ショップで販売する商品が決まってきたら、コンセプトを考えていきましょう。
コンセプトの考え方は多々ありますが、今回はどんな方でもコンセプトを作れるように実践例を踏まえて解説していますので、ぜひチャレンジしてみましょう。
目次
コンセプトってそもそも何?大事な理由
コンセプト(concept)とは、マーケティングにおいては「ブランドを貫く一つの大事な概念、考え方」を指します。たとえば、世界的コーヒーチェーンであるスターバックスは、開業当初「サードプレイス(Third place)」というコンセプトを掲げていました。
これは家庭(ファーストプレイス)でも職場(セカンドプレイス)でもない「3番目の場所」という意味です。スターバックスは、コーヒーにも力を入れていますが、家でも職場でもない心落ち着ける「場所」を主軸に据えたことで、世界的な拡大を果たしました。
自身のショップの価値を揺るぎないものにするためには、「うちは『こういう』ブランドです」と、一言で形容できる在り方が求められます。スターバックスの例なら、「自宅でも職場でもない、心休まるカフェ」といえるでしょう。
そう考えると、落ち着いた店内の雰囲気やBGMなど、納得のいく部分がありますよね。
このように、コンセプトが決まると、必然的にターゲットや商品の軸が定まります。また、コンセプトは、ショップデザインやショップ名、お客様への印象など、さまざまな部分にも影響を与えていきます。
コンセプトを決める手順
今回は、具体的な考え方の例とともに、以下の5つのステップをご紹介します。
ただ、コンセプトを決める手順というのはいくつもありますし、かならずしもこのように形式ばって考えなくてもかまいませんので、ご自身でいろいろと検討してみてください。
※「コンセプトの作り方」で検索!
STEP1:ターゲットの選定
まずは、ターゲット選定をおこないます。ターゲット選定の方法はいろいろありますが、一例として「商品の使用シーン」を起点に考える方法を解説します。
具体的には、下記の手順でおこないます。
①お客さんが商品を使う目的を考える(誰のどんな悩みを解決するものか)
②仮定した悩みの深堀り
③(その悩みを持っている)ターゲットを考える
以下に、実際にテーマを挙げて手順を説明していますので、参考にしてみてください。
①お客さんが選んだ商品を使う目的を考える(誰のどんな悩みを解決するものか)
まずは、商品を使う目的を書き出してみます。
今回は、「枕」を例に、具体的な考え方を説明します。
お客様が枕を購入する目的を書き出すと、下記のような一覧ができます。(ここは想像で大丈夫です)
・睡眠の質の向上
・肩こり・首こりの解消
・寝相に合わせた枕がほしい
・自分の身体にあった枕がほしい
②仮定した悩みの深堀り
ここから、誰のどんな悩みを解決するべきかを、さらに掘り下げます。上記の4つで、悩みが多いものはどれになるのかを調べてみましょう。たとえば、「Yahoo!知恵袋」「Google検索」「Instagram」を使って絞っていきます。
Yahoo!知恵袋で当てはまる悩みを探す
Yahoo!知恵袋で「枕」と検索すると、「枕 おすすめ」というワードが出てきます。
そちらを見ると、「おすすめの枕はありますか?」「枕はやっぱり自分にあうものをつけた方がいいのでしょうか?」などの悩みが出てきます。
つまり「自分に合った枕が欲しい」、という方が多いんだなということが分かります。
Googleで探す
Google検索でも人々の思惑を探ることができます。
Googleの検索欄に「枕」と入れると、その下にいろいろなワードが出てきました。これは、Googleが自動で「こんな検索もされてます」というのを表示しています。
つまり、枕で検索する人が何を探しているのかを示してくれているのです。
