第一回の記事で、Instagramを活用する方法の1つとして「インフルエンサーの活用」ということをお伝えしました。この記事では、その「インフルエンサーの活用」についてご紹介します。
「BASE」のショップでも、インフルエンサーに取り上げられたのが急成長の転換点だったと話すオーナーは少なくありません。
ブランドを運営している中で、偶然インフルエンサーに取り上げられて注目を集めることもありますが、最初からインフルエンサーを活用する方法もあります。
今回は後者のパターンについて実際にどんな方法があるのか解説します。
目次
インフルエンサーを活用する4つの方法
まずインフルエンサーを活用するといってもいろいろな方向があるので、大きく4つの方向に分けて実例とともに、どんなことをやってもらうのか?を解説します。
①ギフティング/サービス体験
商品をインフルエンサーに直接提供し、自宅などで体験してもらったあとで、感想をSNSに投稿してもらうという方法です。
商品を発送する手間はありますが、細かいやり取りやお互いの予定の調整などは必要なく、最も安価で手軽な手法といえます。
■具体例:エテュセ
エテュセでは、Instagramで美容系で有名なインフルエンサーの方に商品をギフティングしてレビューを投稿してもらっているようです。
アイライナーやリップを全色ギフティングし、使用感やカラーの特徴などをレビューしてもらっています。
出典:実際の投稿より
②現地訪問
インフルエンサーに店舗まで足を運んでもらい、商品やサービスを体験してもらう方法です。
予定を合わせたり交通費を支給したりといったコストがかかりますが、実際に手に取って選ぶ過程もレビューしてもらうことで、ショップの雰囲気なども含めた包括的かつ参考価値の高いアピールが期待できます。
具体例
■シャネル
世界的ファッションブランドのシャネルでは、インスタグラマーを自社の工場や原料の花畑へ招待。その様子を、商品名のハッシュタグをつけてInstagramにアップする手法を用いました。
■アスクル
インターネット通販サイトを運営するアスクルは、自社の「暮らしに なじむLOHACO展」の開催に際し、宣伝用の体験会を実施。インフルエンサーに投稿を依頼し、展示会のハッシュタグとともに展示会の内容を効果的に告知しました。
■チームラボ
チームラボは、アートな世界観を演出している施設で映えスポットとしても知られています。チームラボにインフルエンサーが訪れて、さまざまな写真を投稿してもらうことで施設の宣伝効果を得ています。
③PR投稿
マッチングサービスや代理店を介して、複数のインフルエンサーにPR投稿を依頼する手法です。
ある程度の費用はかかりますが、一度に数十人や百人単位のインフルエンサーを動かせるため、より広い客層に商品を宣伝できます。
ただし、依頼先のインフルエンサーは選べないサービスが多いため、結果にどの程度結びつくかは予測しきれない部分もあります。
■具体例:化粧品・基礎化粧品系
こちらの記事によれば、スキンケアブランドの「DUO」や「ラッシュポゼ」、モイストローションの「マヌカハニー化粧水」などは、インフルエンサーに商品をギフティング・宣伝依頼を行って宣伝をうながしているそうです。
また玩具メーカーの「トイザらス」や、「タイガー魔法瓶」のアウトドアグッズPR、エアコンメーカーの「ダイキン」など、インフルエンサーマーケティングを利用している業種は多岐にわたります。
④企画・コンサルティング
商品開発やイベントの企画段階で、インフルエンサーに監修役として参画してもらう手法です。
インフルエンサーの知名度を販売段階から活用でき、最新のトレンドや世間の要望を反映した商品づくりが行えるといったメリットがあります。
反面、インフルエンサーが不祥事などを起こすと、ショップや商品が直接ダメージを受けるというリスクもあります。
■具体例:てんちむさん
人気Youtuberのてんちむさんは、カラコンの販売を行うPIA株式会社でカラコンをプロデュースしました。てんちむさんの「派手系カラコンは卒業したが、カラコン自体は卒業できない」という思いをコンセプトにカラコンをプロデュースしています。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000059752.html
