛や食肉の加工処理に関する許可
  4. 製造業:食品の製造や包装に関する許可

このうち、ネット販売を始めるにあたり必要な可能性が高いのは、製造業に関する営業許可です。現在飲食店を運営していて新たにネット販売をスタートする場合にも、新たに許可が必要な場合があります。

営業許可を取るには所管の保健所に申請する必要があり、申請時には「食品衛生責任者」の資格を持っていることも条件となります。

営業許可を得るための資格や必要条件は、食品衛生法で規定されたものです。
許可を取らずに販売するとペナルティを課されるリスクがありますので、販売前にしっかり確認しておきましょう。

次からは、食品販売の許可や資格を取得する流れをケース別に紹介していきます。

食品を作って販売したい場合

手作りの食品を販売する場合は、食品の種類に応じた営業許可と資格が必要です。

営業許可が新たに必要な場合、次のような流れで申請していきます。

▼必要に応じて食品衛生責任者講習を受講

▼施工会社に製造設備(キッチン)の施工を依頼

▼保健所へ事前相談

▼営業許可申請を実施(必要書類の提出)

▼施設検査の日程調整

▼施設の確認検査

▼営業許可書の交付

手作り食品をネットで販売するにあたってどのような営業許可が必要なのか、ケース別に具体例を紹介します。

ラーメン屋:家で作れるラーメンセットを販売する場合

実店舗のラーメン屋がネット販売をはじめる場合、すでに取得済みの「飲食店営業許可」に加えて、「そうざい製造業」「めん類製造業」「食肉製品製造業」など製造業の許可が必要になる場合があります。食品の製造方法・形態・配送方法などにより、保健所ごとで総合的に判断されます。

ラーメンのネット販売に許可は必要?具体的な手続きや「BASE」での事例もご紹介

レストラン・居酒屋:新たに弁当類を販売する場合

飲食店の営業許可に加え、「そうざい製造業」などの営業許可が必要になる可能性があります。

また、食品の鮮度を保つために真空パックや瓶詰めなどにして販売する場合は「密封包装食品製造業」、冷凍した状態で配送する場合は「冷凍食品製造業」または「複合型冷凍食品製造業」が必要になる可能性が高いでしょう。

加工食品の販売に許可は必要?ネット販売の場合は?営業許可の取り方や販売時の注意点等を解説

カフェ・喫茶店・コーヒーショップ:コーヒー豆やケーキを販売する場合

飲食店の営業許可・菓子製造業に加えて、販売形態によって別途製造許可が必要です。

菓子製造業許可をもつ喫茶店が店内で製造したケーキを販売する場合、現在の営業許可のみでネットショップで販売ができる可能性が高いでしょう。ただしケーキを冷凍して配送する場合は、新たに「冷凍食品製造業」の許可が必要です。

ネットショップでお菓子を販売するには?個人ではじめる際に必要な許可や資格、開業方法を解説

ブレンドしたコーヒー豆や茶葉などを新たに販売する場合、営業許可は不要ですが、「営業届」の提出が必要です。実店舗で販売する場合もネットで販売する場合も、同じ営業届で対応できます。

参考:コーヒー豆、お茶などを作って販売したいのですが、どのような手続きをしたらよいですか。|鹿児島市

お酒の販売をしたい場合

実店舗で提供しているお酒をネットショップでも販売する場合には、「通信販売酒類小売業免許」が必要となります。食品の営業許可は食品衛生法で規定されたものなので申請先は保健所ですが、通信販売酒類小売業免許は酒税法に基づく制度であるため申請先が税務署です。

なお、ネットショップでの限定販売用にオリジナルのお酒づくりをはじめる場合は、「酒類製造免許」の取得が必須です。通信販売酒類小売業免許も酒類製造免許、食品の営業許可より要件がハードルの高いものになっています。

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実店舗はなく、オンラインのみでショップを営業する場合

実店舗を持たない人がネットショップで新たに食品の販売事業にチャレンジしたい場合は、商品の種類に応じた許可が必要です。

営業許可が必要な代表的な業種として、次のようなものが挙げられます。

  • 菓子製造業:ケーキ・和菓子・焼き菓子・せんべい・ジャムなど 
  • あん類製造業:自家製のあんこを使ったお菓子など
  • アイスクリーム類製造業:アイスクリーム・シャーベットなど 
  • 清涼飲料水製造業:ジュース・紅茶・コーヒー飲料・お茶など
  • 密封包装食品製造業:缶詰・瓶詰・レトルトなど