ここからは、「肩こりにいい枕がないのか」「快眠できる枕はないのか」という悩みが見受けられます。
Instagramで探す
最後は、Instagramで探す方法です。
今回は、Instagramのハッシュタグで検索してみましょう。
まずは、検索欄に「枕」と入力します。
「枕」で検索すると、Instagramでよく見られている投稿順に表示されます。
投稿の内容を分類すると、大きく分けて、下記のようなものに分類されました。
・快適に眠る枕
・かわいい枕カバー
③(その悩みを持っている)ターゲットを考える
「悩みの深堀り」のところで調査したところ下記のような感じでしたね。
- 知恵袋→自分に合う枕を教えて欲しい
- Instagram→快適に眠る枕、かわいい枕カバー
- Google→肩こりを解消したい、快眠したい
これらを総合的に考えると需要が大きそうなターゲットは、「肩こりや睡眠不足の原因を”枕”だと考えていて、それを解消するために自分に合う枕を探している人」と考えることができそうです。
ただこれだけだと、ターゲットのイメージがつきにくいのでYahoo知恵袋で質問している方の属性を見てみましょう。
質問文などから推察するには「20代〜40代の男女」という感じです。ここではあまりターゲットを絞りすぎない方がいいと思いますので、いったんこれくらいにしておきましょう。
- 肩こりや睡眠不足の原因を”枕”だと考えていて、それを解消するために自分に合う枕を探している人
- 20代〜40代の男女
STEP2:ターゲットが嫌うことを考える
たとえば、「みんなの悩みを解決する商品」よりも、「特定の人しか悩んでいないが、悩みが深い商品」の方が、ネットショップでは売れやすい傾向にあります。
いわゆる、「刺さる商品」「刺さるコンセプト」と呼ばれるものです。
「ある人にすごく刺さる」コンセプトを作るには、ターゲットが現状の商品に抱えている不満や、文句を想像するのが近道です。
不満や文句といったマイナス要素は、商品に対するものだけではありません。「もっと華やかな生活を送りたい」「毎日の仕事が退屈」といった、ターゲットの私生活や心情、潜在的な悩みなど、いろいろと想像して書き出してみましょう。
ここでは、さきほどの「肩こりや睡眠不足解消のために自分に合う枕がほしい」のターゲットが嫌うことを考えてみましょう。
ターゲットが嫌うこと・状況
・自分にあった枕かどうか分からない
・なぜ睡眠不足を解消できるか納得できない
・なぜ肩こりを解消できるか分からない
・商品数が少なく自分に合うか分からない
・自分に合うか分からないのに値段が高い
・枕の高さが記載されていない
・枕の固さが分からない
ターゲットが嫌うことが分からない方は、ヤフー知恵袋で色々と質問を見てみましょう。悩んでいる方々がどんな悩みを持っているのか、明確に理解することができます。
例えば今回の例で言えば、ベストアンサーに「枕は高さが重要」という話が多くありますので、高さを選べなかったり高さの記載がない枕などは敬遠されそうだということが分かります。
また自分に合う枕が欲しい方は「なぜそれが自分に合うのか?」という納得感を得たいはずなので、ショップのページではそれらを解決する情報も記載してあげる必要がありそうです。
STEP3:ターゲットが持つ「理想・願望」を考える
次は、STEP2と反対のアプローチです。ターゲットが持つ理想や、願望を書き出していきます。
「刺さる」商品・ブランドを展開するには、ターゲットの「理想や願望」を叶えてくれるようなコンセプトが重要です。
マイナス要素を裏返し、ターゲットが潜在的に持つ「理想・願望」を掘り起こしましょう。
さきほどの、「睡眠の質が向上できる枕がほしい」のターゲットが嫌うことを、裏返してみましょう。
ターゲットの持つ理想や願望は?