この他にも、撮影モデルとしてインフルエンサーを起用するなど活用方法は様々。一方で、最近では消費者もPR投稿などの類には敏感になってきているので、活用は慎重に検討しましょう。
インフルエンサーへ依頼する方法
さてここまで紹介してきたさまざまな方法ですが、実際にインフルエンサーに依頼する方法は、「自分で探してアプローチする」「囲ってる企業やプラットフォームを活用する」の大きく2通りがあります。
それぞれメリットとデメリットがあるので、しっかり押さえておきましょう。ただし、インフルエンサーがあなたのショップのお客様である場合など、特殊なケースを除くと、代理店やマッチングサービスを活用するのが無難です。
①インフルエンサーに自分で依頼する方法
インフルエンサーには、基本的にDMで依頼します。
ショップのインスタカウントを活用するのがもっとも分かりやすいでしょう。
依頼する文章について
依頼する文書については下記を参考に作成してみましょう。
コピペのような文章になってしまうとインフルエンサーのひとも「依頼できれば誰でもいいのか…」と思ってしまうため。なるべくそのインフルエンサーにお願いしたい!という思いが伝わるようにしましょう。
▼依頼するさいに入れておきたい内容
- プロモーションして欲しい商品名
- プロモーション条件
(フィード投稿1回、ストーリーズ投稿(企業サイトへのURLをつける)、動画作成などなど) - プロモーション単価(具体的な単価については後述)
- なぜそのインフルエンサーに依頼したいと思ったか
- 連絡先・担当者の名前
インフルエンサーに依頼する際の注意点① DMを無差別に送信するのはNG
たくさんのインフルエンサーに無差別にDMを送ることは避けましょう。インフルエンサー同士も繋がりがあるため、「こんな案件きたんだよね」と情報交換したときに、誰彼構わず送っていることがバレてしまうと悪印象です。
また、「誰にでも送っているような会社なら悪質な可能性があるかも」と思われることもあります。
インフルエンサーに依頼する際の注意点② しばりをきつくしすぎない
宣伝方法のしばりが厳しいとインフルエンサーも対応が難しくなります。
しばりが厳しいというのは例えば下記のようなことです。
- 投稿の時間帯を指定する
- ハッシュタグを指定する
- 入れてほしい文章を指定する
インフルエンサーも、自分のフォロワーに「露骨に宣伝している」と思われることは避けたいと考えています。自然な投稿を心がけるためにも厳しい要望は控えておくと良いでしょう。
依頼する金額の相場について
インフルエンサーに依頼する単価の考え方としてはフォロワー数×2円〜4円が相場と言われています。
なので1万フォロワーがいれば2〜4万円ほどになります。
とはいえ直接依頼する場合の相場はあってないようなものですので、上記を参考に色々な情報を調べてみることをおすすめします。
成功しやすいのは、そのインフルエンサーがあなたのショップのファンである場合
ここまで直接依頼する方法について紹介してきましたが、最近はこういったPR案件も膨大であるため、狙った方に希望の条件で依頼できることは少なくなってきました。
しかしインフルエンサーがあなたのショップのファンである場合は、話が異なります。
元々あなたのショップで購入していたインフルエンサーの方に、ギフティングといって商品を提供する代わりに投稿をしてもらうことを依頼してみましょう。
きっと闇雲にインフルエンサーを探すよりも、高確率で受けていただけるでしょう。
②インフルエンサーを囲っている企業やプラットフォームを活用する方法
自分で探してアプローチするのが難しいと感じたら、インフルエンサーのマッチング事業をしている会社などに依頼するのもおすすめです。
種類としては、「代理店タイプ」と「プラットフォームタイプ」があります。
■代理店タイプ
代理店タイプの企業では、こちらからの依頼に対して適切なインフルエンサーをリストアップし、投稿の内容から効果測定まで一気通貫でやってくれることが多いです。
非常に手厚いサービスとなっていますが、その分費用も高く設定されているので気軽に使うことは難しいのが難点です。