参考:営業許可業種一覧/千葉県

加工食品の販売に許可は必要?ネット販売の場合は?営業許可の取り方や販売時の注意点等を解説

仕入れた食品を販売したい場合

仕入れた食品を加工せずに販売する場合、容器を詰め替えるかどうかで必要な許可が変わってきます。

パッケージを詰め替える場合

仕入れた食品のパッケージを詰め替えて販売する場合には、「密封包装食品製造業」「食品の小分け業」といった食品の包装に関する許可が必要です。

こうした営業許可を得るために、以下のような流れで進めます。

▼必要に応じて食品衛生責任者講習を受講

▼施工会社に製造設備(キッチン)の施工を依頼

▼保健所へ事前相談

▼営業許可申請を実施(必要書類の提出)

▼施設検査の日程調整

▼施設の確認検査

▼営業許可書の交付

仕入れたままの状態で開封せずに販売する場合

食品の容器を移し替えたりせず、仕入れた商品をそのまま販売する場合には、食品の営業許可は必要ありません。なお、米や野菜、魚といった生鮮食品を加工せずに販売する場合も、申請や許可は不要です。

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ただし、営業許可が不要だからといって、衛生面に配慮しなくていいわけではありません。在庫を保管する際には商品に適した環境で保存して、発送時にも商品の状態を損なわないよう適切な梱包方法や発送方法を選択しましょう。

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食品の営業許可を取得するために必要な要件

食品の営業許可を取得するためには、「人的要件」と「設備要件」を満たす必要があります。それぞれどのような要件が規定されているのかを見ていきましょう。

人的要件

営業許可施設ごとに、「食品衛生責任者」を1名以上置く必要があります。また、業種によっては「食品衛生管理者」の配置も求められます。

食品衛生責任者

食品衛生責任者とは、食品製造場所の衛生管理を行うための資格およびその保持者です。食品衛生法では食中毒を防止するために、実店舗・施設ごとに1名以上の配置が義務づけられています。複数の営業許可施設を兼任することは、原則認められていません。

栄養士・調理師などの免許があれば、申請しなくてもすでに食品衛生責任者の資格を所持している状態です。そうした人材がいない場合も、1日のみの講習を受講すれば資格を得られます。

東京都の場合、講習を受講後に手続きを経ると、一般社団法人東京都食品衛生協会より手帳が発行されます。食品衛生責任者養成講習会の申し込みも食品衛生協会を通じて行いますので、所管の都道府県にある食品衛生協会のホームページをチェックしてみてください。

参考:食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会

食品衛生管理者

食品衛生責任者と似た資格に、食品衛生管理者があります。営業許可の種類によっては、専任の食品衛生管理者を配置するよう求められることがあります

食品衛生管理者の配置が必要な食品は、次の通りです。

  • 全粉乳(その容量が1,400グラム以下である缶に収められるものに限る)
  • 加糖粉乳
  • 調製粉乳
  • 食肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコンその他これらに類するものをいう)
  • 魚肉ハム
  • 魚肉ソーセージ
  • 放射線照射食品
  • 食用油脂(脱色又は脱臭の過程を経て製造されるものに限る)
  • マーガリン
  • ショートニング
  • 添加物(食品衛生法第13条第1項の規定により規格が定められたものに限る)

食品衛生管理者の資格を得るには、大学などで規定の課程を修了する方法と、3年以上の衛生管理業務の実務経験を積んだ上で食品衛生管理者登録講習会を受講する方法があります。講習期間は1ヶ月間にわたり、受講料も30万円以上と高額なため、食品衛生責任者と比較するとハードルが高い資格です。

参考:食品衛生管理者|厚生労働省

設備要件

営業許可を受けるための必要条件としては、食品を製造する設備の要件が定められています。設備要件には共通基準と特定基準の2種類があり、自治体ごとに基準が異なるため、くわしくは所管の保健所へ問い合わせてみてください。

