飲食店を経営されている方の中には、実店舗だけでなく、ネットショップの開業を検討している方もいるかと思います。
とはいえ、これまで実店舗における経営経験はあっても、ネットショップにおいては、どうすればいいのかわからない……という方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、これからネットショップを開業したい、という方に向けて、開業方法やネットショップ選びのコツなどについて、事例とともにご紹介してきます。
コロナ禍で飲食店は大打撃!方向転換を余儀なくされている

2020年は、多くの方にとってつらく大変な年になったと思います。
新型コロナウイルスの猛威により、さまざまな業界が影響を受けました。そのなかでも、とくに飲食店は大打撃を受けており、これまでの営業方法やサービスの提供方法について、見直しが求められています。
こういった事態において、飲食店は何をすべきなのか? 「BASE」でECを出店中のショップオーナー様も、その両立にあれこれと試行錯誤しながら取り組まれているようです。
飲食店のネットショップ開業までの流れ
さて、ではこれまで実店舗でサービスを提供していた飲食店がネットショップを開業する場合、どのように進めていけばいいのでしょうか。
ここでは、3つの段階にわけて、ネットショップ開業の流れを解説していきます。
手順1. 販売する商品を作る

ネットショップ開業にあたって、まず販売する商品を作る必要があります。
飲食店であれば、どういったメニューを販売するのかを考えなくてはなりません。食材セットを販売するにしても、どんな食材や調味料を販売するのかなどを決めていきましょう。
また、飲食店によっては、オリジナルグッズを販売しているところもあります。
たとえば、ラーメン屋であれば丼やTシャツ、レンゲなどです。ほかにも、オリジナルのキャップやソックスを作っている飲食店もあります。
最近であれば、レジ袋有料化にともなって、エコバッグやトートバッグを販売するネットショップも多いです。
何を売るか? 「BASE」ショップオーナー様でもある<麺屋武蔵>様では、こんな取り組みをされているようです。
手順2. 保健所に許可をもらう

ネットショップでどんな商品を販売していくかを決めたら、次は 、開業にあたって必要な許可を保健所にもらう必要があります。
食品をネットショップで販売する場合は、食品衛生法に基づく営業許可を得なくてはなりません。
一から製造や加工をおこなったものを販売する場合、「製造・加工業」の免許が必要です。さらに、食品の種類によって、それぞれ異なる許可を取得しなければなりません。注意しましょう。
たとえば、ジャムを販売するなら「かん詰又はびん詰食品製造業」が必要になる可能性がありますし、冷凍した食品を販売するなら「食品の冷凍または冷蔵業」の免許が必要です。
販売を予定している食品にどんな許可が必要か、事前に調べておくようにしましょう。営業許可については、以下の記事でくわしく解説しています。
手順3. ネットショップの開設

販売する商品の決定、営業免許の取得とあわせて、準備しておかなければならないのがネットショップです。
ネットショップを開設するためには、大きくわけると、以下のような方法があります。
- 1. 制作会社にECサイトの制作を依頼する
- 2. 既存のショッピングモールに出店する
- 3. 自分でネットショップを立ち上げる
コストをかけられない、早く開設したいという場合は、3.のネットショップ作成サービスをおすすめしますが、まずは、それぞれの方法でどのような違いがあるのかをご説明します。
制作会社にECサイトの制作を依頼する場合
この場合は、フルスクラッチといって1からすべて作り上げるパターンや、パッケージソフトを使って構築する方法など様々あります。
ただ総じて構築費用や維持費用が比較的高く、制作期間も長くなる傾向にあり、企画から実際の運用開始までに、3ヶ月〜は最低でも見ておく必要があります。
コスト面に関しては、構築方法にもよりますが制作会社に依頼をするため、最低でも数十万円以上はかかることを想定しておく必要があります。
またネットショップには、ユーザーの個人情報が記録されているため、徹底したセキュリティ対策も求められます。
既存のショッピングモール型サイトに出店する場合

楽天やYahoo!ショッピングといったショッピングモール型ECサイトに出店するという方法もあります。
集客はしやすいメリットはありますが、初期費用やランニングコストは比較的高額になる可能性が考えられます。
大手モール型サイトを例にあげると、以下のような費用が発生します。
初期費用 |
一律60,000円 |
月額出店料 |
19,500〜100,000円/月+システム利用料等 |
システム利用料 |
2.0〜5.5% |
契約期間 |
3ヶ月〜1年間 |
モール独自ポイント利用料 |
購入した代金の通常1.0% |
システム利用料 |
月間売上高の0.1% |
アフィリエイト手数料 |
アフィリエイト経由の売上の2.6%〜 |
メッセージ機能 |
月額3,000円 |
決済手数料 |
月間決済高の2.5〜3.5% |
また、モール内に広告を掲載する場合、掲載枠や掲載期間によって費用が異なり、40,000〜1,200,000円程度といわれています。
コストをおさえて早く開設するなら、ネットショップ作成サービス