・自分にあった枕ではない
→自分にぴったりの枕を見つけられる
・なぜ肩こりや睡眠不足を解消できるのか分からない
→しっかりとそれらを解説するコンテンツがある
・商品数が少なく自分に合う枕を選べない
→商品数が多く、探せばきっと自分に合う枕を見つけられる
・自分に合うか分からないのに値段が高い
→値段の幅が広い
STEP4:ビジョン(理想・願望)の実現方法を考える
ビジョンを決定したら、次は、具体的な実現方法に落とし込みます。
あなたが販売しようとしている商品が、ターゲットの「理想や願望」をどのように実現できるのか、書き出してみましょう。
それこそが、あなたのショップだけが提供できる価値となります。
STEP3で考えたターゲットの理想や願望をどのように実現できるか具体的にアイデアを出してみましょう。
理想や願望 | 実現するアイデア |
---|---|
自分にぴったりの枕を見つけられる | 聞きたいことがあればなんでも質問できる |
なぜ肩こりや睡眠不足を解消できるか分かる | 悩み解消させるコンテンツが豊富にある |
商品数が多く、探せばきっと自分に合う枕を見つけられる | 100種類以上の枕が置いてある |
今回はあまり具体的なアイデアになっていませんが、競合なども見てみてできるだけあなたのショップ独自のアイデアがあると、よりターゲットに刺さるコンセプトを作れます。
STEP5:それぞれの要素を元に「コンセプト化」する
最後に、ここまで考えた内容をもとにコンセプトを作っていきます。
コンセプトの目的は、「あなたのお店が”ターゲットの願望を叶えられる場所ですよ”ということを文字で分かりやすく示すこと」にあります。
そしてSTEP1~4を通して「ターゲット」「願望」「叶える方法」ということを具体的に考えてきました。なのであとはそれらをつなげて一つの分かりやすい概念にまとめればいいのです。
ここまで考えてきた要素をまとめると以下のようになりそうです。
・たくさんの枕があるので自分に合う商品が見つかる
・聞きたいことがあればなんでもきける
・枕のことならここですべて解消する
しかしこれだと、なかなか頭に入ってこないですよね。
抽象度をあげてみる
そこでもう少し抽象度をあげてあげる必要があります。
抽象度をあげるというのは”要するになんですか?”ということ。
今回の要素を抽象化すると「たくさん商品があり、聞きたいこともすぐに聞ける」ということです。
抽象化した内容を誰もが理解しやすい言葉に置き換え
最後に抽象化した内容を、誰もが想像しやすい名詞に置き換えてみましょう。
誰もが知っている名詞に置き換えることで、コンセプトを見ただけでショップの方針などをイメージすることができます。
<抽象化してみる>
・たくさん商品があり、なんでも聞ける
→百貨店?ホテル?量販店?外商?執事?ドラえもん?
今回に関して言えば「百貨店」や「家電量販店」などが思い浮かびますが、枕を探すと言うことを考えると「百貨店」という言葉を使うのがよさそうです。
最後に肉付けをして言語化
あとは他の要素を肉付けしてお客様によりショップの方針であるとか解決することが伝わるような文章にしましょう。
今回の例で言えば以下のようなコンセプトが考えられます。
あなたに合った枕がきっと見つかる。100種類以上の枕がある「枕百貨店」
いかがでしょうか?
このように、コンセプトを決めると、「どんな品揃えを用意していけばいいか」「どんなメッセージでSNS運営をしていけばいいか」も、明確になってくるのではないでしょうか?
とくに答えがあるわけではないので、自分なりに考えてみましょう。
- コンセプトが決まれば、ほかのこともおのずと決まってくる!
- 刺さるコンセプトを作るにはターゲット理解が重要!
- いろいろな方法を見てみよう!
アクションリストでショップ準備を完了させよう!
アクションリストを使って、0→10ガイドの中にでてきたアクションを完了させよう。
- 下記のボタンからアクションリストをダウンロードしよう
- ダウンロードされたZipファイル内のPDFファイルを開こう
- アクションリストに従って、ショップ準備を進めよう
- 関連URLの列には、参照元の記事や設定先のURLが添付してあるので、適宜参照しよう