今回は東京都を例に、営業許可の設備要件について紹介します。

参考:東京都食品の手引|東京都保健医療局・保健所

共通基準

設備要件の共通基準とは、自動販売機・収入業をのぞくほとんどの業種に適用される基準です。

共通基準は、以下の3つの基準について定められています。

  • 営業施設の構造

作業場とそれ以外のスペースとの間仕切り、ネズミや昆虫の侵入を防ぐ構造、清掃や作業などに十分な照度の照明、結露やかびの発生を防ぐ換気設備、手洗い設備、冷蔵冷凍設備など

  • 食品取扱設備

機械設備の安全性や洗浄・保守点検のしやすさ、運搬時に専用容器を使用、温度計・計量器が装備された冷蔵・冷凍・殺菌・加熱設備など

  • 給水、排水及び汚物処理

給水設備と浄水装置、汚水の逆流リスクがない排水機能、作業場の衛生を損ねない便所、十分な容量の廃棄物容器、清掃用具の準備と清掃作業内容の掲示など

ここで注意してほしいのは、飲食店営業の許可申請時の条件としては、一部の施設基準が緩和されているという点です。そのため現時点で飲食店営業のみを取得している場合は、食品のネット販売に必要な製品包装場所の基準が満たせていない可能性があります。ネット販売をはじめるにあたって、追加で施設の整備が必要になる可能性もあるため、要件をしっかり確認してください。

特定基準

特定基準は、営業許可の業種ごとに定められている基準です。そのため、販売する食品の種類にあわせて設備を整える必要があります。

たとえば菓子製造業の場合、東京都では特定基準が次のように定められています。

<菓子製造業の特定基準>

  • 区画:原材料の保管及び前処理並びに製品の製造、包装及び保管をする室又は場所を有すること。なお、室を場所とする場合にあたっては、作業区分に応じて区画されていること。
  • 機械器具:原材料の前処理及び製品の製造をする室又は場所は、製造する品目に応じて、解凍、調整、調合、整形、発酵、加熱、殺菌、放冷及び冷却に必要な設備を有すること。
  • 冷蔵冷凍設備:原材料及び製品の保管をする室又は場所は、必要に応じて冷蔵又は冷凍設備を有すること。
  • 機械器具(シアン豆使用の場合のみ):シアン化合物を含有する豆類を原材料として生あんを製造する場合にあっては、浸漬、蒸煮、製あん及び水さらしに必要な設備を有すること。

食品のネット販売に関連した法律

食品衛生法以外にも、食品のネット販売を規定した法律は複数あります。とくに抑えておきたいのは、次の7つです。

  • 食品表示法
  • 東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示(各都道府県ごとに制定)
  • 米トレーサビリティ法
  • 景品表示法
  • 健康増進法
  • 計量法
  • 特定商取引法

それぞれ紹介していきます。

食品表示法

食品関連事業者などが、加工食品・生鮮食品または添加物を販売する場合(設備を設けて飲食させる場合を除く)に食品表示基準が適用されます。

食品表示とは、食品のラベルやパッケージに記載された、原材料などをまとめた表のことです。食品表示には以下のような項目が設けられています。

名称

食品を表す一般的な名称です。

原材料名

食品に含まれる原材料、添加物、アレルギー情報(特定原材料7品目と、特定原材料に準ずるもの21品目)などです。
原材料名は、原材料と添加物に分けて重量順に並べます。そのうち、もっとも重量の多い原材料のみ、原料原産地名を括弧書きで表記します。
添加物は用途(甘味料・着色料など)ごとにまとめて記載してください。また、アレルゲン表示はとくに慎重に行いましょう。

内容量

グラム、ミリリットル、個数などの単位で表記してください。

消費期限
賞味期限

品質が劣化するスピードが早い食品は消費期限、品質が劣化しにくい食品は賞味期限で表示するのが一般的です。

保存方法

規定の消費・賞味期限よりも品質の劣化を早めることなく、保管できる方法を記載してください。たとえば、「直射日光を避けて保存」「10以下で保存」などです。

製造者

手作りした食品の場合は自分のショップ名や営業許可を得た製造場所の住所を、仕入れた食品の場合は仕入元が提供する製造者情報を記入してください。

製造所

仕入れた食品を製造する会社が本社と工場が別の場所にある場合などは、製造場所の住所も記載します。

栄養成分

熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量といった栄養成分の分量を記載します。検査機関に分析してもらう方法でも、日本食品標準成分表などをもとに計算する方法でも構いません。