■プラットフォームタイプ
プラットフォームタイプでは、サービス会社が用意したプラットフォーム上に多数のインフルエンサーが登録しており、そこに対してあなたのショップがPR投稿の依頼をかけます。
そして条件面でマッチしたインフルエンサーがPR投稿を行ってくれるというものが多いです。(細かい仕様はサービスにより異なります)
このタイプでは、サービス会社側の工数もそんなにかからないため「代理店タイプ」よりは安価に実施できますが、どのようなインフルエンサーがマッチングされるかコントロールしにくいため、費用対効果の面などで不安があります。
とはいえサービスにより、細かい部分まで調整可能なこともありますので、まずは気になるサービスがあれば問い合わせてみてもいいでしょう。
代理店タイプのサービス一覧
インフルエンサーを囲っている代理店タイプのサービスをいくつか紹介します。※ご利用のさいはご自身でよく調べてからご利用ください。
具体的な会社の例や特徴、強みについては、下記の表を参考にしてください。
サービス名 | 特徴 | サービス領域 |
---|---|---|
Find Model | キャスティング選定にAIを導入 | 企画、KPI設定、施策実施、効果分析レポーティングまで |
Natee | 独自のデータ解析システムで、若者の行動や考え方をデータ化 | クリエイター共創型 |
winsta | 国内外の女性に強い影響力 | インフルエンサーの投稿やインフルエンサーとの共同開発 |
サイバーバズ | 大手芸能事務所複数社と提携し、トップタレントの起用も可 | インフルエンサーの選定・紹介 |
テテマーチ | SNS運用からブランディングまで豊富なサービスを展開 | Instagramビジネスアカウントの管理・分析 |
サムライト | YouTubeチャンネルの運用支援サービスが充実 | インフルエンサーのキャスティングからクリエイティブ制作、実施と実施結果の分析まで |
マッチングプラットフォームタイプのサービス一覧
次にマッチングプラットフォームタイプのサービスを紹介します。
マッチングプラットフォームの特徴は、広告代理店よりも安価に利用できる点です。
広告代理店が月額利用費がかかるのに比べて、マッチングプラットフォームは、下記のような支払い形態が多いです。
- 登録・募集は無料で、フォロワー単価で支払い
- インフルエンサーの費用を自由に設定できる
- いいね!数に応じたエンゲージメント単価
出来高であったり、費用をこちらで設定できるため低コストではじめることができます。
サービス名 | 特徴 | 機能 |
---|---|---|
スピリット | ・ファッション・ビューティー・ママ・料理などのジャンルがピックアップされている ・インスタグラマーの審査基準を明確にしてくれている ・国内最大数のインフルエンサーが登録している(2021年12月時点 20,000人) | ・インフルエンサーの公募機能 ・インフルエンサーの評価機能 ・レポート機能 |
REECH | ・AI・データ解析技術でインフルエンサーを分析・マッチング ・すぐに無料で公募ができる ・業界最安値でフォロワー単価1.5円〜設定可能 ・他、初期費用も月額利用料なし | AI・データ解析技術に基づいた ・分析機能 ・レポート機能 ・コンテンツ一元管理機能 ・インフルエンサーマッチング機能 |
Cast Me!Me! | ・最安0円でPR投稿してくれる可能性あり ・プランによっては月額費用あり | ・インフルエンサーの公募・指名機能 ・案件の進行管理機能 ・レポート機能 |
以上インフルエンサーを活用する方法について解説しました。
- インフルエンサーを活用する方法はPR投稿のほかにもたくさん!
- 自分で依頼する場合は、すでにファンになってくれている人がいればおすすめ!
- サービスを利用するなら、マッチングタイプが安価に利用できる!
ここまで様々なインフルエンサー活用の方法を解説してきましたが、もっとも理想的なのは、偶然インフルエンサーが取り上げてくれること。
そのためには、日々の地道な努力が必要になるでしょう。ブランドを育て、多くのファンを獲得していくことがインフルエンサーに取り上げられる近道かもしれません。