できるだけコストをおさえて、早くネットショップを持ちたいのであれば、3.のネットショップ作成サービスを利用するのがおすすめです。
「BASE」は、ネットショップ開設実績3年連続ナンバー1のサービスです(※)。
※ネットショップ開設実績No.1: 直近1年以内にネットショップを開設するさいに利用したネットショップ作成サービス マクロミル調べ(2020年2月)
下記の記事にも事例がありますが、実際に1ヶ月もかからずショップの構想〜開設まで進められるオーナー様が多く、その迅速性には非常に好評をいただいています。
「自社ECでは絶対できなかったし、信頼を失っていたかもしれない」 1日2,800本を販売した「チーズテリーヌ」ショップがBASEで目指す姿とは
また、「BASE」には、「テイクアウト App」など拡張機能もあるので、運営形態にあわせて、最適なショップ運営が可能です。
手順4. 商品の梱包・発送

ネットショップ開業にあたって、「商品の梱包・発送」が必要になります。食品を取り扱う場合、基本的には冷蔵・冷凍配送になるでしょう。
この場合は、「食品の冷凍または冷蔵業」の免許が必要です。
冷蔵・冷凍食品の梱包方法については、商品が入る大きさのダンボールを用意しましょう。ダンボールは、最寄りのスーパーなどで無料配布している場合があります。
また通販でかんたんに購入できますし、「BASE」と連携している「canal」などのサービスを利用すれば、オリジナルのダンボールも作成可能です。
ダンボールの底には、結露が出ても大丈夫なように、新聞紙などを敷き詰めましょう。
その上に商品を置いたら、保冷剤などを一緒に入れます。隙間がある場合は、丸めた新聞紙や緩衝材を詰めるといいでしょう。そのほか、発泡スチロールを代用する方法もあります。
送料については、利用する配送業者や商品のサイズ、郵送先の地域によって料金が異なります。たとえば、60サイズの場合の一般的な送料は、以下になります。
配送会社(配送サービス) |
送料 |
日本郵便(チルドゆうパック) |
1,195円〜 |
ヤマト運輸(クール宅急便) |
1,260円〜 |
佐川急便(飛脚クール便) |
1,155円〜 |
飲食店のネットショップ開業で気をつけたい、4つのこと

飲食店がネットショップを開業するにあたって、以下、気をつけたい点が4つあります。
- 1. 賞味期限などの食品表示が必須
- 2. 梱包や配送にも費用がかかる
- 3. 特定商取引法について理解する
- 4. 商品の説明書きを作成するとなおよし
それぞれ気をつけたい点について、くわしく解説していきます。
1. 賞味期限などの食品表示が必須

食品をネットショップで販売する場合、食品表示が必須となります。
加工食品や生鮮食品、添加物を販売する場合、食品表示基準が適用されるため、パッケージやラベルに食品表示をしなければなりません。
食品に応じて、記載しなければならない内容や表示レイアウトが詳細に定められています。
加工食品においては、「アレルギー表示」「消費期限」「保存方法」の3項目は、かならず表示させなければならないので、覚えておきましょう。
ほかにも、熱量をはじめ、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量など、栄養成分についても表示させる必要があります。
テンプレートを使ってかんたんにラベルが作成できるサービスもあるので、チェックしてみるといいでしょう。
2. 梱包や配送にも費用がかかる

製造・加工した食品は、梱包して配送する必要があり、そこも原価として計算する必要があります。
商品のサイズや配送先、配送のサービス内容などによっても配送料が異なってくるので、いくつかの業者と交渉をしてみる必要があります。
その他、リピーターの獲得のためには、メッセージカードを入れるなど、地道な努力がものをいいますので、見えないところにもコスト(=時間)がかかることを認識しておきましょう。
3. 特定商取引法について理解する
ネットショップを運営するにあたって、特定商取引法についてしっかり理解を深めておくことをおすすめします。
ネットショップの特性上、商品が手元に届くまで、状態を確認できません。そのため、ネットショップ特有のトラブルが起こるケースがあります。
特定商取引法とは、通信販売などのトラブルから消費者を守るために、事業者に対して定められた法律のことをいいます。
くわしくは、下記のページをご確認ください。
4. 商品の説明書きを作成するとなおよし
食品をネットショップで販売する場合、実際の調理などは、商品を受け取った消費者がおこなうことになります。
商品だけ送っても、実際にどうやって調理すればいいのかわからない、と困ってしまうケースがあるかもしれません。
そのため、商品とあわせて、温め方や調理方法などの商品の説明書きを作成し、同梱しておくといいでしょう。
食品を使ったおいしい食べ方や、アレンジメニューなどもあると、よろばれる可能性があります。
オンラインショッピングは、届くまで内容を確認できない不安こそありますが、商品が届くまでのドキドキ感や、開封するときのワクワク感、は楽しくて魅力的なものです。
購入者が商品を受け取ったときに、よろんでもらえるような工夫を施してみましょう。また、食品を販売する場合は、商品写真にもこだわることをおすすめします。
まとめ
今回は、飲食店を経営されている方に向けて、ネットショップの開業方法について解説しました。
ネットショップには、実店舗とは異なる運営が求められるだけでなく、さまざまな許可や届け出などが必要です。
また、ネットショップにもいろんな選択肢がありますので、コスト面やサービス面を比較しながら、自分に合った方法でネットショップを開設しましょう。
ネットショップの運営方法などについては、このサイト「BASE U」で、さまざまなノウハウ記事を用意していますので、ぜひチャレンジしてみてください。
【セミナーレポート】飲食店の新たな挑戦vol.2 売れる飲食店・ネットショップの作り方〜コロナの逆境に負けない新しい手法〜
なお、「BASE」の食品ジャンルのショップ事例は、以下にもございますので、ぜひご覧ください。