※参考:加工食品《一般用加工食品》|東京都保健医療局

飲食店のテイクアウト販売のように、製造・加工場所で販売する場合は原材料名などを省力可能です。しかし、パッケージされている商品には表示義務が課されているため、食品のネット販売では欠かせない要素です。

なお、小規模事業者が製造販売する場合、栄養成分表示は省略可能です。小規模事業者とは課税売上額が1,000万円以下、または従業員が製造業なら20人以下、輸入業・販売業なら5人以下の業者です。

また、野菜や果物、精肉、魚介類といった生鮮食品は、名称と原産地のみ記載が求められます。

参考:これで分かる!新しい食品表示Vol.4 義務表示の特例編 – 墨田区

東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示(各都道府県ごとに制定)

食品表示について、自治体ごとに追加で表示が必要な事項が設けられているケースがあります。

たとえば東京都の場合、以下の4つの食品で品質表示を義務付けています。

品目

表示すべき事項

調理冷凍食品

原材料配合の割合・原料の原産地名

かまぼこ類

でん粉の含有率・原材料配合の割合

はちみつ類

品名・原材料の割合または重量

カット野菜およびカットフルーツ

加工年月日

各都道府県の保健所ホームページでは、表示方法も含めてくわしく解説されていますので、チェックしてみてください。

参考:東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示|「食品衛生の窓」東京都保健医療局

米トレーサビリティ法

米トレーサビリティ法とは、名前の通りお米や米加工品の流通に関する法律です。お米の産地情報を消費者に伝えると同時に、業者間での取引記録を残すことを義務付けています。

対象となる品目は、次のとおりです。

  • 米穀:もみ、玄米、精米、砕米
  • 主要食糧に該当するもの:米粉、米穀をひき割りしたもの、ミール、米粉調製品(もち粉調製品を含む)、米菓生地、米こうじ等
  • 米飯類:各種弁当、各種おにぎり、ライスバーガー、赤飯、おこわ、米飯を調理したもの、包装米飯、発芽玄米、乾燥米飯類等の米飯類(いずれも、冷凍食品、レトルト食品及び缶詰類を含む。)
  • 米加工食品:もち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅう、みりん

お米を生産する農家はもちろん、お弁当やおにぎりなどを販売するショップも、米トレーサビリティ法の対象となります。取引等の記録の作成・保存と、産地情報の伝達が義務として課されますので、お米を扱うショップはしっかりチェックしておきましょう。

参考:米トレーサビリティ法の概要:農林水産省

景品表示法

景品表示法とは、消費者が質のよくない商品を購入してしまうリスクを防止するための法律です。食品のネット販売でとくに注意したいのは、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」です。

優良誤認表示は、実際よりも内容や品質がよく見えるよう過剰な宣伝を行う表示のことを言います。たとえば外国産の牛肉を使った惣菜を「国産牛使用」と偽ったり、「ステーキ(牛肉の切り身)」として販売した商品が実際には成形肉だったりといったケースが、優良誤認表示です。また、「食べるだけで○kg痩せられる」といった根拠のない効果・性能を謳うことも、優良誤認表示にあたります。

有利誤認表示は、実際よりもお得だと顧客に錯覚させる表示のことです。「期間限定で500円引き!」と謳っているものの実際には通常時も値下げ後の価格で販売していたり、商品の重量が表示よりも少なかったりといったケースが当てはまります。こうした誤解を誘発しやすい説明はクレームにもつながりやすいため、商品説明文やSNSの投稿文を書く際は日頃から気をつけましょう。

