何か事業を始める際、食品系の商品の製造や販売にチャレンジしたい人も多いでしょう。ただし、食品を販売するには保健所から営業許可を得たり、届出を行ったりしなければならない場合があります。
この記事では、食品の営業許可の概要や、営業許可がいらない食品と必要な食品、営業許可は不要ではあるものの届出が必要な食品などについて解説していきます。
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目次
そもそも食品の営業許可とは?
事業として食品を販売したり、製造したりするためには、場合によって営業許可を得なければなりません。では、食品の営業許可とはどのようなルールなのでしょうか。
食品を扱うには許可や届出が必要
食品を製造、販売するには、衛生面や安全面には特に配慮が必要です。その観点から、食品を扱う場合には特別な許可や届出が必要な場合があります。営業許可あるいは届出の必要性は食品の種類によって異なり、種類は以下の3つに分けられます。
- 「営業許可も届出も不要」な食品
- 販売や製造に「営業許可が必要」な食品
- 営業許可は不要で代わりに「届出が必要」な食品
食品の営業許可をしないとどうなる?
食品衛生法第55条には“前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。”との文言があります。この法律によると、食品の販売や製造を行う場合、営業許可の申請・届出・更新が義務です。そして、この法律を守らなかった場合の罰則も定められています。
たとえば、営業許可が必要にもかかわらず許可を得ずに営業を行った場合、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に処されます。また、営業許可は無期限に有効ではなく、一定の期間が来たら更新が必要です。有効期間内に更新をしなかった場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が処されます。そのため、営業許可の有効期間はしっかり確認しておくことが大切です。さらに、営業の届出を行わなかった場合も、50万円以下の罰金が課されます。
営業許可のいらない食品
食品を扱う場合、多くのケースで営業許可や届出が必要ですが、そのどちらも不要という食品もあります。こちらでは、営業許可のいらない食品の条件や具体的について、解説していきます。
営業許可も届出も不要な食品
公衆衛生に与える影響やリスクが低い食品を扱う場合には、営業許可も届出も不要な「届出対象外」の業種に該当します。なお、以下のいずれかに当てはまる場合、届出対象外となります。
- 食品または添加物の輸入業
- 食品または添加物の貯蔵または運搬業(冷凍および冷蔵貯蔵業は営業届出の対象)
- 常温での保存が可能な包装済みの食品・食品添加物の販売業
- 合成樹脂以外の器具・容器包装の製造業
- 器具容器包装の輸入または販売業
※引用:厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」
届出対象外に該当する業種
上記の5つのいずれかに該当する業種は、許可や届出がなくても食品の製造・販売できます。この中で、食品「販売」の場合に関連するのが3の「常温での保存が可能な包装済みの食品・食品添加物の販売業」です。なお、常温での長期保存が可能で、食中毒の発生など食品衛生上のリスクが低い食品の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- カップ麺
- 袋に密封されているスナック菓子
- ペットボトル飲料
- 缶で密封されている飲料および食品
- 瓶詰めで密閉されているジャム など
このように、実際には届出がなくてもさまざまな食品を販売できます。ただし。「販売業」と文言にあるため、あくまで他社で製造した商品を仕入れてから販売する場合のみが適用されます。たとえば、自分で手作りしたスナック菓子やジャムの販売を行う場合には、製造という工程も含まれているため許可が必要です。こうした例もあるので、どの商品であれば許可も届出も不要かについてしっかりと理解することが大切です。
営業許可の必要な食品
次に、営業許可が必要な食品について見ていきましょう。営業許可は、扱う食品の種類や営業形態によって細かく分けられています。
営業許可の必要な業種がある
一部の届出対象外の営業を除いて、食品を扱うすべての事業者には営業許可の取得が義務付けられています。2021年(令和3年)6月1日からは新しい制度が施行され、許可を要する業種は34業種から32業種に再編されました。以下の32業種に該当する場合、営業許可を申請し、許可を得て初めて営業を行えるようになります。
- 飲食店営業
- 調理の機能を有する自動販売機により食品を調理・販売する営業
- 食肉販売業
- 魚介類販売業
- 魚介類競り売り営業
- 集乳業
- 乳処理業
- 特別牛乳搾取処理業
