実店舗であれネット販売であれ、これから雑貨販売をはじめたい時に「何か許可がいるのか?」と不安な方は多いと思います。
実際、雑貨販売においては、販売するものによって必要な許可や資格が異なるため注意が必要です。
そこでこの記事では雑貨販売に必要な許可や資格について解説していきます。
ちなみにですが、雑貨販売を実店舗で行っていこうとされている方はネットショップでも並行して販売してみることも検討してみてください。
「BASE」でECショップもはじめた雑貨店<LAND>様の場合、今やネットの方が売上が多くなっているそうで、ECと雑貨との相性は非常に良いようです。
目次
雑貨販売をはじめるのに許可は必要?

冒頭でもお伝えした通り、扱う商品の種類や販売方法によっては許可が必要となります。(必要ないものもあります)
許可を取らない状態で販売を開始してしまうと違法となり、罰金が課せられる可能性も。
場合によっては、申請から取得までに時間を要するものもあるため、開業前にしっかりと情報収集を行い、準備を進めていく必要があります。
以下の5つのパターンに分けて解説していきます。
- アンティーク雑貨、中古本や古着などをあつかう場合
- 雑貨店でカフェを出す場合
- パン、クッキーなどを出す場合
- 輸入品を販売したい場合
- 洋服をあつかう場合
パターン①アンティーク雑貨、中古本や古着などをあつかう場合

アンティーク雑貨や中古本、古着を扱う場合は、「古物商許可申請」が必要です。
新品未開封品であっても、一回取引が行われたものは「古物」になります。
この部分を知らずに「アンティーク雑貨ではないから」と、未申請で販売を始めてしまうと違法となるため注意が必要です。
アンティーク雑貨は、愛好家であれば一般的には高額であっても買いたい人が多いので、全国の人に商売できるネットショップとの相性が非常に良いと思われます。
「古物商許可」の申請方法

古物商許可は各都道府県の公安委員会に申請しますが、実際には所轄の警察の生活安全課に書類を提出することになります。
最寄りの警察署に行けばいいというわけではなく、必ずご自身の店舗や営業拠点のある場所を管轄する警察署に足を運ぶようにしましょう。
県警などに電話で問い合わせて、古物の販売を行う店舗の所在地を伝えれば、管轄の警察署の住所や電話番号を教えてもらうことができます。
申請方法に関しては、所轄の警察署へ足を運べば申請に必要な用紙一式を受け取ることが可能です。事前に電話予約をしたほうがスムーズです。このさい、申請について不明点があれば、聞いておくとよいでしょう。
ちなみに申請用紙については、インターネットからダウンロードすることもできます。ただし古物商許可申請は、場合によって必要な書類が変わることもありますので、実際に相談しながら準備を進めることをおすすめします。
なお申請の処理にかかる期間としては、一般的に約40日(行政庁の休日は含まない)となっていますので、時間には余裕を持って申請しましょう。
雑貨店でカフェを出す場合

自分でセレクトした雑貨を見てもらったり、雑貨を購入したあと併設のカフェスペースでゆっくりしてもらったりしたい、とカフェを出すケースもあるかもしれません。
カフェを出す場合は飲食物の提供になるため、飲食店営業許可が必要となります。
飲食店営業許可の取得方法
飲食店営業許可を申請には、「人的要件」と「設備要件」を満たしたうえで申請する必要があります。
人的要件について
人的要件として、「食品衛生責任者」の設置が義務付けられています。
食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施している講習を受講することで取得できます。
こちらの東京都福祉保健局のページにくわしい説明などが記載されているので、ご確認ください。
加えてカフェの規模が収容人数30人を超える場合、「防火管理者」の資格も必要になるためご注意ください。
設備要件について
設備要件を満たすには、店舗の図面が必要となります。キッチンや空調設備、食器棚、食品の保管場所など、店舗設備に関わる細かい規制が設けられています。
図面は、事前に設計士と一緒に管轄の保健所に行き相談を受けておくとスムーズです。
店舗の図面が完成したら、上述の食品衛生責任者の証明書と申請書類をあわせて保健所に提出します。
パン、クッキーなどを提供する場合