※参考:景品表示法が規制する 食品表示のルール – 石川県

健康増進法

健康増進法では、消費者を誤解させるような健康の保持・増進効果に関する誇大表現を禁止しています

商品説明や広告、SNSの投稿などで健康や美容に関する効果を断言するような表現を用いるのは、基本的にNGです。さらに、断言はしなくても顧客に誤解を与えるような表現も禁止されています。もちろん、事実に反する効果や、捏造した体験談を記載するのも健康増進法違反にあたります。

ダイエットや生活習慣病改善などの効果があると注目されている食品を取り扱う際は、とくに注意しましょう。

参考:健康増進法(誇大表示の禁止) | 消費者庁

計量法

計量法は、食品表示の内容量を誤差なく表記するために必要になってくる規定です。計量法により、表示内容から内容量が一定以上変化してしまった場合、食品は販売できません。

たとえばミネラルウォーターは、長期間保存していると蒸発して内容量が変化してしまいます。計量法では販売時点で規定の内容量を満たしている必要があるため、賞味期限を設定する基準の1つとして内容量が保持される期間が考慮されているようです。

特定商取引法

特定商取引法(特商法)は、食品にかぎらずネット販売全般に対する規制です。特商法によって、ネットショップ上で販売価格や送料、発送時期、事業者情報などを表示するよう定められています。

とくに注意が必要なのは、事業者情報の表示です。事業者情報には、事業者名や所在地、連絡先などが含まれます。そのため、個人でネットショップを運営する場合も、通常は住所や連絡先などを公開する必要があります。

参考:通信販売|特定商取引法ガイド

しかし、BASEであれば個人利用に限りますが、自宅の住所・電話番号のかわりに、BASEの住所や電話番号を表示できるため、個人情報をネットで公開する必要はありません。

特定商取引法の非公開設定機能を実装いたしました

食品をネット販売する方法

食品のネット販売についての法律への理解を深められたら、販売方法についても考えていきましょう。

ネットで食品を販売する方法は、大きく分けて3つあります。代表的なサービス名とあわせてそれぞれの特色を紹介します。

ネットショップを開設する

BASEやSTORESのようなサービスを利用して、独立したネットショップを開設し、食品を販売する方法です。

ネットショップであれば、ショップデザインや販売方法もカスタマイズ性が高いのが特徴です。1から自分で運営するため手間はかかりますが、自分にあった方法で販売できます。

利用するネットショップ作成サービスによっては、毎月・2週に一度一定金額の商品を顧客に届けるサブスクサービスも提供可能です。野菜や肉、魚など定期的に購入する食品を扱うショップでは、こうした定期販売を実施することで、安定した売上を実現しやすくなるでしょう。

飲食店のネットショップ開業手引き!必要な許可やプロセスは?事例も合わせてご紹介

ECモールに出店する

Amazonや楽天市場などのECモールに出店する方法です。野菜や魚といった生鮮食品を扱う場合は、「食べチョク」のような専門サイトを活用するのもおすすめ。

ECモールでは、モール自体の知名度によって顧客が集まってくることが魅力です。ただし、他のショップの商品と並べられるため、価格や商品の質で比較されやすいことが懸念点となっています。さらに、デザインをカスタマイズしにくいためブランディングが難しい上、ショップ名を覚えてもらいにくくなります。そのためリピーターを獲得しにくい傾向にあります。

食品ロス削減アプリを利用する

食品のネット販売には、賞味期限が近い食品やB品などを特別価格で販売する方法もあります。代表的なアプリとして、「TABETE」「Kuradashi」などがあります。仕入れた食品が無駄になってしまうリスクを減らせるのはもちろん、食品ロス問題に取り組むショップとしてブランディングにも活かせるでしょう。

一方で、価格を一定以上下げないと買ってもらえないため、利益率はあまり期待できないことがデメリットです。ネットショップやECモールなどとあわせて活用することを前提に、商品の販売状況によって取り入れてみるのもいいでしょう。

まとめ

食品のネット販売をするには、実店舗でのテイクアウト販売と違って新たに営業許可の申請が必要になる可能性があります。営業許可の基準は都道府県によって異なりますので、くわしくは地域の保健所に問い合わせてみてください。ほかにも食品表示ラベルをはじめ、実店舗とは異なるレギュレーションがありますので、ネットショップの開業前によく確認しておきましょう。

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