- 食肉処理業
- 食品の放射線照射業
- 菓子製造業
- アイスクリーム類製造業
- 乳製品製造業
- 清涼飲料水製造業
- 食肉製品製造業
- 水産製品製造業
- 氷雪製造業
- 液卵製造業
- 食用油脂製造業
- みそまたはしょうゆ製造業
- 酒類製造業
- 豆腐製造業
- 納豆製造業
- 麺類製造業
- そうざい製造業
- 複合型そうざい製造業
- 冷凍食品製造業
- 複合型冷凍食品製造業
- 漬物製造業
- 密封包装食品製造業
- 食品の小分け業
- 添加物製造業
※引用:厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」
自分の業種が上記にない場合や、営業許可が必要か届出で済むのか判断できない場合には、管轄の保健所に問い合わせてみるといいでしょう。
営業許可の取得に必要な条件
必要書類を提出すれば、誰にでも営業許可が下りるわけではありません。営業許可を取得するには、書類を提出した上で、以下の3つの基準を満たす必要があります。
◎食品衛生責任者の資格を取得している
食品衛生責任者とは、実店舗などにおいて衛生管理を行う責任者です。食品衛生上の考慮が必要な食品または添加物を製造または加工する際には、それぞれの施設に食品衛生責任者を置かなければなりません。食品衛生責任者の資格を取得するためには、講習を受講した上で、営業許可を受ける所轄の保健所に届出を提出します。
◎基準を満たす営業施設の整備している
自分で手作りした食品を販売する場合、基準を満たす設備を整備し、そこで加工や製造などの作業をしなければなりません。施設の基準は、改正食品衛生法施行規則により定められおり、全施設で共通の基準(共通基準)、営業ごとに定められた基準(特定基準)、生食用食肉やふぐを取り扱う基準(特定基準)があります。
◎HACCPに沿った衛生管理を実施している
「HACCP」とは英語の「Hazard Analysis and Critical Control Point」から取った言葉で、日本語では「危害要因分析重要管理点」と訳されます。HACCPは事業者が原材料や製造方法などに応じた計画を作成し、管理を行う衛生管理方法のことです。食品営業許可を受ける食品製造者や販売者は、HACCPに基づいた衛生管理を実施することが求められます(小規模営業者はHACCPの考えを取り入れた衛生管理)。
※引用:厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
営業許可はいらないが届出が必要な食品
営業許可を取得する必要はないものの、管轄する保健所に届出を提出することが求められる食品もあります。届出が必要な食品は、以下の通りです。
届出が必要な食品
届出が必要な業種は、温度管理などが必要な包装食品の販売業、冷凍冷蔵倉庫業などです。具体的な業種は、以下の通りとなっています。
- 魚介類販売業(包装済みの魚介類のみを販売する場合)
- 食肉販売業(包装済みの食肉のみを販売する場合)
- 乳類販売業
- 氷雪販売業
- コップ式自動販売機(自動洗浄機能付きで屋内設置の場合)
- 弁当販売業
- 野菜果物販売業
- 米穀類販売業
- 通信販売・訪問販売による販売業
- コンビニエンスストア
- 百貨店、総合スーパー
- 自動販売機による販売業(調理機能がある自動販売機で食品を調理し、調理された食品を販売する場合)
- その他の食品・飲料販売業
- 添加物製造・加工業(法第13条第1項の規定を除いた添加物の製造や加工)
- いわゆる健康食品の製造・加工業
- コーヒー製造・加工業
- 農産保存食料品製造・加工業
- 調味料製造・加工業
- 糖類製造・加工業
- 精穀・製粉業
- 製茶業
- 海藻製造・加工業
- 卵選別包装業
- その他の食料品製造・加工業
- 行商
- 集団給食施設
- 器具、容器包装の製造・加工業(合成樹脂が使用された器具または容器包装の製造、加工に限る)
- 露店、仮設店舗などにおける飲食の提供のうち、営業とみなされないもの:飲食提供行為のうち、営業とはみなされないもの
- その他
※引用:厚生労働省 「薬生食監発0331第2号」
届出の際に必要な準備
営業許可が必要な業種と同様、届出の対象となる業種においても「食品衛生責任者の設置」「HACCPに沿った衛生管理の実施」という条件をクリアしなければなりません。営業許可が不要ということから、準備を怠らないようにすることが大切です。
まとめ
食品の製造や加工および販売は、食品の種類や業種によって営業許可がいらない場合と必要な場合、届出のみで済む場合があります。許可や届出のないままに事業を行うと罰金などに処される恐れがありますので、事業として食品を扱う場合には、法律やルールを正確に把握して自分がどれに当てはまるのかをしっかりと理解することが大切です。
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