雑貨の他にパンやクッキーなどを出したりネットで販売したりする場合は「菓子製造業許可」が必要です。
菓子製造業許可を取得しておけば、パンやクッキーのほかにケーキ、餅菓子、飴菓子、干菓子などを製造販売することが可能です。
ただ実店舗でパンやクッキーなどを提供する場合、「カフェ」として扱われる場合もありますので、まずは保健所に相談してみましょう。
菓子製造業許可の取得方法
菓子製造業許可申請については、店舗を所轄する保健所に相談します。
施設基準を満たしているかどうかを前もって確認するために、店舗の工事着工前に図面などを持参して保健所の食品衛生担当へ相談しましょう。
また食品を扱いますので、きちんと衛生的な管理運営を行わなくてはなりません。そのために「食品衛生責任者」の設置も必要です。
くわしくは下記の記事で解説していますので、ご確認ください。
輸入雑貨を販売したい場合

雑貨を輸入して販売するさいには「古物商の許可」が関わってきます。
古物商は基本的に国内の取引を対象としているため、海外から仕入れる場合は必要ないとされています。
ただし、第三者が輸入し、それを国内で仕入れる場合などは古物商が必要だったりと判断が難しいのが現状です。
そのため、不安な場合は所轄の警察署の生活安全課に相談してみることをおすすめします。
化粧品などの輸入は注意

海外から輸入した化粧品を販売する場合は、仕入れ方法によって、許可が必要なケースとそうでないケースがあります。
「化粧品製造販売業」を取得している問屋や輸入販売会社から仕入れた化粧品を、販売だけするのであれば、「化粧品製造販売業」の許可は不要とされています。
ただし、輸入方法によっては、やはり許可が必要になる場合もあるため、くわしくは所轄の都道府県薬務主管課に相談しましょう。
化粧品の販売に関しては下記の記事も参考にしてみてください。
洋服を販売したい場合

古着ではない新品の洋服を販売する場合は、特に営業許可や資格は不要ですが、「家庭用品品質表示表」に基づいた表示が必要となります。
洋服に使われている繊維の名称やその混合率、表示者名、連絡先、洗濯方法などを表示しなければなりません。
とはいえ日本国内で仕入れる場合は、仕入れた時点で品質表示のタグは付けられている場合がほとんどだと思われます。
家庭用品品質表示表については、消費者庁が取り締まっています。洋服を販売するにあたって不明点などがあれば、消費者庁の公式ホームページを確認したり実際に問い合わせてみましょう。
雑貨店を運営するなら実店舗とネットショップの同時運営がおすすめ

実店舗をお持ちで雑貨販売を考えている方は、実店舗だけでなくネットショップも同時に運営するのがおすすめです。
実店舗とネットショップを同時運営するメリットとしては、主に以下の2点があげられます。
- ECと実店舗の相乗効果が期待できる
- ネットだからこそ売れる商品がある
ECと実店舗の相乗効果が期待できる

ECと実店舗を同時運営することで、以下のような相乗効果が期待できます。
- 全国の顧客を対象にできる
- ECキッカケに来店や売上が増える
- 実店舗での購入者がファンになりECのお客さんも増える
冒頭にて紹介した<LAND様>の例では<Instagram>広告を使ってECで販売したところすぐに、多額の売上が上がったそうです。
またECでお店を知ったお客様が、実店舗にも来店いただけるようになったなど、相乗効果も感じているとのことでした。
ぜひ下記の記事をご覧ください。
ネットだからこそ売れる商品がある

実店舗では売れづらい商品も、ネットであれば売れる可能性があります。
ECと実店舗で扱う商品をすみわければ、在庫消化の効率化につながり結果売上アップにもつながる可能性があります。
<ECの特徴>
・全国の人に商品を見てもらえる
・マニアックなアイテムでも売れる可能性がある
・サイズの大きなものでも購入につながりやすい
ECには上記のようなメリットがあり、店頭では手に取りづらいマニアックなアイテムやサイズの大きな商品も、ECであれば欲しいという人が見つかるかもしれません。
まとめ
以上、雑貨店の運営に必要な許可や資格について解説しました。
雑貨店では販売するものによって、必要な許可や資格が変わってきます。基本的に「人体に何らかの影響があるもの」は許可や資格が必要な場合が多いです。
何かあってからでは遅いので、不安な場合はまず各都道府県の然るべき場所に相談することをおすすめします。